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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「人生がときめく片づけの魔法」 晴雨堂の本箱[11] 

キーワードは「ときめきに囲まれて」
 

 
【雑感】こないだ、居間のテーブルに連れ合いがメモを残していた。誇らしげな字でいろいろ箇条書きにしていたが、要約すると「ときめく物を残して、ときめかない物は捨てる」だったと思う。
 さては近藤麻理恵氏の「ときめく片づけの魔法」をどこかで聞いてきたな。私の書斎は物で溢れかえっている。自宅に収納し切れなかった物は月6千円余のトランクルームに入れてある。連れ合いは日頃からこれを問題視していた。居間のメモも、私の目に触れるようこれ見よがしに置いたのだろう。
 
 連れ合いに言われるまでもなく、近藤麻理恵氏の噂は私も知っている。まだ26か7の若い女性で、黒髪を姫カットにした清楚で可愛らしい人。眉毛が太かったら、私のストライクゾーンだ。
 おっと、中年のスケベ親父と批難されそうだ。もちろん、本も読んでいる。
 
 整理方法はシンプルで判りやすい。例えば衣服を片付ける場合、部屋の一箇所に全ての衣服を集めてから、ときめくのかときめかないのかを選別する。これはまだ着れるとか、もったいないから置いとこうと思ったら、それは処分の対象。本当に「この服すき」と思うものだけを残す。
 基本的な考えは、要らない物を捨てるという発想ではなく、自分が心ときめくものだけを周りに置く。ときめく物に囲まれた生活なら、いったん整理整頓したら散らかったり物があふれたりはしなくなる。
 
 この考え方は、野口悠紀雄氏の「『超』整理法」に似ている。野口氏は書類や書籍の整理方法を主に述べ、項目ごとに分類整理する努力は止め、書類を閲覧した時系列順に並べるだけというシンプルなもの。使った書類は常に書類箱の一番前に挿し込む。よく使う書類や必要な書類は手前に残り、使わない書類は箱の奥へ引っ込んでいき、定期的に一番奥の書類は処分していく。
 つまり、ときめく物に囲まれた生活を始動する近藤麻理恵氏に対して、野口悠紀雄氏は常に使う物に囲まれた生活を指導する。
  

 ただ、これら理論はオタクには通用するだろうか? 世間がゴミとしか思えない物に対して、オタクはときめきを感じるのだ。使わない物といっても、コレクションは置いておく事に意義がある。
 例えば、ガイナックスの前身ゼネラル・プロダクツの包装紙を私は保管している。世間では単なるチリ紙みたいなものだ。しかし漫画アニメのオタクにとっては聖地だった生野区桃谷時代のゼネプロはもう無い。無くなった時点で付加価値が生じる。半世紀も経過すればちょっとした文化遺産になる可能性もある。
 「文化遺産」になってしまえば、ときめき度は急騰だし、遺産価値で利用価値も生じる。大量に生産され大量に捨てられる有り触れたモノこそ、実は現代のサブカルチャーを研究する材料として貴重なのだ。

 そんな事を連れ合いに説いたら、癇癪起こされた。
 

 
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[ 2011/10/09 09:31 ] 晴雨堂の書棚 | TB(0) | CM(0)

「写楽」 (別冊太陽 日本のこころ 183)  晴雨堂の書棚[10] 

写楽」 
東洲斎写楽
全作品が綺麗なグラビアで掲載




【編集】浅野秀剛
【発行】平凡社

【雑感】写楽といえば、本書の表紙に使われている凶悪犯江戸兵衛の大首絵が代表作であり代名詞である。
 写楽ファンにとっては、確認されている全作品が制作時期順に鮮明なグラビアで掲載されているので、御自宅に一冊の貴重資料だ。近年、ギリシアで発見された写楽肉筆の扇絵も掲載、これによって長らく謎だった写楽の正体が、能役者斎藤十郎兵衛説が最有力となった点も解説されている。

 本書出版とほぼ同時期に、NHKスペシャルで浮世絵と縁の深い歌舞伎業界から役者の中村獅童氏がナレーションを務めた「浮世絵ミステリー 写楽〜天才絵師の正体を追う〜」も興味深い。近年の写楽研究の成果を紹介するとともに挿入劇で中村獅童氏は写楽こと斎藤十郎兵衛を演じている。
 できれば、本書とこの番組両方をご覧になられたら、写楽の世界をより楽しめるだろうと思う。

 私が写楽の作品を初めて観たのは、小学校にあがる前だった。姉が使っていた小学生向け百科事典を暇つぶしにめくっていたら、グラビアページに掲載されていた。江戸兵衛の大首絵である。なんとも面白いデフォルメ、江戸時代の絵師はみんなこんな絵なんやなと思っていた。
 ところが、実は写楽独特のタッチであり、当時の歌舞伎役者の間では不評だった事を知ると急に興味がわいてくる。

