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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「テルマエ・ロマエ」 カップルで愉快になろう〔11〕 

テルマエ・ロマエ」 ローマ人阿部寛
 


【羅題】THERMAE ROMAE
【公開年】2012年  【制作国】日本国  【時間】108分  
【監督】武内英樹
【原作】ヤマザキマリ
【音楽】住友紀人
【脚本】武藤将吾
【言語】日本語 一部ラテン語       
【出演】阿部寛(ルシウス)  上戸彩(山越真実)  北村一輝(ケイオニウス)  竹内力(館野)  宍戸開(アントニヌス)  勝矢(マルクス)  キムラ緑子(山越由美)  笹野高史(山越修造)  市村正親(ハドリアヌス)  外波山文明(岸本棟梁)  飯沼慧(名倉長老)  岩手太郎(最上教授)  神戸浩(銭湯にいる中年)  内田春菊(平井道子)  松尾諭(伊丹登)  森下能幸(宇治野)  蛭子能収(ショールーム部長)
      
【成分】笑える 楽しい ファンタジー 不思議 知的 セクシー かわいい かっこいい コミカル パニック 2世紀初頭 21世紀初頭 ローマ 日本 風呂 銭湯 裸文化
  
【特徴】ヤマザキマリ氏の人気漫画を実写映画化。
 古代ローマの浴場設計技師が現代日本にタイムスリップ。古代ローマと現代日本を往来する生真面目ローマ人ルシウスのカルチャーショックを通して風呂文化の良さを再認識できる。
 
 主要ローマ人にはイタリア人俳優ではなく日本の俳優をあてるところが意表を突くキャスティング。
     
【効能】銭湯や温泉が好きになる。古代ローマ時代に興味を持つ。ローマ風呂に入りたくなる。
 
【副作用】日本人がローマ人に扮している事に違和感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
公衆浴場業界振興映画。
 
 近年、疲弊する地方自治体にとって映画は町興し村興しに効果がある事が注目されている。新たな産業を興すことを思えば、村や町にある自然環境や歴史遺産などの既にある資産を貸し出し、撮影の便宜を図る程度で済むので安上がりだ。名作「二十四の瞳」のようになれば半世紀単位で地域活性と宣伝に貢献し続ける。

 本作の場合、対象は特定の地域ではなく、特定業界の振興映画だろう。公衆浴場業界はいま疲弊している。家風呂の普及と核家族化の影響で大勢の他人と一緒に湯に浸かる事を好まない人が増え、町の社交場だった銭湯は姿を消しつつある。
 その一方で大規模な資本力のある業者は地中深くボーリングして温泉をつくりレストランやマッサージ施設を併設したスーパー銭湯を編み出し、この業種は躍進している。大きな湯舟の風呂に対する日本人の執着やニーズは相変わらずあるのだ。
 本作は地域の社交場としても機能していた愛すべき銭湯をローマ時代のテルマエ(公衆浴場)とダブらせて風呂の良さを喧伝する。(余談1)

 原作漫画は誠に痛快なコメディだった。二千年の時間的隔たりと西洋と東洋の地理的隔たりのある異文化交流の滑稽さ、隔たりがあるのに古代ローマ人と現代日本人の風呂への共通する執着。私自身、古代ローマ史ファンでもあるので、嬉々として読んだ。
 実写映画化すると聞いて、日伊合作のイタリア人俳優主演の映画と思いきや、いくらソース顔といっても日本人丸出しの阿部寛氏がルシウスというのは、不愉快に近い違和感を当初は感じた。(余談2)

 いざ、観てみると違和感は杞憂だった。阿部寛氏の肉体はローマ時代のアポロン像が如く西洋人的肉体美、それに上手く対照的になるよう「日本人」キャストは華奢で線の崩れた年輩の俳優を揃えた。頑健な竹内力氏でさえもソップ型相撲取りのような身体で、石膏デッサンに使われる裸身像体型ではない。巧いキャスティングだ。台詞の殆どは日本語だが、現代日本で日本人と話をする場面のみラテン語を発声する阿部寛氏に違和感は無い。
 上戸彩氏扮する原作に無いヒロイン真実の存在も、プラトニックかつ清涼感あるラブコメディに仕立てている。

