晴雨堂の耕晴雨読な映画処方箋
 晴雨堂ミカエルの飄々とした耕晴雨読な映画処方箋。  体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。

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↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 映画好き・猫好き・ドイツビール好きです。よく晴れた爽やかな日はマウンテンバイクでサイクリングをしながら風景や野良猫を撮影します。
 リタイア後は田舎に帰り、晴天は畑仕事や庭いじり、雨天は読書や映画鑑賞の文字通り耕晴雨読の日々をおくるのが夢です。
 お金があれば郷里に「晴雨堂オタク記念館」を設立して地元の文化交流の発信基地にしたい、連れ合いは怒るだろうが。館長に任命してやるといったら言下に断られた。
 
 ブログを始めたのは2007年5月から、本格的に参考書に目を通しながら運営を始めたのは同年11月から、操作方法で度々ミスがあると思いますがご容赦のほど願います。
 現在、少しずつですがブログを観やすいよう整理を行なっています。


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晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
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「キル・ビル」-深夜に賑やかさを感じたいときに 6
【2007/12/31 15:32】 映画・・深夜に賑やかさを感じたいときに
オタク監督タランティーノ
 
 

 
 タランティーノ監督が中国のカンフー映画・日本の仁侠映画やアニメに造詣が深い事はよく知られている。かつての「ゼネプロ(現ガイナックス)」や東京のコミックマーケットや大阪の日本橋に出没しても全く違和感が無いほどの「オタク」である。「キル・ビル1」は彼のオタクぶりを雄弁に表すものだ。観客にはオタク映画として楽しむ事を勧める。(余談1)

 「ラストサムライ」はアメリカと日本をほぼイーブンで描いた作品として評価されているし秀作である事に異論はないが、私はむしろこの「キル・ビル1」のほうが好感もてる。(余談2)何故なら、監督は日本をオチャラケたギャグに組み立てるほどに日本や香港映画などを熟知しているからである。
 
 それはキャスティングで現れている。主人公に「死亡遊戯」のブルース=リー風の格好にさせる自体、もはやオタクである。
 千葉真一氏はアメリカでは「ソニー=チバ」という名のマーシャルアーツスターで認知されているので、企画段階から既に千葉真一氏の予約席が設けられるのはあり得る。
 なるほどと感心させられたのは、栗山千明氏に女子高生の制服を着せて鉄球を振り回させる殺し屋を演じさせたり、ジュリー=ドリフィス氏を敵の知恵袋で日本語通訳もする女幹部にしたり。俳優のキャラを理解していないとできないキャスティングだ。

 作中には、むかし観た仁侠映画に出てきそうな場面や、時代劇のBGMが流れたり、日本映画のある種のパロディと言えるかもしれない。
 これは日本映画オタクのアメリカ人がつくった痛快娯楽バイオレンス映画である。

 重ねていうが、これは「オタク映画である。タランティーノ氏のオタクぶりを楽しみたい人や、凶暴な栗山千明氏を鑑賞したい人などにはお薦めである。日本人(特にオタク)のために制作された映画としか思えない。そうでない方や、バイオレンス描写が嫌な方は、観ても不愉快なだけかもしれない。
 
2003年 アメリカ映画 113分
監督 クエンティン・タランティーノ
製作総指揮 E・ベネット・ウォルシュ 、ハーヴェイ・ワインスタイン 、ボブ・ワインスタイン 、エリカ・スタインバーグ
音楽 RZA 、ラーズ・ウルリッヒ
脚本 クエンティン・タランティーノ
ユマ・サーマン(ザ・ブライド/“ブラック・マンバ”)
デヴィッド・キャラダイン(ビル)
ダリル・ハンナ(エル・ドライバー/“カリフォルニア・マウンテン・スネーク”)
ルーシー・リュー(オーレン・イシイ/“コットンマウス”)
千葉真一(服部半蔵)
栗山千明(ゴーゴー夕張)
ヴィヴィカ・A・フォックス(ヴァニータ・グリーン/“コッパーヘッド”/ジーニー・ベル)
ジュリー・ドレフュス(ソフィ・ファタール)
マイケル・マドセン(バド/“サイドワインダー”)
マイケル・パークス(保安官)
ゴードン・リュウ(ジョニー・モー)
麿赤兒(小澤親分)
國村隼(田中親分)
北村一輝(小路親分)
田中要次(−)
風祭ゆき(−)
大葉健二(−)
シャナ・スタイン(−)
ボー・スヴェンソン(−)
マイケル・ジェイ・ホワイト(−)
前田愛[声優](オーレン・イシイ(少女時代))
楠見尚己(松本組長)
緑川光(プリティ・リキ)
 
(余談1)タランティーノ監督はあの最低映画監督エド=ウッド氏の大ファンだそうである。やはり。 

(余談2)「ラストサムライ」では忍者が渡辺謙氏扮する勝元を暗殺しようと襲ってくる。最も気に入らない場面であり、一応は明治維新モノである物語の雰囲気を壊すものだった。漏れ伝わる噂では、真田広之氏らが忍者を出す事に随分反対したそうだが、押し切られた。
 
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「うる星やつら オンリー・ユー」-深夜に賑やかさを感じたいときに 5
【2007/12/29 07:05】 映画・・深夜に賑やかさを感じたいときに
第一作目に相応しい内容
 
 

 
 以前、作品レビューでアニメうる星」を「発展期」「全盛期」「安定期」「衰退期」に分けた事がある。これは当然の事ながら「発展期」の作品である。随所に高橋留美子風ドタバタギャグ・ナンセンスギャグ・ブラックユーモアがちりばめられており、最初から最後まで飽きさせないようになっている。「うる星」の映画はたしか6本つくられたと思うが、この作品は最も原作の雰囲気を残したアニメ映画だ。
 
