四大陸選手権 フィギュアスケート[二十七]
3回転半2発で逆転V
大技復活で金メダルが見えた。フィギュアスケートの四大陸選手権第3日は29日、韓国・全州崋山アイスアリーナで女子フリーが行われ、浅田真央(19=中京大)がトリプルアクセルを2度決めて今季自己ベストの126・74点をマーク。合計でも今季の自己ベストとなる183・96点となり、SP3位から逆転で今季国際大会での初優勝を果たした。2度のトリプルアクセルに成功するのは08年12月のGPファイナルのフリー以来、412日ぶり。残り1カ月足らずに迫ったバンクーバー五輪に弾みをつける逆転Vとなった。(スポニチアネックス)
【雑感】真央ちゃんはバンクーバー五輪で金を獲るには「(金メダルへ)80%くらい(まで前進した)」と答えたそうだか、正直なところだろう。金メダルは残り20%の課題をクリアしないといけない。出だしのショートプログラムでつまずかない事、金妍兒選手を上回る技量で征する事。今のところ、ミスのない演技ができたとしても金妍兒選手が壁になって銀どまりだ。
それにしても、昨年と違い溌剌とした表情になったのは喜ばしいことである。ジャンプの真央ちゃんが復活した。彼女にとって本大会はオリンピックのための調整試合であり前哨戦のようなもの。大会会場は韓国全州、妍兒ちゃんのお膝下とあって一種のアウェー環境の盛り上がりの中で優勝を決める。出場は成功裏に終わった。
妍兒ちゃんは欠場していたので直接対決はなかったが、どんな表情で表彰台のトップに立つ真央ちゃんを観ていたのか興味がある。これをスポコン少女漫画で描くとすれば、槇村さとる氏「愛のアランフェス」や美内すずえ氏「ガラスの仮面」的ノリだろう。
好敵手バージョンなら、ゴージャスな内装の部屋にあるテレビで表彰台の真央を観て妍兒は不敵に笑みを浮かべ、「さすがは真央、やはり来たわね。バンクーバーが楽しみ」となる。
ヒール女王様バージョンなら、テレビに映る真央ちゃんを見下ろすように眺め、「その程度の演技で自信たっぷりだこと、バンクーバーで叩き潰してやるわ」になるかな。
真央ちゃんと妍兒ちゃんのネタは、少女漫画にうってつけである。日韓双方の少女漫画界が作品化に着手していくと思うが。作品化してほしいものだ。
さて、この大会は金妍兒選手のお膝下で開催され、日韓両国から金妍兒選手のライバルと目されている浅田真央選手が優勝したことで大いに盛り上がっているが、それ以外にも注目すべき点がある。
3位につけたアメリカのキャロライン・ジャン選手は長洲未来選手のライバルなのだ。年恰好も生い立ちも共通項がある、いわば真央と妍兒の関係にも似た間柄だ。アメリカフィギュア界は東アジア系選手の台頭が著しく、いわば世界の流れを先取りしているのかもしれない。
本大会の表彰台も、東アジア系の選手によって独占した。国旗は日本とアメリカがはためくが、背格好や髪の色が同じ3人の選手が首にメダルをかける。陸上競技はアフリカ系で占められているのと同じように、フィギュアスケートでは東アジア系が占めていく、私にとっては喜ばしいことだ。
余談だが、韓国全州の名物料理といえば、全州ビビンバ。ビビンバの本場であり、日本でも90年代後半から流行りだした石焼ビビンバが美味い。



