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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「相棒 season14」が視聴率低迷とは残念。反町とのコンビはけっこう気に入っている。 TVドラマ評[八十]

相棒』の視聴率低迷  
「反町戦犯説」は本当か


 水谷豊(63)主演『相棒 season14』(テレビ朝日系)が思うように視聴率が伸びていない。現在放送中のシーズンは新相棒反町隆史(42)を迎え、初回18.4%と上々のスタートを切ったものの、2話以降それを超えることはできず、昨年12月9日放送の第8話では2007年のseason6以来、8年ぶりに12%台を記録。元日スペシャルの第10話では16.7%と盛り返したが、1月13日の第11話では12.6%と今シーズン最低を記録している。その後13.7%、15.3%、14.6%とやや持ち直したものの、昨年3月まで放送されたseason13の平均視聴率17.4%と比べると低迷ぶりは明らか。一部メディアからは「反町が原因ではないか」という声もチラホラ…。果たして「反町戦犯説」は本当なのか。(NEWS ポストセブン)

【雑感】以前に書いたレビューでも述べているように、私は反町隆史なる俳優は嫌いだし俳優の技量は低く評価している。個人的には早く降板して、有力相棒候補である仲間由紀恵氏に交代してほしいと強く願っている。
 しかし「冠城亘」という登場人物は嫌いではないし、反町氏もよく頑張っていると思っていて、悪意は抱いていない。

 反町戦犯説がネット上に広がりつつあるようだが、私は俳優一人に敗因を背負わすのは、現在のTV状況を無視した安易な判定だと思っている。
 今や視聴者の個人的なクレームで簡単に腰砕けになる世の中、放送局は横並びで無難なお笑いバラエティを制作して、比較的コストがかかるドラマから撤退しつつある。衣装代や化粧代に銭がいる時代劇なんぞ、もはやNHKしか制作しない。
 さらに地上波放送とは別にBS放送も充実してチャンネル数が増えている状況で、昔のように視聴率20%超えは物理的に無理がある時代で獲れという方が間違っているし机上の綺麗事が過ぎる大馬鹿者である。

 それから、今回のシーズンは今までと違って難しい構成を考えなければならない。というのも、これまでの杉下右京警部の相棒を思い出してみよう。

 初代の亀山薫はイギリス紳士然とした杉下とは全くの正反対のキャラ、長身の体育会系でいつも活動的にジャンバーを着ている巡査部長だ。頭脳と教養の点では杉下に劣る熱血刑事で杉下の手足となって行動する。
 ホームズとワトソン、「兵隊やくざ」の有田上等兵と大宮二等兵、「陰陽師」の安倍晴明と源博雅、過去にも数え切れないほどこのパターン多く生産されている。コンビとして定番で使い古された組み合わせだろう。
 以降の相棒も基本的には頭脳明晰の杉下警部の助手という立場だ。

 二代目の神戸尊は杉下と多少キャラが被る点がある。また本来は杉下より階級が上の警視で準キャリア、杉下の動向を監視調査する密命をおびて杉下より一段低い警部補として部下になっているせいか、やや遠慮した接し方をする。

 三代目は甲斐享、階級こそ巡査部長だが、父親は高級警察官僚の警視監。けっして野卑粗暴ではないが、しばしば反抗的態度を見せる場合がある。さらに自分の犯罪を杉下警部に3シーズンに渡って悟られない知能犯でもあった。

 そして四代目、これまでの相棒は「部下」だが、冠城は部下ではない。「お客様」という立場上の遠慮が若干あるものの、杉下とほぼ対等な立場で、時には捜査の主導権を握って杉下を利用する事もある。今までの組み合わせにはない変わった関係だ。