 漏れ伝わる話によれば、制作期間が短く、制作スタッフも限られ、しかも監督が入れ代わるなど、非常に余裕が無くバタバタした中での制作だったそうだが、作品自体は良質の苦味が効いたドタバタラブコメディになっていた。(余談1)
 公開当時、そろそろ藝大進学を考えはじめた高校生で、同じ進路を目指す仲間の間では殆ど批判は無く、それどころか絶賛に近かった。(余談2)他の作品レビューでも述べたが、原作ファンが嫌がるのはアニメ化・映画化という名の矮小化・歪曲化である。少なくともこ「オンリー・ユー」には原作世界に忠実な範疇で創られており、私の周辺の高橋留美子ファンたちは安堵していた。
 
 しかし、当時の映画界からの評価は芳しくなかったそうで、宮崎駿氏らも批判しており、後に知った話では押井氏も「失敗作」と自己批判していた。たしかに、「オンリー・ユー」単品として捉えたら原作に気兼ねした内容であり、押井らしさは出ていなかったように思う。(余談3)
 
 私はうる星アニメ全体で見れば、「オンリー・ユー」は第1作目としては極めて妥当な内容だと思う。いきなり押井色を大きく出せば、まず高橋留美子氏が納得できなくなるしファンもついてゆけない。アニメ映画というものは総合藝術である。大勢の人々や出資者が関わっている「事業」でもある。すなわち、大勢の人々の利害関係で成り立っているのだから、政治的な戦略・戦術・調整能力が不可欠になる。まず、支持者が期待するもの、支持者が見たいものを提供する事が第一歩である。新機軸はさり気なく絡め、後の作品で監督らしく独裁政治をしき自分の色を強く出す。
 
 だから、私は失敗作どころか、後の「ビューティフルトリーマー」につながった訳だから大成功だと考えている。むしろ、制約の多い環境でよく「オンリー・ユー」にまとめたものだと、その手腕に敬服する。
 
1983年 日本映画 80分
監督 押井守
原作 高橋留美子
音楽 小林泉美 、安西史孝 、天野正道
脚本 金春智子
平野文(ラム)
古川登志夫(諸星あたる)
島津冴子(しのぶ)
神谷明(面堂)
杉山佳寿子(テンちゃん)
永井一郎(錯乱坊)
鷲尾真知子(サクラ)
千葉繁(メガネ)
村山明(パーマ)
野村信次(カクガリ)
二又一成(チビ)
緒方賢一(あたるの父)
佐久間なつみ(あたるの母)
沢りつお(ラムの父)
山田礼子(ラムの母)
井上遥(ラン)
小原乃梨子(お雪)
三田ゆう子(弁天)
吉田理保子(クラマ姫)
玄田哲章(レイ)
京田尚子(ババラ)
丸山裕子(ロゼ)
田中秀之(門衛A)
塩屋翼(門衛B)
桜庭裕一(ドライバー)
島田敏(ドライバー助手)
寺田誠(ラム艦艦長)
伊沢弘(アナウンサー)
青木和代(司令)
鈴木一輝(子供A)
藤枝成子(子供B)
松谷裕子(エル星艦長)
滝沢久美子(エル星艦長)
高木早苗(エル星艦長)
花咲きよみ(エル星艦長)
榊原良子(エル)
  
(余談1)最初から押井守氏が監督していた訳ではなかったそうだ。ファンならもっと精細な裏話を御存知だろう。
 伊丹十三氏が当時「甘いケーキ菓子のような作品」という趣旨の批評をしていたように思う。当時は「なんで伊丹が?はぁ?!」とカチンときたものだが、今でも伊丹氏の認識は過っていると見なしている。
 
(余談2)一部、あたるの自己中ぶりが鼻についたとか、ラムちゃんが可哀想、という他愛ない「批判」があった。
 
(余談3)私の記憶では、「オンリー・ユー」前後あたりからTVアニメで原作に無いエピソードが登場するようになってきた。作画も次第に高橋留美子タッチから流行りのアニメキャラ風に変化していった。
 
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「フィスト」-青春をかえりみたい時に 7
【2007/12/29 00:23】 映画・・青春をかえりみたい時に
社会派スタローン
 
 

 
 スタローン氏が労組活動家役をする。アクション娯楽映画ばかりのイメージが強いが、この作品は社会派的な色合いがあり、スタローン自身も役になりきるためにわざわざ体重を増やしてデップリとした体型に変えている。
 私はスタローン氏の映画の中では、この作品がもっとも好きだ。役者としての気合が入った映画だと思うし、青年時代のトラック運転手・運送業労働者、壮年時代の組合委員長、それぞれよく化けている。
 
 古き良き時代の労組は、御幣を恐れずに言えばヤクザに近い部分がある。なにしろ権力や資本家と闘うのである。マルクスや法律書を読んだだけの書生では務まらない。相手は本気で潰しにかかるから、それに対抗していかなくてはならない。
 
 アメリカの労働者事情も比較的よく描かれているし、ラストも実にリアリティがある。ロッキーやランボーなどに見慣れている人には、スタローン氏にはこんな一面もあったのだと新鮮な感覚を覚えるだろう。もともとロッキーもランボーもアメリカのマイノリティーが抱える問題を滲ませたもので単純なヒーロー物ではなかったのだが。

 スタローン氏が出演した映画の中では異色作であるし、数多くある作品の中で最も「俳優」らしいスタローン氏が見える。
 ただ、残念ながら興行的には振るわなかったようで、後に「ロッキー4」や「ランボー2」のようにアメリカ人にウケる星条旗を背負った好戦的ヒーロー路線へと突き進むことになる。
 
1978年 アメリカ映画 127分
監督 ノーマン・ジュイソン
原作 ジョー・エスターハス
音楽 ビル・コンティ
脚本 ジョー・エスターハス 、シルヴェスター・スタローン
シルヴェスター・スタローン(ジョニー・コバック)
ロッド・スタイガー(−)
メリンダ・ディロン(−)
ピーター・ボイル(−)
トニー・ロー・ビアンコ(−)
ブライアン・デネヒー(−)
キャシー・イエーツ(−)
サム・チュー(−)
 

