「ヴェニスの商人」 社会を冷笑したい時に〔12〕
【原題】THE MERCHANT OF VENICE
【公開年】2004年 【制作国】亜米利加 伊太利 盧森堡 英吉利 【時間】130分
【監督】マイケル・ラドフォード
【原作】ウィリアム・シェイクスピア
【音楽】ジョスリン・プーク
【脚本】マイケル・ラドフォード
【出演】アル・パチーノ(シャイロック) ジェレミー・アイアンズ(アントーニオ) ジョセフ・ファインズ(バッサーニオ) リン・コリンズ(ポーシャ) ズレイカ・ロビンソン(ジェシカ) クリス・マーシャル(グラシアーノ) チャーリー・コックス(ロレンゾー) マッケンジー・クルック(ランスロット) ヘザー・ゴールデンハーシュ(ネリッサ) ジョン・セッションズ(サレリオ) グレゴール・フィッシャー(ソラーニオ) ロン・クック(老人ゴボー) アラン・コーデュナー(テューバル) アントン・ロジャース(-) デヴィッド・ヘアウッド(-)
【成分】悲しい 知的 絶望的 切ない 16世紀末
【特徴】シェイクスピアの名作喜劇を映画化。シェイクスピアの時代では悪徳商人を懲らしめる痛快喜劇として親しまれた。そんな物語を殆どいじらず俳優の演技で全く違った解釈で映画化する。
これは同時に、ユダヤ人=悪という偏見を抱いていたシェイクスピアの人間観察力の鋭さでもある。ユダヤ人を悪であると信じて疑わなかった価値観でありながら、ユダヤ人の心情を理解していなければ書けない台詞があるからだ。このユダヤ商人シャイロックをアル・パチーノ氏が熱演する。
【効能】民族差別の恐ろしさを体験する。善人に巣食う残酷さを自覚できる。
【副作用】舞台の喜劇をそのまま映画にしているので、表現上に無理がありやや説得力が無い。
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「スカーフェイス」 社会を冷笑したい時に〔11〕
全てはラストの耀きのために・・。
【原題】SCARFACE
【公開年】1983年 【制作国】亜米利加 【時間】170分
【監督】ブライアン・デ・パルマ
【音楽】ジョルジオ・モロダー
【脚本】オリヴァー・ストーン
【出演】アル・パチーノ(トニー・モンタナ) スティーヴン・バウアー(マニー・リベラ) ミシェル・ファイファー(エルヴィラ) ポール・シェナー(ソーサ) ロバート・ロジア(フランク・ロペス) メアリー・エリザベス・マストラントニオ(ジーナ・モンタナ) F・マーレイ・エイブラハム(オマー) ミリアム・コロン(-) ラナ・クラークソン(-) ハリス・ユーリン(-) リチャード・ベルザー(-)
【成分】悲しい スペクタクル パニック 勇敢 絶望的 切ない 暴力 狂気 ギャング
【特徴】1932年作のギャング映画開祖的映画「暗黒街の顔役」をリメイク。1人のギャングの栄光と破滅を描く。
3時間近い大作、全編にわたって繰り広げられる泥臭い愛と暴力の物語。事実上、アル・パチーノ氏の一人舞台、彼の狂気を楽しめる。ラストの銃撃戦だけでも必見。
【効能】アル・パチーノ氏のバイオレンスでスカッとストレス解消。
【副作用】泥臭くて野卑で下品で血腥くて気分が悪くなる。
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食欲増進映画 1 「ギブリーズ episode 2」
カレーを食べる前に観よう。
【公開年】2002年 【制作国】日本 【時間】25分 【監督】百瀬義行
【音楽】渡野辺マント
【出演】西村雅彦(野中くん) 鈴木京香(ゆかりさん) 古田新太(奥ちゃん) 斉藤暁(徳さん) 篠原ともえ(螢ちゃん) 今田耕司(米ちゃん) 小林薫(トシちゃん)
【成分】笑える 楽しい かわいい コミカル カレーライス アニメ
【特徴】スタジオギブリ(ジブリ)を舞台に繰り広げる楽屋ネタ風オムニバス・ストーリー。
【効能】カレーライスが食べたくなる。
【副作用】小ネタ集なのかパッとしない。
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「ドグラ・マグラ」 孤独を楽しむ時に〔22〕