 それだけに物語のモチベーションを維持するのが困難だ。絶対的な主役の横で少し三枚目的で能力に劣る狂言回し的な部下や、ひたすら従順に主役の指示通りに動く部下のほうが、書く方は楽なのである。
 シャーロック・ホームズの友人にドクター・ワトソンが登場する。当初はホームズに何かと世話を焼く紳士なのだが、シリーズが長くなり、子供用に書き直されたり映画化やアニメ化されるにしたがって、ワトソンは少しドジなホームズの金魚の糞のような扱いにされてしまうようになる。
 「陰陽師」の晴明と博雅にしても、何もかも達観して老成していて神がかり的な能力を持つ晴明に対して、世間知らずで音曲にうつつを抜かすが性格は素直で人の良い公達の博雅。

 絶対的な能力を誇る主人公と凡人の組み合わせ、「相棒」は今までこの雛型に沿った物語づくりできた。ところが冠城となるとそうもいかない。杉下と同じくらい能力がありそうで、同じくらい組織の型から外れた人間である。そして普段はおちゃらけて爪を隠しているが、いざというときは身分や権限を最大限活かし、米沢や杉下や上司の日下部をも利用する合理性。
 複雑なキャラが2人いる。しかも昔の刑事ドラマと違ってミステリーとしても高品質が求められる「相棒」では犯人役も複雑かつ知的なキャラでなくてはならない。物語を執筆する側としては体力のいる仕事だ。

 たから完成度には各エピソードごとにムラが生じてしまうのはやむを得ないと思っている。つまらない作品もあれば良くできた作品もあるだろう。

 私としては、早く女性キャラが新しく相棒についてほしい。そしてその役には仲間由紀恵氏が扮してほしい。既に「社美彌子(やしろ みやこ)の名前がついているので、名前が「か」から始まり「る」で終わる法則から外れるが、適当に国際結婚でもやっていて「ミハル・ミヤコ・ヤシロ・カバエワ」なんて名前に変わった事にすればいい。


 
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「あさが来た」 妾の存在を描くのか?隠すのか? TVドラマ評[七十九]

NHK『あさが来た』 
諸々配慮して妾の存在を隠し通す方針か


 NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』は11月20日放送回で視聴率25.0%を記録し、大ヒットした『マッサン』の最高記録に早くも並んだ。そんな人気ドラマの演出を巡って、ある論争が巻き起こっている。(NEWS ポストセブン)

【雑感】物語が始まる時代が朝ドラ史上初の幕末、着物やカツラの使用、「純情きらり」でヒロインを務めた宮崎あおい氏が準ヒロインで再登板、三井財閥ゆかりの女性実業家をモデルにした主人公、といった話題に興味を持ってはいたが、当初はディスクに録画するほどの関心は無かった。
 ところが、大河ドラマ「新選組!」の土方歳三役がアタリ役と評判の山本耕史氏が本ドラマで再び土方歳三役で登場する、というニュースを聞いて、新選組登場の週だけと思って録画予約を設定したのだが、結局はそのまま録画を続けてしまっている。観れば観るほどけっこう良い作品だ。

 小林よしのり氏が本作について「妾を描写するべきだ」と強く主張しているとの噂が流れている。近頃の小林よしのり氏は明治が生んだ右翼の巨人頭山満を主人公に当時の自由民権運動などを漫画で描いているので「あさが来た」の時代には熱い関心を抱いているのだろう。
 彼がいま描いている作品では高知の自由民権運動(余談1)の状況をけっこう正確(政治的立ち位置によっては印象が違う)に捉えているので好感を持っているし、妾を描写するべきかなと私も思っている。

 ただ、朝ドラはあくまで「朝ドラ」であって「大河ドラマ」でも「木曜時代劇」でも「タイムスクープハンター」でもない。視聴者の中心は主婦層、爽やかな癒しが求められる。ニーズが違えば作品内容も変わらざるを得ない。
 比較的時代考証に沿う「大河」とて、お歯黒・眉剃りの既婚女性は現れないし、江戸時代初期までは女性の座り方は片膝立座か胡坐なのに正座になっている。
 合戦場面も鉄砲や弓矢による応酬が大半なのに、足軽から馬上の大将まで短い太刀を振り回しての鍔迫り合いが殆ど。たぶん、「サムライせんせい」のように江戸時代の人間がタイムスリップして時代劇を観たら、100%確実に「なんじゃこりゃ!」と驚くはず。
 視聴者や読者に飲み込みやすいよう「事実」を多少改編するもの、しなかったら大半の人間は納得できないし違和感を持つだろう。史実通りに描いても、作者と視聴者との政治的立場や価値観が違えば事実解釈に乖離が生じて、やはり不快感を抱く。 