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「八甲田山」-独りで考え事をしたい気分に 5
【2007/12/27 00:06】 映画・・独りで考え事をしたい気分に
遭難モノ映画の秀作
 
 
 
 
 高倉健氏・北大路欣也氏らが主演の雪山遭難モノ。明治時代、東北の二つの連隊が競い合ってそれぞれ雪中行軍部隊を出し、高倉健氏と北大路欣也氏はそれぞれ行軍隊の指揮官を演じる。(余談1)
 今にして思えば、当時の主役級俳優や大物俳優・アイドル俳優が勢揃いである。これほどの出演者に加えて、兵士役のエキストラ、雪山で撮影するスタッフたち、よく撮ったものである。
 
 公開当時はアウトドアに関心を持ち始めた時期で、極地探検モノや登山モノの本をよく読んでいた。この映画の原作もその一つとして読んだ。
 新田次郎は「八甲田山死の彷徨」を書くにあたって膨大な資料や取材を元に書いた、小説というよりルポルタージュといってもよい名作である。映画化にあたって、どれだけ原作の世界をフィルムに収められるか心配された方も大勢いただろう。異論はあるかもしれないが、私は少しも原作を損なっていないと思う。(余談2)
 
 俳優たちの熱演も素晴らしかった。特にエキストラがよく動いている。本気で寒かったのでわざわざ演技する必要が無かったのか、遭難の生々しさがよく出ていた。寒さで感覚神経に異常をきたし褌一丁になる兵士の描写が、当時の私には衝撃だった。
 
 雪山遭難だけでなく、組織運用の問題も大きなテーマである。これは、軍隊だけでなく一般の登山パーティーでも遭難が起こるたびに問われる。責任の所在が曖昧になったり指揮系統が乱れたり、あるいはリーダーが状況を理解していなかったり。登山でも山に無知なリーダーがパーティを率いる事が今でも多々ある。山に詳しい友人は「そんなリーダーに付いていく登山参加者は、原付免許しか持っていない人間が運転するバスに乗り込むようなものだ」と評す。
 
 高倉健氏扮する陸軍大尉は、武家の出という出自の良いエリート士官、豊富な山の知識と周到な準備を背景にして上官に自分の意見を通させ、現場の全権を掌握して必ず成功する体制で雪中行軍を成し遂げる。
 一方、北大路欣也氏扮する大尉は平民から苦学して将校になり、高圧的な上官に向かって意見を押し通せない。万全の体制で臨もうにも常に上官に気兼ねして捗らず、行軍の指揮権を得ても雪山に無知な上官が顧問のような形で行軍に参加され、しかも現場で指揮権を奪われる。結果は雪山史上の大惨事になる。

 この映画は時代を経ても色褪せない秀作である。しかも雪山や軍隊に限らず、他の仕事でも当てはまるテーマだ。
 
1977年 日本映画 169分
監督 森谷司郎
原作 新田次郎
音楽 芥川也寸志
脚本 橋本忍
島田正吾(友田少将)
大滝秀治(中林大佐)
高倉健(徳島大尉)
丹波哲郎(児島大佐)
藤岡琢也(門間少佐)
浜田晃(田辺中尉)
加藤健一(高畑少尉)
江幡連(船山見習士官)
高山浩平(長尾見習士官)
安永憲司(倉持見習士官)
久保田欣也(加賀二等卒)
樋浦勉(佐藤一等卒)
広瀬昌助(小山二等卒)
早田文次(松尾伍長)
吉村道夫(川瀬伍長)
渡会洋幸(徳島の従卒)
前田吟(斉藤伍長)
北大路欣也(神田大尉)
三國連太郎(山田少佐)
加山雄三(倉田大尉)
小林桂樹(津村中佐)
神山繁(本宮少佐) 森田健作(三上少尉)
東野英心(伊東中尉) 金尾鉄夫(中橋中尉)
古川義範(小野中尉) 荒木貞一(鈴森少尉)
芦沢洋三(中村中尉) 山西道広(野口見習士官)
蔵一彦(藤村曹長) 新克利(江藤伍長)
海原俊介(高橋伍長) 堀礼文(波辺伍長)
下絛アトム(平山一等卒) 森川利一(谷川曹長)
浜田宏昭(小野中尉の従卒) 玉川伊佐男(沖津大尉)
竜崎勝(永野軍医) 江角英明(進藤特務曹長)
井上博一(今西特務曹長) 佐久間宏則(長谷部一等卒)
伊藤敏孝(花田伍長) 緒形拳(村山伍長)
栗原小巻(神田はつ子) 加賀まりこ(徳島妙子)
石井明人(徳島の少年時代) 秋吉久美子(滝口さわ)
船橋三郎(西海勇次郎) 加藤嘉(作右衛門)
花澤徳衛(滝口伝蔵) 山谷初男(沢中吉平)
丹古母鬼馬二(福沢鉄太郎) 青木卓(沢田留吉)
永妻旭(大原寅助) 菅井きん(斉藤の伯母)
田崎潤(鈴木貞雄) 浜村純(中里村の老人)
 
(余談1)北大路欣也氏は主役の一人だと思っていたが、キャスト表は少し後ろの方だ。
 TVドラマも制作された。高倉健氏の役を中山仁氏、北大路欣也氏の役を村野武範氏が担当した。このドラマも原作や映画に比して遜色ない出来である。
 
(余談2)青森第五連隊本部で手配に追われる士官や下士官の描写があった。担当者のデスクごとに電話が置かれていた事に当時の私はびっくりした。自分の認識以上に明治時代は機械化が進んでいたのは新鮮だった。
 
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八甲田山死の彷徨
八甲田山から還ってきた男―雪中行軍隊長・福島大尉の生涯
生存率5%の闘い―八甲田大量遭難の謎と真実
 

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「デス・レース2000年」-シニカルに社会を嘲笑いたい時に 4
【2007/12/26 07:00】 映画・・シニカルに社会を嘲笑いたい時に
悪役のスタローン