 タイムスリップ物のラストの多くは甘酸っぱい寂しさが漂うものだが、本作では滑稽ながら妙にホッとする場面で終わる。家族団欒で観るのも良いが、カップルで温泉や銭湯を楽しむ前に観ると癒され度倍増だろう。

(余談1)「ローマ人の物語」の塩野七生氏によると、風呂を愛する民族は先にローマ人、後に日本人しかいないらしい。4世紀の百年間に、キリスト教の台頭によって「裸文化」は忌み嫌われ入浴の習慣は廃れた。公衆浴場は取り壊されるか教会に転用される。
 入浴の習慣が無くなると衛生面の著しい悪化をまねき、中世のペスト流行の遠因にもなった。

(余談2)たぶん、話を判り易くするためワザとだと思うが、当時のローマ人にあり得ない台詞があった。
 ルシウスと一緒に古代ローマへタイムスリップしたヒロイン真美が「いま何年?」と訊ねるとルシウスは「135年」と答える。当時のローマ人はキリスト教徒ではないのでキリスト教暦たる「西暦」を使うことは無い。「誰某と誰某が執政官だった年」と表現する。
 また前線の兵士が「妻が待つローマに帰れる」とつぶやくが、ハドリアヌス帝時代のローマ軍兵士は建前上独身と定められている。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
【受賞】第67回毎日映画コンクールTSUTAYA映画ファン賞


 

 
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お久しぶりです
去年の4月に大阪に転勤したのですが わずか9ヶ月で1月からまた自宅(中部地方)に近いところの勤務となりました。1年に2度の引越しです。
大阪にいたときはスパワールドによく行きました。テルマエロマエは風呂のついでに天王寺で見ました。日本中の老人俳優が出揃った感があって楽しめましたね。原作はあと1巻で終了になりそうです。原作のヤマザキマリさんの自伝マンガでは破天荒な人生と生活にビックリしました。
阿部寛ですが 若いころの彼をあまり好きではありませんでした。 顔立ちも特にアゴのラインが貧弱なのが薄っぺらな青年という感じでした。40歳を越えたあたりからユーモア(=人間性)豊かなニュアンスを出せるようになり 成熟した男の顔になってきたなと感じます。  
[ 2013/03/05 23:49 ] [ 編集 ]
amaria氏へ
 
 もう大阪には居ないのですか。それは残念です。天王寺から新世界・日本橋にかけての界隈は私のテリトリーですから、いろいろ案内できましたのに。

 阿部寛氏はモデルから一気にブレイクして急速に萎んで低迷期を迎えたらしいですね。「あの人はいま?」というテーマの番組からオファーがきて焦ったそうです。「俺、忘れ去られてる」と。
 それから仕事を選ばずどんな役柄もチャレンジしたそうですから、それが今に活きているのではないでしょうか。また、再浮上時にNHKの大河ドラマや金曜時代劇に出演したのが幸運でしたね。あれで確かな支持者が増えて仕事が安定的にくるようになりました。

> お久しぶりです
> 去年の4月に大阪に転勤したのですが わずか9ヶ月で1月からまた自宅(中部地方)に近いところの勤務となりました。1年に2度の引越しです。
> 大阪にいたときはスパワールドによく行きました。テルマエロマエは風呂のついでに天王寺で見ました。日本中の老人俳優が出揃った感があって楽しめましたね。原作はあと1巻で終了になりそうです。原作のヤマザキマリさんの自伝マンガでは破天荒な人生と生活にビックリしました。
> 阿部寛ですが 若いころの彼をあまり好きではありませんでした。 顔立ちも特にアゴのラインが貧弱なのが薄っぺらな青年という感じでした。40歳を越えたあたりからユーモア(=人間性)豊かなニュアンスを出せるようになり 成熟した男の顔になってきたなと感じます。  
[ 2013/03/06 08:41 ] [ 編集 ]
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食わず嫌いというのは怖ろしい物で、時間が経てば経つほどその対象についてのネガティブなイメージはなかなか払拭されることができない。最近の自分の場合だと「テルマエ・ロマエ」が正にそれで、風呂がテーマのちょっと変わったマンガだというのは知っていたけど、なんとなくたかがオフロをアート飾りした高尚ぶりっこでイヤな感じのスノッブ・コミックではないかと勝手な決めつけをしていたのだ(根拠もなくこんな酷い言い...
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