ブログランキングに参加しています。
日本相撲協会 近頃の現象[三百四十四]
朝青龍の飲酒暴行で-相撲協会
日本相撲協会は28日、横綱朝青龍が初場所中に東京都内で飲食し、酒に酔って店関係者の男性に暴力を振るった問題で、師匠の高砂親方(元大関朝潮)に事実関係を再調査して報告するよう指示した。(時事通信)
相撲協会理事選に
貴乃花親方が立候補届け出
任期満了に伴う日本相撲協会の理事改選で、立候補届が28日、受け付けられ、元横綱の貴乃花親方が4番目に立候補を届け出た。(産経新聞)
【雑感】まさに、風雲急の相撲協会、といった感じか。横綱朝青龍の久々の優勝の陰にこんなスキャンダルが隠されていたとは。
理事長は、貴乃花親方理事選出馬で目くじら立ててる場合ではない。朝青龍関をどう扱うかで協会の存在意義が問われる。
私はヒール趣味なので朝青龍というキャラは好きだ。漫画「播磨灘」くらいの騒動をやってほしい、とさえ思っているほどだ。朝青龍に比べたら貴乃花ははるかに保守本流の王道、協会を揺るがす反逆の中心は朝青龍だ。現役第一人者であるのは自他共に認める事であり、今回の初場所優勝で一代年寄北の湖を超える優勝回数を誇る事になった。成績だけを見れば朝青龍は一代年寄となる資格を得ている。もはや歴史に残る大横綱だ。もし、伝説のヒール横綱玉錦のように弟子育成の功績もしめしたら、角界にとってもかけがえのない存在になるだろう。
玉錦は稽古の虫でいつも身体中怪我だらけで包帯を巻いていたことからボロ布をまとっているように見え「ボロ錦」と渾名されていたが、「ボロ錦」にはもう一つ意味がある。「ゴロつき」にもかけていた。玉錦の素行の悪さは有名で、いつも他の力士と喧嘩していた。横綱の品格云々でよく朝青龍は横審をはじめ多方面から批判されているが、実は昭和初期に大先輩がいたのである。伝統を重んじる角界なら、既にヒール横綱という存在も立派な前例があるので朝青龍は別に画期的な悪事をやった訳ではない。
ただ、いくら玉錦でも素人には手は出さなかっただろう。突き飛ばしたり払ったりする程度のたまたま暴力ではない、積極的に殴る行為に出て全治1ヵ月の大怪我を負わせたそうだ。格闘家は肉体そのものが凶器である。これが事実なら、解雇か引退でないと後進への示しがつかないだけでなく、力士を指導監督すべき協会がなんのために存在する組織なのか判らなくなる。
個人的には、暴行事件は誤報であって欲しいし、仮に事実だったとしても朝青龍が公の場で泣いて被害者に土下座し、被害者は泣いて朝青龍を弁護して横綱でいられるよう協会と世論を説得して欲しい気持ちがある。朝青龍をそのままにしたら協会の存在価値は著しく軽くなってしまうが、彼にはいてくれたほうが面白い。



ブログランキングに参加しています。
シアーシャ・ローナン 近頃の現象[三百四十三]
シアーシャ・ローナンが自主退学
ピーター・ジャクソン監督の新作「ラブリーボーン」に主演する15歳の女優シアーシャ・ローナンが、アイルランドの寄宿舎学校を自主退学したことが分かった。
ローナンは、13歳のときにキーラ・ナイトレイ主演の「つぐない」(07)でアカデミー助演女優賞にノミネートされて以来、将来が期待される若手女優の1人として目覚しい活躍を見せている。
仕事は絶好調のローナンだが、名声を得たことで学校では思わぬ苦労を強いられたようだ。ローナンは、英ガーディアン紙に対し「私が学校を辞めたのは、先生や生徒たちが辛くあたるから。生徒たちのなかには意地悪な子もいるの。入学する前から先生や同級生たちが自分のことを知っていると、普通の学校生活を送ることは難しい」と告白。現在は、ホームスクール形式をとって勉強を続けているという。(eiga.com)
【雑感】子役スターが直面する試練の一つだな。ともさかりえ氏や安達祐実氏も苛めにあったようだ。閉鎖された社会でのストレス多い生活では苛めが発生する。周囲に馴染まない、馴染んでいるように見えない、目立つ存在、異端的存在は苛めの標的になり易い。著名人である以外に、子役スターは職場では大人に囲まれての生活になるから、いつの間にか大人びた所作や言動になってしまい、それが学校の子供社会ではマイナス評価につながってしまう事も多々あるだろう。すなわち「スカしている」「お高くとまっている」というイメージだ。
仕方が無いことだ。子役でスターになってしまうと、これからも様々な壁にぶつかる。ソフィー・マルソー氏やジェニファ・コネリー氏・レオナルド・ディカプリオ氏のように乗り越えて魅力ある中年俳優へと成長してほしいものだ。