 
 ナンセンスギャグ満載のB級映画。「ロッキー」でブレイクする直前のスタローン氏が悪役で出演。主役は大作から場末のC級以下の作品まで出演するデビット=キャラダイン氏。(余談1)
 
 設定やアイディアもシンプルでいい加減、非常に金をかけていない映画まるだしの作品だが、アメリカ人になら確実にウケそうな登場人物や様々な陳腐なデザインのレーシングカー、殺人ゲームに熱狂する国民とそんな社会に対して可笑しな戦術で抵抗を試みる少数のカルトな平和主義者たち。それらをキャラダイン氏らが糞真面目に演じているところに好感が持てる。
 
 アメリカ社会への皮肉な風刺とも解釈できるし、アメリカらしいガラクタマシンの世界も楽しめる。ラストも如何にもアメリカらしい清清しさのあるブラックユーモアのハッピーエンドで終わる。
 
 一見すると、くだらない映画のように見えるが、作品としては面白い。ただ、残念なのはスタローン氏の演技である。悪役でもないし、コミカルな道化の青大将役でもない。中途半端なキャラだった。「ロッキー」のブレイクがなければ忘れ去られていただろう。
  
1975年 アメリカ映画 80分
監督 ポール・バーテル
音楽 ポール・チハラ
脚本 ロバート・ソム 、チャールズ・B・グリフィス
デヴィッド・キャラダイン(ミスター・フランケンシュタイン)
シモーネ・グリフェス(−)
ハリエット・メディン(−)
シルヴェスター・スタローン(マシンガン・ジョー)
ルイザ・モリッツ(−)
メアリー・ウォロノフ(−)
ドン・スティール(−)
ジョイス・ジェームソン(−)
フレッド・グランディ(−)
マーティン・コーヴ(−)
ジョン・ランディス(−)
 
(余談1)ブルース=リーが企画したTVドラマ「燃えよカンフー」で19世紀のアメリカを放浪する主人公で少林寺拳法の使い手を演じた。マニアの間ではアメリカ映画史上初のマーシャルアーツスターと呼ばれている。
 彼は大作「原子力潜水艦浮上せず」ではチャルトン=ヘストン氏と共演したり、訳の判らない映画で脇役したり、最近では「キル・ビル」にも出演している。
 

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「薔薇のスタビスキー」-カップルで観に行こう 9
【2007/12/26 00:25】 映画・・カップルで観に行こう
山田康雄の吹替えが良く似合う。
 
 

(未DVD化)
 
 実際に起こったスタヴィスキー事件映画化したものである。1930年代のフランス政界を掻き乱しただけでなく、隣国スペインにも影響を与えた大疑獄・大詐欺事件だ。当時のファシスト勢力や人民戦線などに関心のある方なら事件の精細は御存知と思う。
 
 この映画観たのはまだ中高生の頃だった。当時の私は政治的背景を詳しくは知らなかったので、時系列を少々捻った順序で組み立てられた物語に新鮮味を感じ、ベルモント氏扮するスタビスキーの優雅で破滅的な生き方に憧れに近い感覚で感情移入した。(余談1)
 
 日本語吹替えはルパン三世やクイント=イーストウッド氏の声で有名な山田康雄氏。私の主観だが、破滅型ヒーローの大詐欺師スタビスキーにピッタリだった。足下に火がついて危険な状況なのに、お洒落な背広の襟には常に瑞々しい薔薇を挿し、飄々とした軽いノリで大事業を語り、愛する女性には余裕の笑顔を見せ続ける。ついに破綻した時のベルモント氏の渋い表情と山田康雄氏の「オチャラケが消えた真面目バージョンのルパンの声」が非常に似合っていた。(余談2)
 日本でのDVD化が待たれる。
 
1973年 フランス映画 118分
監督 アラン・レネ
原作 ホルヘ・センプラン
音楽 スティーヴン・ソンドハイム
脚本 ホルヘ・センプラン
ジャン=ポール・ベルモンド(スタビスキー
シャルル・ボワイエ(−)
アニー・デュプレー(−)
フランソワ・ペリエ(−)
ミシェル・ロンズデール(−)
クロード・リッシュ(−)
ロベルト・ビサッコ(−)
ジジ・バーリスタ(−)
ジェラール・ドパルデュー(−)
ジャック・スピエセル(−)
 
(余談1)実際のスタビスキーは事件当時60はこえていただろうから、映画制作時40代のベルモント氏とは些かイメージが違う。
 
(余談2)原題は単に「スタヴィスキー」である。邦題で「薔薇の」を付けたのは、薔薇がスタビスキーのトレードマークだからであり、私は良いタイトルだと思う。事件の事を知らない人間にとっては、優雅な大詐欺師の栄光と破滅の物語だから、よく体を表している。
 
 それから、青年時代のドパルデュー氏がチョイ役で出ている。
 

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ドイツのビール事情。
【2007/12/25 23:33】 日誌・・ビール
ロイター発によると、ドイツでのビール消費量が落ち込み傾向にあるそうだ。なんとかせねば、と私が言っても今のところどうにもならないが。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071225-00000059-reu-ent


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「地球(テラ)へ…」-青春をかえりみたい時に 6
【2007/12/24 15:17】 映画・・青春をかえりみたい時に
子供向きアニメには不向き。
 
 

 
 他のレビューでも何度か書いたが、原作とアニメ(もしくは映画)は別物と割り切って鑑賞しなければならない。原作の完成度を損なわずに映画化・アニメ化するのは至難の業だからだ。
 
 「マクロス」のように思いきって全く別の設定と物語で映画に作り替えて成功した例もあるが、多くは「宇宙戦艦ヤマト」の1作目のようなダイジェスト版のようなまとめかたになるか、「ナウシカ」のような縮小版になるかである。
 