夢野久作世界の入門編映画
【公開年】1988年 【制作国】日本国 【時間】109分 【監督】松本俊夫
【原作】夢野久作
【音楽】三宅榛名
【脚本】松本俊夫 大和屋竺
【言語】日本語
【出演】桂枝雀(正木博士) 松田洋治(呉一郎) 三沢恵里(呉モヨ子) 室田日出男(若林博士)
【成分】ファンタジー 怪奇幻想 不気味 恐怖 知的 切ない ミステリー 1920年代初頭
【特徴】怪奇小説家夢野久作の代表作を実写映画化。伝説の落語家桂枝雀氏が正木博士に扮して気合の入った怪演を魅せる。当時、美少女俳優だった三沢恵里氏が殆ど台詞なしの全裸遺体役?で出演。
【効能】お洒落に不気味幻想ワールドへいざなう。深夜に鑑賞するとトリップ度が増す。
【副作用】夢野久作ワールドの入門編。夢野ファンには物足りなく、単純な活劇を好む方には難解で気持ち悪い。
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「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」 家族と一緒に感動しよう〔8〕
感動の完結編
【原題】THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING
【公開年】2003年 【制作国】新西蘭・亜米利加 【時間】203分
【監督】ピーター・ジャクソン
【原作】J・R・R・トールキン
【音楽】ハワード・ショア
【脚本】ピーター・ジャクソン フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン
【言語】イングランド語 エルフ語
【出演】イライジャ・ウッド(フロド・バギンズ) イアン・マッケラン(ガンダルフ) ヴィゴ・モーテンセン(アラゴルン) ショーン・アスティン(サム) リヴ・タイラー(アルウェン) ビリー・ボイド(ピピン) ドミニク・モナハン(メリー) オーランド・ブルーム(レゴラス) ジョン・リス=デイヴィス(ギムリ) ケイト・ブランシェット(ガラドリエル) バーナード・ヒル(セオデン) ミランダ・オットー(エオウィン) カール・アーバン(エオメル) デヴィッド・ウェンハム(ファラミア) ジョン・ノーブル(デネソール) ヒューゴ・ウィーヴィング(エルロンド) イアン・ホルム(ビルボ・バギンズ) ショーン・ビーン(ボロミア) アンディ・サーキス(ゴラム/スメアゴル) マートン・ソーカス(ケレボルン) クリストファー・リー(サルマン)
【成分】ファンタジー スペクタクル パニック 不気味 知的 絶望的
【特徴】「指輪物語」三部作最終章。清々しい大団円と切ない旅の余韻。
【効能】イングランドかドイツの濃いビールが飲みたくなる。旅立ちたくなる。旅から戻ってきた余韻がよみがえる。
【副作用】ご都合主義的な展開が白ける。
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「ダーク・スター」 絶望から脱出しよう〔17〕
【原題】DARK STAR
【公開年】1974年 【制作国】亜米利加 【時間】83分
【監督】ジョン・カーペンター
【音楽】ジョン・カーペンター
【脚本】ジョン・カーペンター ダン・オバノン
【原語】イングランド語
【出演】ブライアン・ナレル(ドゥーリトル副長) ドレ・バヒッチ(タルビー) カル・カニホルム(ボイラー) ダン・オバノン(ピンバック主任) ジョー・サウンダース(パウエル艇長)
【成分】笑える 楽しい ファンタジー 不思議 勇敢 絶望的 切ない コミカル 宇宙船 不潔 SF
【特徴】SFと聞いて「2001年宇宙の旅」「スターウォーズ」「スタートレック」などを連想してしまう人は本作の生活臭に驚愕するだろう。おそろしく低予算で、現代なら大学の映画研究会レベルで十二分に制作できる。低予算でありながら名作誉れ高いのは、アイディアと構成と脚本の見事さである。
青年時代のダン・オバノン監督が、なんと情けない乗組員の役で出演。これは貴重映像だ。彼はコミカルに俳優をやりながら学友のジョン・カーペンター監督とともに脚本や特撮を担当していた。これが後に「エイリアン」や「バタリアン」につながるとは・・。