 本作でも全く妾の存在を全く描いていない訳ではなく、当たり前のように姑が妾を斡旋しようとしたり、主人公あさが妾を勧めようとしたり、亭主も存外あっさりと妾を持つことに同意してみせたりと、妾にまつわる当時の風習や存在などを臭わしている。
 朝ドラなのでその程度の描写が精一杯ではないかなと思っている。制作者側も物語の世界と史実の世界の狭間で苦慮するものだ。

 だから、野暮は言うな。
 「本物のドラマ」でないというのなら、小林よしのり氏の作品も含めて全てに何らかの偽物が混じっている。創作というのはそういうもので、その嘘の度合いを眺めるのも鑑賞の楽しみの一つだ。
 「あさが来た」が気に入らなかったら、たぶん私も小林氏に同意だろうけど。


(余談1)自由民権運動の志士植木枝盛がニヒルな色男として登場する。たぶん、異論が出てくると思うが、私はこんな感じではなかったかなと思う。
 偉そうで愛想が無くて、しかし女性には優しいのが植木枝盛の特徴だ。


 
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「サムライせんせい」を観た。 TVドラマ評[七十八]

サムライせんせい」を観た。

サムライせんせい。テレビライフの表紙。
サムライせんせい」で武市半平太を演じる錦戸亮氏。テレビライフ表紙から参照。

【雑感】観てみると、けっこう面白かった。

 連れ合いが錦戸亮氏のファンなので昨夜予約録画したのを観た。私も多少は興味があった。

 本作で錦戸亮氏が演じるのは現代日本にタイムスリップした土佐勤王党の武市半平太。錦戸氏はかつて映画「ちょんまげプリン」でこれまた江戸時代から現代へタイムスリップした主人公の侍を演じた経験がある。さらに映画「県庁おもてなし課」ではこれまた高知弁をしゃべる県庁職員を演じた。今回のドラマで武市半平太を演じるということは、過去の映画主演作での経験がもろに活きる。
 おそらく制作陣は現代にタイムスリップした武市半平太役を素直に「錦戸亮氏以外に適任者はいない」と思ったのではないか。

 初回はまずまずと言ったところか。そこそこ楽しめた。右も左も判らない武市半平太を受け入れ、武市の言い分を受け止める塾経営の老紳士が御都合主義的な登場ながらも説得力はあった。NHK木曜時代劇「まんまこと」に登場する俳句の先生に通ずるものがある。
 相手の言い分を反射的に否定するのではなく、一応は言い分を終いまで聞き、主張を受け止めながら最善の方向へ導こうとする懐の深さ、私もそうありたいと思うのだがつい脊髄反射で「反撃」してしまう。

 また、一足先にタイムスリップした坂本龍馬が現代に順応して見た目は東京に住む今どきの若者に姿を変えている、という設定も面白いと思う。たしかに龍馬ならありそうな話だ。そして武市半平太は頑なに侍ファッションは変えずに行くのだろう。

 私は原作漫画を読んでいない。今後、とのようなオチになっていくのかが楽しみだ。意表を突くラストになるのか、あるいは弛んで平凡な終わり方になってしまうのか。


 
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「タイムスクープハンター 通貨危機!古代ニセ金捜査官」 TVドラマ評[七十七]

タイムスクープハンター 
通貨危機!古代ニセ金捜査官」を観た。


【雑感】タイムスクープハンター」は江戸時代など当時の風俗や言語を忠実に再現したドキュメンタリー風の時代劇である事が知られている。
 丁髷も実際に月代を剃って髪を結っていたり、シャンプーやリンスの無い時代の入浴頻度に合わせて脂っぽい髪を再現している。庶民の衣服もリアルに汚れや継ぎ接ぎが目立つ。