 この作品の場合は、縮小版的な内容になってしまった。竹宮恵子氏の文学性高い原作の奥行きとスケールの広さが無くなってしまうのを覚悟したが、意外にも縮小版なりによくまとまっていた。物語の展開と人物相関関係などは、原作を意識せずに単品で捉えたら、及第点ではないかと思う。

 ただ「マンガ少年」連載だったのが足枷になったような感がある。子供向けは作品は何かと制約がある。映画やTVで放映される段になれば、さらに制約が科せられる。
 竹宮恵子氏の漫画といえば、大人びた女友達らがよく読む「文学作品」でもあった。この作品の重要なキーワードの一つに子づくりと子育てがある。もしリメイクするなら、観客の対象年齢を高校生以上に設定して、エピソードを組み直してはどうかと思う。 


 余談だが、メカ設定はいただけない。青池保子氏や一条ゆかり氏(注1)らは例外的にメカを描き込んでいるが、大半の女性漫画家はメカに興味が持てないのか無頓着な描き方だ。竹宮恵子氏も例外ではない。だから、アニメ化ではメカの描写ぐらいは改善されるだろうと思っていたが、あてが外れた。
 
 貝殻からヒントを得てデザインしたそうだが、私や特撮・ホビー関係の友人たちにとってはナンセンスなデザインだった。もちろん、好きな人もいるだろうが、果して工学的にあれは有りなんだろうか? ハードSF志向の友人たちからも不評だった。
 
 それから沖雅也氏のキースは素晴らしかったが、薬師丸ひろ子氏はいただけない。キース将軍の懐刀的側近マッカ少尉の役だったが、どう贔屓目に見ても青年将校というより可愛らしい男装の幼な妾だ。何故、声優のキャスティングをもう少し厳格にできなかったのだろうか? それなりに気合い入れる大作のはずだが、解らん。もっとも、「三丁目の夕日」で古き良き時代の母親を好演した彼女にもこんな時代があったのかという意味では貴重だ。
 
1980年 日本映画 119分
監督 恩地日出夫
原作 竹宮恵子
音楽 佐藤勝
脚本 恩地日出夫 、塩田千種
井上純一(ジョミー・マーキス・シン)
秋吉久美子(フィシス)
志垣太郎(ソルジャー・ブルー)
薬師丸ひろ子(ジョナ・マッカ)
岸田今日子(グランドマザー)
神谷明(セキ・ロイ・シロエ)
池田昌子(マザー・イライザ)
増山江威子(テラズ・ナンバー5)
古谷徹(トォニィ)
久松保夫(コンピューター・テラ)
沖雅也(キース・アニアン)
野田圭一(ハーレイ)
三景啓司(リオ)
石丸博也(サム・ヒューストン)
塩屋翼(アルフレート)
柴田秀勝(ゼル機関長)
八奈見乗児(ドクター)
 
(注)青池保子氏は昔から帆船などのデッサン力と描き込みは素晴らしかった。
 一条ゆかり氏の場合、メカに強い作画スタッフを起用したそうだ。
 

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12月の金曜カレー。
【2007/12/23 12:31】 日誌・・食生活・食文化
金曜カレー

 
 12月の「金曜カレー」(余談1)のレシピは以下のとおり、各食材の量は全て目分量である。というより、私はいちいち律儀に量はこだわらない。その場の気分次第の適当だ。連れ合いはレシピ通りに計量しないと不安になるようだ。
 
 人参・・沢山。火が通りやすいよう一ミリ厚に短冊切り。
 玉葱・・とにかく沢山。カレー鍋全体に満ち溢れるほど沢山。大きめの微塵切りに。
 馬鈴薯・・芽が生えかけの古い芋を2個。
 エリンギ茸・・1パックを短冊に。
 鶏ミンチ・・300円程度の量。
 トマトジュース・・1リットル。野菜スープ代わり。
 コンソメスープ・・適当。
 カレールー、黒胡椒などの香辛料も目分量。辛口党の私にとっては標準の量。
 
 まずオリーブ油で玉葱だけを中華鍋に炒め、やや火が通ったらボールに移す。次に人参・馬鈴薯・エリンギを炒めてからカレー鍋にあるコンソメスープへ投入。
 次に再び玉葱を中華鍋に入れ、ナツメグを混ぜた鶏ミンチと合わせて炒める。よく火が通ったらコンソメスープに入れ、トマトジュース全量入れてよく煮込む。煮だったらカレールーに大量(連れ合いの価値観では)の黒胡椒を投入し、火を止める前にガラムマサラを入れて出来上がり。
 金曜カレーだが、これを一週間かけて食べきる。
 
(余談1)旧日本海軍では、野菜不足による栄養不良を解決するべくイギリス海軍を見習ってカレーライスを導入したそうだ。艦内生活にメリハリをつけるために土曜日にカレーを作っていたそうだが、この伝統は海上自衛隊にも引き継がれている。現在は金曜日の献立に登場するので「金曜カレー」。
 
 因みに、写真の左にあるコーヒーカップのデザイン、解る人はアニメ通だ。
 

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「特攻大戦略/コードネーム・フラッシュ」-気晴らしに観る戦争活劇 8
【2007/12/23 12:02】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
中国版「コンバット!」
 
 

 
 中越戦争での実話を基にしている(余談1)とあるが、内容はありふれた戦争アクション物である。アメリカの戦争映画やドラマと同じで、善玉アメリカ軍が悪玉ナチスドイツ軍・ソ連軍・イラク軍と戦う場面を、この作品では中国軍がベトナム軍と戦うシチュエーションに挿げ替えただけだ。いわば中国版「コンバット!」である。ラストの格闘場面などは、そのままスタローン氏のランボーシリーズに差し換えても良いくらいだ。
 
 取り立てていう事はないが、1988年の香港・中国合作であることが興味深い。97年の香港返還を前にして、90年前後から返還ムードを盛り上げる映画が多く制作されるようになった。これもその一つだろう。台詞が北京語でも広東語でもなく英語であることも面白い。(余談2)
  