【効能】馬鹿馬鹿しくも悲劇的な内容に、逆に勇気付けられ絶望から救われる。
【副作用】不潔で気持ち悪い。馬鹿馬鹿しい内容にあきれる。
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「誰が為に鐘は鳴る」 カップルで泣きたい時に〔10〕
【原題】FOR WHOM THE BELL TOLLS
【公開年】1943年 【制作国】亜米利加 【時間】130分
【監督】サム・ウッド
【原作】アーネスト・ヘミングウェイ
【音楽】ヴィクター・ヤング
【脚本】ダドリー・ニコルズ
【言語】イングランド語
【出演】ゲイリー・クーパー(ロベルト・ジョーダン) イングリッド・バーグマン(マリア) エイキム・タミロフ(パブロ) アルトゥーロ・デ・コルドヴァ(-) カティーナ・パクシヌー(ピラー) イヴォンヌ・デ・カーロ(-)
【成分】泣ける 悲しい スペクタクル ロマンチック 勇敢 切ない かっこいい 1930年代 スペイン内戦
【特徴】ヘミングウェイ原作の映画化。映画史に残る戦場ラブロマンスである。
スペインで左翼政権誕生、それに対して右翼の青年将軍フランコが叛乱、多くの部隊や教会勢力がフランコに味方、ナチスドイツやファシストイタリアも協力、政府は叛乱を鎮圧できずスペインは内戦状態に。アメリカの大学講師ロベルトは義憤に駆られて人民政府側で戦う。ロベルトはある作戦で人民政府側で戦っている山賊アジトを訪問、そこで短髪の美女と出会う。
ヒロインのイングリット・バーグマンは当時27歳、彼女にとって初のカラー映画。彼女の髪型はたちまち流行したが、現在のような整髪アイテムが無い時代なのでたちまちただの短髪になって美女たちは難儀した。バーグマン自身も、1シーン毎に髪を直して大変だったようだ。
【効能】興奮と感動、主人公たちの悲痛な顔に思わず涙が流れる。
【副作用】有名スターを起用した他愛ないラブロマンスにしか見えない。原作ファンは激怒。
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「ミッドウェイ」 ストレス解消活劇〔22〕
ヘストン大佐、縦横無尽の大活躍。
【原題】MIDWAY
【公開年】1976年 【制作国】亜米利加 【時間】131分
【監督】ジャック・スマイト
【音楽】ジョン・ウィリアムズ
【脚本】ドナルド・S・サンフォード
【言語】イングランド語 日本語(日本劇場公開時では日本人の台詞は日本語英語字幕だった)
【出演】チャールトン・ヘストン(マット・ガース大佐) ヘンリー・フォンダ(チェスター・ニミッツ大将) 三船敏郎(山本五十六大将) ジェームズ・コバーン(-) クリフ・ロバートソン(-) ハル・ホルブルック(-) グレン・フォード(レイモンド・スプルアンス少将) ロバート・ワグナー(-) ロバート・ウェッバー(-) クリストファー・ジョージ(-) ケヴィン・ドブソン(-) エドワード・アルバート(-) ダブニー・コールマン(-) エリック・エストラーダ(-) ジェームズ繁田(南雲忠一中将) トム・セレック(-) ノリユキ・パット・モリタ(-) モンテ・マーカム(-) クライド草津(-)
【成分】スペクタクル 不思議 勇敢 かっこいい 戦争映画 艦隊決戦 航空母艦 航空戦 1942年 太平洋戦争 第二次大戦
【特徴】アメリカ建国200年を記念したスペシャル映画。一見すると日米合作の「トラ・トラ・トラ!」を彷彿させる大作だが、趣旨はまったく異なる。「トラ・トラ・トラ!」は日米を公平に描写した完成度の高い作品だが米国での興行は振るわず、本作ではアメリカ建国200年の節目もあって米国中心視点で製作された。
チャールトン・ヘストン氏が扮するガース大佐が伝統的なアメリカンヒーローとして大活躍する。冒頭では司令部付高級将校かと思いきや前線を指揮し、さらに息子の敵討ちとばかり自ら戦闘機パイロットとして大活躍。
山本五十六役の三船敏郎氏も含め全員英語台詞で制作されていたらしいが、日本公開時では日本軍は日本語台詞で英語字幕だった。日本用に吹替・字幕なのか?