 奈良時代を舞台にした「通貨危機!古代ニセ金捜査官」は非常に楽しみにしていたエピソードで、本放送では迂闊にも見逃してしまい、今週の深夜再放送でやっと録画に成功した思い入れの強い作品である。数年越しの願いが叶った。
 というのも、「タイムスクープハンター」が取り扱う時代の大半は江戸時代である。やはり衣装やメイクやロケ地の制約があるのかもしれない。私は古代史が好きなのでどんなリアル表現をしてくれるのか待ちのぞんでいたのだ。
 この番組は台詞もリアルさを追求する。当時の日本人が話したであろう日本語を再現しているのも特徴だ。江戸時代であれば、現代のカタカナ言葉や外来語が無いだけでさほど差異は無いだろうが、奈良時代となると現代の日本語とはずいぶん違うものであるはずだ。

 小学校5年生の時、国語の授業で教師がクイズを出した。「てふてふ」とはなんと読むのか? 当時、私は百人一首カルタをやっていたので「てふてふ」は蝶々と読むのは知っていた。不本意ながら自慢話になってしまうがクラスで答えられたのは私一人だった。
 正答しながらも疑問に思った。その疑問を教師にぶつけてみたこともあるが得心のある返答は無かった。なぜ「てふてふ」を「ちょうちょう」と読まなければならないのか? なぜ「けふ」を「きょう」と読まねばならないのか? 
 私はきっと遥か大昔は実際に平仮名のスペル通りに発声していたのではないかと推理した。「てふてふ」も平安時代や奈良時代の人間は「てふてふ」と発声していたのではないか? 後にバラエティ番組で「ティェプティェプ」と発声していたことが紹介された。 

 だからこのエピソードでどんな台詞になるのか楽しみだった。

 たしかに奈良時代の日本語と思われる台詞を話してはいた。この番組では視聴者に判りやすいよう現代語字幕が出る。奈良時代の日本語になるとヒアリングだけでは何を話しているのか解らない。
 ただ、少し残念に思う。というのも、発音が現代日本語と同じなのだ。おそらくだが、当時の日本語は「てふてふ」の例が示すように発音も今より複雑だったはずだ。

 10代後半から20代まで私はチャリンコで全国を旅してきた。感じたのは方言もいきなりガラリと変わるのではなく、出発地点の大阪から見て遠くになるにしたがって聞き取りにくくなる。西の四国・中国地方・北九州地方は方言でも何を話しているのかはまだ解る。ところが熊本県に入るとヒアリングが困難になってくる。鹿児島になるともはや外国語だ。
 同じく東も北陸や関東地方までは「日本語」だと認識できるが、新潟から山形、関東でも茨城県北部になると聞き取りづらくなり、秋田や岩手になってくると外国語だ。
 どうして外国語に聞こえるのかというと、アクセントが完全に標準語や上方言葉から乖離しているからだ。名詞だけが日本語として聞き取れるので、それで話の内容を推理する作業を無意識にしてしまう。

 同時代を生きる人間でも空間軸の隔たりで言語に方言という形で差異が生じる。同じように空間軸ではなく時間軸の隔たりでも同様の差異が生じるのではないかと私は考えている。

 たとえば私はたまに郷里の高知に帰省することがあるが、私の使用言語はほぼ大阪弁で耳も大阪弁仕様になってしまっているから、高知弁はときおり聞き取りづらくなる事がある。
 同じように、たぶん江戸時代にタイムスリップすれば、高知や福岡に行ったかのような差異を感じるのではないか。室町時代や鎌倉時代であれば熊本や宮城に行ったかのような差異ではないのか、平安時代や奈良時代は鹿児島や岩手や秋田、そして飛鳥時代以前であれば沖縄のウチナグチや北海道のアイヌ語のように隔たっているのではないか。

 ところがこのエピソードで奈良時代の人間を演じる俳優たちは現代日本語のアクセントなのだ。幕末明治維新の時代劇に登場する標準語アクセントの高知弁に違和感を抱くのと同様の現象ではないかと思うのだ。