 また主人公たちの仕草と表情が時おり時代がかっているところがある。これは日本映画にもあるが、歌舞伎や京劇のミエの文化なのだろうか? アメリカの戦争活劇には無い仕草と表情である。主人公がラストで観測拠点から無線で友軍の砲撃を指示する場面など、まるで若き日の村野武範氏が時代劇でミエをきっている様だ。
 
 今は懐かしい階級の無い軍隊時代の軍服(余談3)が冒頭とラストに登場する。マニアにはコレクションに加えたい作品だろう。
 
 それにしても、B級戦争活劇はどこの国がつくっても同じようになる。特にアメリカや中国などの大国は似てくる。
 
1988年 香港・中国 91分
監督 チュー・フェン 、ルン・チークン
音楽 ヤン・イ・ウー 脚本 リュー・チー・フイ
ドゥ・ゼン・キン(チャン小隊長)
チュー・ジィ・ボー(−)
ザン・リン(−)
 
(余談1)中越紛争のこと。概略をいうと、ベトナム戦争でアメリカ軍を撤退させ南北統一を果たしたばかりのベトナムが隣国のカンボジアと対立。ポル=ポト政権から逃れたヘン=サムリンを支援するためベトナム軍がカンボジアの大部分を占領、ポル=ポト政権を支持する中国が「制裁」と称して中国軍を大挙ベトナム北部へ侵攻させた。
 ベトナムにとってはアメリカとの戦争で国力が疲弊しており、特に中越国境地帯はアメリカ軍の爆撃が少なかったため比較的無傷だった地方を中国軍の攻撃を受けたのでダメージは小さくはない。
 
(余談2)この時点の香港の公用語は英語と広東語である。普通話(プートンファ・北京語を基本にした中国の標準語)はまだ公用語ではない。だから俳優が英語を話すのは不思議ではない。
 
(余談3)緑色の人民服に赤い無地の襟章を付けただけの服。私見ではジュネーブ条約違反の疑いがある。というのも、人民服と軍服の差異が曖昧だからだ。
 
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中国・ベトナム関係―中越紛争の歴史と国際環境 (1978年) (入門新書―時事問題解説〈no.148〉)
 

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「上杉鷹山 二百年前の行政改革」-独りで考え事をしたい気分に 4
【2007/12/22 12:53】 映画・・独りで考え事をしたい気分に
ケネディ・クリントンが尊敬する政治家。
 
 

 
 NHKは良い素材に目を付けてくれた。魅せ場は、雇われ社長のように上杉の家督を継いだ鷹山がいかに支持者を増やしてイニシアチブを握っていくか、そして保守派重臣たちとの鬼気迫る論争をどう展開し政治戦に勝っていくかである。だからこの時代劇は「チャンバラ劇」ではなく政治ドラマ・論争劇なので脚本がしっかりしていなければならない。
 
 上杉鷹山の話は好きなので期待していたのだが、残念ながら脚本がイマイチだった。緊迫する場面はあったのだが、展開が安易だったり、青春スポ根モノの乗りになってしまったりで不満だった。
 
 鷹山は米沢藩主の血縁者ではあるが、もはや遠縁といってよく、8代藩主重定の養子を経て家督相続したので世襲のカリスマ性は低い。落下傘藩主のようなものだ。その鷹山が次第にカリスマ性を獲得し、保守派からイニシアチブを奪取する過程をもっとリアルに丁寧に描いてほしかった。
 いくら二百年前の日本社会とはいえ、政治の世界は単純ではなかったはずだ。様々な利害関係が絡み合い権力闘争が繰り広げられたはずである。折角の素材をなぜ政治ドラマにはせず勧善懲悪仕立て「時代劇」にしてしまったのか?
 
 欧米の脚本家に有能な監修者をつけて書かしたほうがよかったかもしれない。あるいは黒澤監督が脚本を書いていたら、もっと迫力があったろうに。
 
1998年 日本映画(TVドラマ) 119分
原作 童門冬二
音楽 大野靖子 、牟岐礼
筒井道隆(上杉鷹山)
宍戸開(−)
黒木瞳(−)
菊池麻衣子(−)
中村梅雀[2代目](−)
益岡徹(−)
香川京子(−)
石倉三郎(−)
宇津井健(−)
川野太郎(−)
寺尾聰(−)
葛山信吾(−)
遠藤雅(−)
すまけい(−)
神山繁(−)
北村総一朗(−)
森山周一郎(−)
史城未貴(−)
真実一路(−)
足立建夫(−)
 
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全一冊 小説 上杉鷹山 (集英社文庫)
米沢藩―伊達から上杉。大削封の中で艱難辛苦。矜持を保ち、鷹山の改革思想は脈々と続く。 (シリーズ藩物語)
 

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「砂漠の鬼将軍」-気晴らしに観る戦争活劇 7
【2007/12/21 18:49】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
ロンメル像の基本形。



 
 主演のジェームズ=メイソン、60歳以上の映画ファンならドイツ軍の名将ロンメル役で有名である。漫画家手塚治虫氏の「アドルフに告ぐ」に登場するロンメルにはメイソンの面影があるし、藤子不二夫氏らが若いころに描いた戦争漫画に登場するロンメルはもろにメイソンだ。
 
 実際にドイツ軍の捕虜になった経験のある英軍将校が原作者で、映画にも冒頭で本人が本人役で出演している。当時としては些か珍しい説得力のあるドキュメントテイストの演出で物語が進展する。観客は引き込まれた事だろう。なにしろ公開は1951年、戦後6年しか経っていないから、ロンメルは過去の人ではなく未だ同時代人だ。
 
 ただ、いま観るとハリウッド臭さが強烈にある映画だ。ドイツ兵は「英語」を話すし、英米兵と通訳無しで当り前のように会話する。アフリカ軍団の軍服(余談1)は真新しくて糊バッチリ、敬礼の仕方がいい加減。私にはアメリカ人まるだしでドイツ兵には見えない。
 その中で、革のコートにステッキを持ったメイソンは記録映画に出てくるロンメルを些かデフォルメしているとはいえ格好よく再現していた。このメイソンのロンメルが、これ以降の戦争映画ロンメル像の基本になっていく。(余談2)
 