ブログランキングに参加しています。
長洲未来 フィギュアスケート[二十六]
長洲未来が2位で五輪出場へ
フィギュアスケートの全米選手権は23日、当地で女子のフリーを行い、16歳の長洲未来が合計188.78点で2位に入賞。カリフォルニア州生まれで両親が日本人の長洲は、米国代表としてバンクーバー五輪への出場を決めた。(ロイター)
【雑感】アメリカで東アジア勢が台頭してくるのは良い傾向かもしれない。もし、表彰台を日本と韓国が独占するような状態が続くと、他のスポーツ競技でもみられるように必ず欧米はルール改定を行う。水泳然り、体操然り、ジャンプスキー然り。いずれも日本が台頭した直後にルールを変えられた。 表向きの理由はごもっともだが、結果的に欧米選手の独占が続くということは日本人の胆力の無さというよりも欧米人に有利なルールではないかと疑うことは十二分に可能であるし、疑うべきである。
第一次世界大戦終戦後のパリ・オリンピックの陸上競技を舞台にした映画「炎のランナー」を見ると、世界的な大会というよりは欧米人の大会であることが判る。出場選手の大半は白人ばかりだ。それが今では陸上競技はアフリカ系で占められ、アフリカ系アメリカ人がアメリカを代表して表彰台に登る。
東アジア系がアメリカ人としてフィギュアの表彰台に登ることが常態化すれば、ヨーロッパ側がルール改定に動こうとしてもアメリカが言論腕力で封じる効果が期待できるかもしれない。そして陸上競技がアフリカ系が占められるいくのと同じように、東アジア系で占められるかもしれない。
全米フィギュア界では長洲未来選手だけでない、長洲選手と同じくカリフォルニア育ち(生まれは東海岸のボストン)で二世の中国系アメリカ人、歳恰好も未来ちゃんに似ているキャロライン・ジャン選手がいて、共通部分の多い2人はライバルだ。少し前では日系のクリスティー・ヤマグチ選手や中国系のミシェル・クワン選手が活躍した。
近頃のフィギュアスケートを見ていても、たとえばジョアニー・ロシェット選手は典型的な欧米人の美しさがあって優雅なのだが、ジャンプを見ると重力を感じるのだ。なんだか足首や膝に負荷がかかり過ぎているように見えて、気の毒のような。
今回の全米大会で優勝したレイチェル・フラット選手も、ほぼ同年齢の長洲未来選手と比べると重さを感じる。あくまで真央ちゃんや妍兒ちゃんの軽やかさに比べたらの話だが。
その中でキミー・マイズナー選手の失速は残念だ。彼女の演技は重さを感じない。日本人が親しみを持ちやすい美少女系で身体つきも欧米人選手に珍しく華奢系、昨年の大不調は少し心配だ。



ブログランキングに参加しています。
ジーン・シモンズ 近頃の現象[三百四十二]

【雑感】よりによって、私の誕生日に旅立たれるとは・・。
私は子供のころから長い黒髪で眉毛が太くて大きな瞳の女性に惹かれる。その原因の一つに映画の影響がある。慣れ親しんだ洋画のヒロイン、「ベン・ハー」のハイヤ・ハラリート氏、「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーン氏、「ラッシー」のエリザベス・テイラー氏、そして「スパルタカス」のジーン・シモンズ氏だ。
一番印象に残っているのは、「スパルタカス」のラストシーンだ。今でも迫力ある顔をハッキリ憶えている。
クラサス率いるローマ軍との決戦に敗れたスパルタカスは磔刑にされ街道沿いに晒される。まだ息のあるスパルタカスを見つけたジーン扮する妻バリニアは足元に駆け寄り、彼との間にできた赤子を見せながら「この子は自由よ」と語りかける。
日本語吹替えでは「お奉行様、ありがとうごぜぇますだ」的イントネーションで甲高い女性の涙声で「この子は自由なのよ」と言っていたが、ジーン自身の肉声では腹の底から搾り出すように「free」と低い声で言っていた。涙声ではない。闘志に溢れた戦闘モードの発声。「自由を獲った。あなたの子供は自由人として生きていく」「あなたの志は自由となった息子に引き継がれる」といったニュアンスだ。この後に大きな瞳を涙に潤ませながら、そのニュアンスが言葉となって出てくる。
そして最後の台詞、「Goodbye My Love, My Life. Goodbye. Goodbye・・」はグッとくる。
ジーンは「ハムレット」「聖衣」「デジレ」「スパルタカス」 などが代表作なので、襞の多いヒラヒラしたドレスをまとってのイメージが強い。が、けっこう意外な役もやっている。
今ではブルック・シールズ氏のイメージが強い「青い珊瑚礁」だが、あれはリメイクで、映画化第1作目は1940年代にジーン主演で制作されていた。残念ながら未見だが作中場面らしき写真は観たことがある。半裸のブルックよりやや露出度が少なめでロングの腰巻をまとっていたものの、ヘソ出しルックと陽に焼けていそうな細い美腕、10代の少女の顔。この写真を観たとき、「可愛い!」と思うと同時に「ああ、もう80近いお婆さんなんだ」と奇妙な感慨に耽ってしまった。
もう一つ、変り種では「ハウルの動く城」英語版でヒロインの声を担当した。これを知ってから、ソフィーがジーンに見えてしまった。
ふと思い出した。「スパルタカス」で共演したカーク・ダグラス氏、たしかジーンより一回りほど歳上のはず、いまどうしているのだろうか? まだご健在のはずだが。