 
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「相棒 season14」 冠城君、なかなか良い味だしとるやんけ。 TVドラマ評[七十六]

相棒」第2話17・6% 高視聴率をキープ

 水谷豊(63)反町隆史(41)が新コンビを組んだテレビ朝日系「相棒 season14」の第2話が21日放送され、17・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが22日分かった。初回から0・8ポイント減だったが、高視聴率をキープした。

 第2話は反町演じる冠城亘(かぶらぎ・わたる)の旧友の刑事が遺体で発見されることから物語が展開。宅間孝行をゲストに迎えた。(日刊スポーツ)


【雑感】反町隆史という俳優は嫌いな俳優の一人だった。
 「蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜」のテムジン役でせっかくモンゴルのロケに出張りながら「主演なので体を壊すわけにはいかない」と日本料理ばかり食べていたり、「日本のシンドラー杉原千畝物語 六千人の命のビザ」ではリトアニアでロケしながら日本語で演技してたり、「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」の不自然な発声で織田信長を演じていたり、「男たちの大和/YAMATO」では一人エエカッコして海軍第三種軍装の襟を立てていたりと、悪いイメージだらけだった。

 しかし、この「相棒」の冠城亘役は好印象で観ている。シリアスさと剽軽さのバランスが取れた演技をしているし、信長役や「GTO」の鬼塚教諭役などに見られたどこかに不自然な演技、良く言えば肩に力が入り過ぎた演技、悪く言えばエエカッコしいのところが無くなったように感じた。

 それから杉下右京との緊張感ある対等に近いパートナーシップという設定も新鮮味があって好印象である。
 従来の「相棒」はホームズとワトソン的な定番コンビだった。抜群の知性をほこり少し変わり者の主人公と知性は主人公に劣るが常識人の助手という形式である。漫才のボケ役とツッコミ役にも似ている。杉下警部と亀山巡査部長がその定番中の定番のコンビであり、この無難なコンビから「相棒」がスタートした。
 その後、杉下警部の相棒は2代目の神戸尊警部補や3代目の甲斐享巡査部長と若干のバージョン変更があるものの基本は杉下の部下で助手のポジションの範囲である事に変わりは無い。

 ところが今回の冠城亘は法務省のキャリア官僚で変わり者、つまり杉下より歳が若いが知力もキャリアも組織内の立ち位置も似た者同士、これまでの「相棒」と違ってかなり対等に近いパートナーシップをとる事になる。
 そして物語のほうも、今のところ対等に近い緊張感ある関係で展開している。冠城杉下の助手ではない。それどころか今回は冠城が捜査の主導権を握り杉下は冠城に利用される友軍の位置づけだ。そしてこの2人を中心に、関係者たちは各々の利害関係から利用したり危害を加えたり、まだシリーズ佳境ではない平凡なエピソードのはずなのに緊張感のある政治的物語になっている。

 ただ、こういった物語の制作は脚本家の筆力がいる。定番コンビであれば杉下に好き勝手な活躍をやらせるだけでいいのだが、杉下・冠城双方に魅せ場をつくり火花を散らせるようにしなければならない。
 例えば同じテレ朝ドラマの「臨場」では最初こそ主人公倉石検視官と立原管理官との激突が見られたが、物語が進むにつれて立原管理官の影が薄くなり倉石のペースに乗せられ言いなりのような感じになっていった。

 杉下・冠城の「良好な関係」は終盤までもつだろうか?


 
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山本耕史、11年ぶりの土方歳三役で気付く時の流れ。 TVドラマ評[七十五]

あさが来た」番組最高21・5% 
山本耕史が土方役で登場


 モデルで女優の波瑠(24)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あさが来た」(月~土曜前8・00)の15回(14日放送)の平均視聴率は21・5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことが15日、分かった。初回(9月28日)の21・2%を抜き、番組最高の数字となった。

 15回には新撰組副長の土方歳三役として山本耕史(38)が出演。山本は04年放送の大河ドラマ「新撰組!」でも土方役を演じており、その時と同じ衣装、カツラを着用した。(スポニチアネックス)