 因みに、原題は「デザート・フォックス」=「砂漠の狐」だ。アフリカ戦線での大活躍からついた渾名である。ただ今でも日本人にとっては有能な軍人を狐と連想する文化ではなく、ロンメルを「砂漠の狐」と呼んでいたことは戦史マニアしか知らない。「砂漠の鬼将軍」とは些か陳腐な邦題だが、日本人にはシックリくるタイトルである。
 
1951年 アメリカ映画 88分
監督 ヘンリー・ハサウェイ
原作 デスモンド・ヤング
音楽 ダニエル・アンフィシアトロフ
脚本 ナナリー・ジョンソン
ジェームズ・メイソン(ロンメル将軍)
セドリック・ハードウィック(−)
ジェシカ・タンディ(−)
ルーサー・アドラー(−)
エヴェレット・スローン(−)
レオ・G・キャロル(−)
ジョージ・マクレディ(−)
リチャード・ブーン(−)
ダン・オハーリヒー(−)
 
(余談1)アフリカ軍団はサハラの厳しい気候に合わせて熱帯服がデザインされたが、戦いやすいよう正規の軍服以外に着心地の良い服を兵士たちは着ていた。上官も融通を利かして黙認。当時の写真を見ると服装は細かいところでバラバラだ。
 それに厳しい気候ゆえ、すぐに汗と脂と埃で汚れるし、洗濯する水もないので砂で擦って汚れを落す。だから糊バッチリの軍服など有り得ない。
 
(余談2)ロンメルはヒトラー暗殺計画に連座していた事もあるが、アメリカは特に高く評価しているしファンも多い。もともと敵国の将でも鮮やかな勝ち方をする英雄を称揚する風土がある。撃墜王でゼロ戦パイロットの坂井三郎中尉も米軍OBから招待されてしばしば歓待を受け、彼の著作「大空のサムライ」は英訳されアメリカでも出版されている。
 アメリカは面白い国だ。
 

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「U-571」-気晴らしに観る戦争活劇 6
【2007/12/21 11:27】 映画・・気晴らしに観る戦争活劇
潜水艦アクションの佳作



 
 ロックスターのボンジョビ氏(余談1)が海軍士官役で出演しているとかで話題になった。ボンジョビ氏の歌はよく聞いていたし潜水艦モノは好きだったので観に行った。
 
 潜水艦モノの名作といえば、私の基準では「Uボート」と「K-19」が最高水準だと思っている。リアリズムと社会批判と娯楽性の三拍子揃った大作だ。残念ながら数多くある潜水艦モノ映画で三拍子揃う作品は少ない。「名作」と評価されている映画は、せいぜい娯楽性が優れている程度で、多くは駄作が多い。この「U-571」は娯楽性に優れ、観客の非難に堪え得るリアリズムがある努力賞的佳作だろう。(余談2)
 
 映画ファンなら御存知のように、ハリウッドは宇宙人にまで英語を喋らせる業界である。時には珍作「パールハーバー」のようにワザと?悪意にまかせて誤解と偏見だらけの映画を創るときもある。
 「U-571」では、Uボートの乗組員たちはドイツ語を話すし、Uボート艦内もほぼ事実に近い。ミリタリーに詳しい人が観ても違和感は無いだろう。実はこんな当たり前のことがハリウッドでは稀有なことなのである。
 
 話の内容は些か奇想天外の飛躍したシチュエーションだが、映画の目的は「戦争の真実」とか「反戦」ではなく「娯楽」なので、その意味では大成功だろう。主人公たちアメリカ軍将兵がイキナリ慣れないドイツ語だらけのUボートで放り出されたら、という設定上で俳優たちが右往左往する様をどう演じるかが見ものである。その中で主人公たちが成長していく様を織り込む。あくまで「娯楽」に限っての評価だが、良い出来である。
 
2000年 アメリカ映画 116分
監督 ジョナサン・モストウ
製作総指揮 ハル・リーバーマン
音楽 リチャード・マーヴィン
脚本 ジョナサン・モストウ 、サム・モンゴメリー 、デヴィッド・エアー
マシュー・マコノヒー(アンドリュー・タイラー副長)
ビル・パクストン(マイク・ダルグレン艦長)
ハーヴェイ・カイテル(クロフ兵曹長)
ジョン・ボン・ジョヴィ(ピート・エメット大尉)
デヴィッド・キース(クーナン少佐)
トーマス・クレッチマン(敵Uボート艦長)
ジェイク・ウェバー(−)
ジャック・ノーズワージー(−)
エリク・パラディーノ(−)
トム・グイリー(−)
   
(余談1)暑苦しい長髪のミュージシャンとしてのボンジョビ氏しか知らなかったので、短髪で揉み上げも綺麗に剃った「爽やかな顔」を見ると違和感がある。海軍士官役はそこそこ似合う。
 
(余談2)冒頭の部分で気になる点があった。「Uボート最後の決断」ほどではないが、デタラメな場面がある。輸送船に向けて魚雷を放つとき、悠々と潜望鏡深度のまま輸送船への着弾を確認している。当然、戦時下なので輸送船団には足が速くて爆雷を沢山積んだ駆逐艦が護衛に付いている。潜水艦にとっては恐怖の天敵である。魚雷を放ったらすぐに潜航して息を潜めるはずだ。
 
 それから、駆逐艦VS潜水艦の戦いは長期に渡るもので、まる二・三日潜ったままというのはよくある。連合国の駆逐艦は執拗、映画のようにあっさりと諦めてくれない。因みに日本海軍は驚くほどあっさり諦めるので、アメリカ潜水艦の天国だった。日本海軍は航空兵力と潜水艦を疎かに考えたから戦術的にも負けたといってもよい。