ブログランキングに参加しています。
今日は誕生日である。 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十四]
グラタンと生ハムのサラダ。

【雑感】今日は私の誕生日である。上記の写真はそのご馳走だ。平素、玄米飯・味噌汁・キムチといった簡素な食事ばかりなので、世間では普通の有り触れた食事でも我家ではたっぷりチーズのグラタンはご馳走である。右は生ハムと林檎とレタスのサラダ、左上は舞茸の味噌汁、右上は少し贅沢にチョコのビール「ブドワゼ」(「ブドワゼ」については改めて記載する)。
老いたくはないが、確実に齢は毎年重なっていく。とうとう私も40代の半ばに差し掛かった。未だ心のどこかに大学を出て数年という意識がある。学年でいえば沢口靖子・柏原芳恵・渡辺典子(敬称略)らと同じなのだ。だから「まだ若い」と思ってしまうが、世間一般人はもっと老けている。
大河ドラマ「龍馬伝」では当然の事ながら桜田門外の変をエピソードに入れるはずだろうが、その犠牲者である大老井伊直弼て私と同じ歳だというから驚きだ。時代劇では50代・60代の俳優が演じるからもっと歳いっているイメージがあるが。

いつもは晩酌のビールは1本だけだが、今日は誕生日なのでもう1本飲むことにした。ホップがよく効いたヱビス・ザ・ホップ。

そして、食後はケーキを貪る。血糖値があがる。



ブログランキングに参加しています。
表現の自由とは(11) 近頃の現象[三百四十一]
フィギュアのドムニナ組を
「文化的冒涜」と非難
オーストラリアの先住民族アボリジニの長老らが21日、来月開幕するバンクーバー冬季五輪で金メダル獲得が期待されているロシアのフィギュアスケート、アイスダンスペアのオクサナ・ドムニナ(25)、マキシム・シャバリン(27)に対し、伝統舞踊の振り付けを盗作し、重大な文化的冒涜(ぼうとく)にあたると非難した。
同ペアは、3週間前に行われたロシアでの大会でアボリジ二をテーマにしたダンスを披露。伝統の白い渦巻き模様が描かれた黒っぽいボディスーツに赤い腰布などを身にまとい、アボリジニの儀式で行われるステップなどを演じた。
ニューサウスウェールズ州アボリジ二審議会のSol Bellear氏は、同ペアが許可や相談なく演じ、アボリジニ文化が盗まれたとして同ペアを強く非難している。(ロイター)
【雑感】著作権の概念、普通は期限が切れるとパブリックドメインになる。公共の財産だ。民謡や伝統舞踊もこれに含まれる考えもある。仮にドムニナ組が和服もどきの衣装で歌舞伎を取り入れたダンスをやったり、阿波踊りをやったとしたら、日本は怒るだろうか? 少なくとも「盗作だ」とは騒がない。阿波踊りをすれば、むしろ徳島県民は喜ぶと思う。
ただ、伝統文化でも「神事」になるとデリケートになる。(執筆中)



ブログランキングに参加しています。
ショコラブルワリー ビールは偉大な発酵食品だ 15

【雑感】近所のスーパーで売っていた。チョコが売れる時節柄ゆえ、試しに飲むことにした。ほんのりとチョコレートの香りが漂い、ほのかに甘い。ビールが苦手な人でも飲めるかもしれない。
チョコレート麦芽はチョコレートのような麦からとった麦芽という意味ではなく、(そんな麦芽はありえないのだが)普通の麦芽を焙煎してチョコレート色にしているのを呼ぶ。あくまでチョコを連想するような香りがするだけの話なのだが、このビールはマジでカカオの香りがする。成分表を見たらちゃんとカカオを添加していた。
同時期、キリンもビアショコラなるチルドビールを出している。横並びで同種ビールを発表し競い合うな。
バレンタインデーの季節でもあるし、淑女諸氏、彼氏に飲ませるとウケるかも。
私はやはりこの手の色合いのビールはアイルランドのギネスが良い。あるいはドイツのケストリッツァーだな。甘いのは好きだがビールが甘すぎるのは良くない。