 当時の日本では不評だった写楽がヨーロッパで評価される皮肉、こういう現象は日本の「偉人」たちには多い。

晴雨堂関連作品案内
写楽 Sharaku [DVD] 篠田正浩監督
1995年公開の映画。真田広之氏と葉月里緒菜氏共演の問題作、といっても作品内容が問題だったわけではなく、主演俳優のプライベートが話題になった。
ここでは、写楽を最下層の歌舞伎役者崩れの絵師という設定にしている。現在有力視されている能役者斎藤十郎兵衛は、同じ「役者」でも能役者は士分ゆえ名字帯刀を許された伝統芸能、したがって趣きは異なる。


 
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[ 2011/05/21 00:05 ] 晴雨堂の書棚 | TB(0) | CM(0)

「伊藤晴雨物語」 晴雨堂の書棚[9] 

伊藤晴雨物語」 団鬼六氏の名著
 

 
【著者】団鬼六
【発行】河出書房新社
 
【雑感】伊藤晴雨といえば、大正から昭和初期に活躍した著名な挿絵画家だが、性風俗の業界ではSM画家の巨匠である。責め絵画家と呼んだほうが上品で文化的か。
 
 伊藤晴雨は東京浅草出身、父は彫金師。当初は家業の関係で彫刻師の修行をするが絵画に傾倒、25歳頃から新聞社に勤めて挿絵や評論をかくようになり、挿絵画家としての地位を築いていく。
 その挿絵業とは別に、愛人をモデルに責め絵を描いている。晴雨はこの道の巨匠として現在も伝説となっており、著者の団鬼六氏も強い影響を受けていた。いわば伊藤晴雨団鬼六氏の大先輩なのである。
 この本から、伊藤晴雨の数奇な人生を垣間見るとともに、団鬼六氏がどのように影響を受け現在のスタイルになったのかをも考察できるかもしれない。

 
 晴雨は愛人に縄化粧をほどこしては、それをモデルにして絵を描いていた。その作画風景を撮った写真を見た事があるが、年配のお爺さんといった体の晴雨が長い黒髪の若い女性を縄で縛って吊るして、それを見ながら絵筆を握っているという、世間一般から見ると猟奇的光景だ。
 実際は、そんなやり方で絵を描いていたらモデルの体力が消耗するので、一旦写真に収め、写真を見ながら描いていたそうである。その一連の写真が「伊藤晴雨写真帖」と題して新潮社から出版され、私も購入して持っている。
 
 私自身は伊藤晴雨のように性に幻想を先行させる事はなかった。晴雨は20代後半まで包茎で童貞だったそうだが、私はもっと若い頃に卒業した。責めにしても単なる縄化粧なら面白いが、縛って自由を奪うのは好きではない。基本的に、私は自分がやられて嫌なことは他人様にもやらない。(但し自分がやられて良かったと思うことは他人にもして差し上げたいと考えるので、ここで摩擦が起きる)私は自由を奪われるのが嫌なので、縛る行為は見てると息が詰まる。
 ただ、豊かで長い黒髪の女性に惹かれてしまう点だけは共通している。
 
 ついでに断っておくと、ミカエルはSMも含め性風俗の知識もあるとかで「屋号は伊藤晴雨からとったのか」と疑いをかけられているが、それは見当違いだ。
 安穏とした老後をおくりたいのが私の夢ゆえ、四字熟語の「晴耕雨読」からとった屋号である。清々しい快晴のときはノンビリ畑仕事でもして身体を動かし、雨のときは自室でノンビリ読書に耽る、こんな生活をおくりたいからである。
 
 
 それにしても、団鬼六氏も伝説になってしまうのだろうか。寂しい限りだ。
 
晴雨堂関連書籍案内
責め絵の女―伊藤晴雨写真帖 (フォト・ミュゼ) 伊藤晴雨
  

 
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[ 2011/05/07 00:16 ] 晴雨堂の書棚 | TB(1) | CM(2)

晴雨堂の書棚 8 「龍馬伝 完結編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)」 

龍馬伝 完結編」 
なんとストーリーブック3冊目が発行。

 
【著者】福田靖 NHKドラマ制作班 NHK出版
【発行】NHK出版
 
【雑感】夕方、本屋をブラブラしていたらビックリした。いつから3巻目を発行するようになったのだろう。通常、「NHK大河ドラマ・ストーリー」は前編・後編の2巻までだった。もっと以前は1巻だけだった。「龍馬伝」が最初なのか、それとも前回も3巻目の完結編なるものが存在していたのか?
 
 内容は主に第4シーズン、ついこないだまで放送していたエピソードのカラーグラビアと、出演者をはじめ関係者のインタビュー記事、関連する史跡の取材記事、最終回までのあらすじだ。思わず買おうと思ったが、最終回までのあらすじが引っかかってやめた。坂本龍馬が暗殺されるのは広く知られている事なのだが、やはり最終回の内容をを事前に知るのは気分悪い。最終回を観てから買うとしよう。
 そんなもの買わんでもええやんか、との声も聞いたが、既に前編・後編を買ったので完結編が揃っていないと気持ち悪い。
 
 最終回まで、私は司牡丹の船中八策を飲みながら観るとしよう。
 

 
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[ 2010/10/26 22:23 ] 晴雨堂の書棚 | TB(0) | CM(0)