【雑感】11年ぶりに身につけた衣装やカツラはピッタリだったそうで、山本耕史氏の体型は11年間変わっていないということになる。
 たしかに白面の山本耕史氏は見た目あまり歳をとっていないように見える。11年前の「新選組!」(余談1)はけっこう面白く拝見していたので、全く同じ衣装で朝ドラに出演すると聞いてワクワクしながら録画を予約した。

 さて、観てみると11年の時の流れをやはり感じてしまう。山本耕史氏が出演する他の作品を観ている分には、この俳優はいつまでも若々しい、歳をとらない、というイメージなのだが、11年前と全く同じ衣装であるだけに「新選組!」と「あさが来た」を比較しやすく、この11年の時の変化を感じてしまうのだ。
 まず、顔の度アップ。相変わらずの皺の無い白面の土方なのだが、肌の張りがやや減っているので斜めからの光に細かな陰影が浮き出ている。メイクの加減もあるかもしれないが髭の剃り跡が若干濃くなっている。それから微かだが声が低くなっている。

 変化は山本耕史氏の「老化」だけではない。むしろ老化よりも大きな変化で、山本耕史氏の扮装がいささか浮いてしまっている。それはなにかというと、カツラである。11年前に使っていたカツラを流用しているそうだが、それがこの間の時代劇環境の変化を浮き彫りにした。
 玉木宏氏や近藤正臣氏がつけているカツラを見れば判ろう。髪の生え際を極力自然に見えるようにしている。特に耳の鬢の部分だ。土方歳三のヅラは立派な揉み上げだが、玉木氏らは揉み上げではなく鬢が垂れている感じにしている。中には番頭のように結い上げて揉み上げが無い人もいる。

 時代劇のヅラは次第にナチュラルに見えるように変化してきた。半カツラを使って自毛の生え際を活かすようになったり、「タイムスクープハンター」に至っては本当に月代を剃って自毛で髷を結っている。その出演者たちが「大河」や「朝ドラ」に端役で登場しているかもしれない。

 昔の「暴れん坊将軍」や「大岡越前」などを観ると、当時は気にならなかったヅラの不自然さが目につくようになった。いかにも人工的なノコギリ刃のような生え際。女性は全員狭い富士額。
 ところが90年代ごろから女性は極力半カツラで自毛の生え際を活かすようになってきた。「八重の桜」ではショートカットの剛力彩芽氏でも半カツラを用いていた。そして男性も「龍馬伝」あたりから自毛を活かすようになった。
 山本耕史氏の11年ぶりの土方歳三を見ていると、そういった制作環境の変化を感じるのである。

(余談1)新選組ファンの間では、熱心なファンと似非ファンとを見分けるのに名称表記を注目する。「新選組」が正解で「新撰組」は間違いなのだ。
 といってもけっして「新撰組」でも間違いではない。局長の近藤勇自身が「選」と「撰」両方を使っていたし、二番組長を務めた永倉新八は後の日誌に「新撰組」と表記していたらしいので「新撰組」が正式名称との定説が生まれたが、会津藩の文書等では「新選組」の表記なのでファンの間では「新選組」が正しいとなっている。
 当時は漢字表記に今ほどこだわりは無い。同じ音の漢字を充てることは頻繁にあった。
 永倉新八自身も本来は「長倉」なのだが、近藤勇の試衛館に加わる頃には「永倉」にしている。歴史上ではこれを改姓と捉えているが、本人に改姓の自覚があったのかどうか疑問だ。




 
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「科捜研の女」放送開始。池上季実子氏は昭和40年生まれのキャラを演じるのか・・。TVドラマ評[七十四]

第15シーズン突入 
科捜研の女』初回13.5% 
根強い人気ぶり


 女優の沢口靖子が主演する『科捜研の女』第15シーズンの初回2時間スペシャルが15日放送され、番組平均視聴率が13.5%だったことが16日、わかった(通常は毎週木曜 後8:00)。1999年から数えて17年目に突入し、前シーズン(昨年10月期)の初回は14.4%。根強い人気ぶりを証明した。今シーズンは2クール編成で放送される。視聴率はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区。(オリコン)