【効能】史上初の空母艦隊同士の大海戦の実写再現に大興奮。センサラウンドの大音響で臨場感たっぷり。
【副作用】日本軍の描写が不自然で不快感。センサラウンドで動悸が激しくなる。
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「ベン・ハー」 家族と一緒に感動しよう〔7〕
【原題】BEN-HUR
【公開年】1959年 【制作国】亜米利加 【時間】240分
【監督】ウィリアム・ワイラー
【原作】ルー・ウォーレス
【音楽】ミクロス・ローザ
【脚本】カール・タンバーグ
【言語】イングランド語
【出演】チャールトン・ヘストン(ジュダ=ベン・ハー) ジャック・ホーキンス(クインタス・アリウス) ヒュー・グリフィス(族長イルデリム) スティーヴン・ボイド(メッサラ) ハイヤ・ハラリート(エスター) マーサ・スコット(ミリアム) キャシー・オドネル(ティルザ) サム・ジャッフェ(サイモニデス) フィンレイ・カリー(バルサザー) フランク・スリング[役者](ポンシャス・パイラト) テレンス・ロングドン(ドルーサス) アンドレ・モレル(セクスタス) マリナ・ベルティ(フレビア) ジュリアーノ・ジェンマ(メッサラ付将校)
【成分】悲しい ファンタジー スペクタクル ロマンチック パニック 勇敢 絶望的 切ない かっこいい キリスト教 ローマ史劇
【特徴】サイレント時代から何度か映画化されたが、本作が最も有名。アメリカ人だけでなく世界中の映画ファンにとっても不朽の名作となっている。日本でも毎年クリスマスシーズンになると、どこかの映画館や教会の集会所で上映されている。
チャールトン・ヘストン氏が本作で大スターの地位を確実なものにし、主役級の俳優スティーヴン・ボイド氏はベン・ハーの敵役イメージがついてまわった。
本物のローマ様式の競技場を建設し、エキストラも大勢参加する大スペクタクル、戦車競争は圧巻である。
ところで、後に西部劇で活躍するジュリアーノ・ジェンマ氏がメッサラの部下役で出演している。台詞が無いチョイ役だったと思う。
【効能】感動のあまりキリスト教に入信するかもしれない。民族問題を知るきっかけになる。
【副作用】話が長すぎて疲れる。キリストの奇蹟がオチなので拍子抜け。キリスト教覇権の野望を感じる。
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「サタデー・ナイト・フィーバー」 青春回帰〔20〕
ダンス映画の最高峰
【原題】SATURDAY NIGHT FEVER
【公開年】1977年 【制作国】亜米利加 【時間】119分
【監督】ジョン・バダム
【原作】ニック・コーン
【音楽】ザ・ビー・ジーズ デヴィッド・シャイア
【脚本】ノーマン・ウェクスラー
【言語】イングランド語
【出演】ジョン・トラヴォルタ(トニー・マネロ) カレン・リン・ゴーニイ(ステファニー) バリー・ミラー(ボビー) ジョセフ・カリ(ジェイ) ドナ・ペスコウ(アネッタ) ジュリー・ボヴァッソ(フロ) マーティン・シェイカー(フランク兄さん) ポール・ペイプ(-)
【成分】楽しい ロマンチック かっこいい コミカル ホームドラマ 社会格差 イタリア系 ダンス ディスコ 70年代
【特徴】ディスコ映画の金字塔にして、ジョン・トラボルタ氏の出世作。全世界の若者文化・ディスコ文化・サブカルチャーに強い影響を与える。ダンスを主体とした娯楽青春ドラマでありながら、アメリカの格差社会や「ロッキー」と同じくイタリア系アメリカ人が直面している問題もさりげなく表していて、けっこう社会派映画だ。
この映画で、音楽を担当したザ・ビージーズは一気にブレイク、さらに映画タイトルにある「フィーバー」はパチンコの「フィーバー」として日本語化する。
それにしても、トラボルタは細い。歳はとりたくない。
【効能】人生の展望を持てない青少年に一筋の光明を与える。
【副作用】楽しくダンスを観たい人には、意外に暗い社会派側面があることに興ざめ。
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