晴雨堂の書棚 7 「ポリネシアン・セックス」 

ポリネシアン・セックス」 良質のセックス指南。


 
【著者】吉沢明歩
【発行】KKベストセラーズ
 
【雑感】共感する本である。これは奥が深い。読み物として内容が充実している。
 
 吉沢明歩氏といえば、AV女優のトップスターである。人気の高さはかつての小林ひとみ氏、冴島奈緒氏、白石ひとみ氏らに相当すると思う。もちろん異論はあるだろうが。
 グラビアから2003年頃にAVへ転身しているので、若く見えるがAV女優の多くが2・3年程度で引退してしまうことを考えるとベテランである。
 
 さて、彼女は多くのAV作品に出演して数多くのタイプのセックスを披露してきた訳だが、男性ユーザーのニーズに合わせて違和感を感じながら不本意な演技をする事がしばしばあったと記されている。これは私も解るような気がする。女友達から聞いた事があった。「あんな事されても気持ち良くない」とか「あれでは痛いだけ」といった話である。
 AV作品の多くは一方的に男性が女性の身体を乱暴にいじり、前戯もほどほどに後はさっさと性器結合させてピストン運動、射精したら男はさっさと退場する。男女がほぼ同時にエクスタシーを感じるパターンが多いが、実際のセックスでは男性の方が早くいってしまって女性が置いてけぼりという事が多い。
 そういえば、むかし朝のワイドショーでセックスにかける時間の統計が報道されたことがあって、イタリアなどでは1時間くらい時間をかけるのに対して日本では10分から長くて半時間程度。殆ど出して終わりだ。
 
 この「ポリネシアン・セックス」では、男性による一方的でせっかちな交尾を戒め、焦らしの演出を用いながらスローなセックスを楽しむ事を提唱し、女性が求める性的快感を具体的に体験談をまじえて解説している。いかに2人で感情の高まりを演出できるか、2人で交わりを楽しみ感動し続けるかがテーマだ。単にセックスという行為だけでなく、精神的な交流も重要な要素であることを説いている。
 
 私もけっこう時間をかける。というより、歳をとって精力が旺盛ではないので気分を高めるのに時間がかかるという事情があるのだが。抱き付いてから次ぎの行動に移るのに時間がかかってしまう。ときおり抱き付いたまま癒されて寝入ってしまう事もある。
  

 
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[ 2009/12/09 01:49 ] 晴雨堂の書棚 | TB(0) | CM(4)

晴雨堂の本棚 6 「石原豪人」 

石原豪人」 懐かしいイラスト。


 
【編集】中村 圭子
【発行】らんぷの本
 
【雑感】60年代から70年代にかけて少年少女時代をおくった人なら、イラストを見れば「あっ!」と思う人は多いと思う。小学館の「小学○年生」をはじめ、少年少女の漫画雑誌や、SF・怪奇モノ書籍の挿絵や表紙絵、映画のポスター・駄菓子の包装紙など、実に活躍の場は多岐に渡っていたイラストレーターである。私の世代で目にした事が無いという人がいたら、それは単に気がついていないだけである。
 
 多くの人は「過去の人」と思っているかも知れないが、実は1998年に逝去されるまで活躍されていた。さすがに近年では少年少女雑誌のニーズが変化したので彼の作品が見られなくなったが、サブカルチャー関係では依然として強い存在感を示していた。
 彼の描くホラー関係のイラストでは、銀幕スターのような美女の表情が実に妖艶・恍惚、あのイラストで萌えてしまった青少年は多い事だろう。あからさまな裸の絵よりもポルノだ。
 
 石原豪人氏もまた仕事に貴賎を設けない人だった。どんな仕事でも引き受け、しかも量が膨大。怪獣映画のチラシ・ポスターからポルノ雑誌のイラストまで、イラストレーターの偉人だ。
 そんな石原氏の作品を収録した本が、らんぷの本から出ている。けっこう貴重な本になるかもしれない。
 
晴雨堂関連書籍案内
謎とき・坊っちゃん―夏目漱石が本当に伝えたかったこと 石原豪人
イラストレーター石原豪人氏唯一の著作。登場人物が全員ホモであると仮定した研究本である。
 

 
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[ 2009/09/15 00:00 ] 晴雨堂の書棚 | TB(0) | CM(1)

晴雨堂の本棚 5 「差別と日本人」 

差別と日本人」 興味深いコラボだ。


 
【著者】野中広務 辛淑玉
【発行】角川書店
 
【雑感】興味深いコラボである。事情を知らない人から見れば、畑違いの組み合わせに思うだろう。
 方や、小渕内閣では内閣官房長官、森内閣では自民党幹事長、実務派の最高司令官にして影の総理とも呼ばれた保守の大政治家が野中広務氏である。一方、辛淑玉氏はその対極の政治的ポジションにいる人物で、世間からは革新的・左翼的・フェミニスト的・護憲派と見られている。
 
 しかし、2人は差別問題で共闘できる背景を持っている・・。
[ 2009/09/03 08:31 ] 晴雨堂の書棚 | TB(0) | CM(0)
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