【雑感】私もその根強い人気を支えるファンの一人である。

 沢口靖子氏は私の地元堺市の出身俳優で学年で言えば全くの同世代、私が泉南地方で高校生活をおくっていたとき、彼女も泉北地方の堺市の名門高校に通っていた。強烈な親近感、と言いたいところだが、若い頃の沢口靖子氏はあまり好きではなかった。齢を重ねた今の彼女が魅力的に見える。
 また、榊マリコたちをしばしば威圧する京都府警本部長の役にはなんとMATの岸田文夫隊員(余談1)こと西田健氏が扮している。これは観ない訳にはいくまい。

 初期の「科捜研の女」は全体にコミカルというよりはドタバタでオタクっぽい内容、主人公榊マリコは周囲から浮いた厄介者の若手研究員、叩き上げの警部とよく対立する。
 しかし今では榊マリコを中心に所長以下科捜研は一致団結、まるで彼女が実質の所長であるかのようなイニシアチブを握り、捜査一課の叩き上げの土門警部補とは恋人未満の戦友として強いパートナーシップ。良い雰囲気である。

 さて、今シーズンは昨今では珍しい2クール制らしい。という事は来年の春まで続く予定だ。制作陣はかなり強い自信を持っているといえる。
 この長いシーズンで榊マリコたちに絡んでくるのが池上季実子氏が扮する落合佐妃子警部補、土門警部補とは対照的な冷酷で策謀家の刑事を演じる。初回のインパクトは上々だったと私は感じている。特に冒頭でフリーマーケットの参加者が隠し持っていた自動拳銃を見つけ、弾倉を抜き、マリコの後輩が触ろうとすると「触るな!」と一喝して、自動拳銃は弾倉を外しても弾が一発装填されている場合がある事を注意する場面はなかなか格好いい。このシーンは物語後半の伏線となる。

 ネット上では池上季実子氏の激太りが否定的意味で話題になっているが、私は今回の役柄に限っては歓迎している。暴力団など犯罪組織と常に対峙し、策を弄して貪欲に検挙して成績をあげる叩き上げの警部補、これは例えば江角マキコ氏のようなスタイル抜群の女優では冷酷さは出ても迫力がない。同じく太った杉田かおる氏では猛々しさは抜群だが冷酷さはイマイチでない。池上季実子氏が適役だ。

 ただ、どうしても気になるところがある。科捜研のメンバーが警察のデータバンクから落合佐妃子の経歴を閲覧する場面がある。そこにはハッキリと生年月日が「昭和40年5月8日」の記述が見てとれた。即ち学年でいうと私と同じ、つまり沢口靖子氏と同い歳という設定である。
 榊マリコは沢口靖子氏と同じ年齢設定のようなので、落合警部補は榊マリコと同世代のライバルという構図にしたいようなのだが、私自身が「同学年」なのでどうしてもその年齢設定に無理を感じてしまう。

 観ての通り、榊マリコは顎から首のラインが今でも若々しくてシャープなのだが、落合警部補は単に肥えているというだけではなく首筋にそろそろ老人性の弛みや皺がみられて、「同学年」である私には設定の粗にみえてしまう。
 池上季実子氏はたしか大林宣彦監督「ハウス」で人喰い家屋の犠牲になる女子高生ヒロインに扮していた。その当時、私はまだ小学生だったのだ。彼女は私の姉より歳上だ。

 榊マリコとの対立を強調したいがために昭和40年生まれにしたようだが・・、本音をいうと無茶苦茶違和感。高校の部活で1年生当時すでに卒業して久しい伝説の先輩がいつの間にか歳下の女優としてテレビに出ているような衝撃。

(余談1)「帰ってきたウルトラマン」に登場する地球防衛軍組織の隊員。団次郎氏演じる主人公郷秀樹とは初期の頃よく対立していた。
 今は歳相応にズル禿げだが、当時は70年代の若者らしく長くて豊かな前髪を誇っていた。




 
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