 最後に、映画ではドイツ軍の暗号エニグマを解読したのはアメリカ軍の手柄であるかのように描写しているが、実際に解読したのはイギリス軍である。
 
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U‐571 (ハヤカワ文庫NV)
 

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「あかね空」-家族団欒で観よう 16
【2007/12/20 14:55】 映画・・家族団欒で観よう
江戸庶民の日常が舞台の時代劇
 
 

 
 見どころは大きく2つある。1つは再現された江戸の町並み、2つは中谷美紀氏と内野聖陽氏の演技力というより化け具合だ。前半に小さなエピソードとして登場する伏線がラストで活きてくる構成も見ものだろう。詳しくいうとネタバレになるので書かないでおく。
 
 ともかく、私が常々抱いていた時代劇への不満、下町の町人まで「晴着姿」であったり、必ず侍が登場してチャンバラする、といったものは概ね払拭されていた。待ち望んでいた映画がやっと登場した感である。
 
 デジャブではないが、江戸の夕焼けや下町の風景はどこかで見たような気がする。低い粗末な木造家屋が地平線モドキの関東平野に広がっているような風景、狭いゴミゴミとした下町、砕けた着こなしのオバサンたち。こんな生活、昔してたんじゃないかな、と思わすくらい良く出来ている。(余談1)
 
 中谷美紀氏の演技が一番よく光る。まったくこうでなくてはいけない。前半の乙女の初々しさ瑞々しさ純情さが花開くように表現され、後半の子育てに些か疲れたような中年女性(当時は初老の範疇)の表現、彼女は女優として最も幅広い演技ができる年頃になったのではないだろうか。(余談2)
 
 好い時代劇だ。
 
2006年 日本映画 120分 
監督 浜本正機
原作 山本一力
音楽 岩代太郎
脚本 浜本正機 、篠田正浩
内野聖陽(永吉/傳蔵)
中谷美紀(おふみ)
中村梅雀[2代目](平田屋)
勝村政信(嘉次郎)
泉谷しげる(源治)
角替和枝(おみつ)
武田航平(栄太郎)
細田よしひこ(悟郎)
柳生みゆ(おきみ)
石橋蓮司(清兵衛)
岩下志麻(おしの)
  
(余談1)私が求めていたイメージに近いが、子供がまだ垢抜けし過ぎていた。もっと汚いし鼻水たらした子が多いはず。襟が垢や脂で変色していたり、袖が鼻水でテカテカ、という感じが欲しかった。そもそも子供はもっと多い。それから髪の毛も綺麗過ぎる。ダニやシラミが当たり前にいたのだから。
 
 この時代は現代のように毎日風呂には入れない。夏は行水し、冬は手拭で身体を拭くだけで、たまにお寺が檀家のために風呂を提供するのにあやかる程度だ。主人公たちの豆腐屋が軌道に乗ったころあたりの経済力で、銭湯にありつけるのではないかと思う。チベットやネパールほどではないが、薄汚れた感じが欲しかった。
 
 それからこの時代は現代ほど「羞恥心」は無い。というより、羞恥心を抱くポイントが違う。夏になれば諸肌脱いで乳や脇毛を露に家事をするオバサンは当り前にいた。
 
 内野聖陽氏のズラ、今までの時代劇に比べればマシだが、もっと自毛ぽくしてほしいところだ。それに自分で髭は剃れても髷を結ったり月代を剃るのは非常に手間が掛かる。床屋に行く余裕は無いはずだ。独身時代は少々髪が乱れて月代も二枚刈り程度に伸びていた方が良かった。中谷美紀氏と所帯を持ってから、髪形も整うようになる、という演出が欲しかった。残念。
 
(余談2)「ハウルの動く城」の倍賞千恵子氏はきつかった。さすがに少女の声は無茶だ。
 
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雑学「大江戸庶民事情」 (講談社文庫)
日本人なら知っておきたい江戸の庶民の朝から晩まで (KAWADE夢文庫)
大江戸復元図鑑 庶民編
 

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「ある日どこかで」-カップルで観に行こう 8
【2007/12/20 10:09】 映画・・カップルで観に行こう
綺麗な恋愛ファンタジー
 
 

 
 マッチョの「スーパーマン」のイメージがあまりにも強いクリストファー=リーヴ氏だが、たしか有名大学で文学の学位をとっていたはずだ。彼本来のキャラを活かした作品ではないかと思う。彼が演じる主人公の役柄も新進の劇作家で文学青年だ。
 
 一種のタイムスリップ物だが、この作品にはアメリカのSFにありがちな不粋な機械は出てこない。むしろファンタジーに類するものだろう。作品全体は派手さはないが、思春期の頃に抱く切なくて一途な恋愛感情をよく捉えた綺麗な物語構成と演出と音楽でまとめている。

 クリストファー=リーヴ氏の経歴からすると、アメリカンヒーローよりも古典や文藝作品あるいはこの作品のような恋愛ものに出たかったのではないか。

 40代から50代の女性が観れば、少女漫画家の萩尾素都氏が描きそうな恋愛ファンタジーかもしれない。私は名作だと思う。

 余談だが、学生時代に同人誌仲間の女の子が内田善美氏の漫画「星の時計のLiddell」を薦めていた。内容は心理学などを絡めた同様のファンタジーだった。
 
1980年 アメリカ映画 103分
監督 ジュノー・シュウォーク
原作 リチャード・マシスン
音楽 ジョン・バリー
脚本 リチャード・マシスン
クリストファー・リーヴ(リチャード)
ジェーン・シーモア(エリーズ)
テレサ・ライト(−)
スーザン・フレンチ(−)
クリストファー・プラマー(−)
ビル・エルウィン(−)
ジョージ・ヴォスコヴェック(−)
ジョン・アルヴィン(−)
エドラ・ゲイル(−)
オードリー・ベネット(−)
ウィリアム・H・メイシー(−)
ローレンス・コーヴェン(−)
 
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星の時計のLiddell [成人向け:コミックセット] 「成人向け」とあるがエロではないので誤解しないように。
 

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