ブログランキングに参加しています。
貴乃花騒動に見る日本社会 近頃の現象[三百四十]
二所騒動、角界に波紋-大相撲
二所ノ関一門が貴乃花親方(元横綱)支持の親方6人を「破門」した騒動から1日たった20日、ほかの一門の親方衆もさまざまな反応を示した。(時事通信)
【雑感】武蔵川理事長は「残念だ。ああいうことはあってはいけない」「一門で話し合って(理事に)ふさわしければ多くの人が推薦してくれるのでは」「改革、改革と言って何をやるのか。やるべきことはやっている」などと貴乃花親方の言動に不快感をあらわにしたという。
ところで、日本は一応民主主義政体をとっている。民主主義社会の下、多くの法人も原則どおりに機能しているか否かは別にして組織の運営システムは民主制を採用している。この日本相撲協会も例外ではない。理事長や理事には任期が有り、任期がきれると選挙で決める事になっている。選挙があまり行われないのは、一門ごとで立候補者を調整しているからだ。
民主制システムから観れば、貴乃花親方の行動は別段反社会的行動ではなく、大騒ぎするほどのことでもなく、理事長が不快感を表明する事も無いはずだ。協会自ら設定した規約に従って貴乃花親方は認められた権限と権利を行使しているに過ぎない。
協会の規約を率先して守る立場にあるはずの武蔵川理事長が貴乃花親方の出馬に対して「残念」とか「あってはいけない」という筋合いは無いし、規約を鑑みれば不当批判に当たり、理事長は初心に戻って規約を勉強しなおさねばならん。記者団に対しては、建て前上は貴乃花親方の健闘を讃え、内心の不満は口にしないのが理事長としてのとるべき言動である。武蔵川君は愚かだ。
つまり、これが日本社会の面白いところなのだ。日本という国は適度に民主主義、適度に社会主義、適度に資本主義、適度に封建主義で社会のバランスを保っている。これを理解しないと日本社会で巧く生きていけない。このバランスを崩すと社会不安が起きる。
適度に民主主義・資本主義だからこそ、そこそこ自由で風通しがいい社会になっているし、適度に社会主義・封建主義だからこそ、そこそこ安定した社会になっている。アメリカのように格差が広がったり我がままと思えるほど権利や利益を主張し訴訟社会に陥っている訳ではない。旧ソ連のように言論の自由を著しく阻害されたりヒエラルキーが厳格に固定化されている訳でもない。イギリスほど階級社会にはなっておらず、世襲は一部の職業にほぼ限定されている。
日本は適当に各種社会システムを巧く共存させ使い分けることによって安定した社会を維持してきたのだ。私は賢明な日本人の叡智だと思っている。
極右も極左もフェミニストも、各種思想家たち運動家たちが唱える主義主張も、傾聴すると同時に鵜呑みにしない。一つの処方箋だけで万事巧くいくほど社会は甘くない。世界中の庶民はそれを本能的に察知しているが、特に日本人はその能力に長けていると思っている。一つの処方箋にこだわれば、必ず副作用すなわち弊害が起こってくる。日本社会は資本主義の弊害、民主主義の弊害、社会主義の弊害、封建主義の弊害が驚くほど少なく済ませてきた。残念ながら近年はそのバランスが崩れているようだが。
話を相撲協会に戻そう。貴乃花親方は協会にとって至宝ともいえる人材である。角界のサラブレッドにして正統派日本人横綱として巨体の外国人力士がひしめく中、綱を長期にわたって守ってきた。弟子が三役にあがれば、いや十両になれば協会のほうから理事就任を求めてくるだろう。そして歴代の理事長が現役時代は名横綱であったように、いずれは嫌でも理事長の席に座らされる。
黙って協会の意向に従っていれば未来の理事長は確実なのを、なぜ波風たててまで理事選に出るのか? 一門を「破門」されてまで支持する親方が6名いるということは、内心は支持している親方衆はもっといるかもしれない。
貴乃花親方は、過去の言動をみる限りは決して反逆児ではない。むしろ伝統的相撲道に忠実であり、それを守る協会の利益に忠実である。朝青龍関や曙関に比べたら、はるかに品行方正の保守本流である。彼が記者会見で答えたように、一門を離れるのは本当に不本意であり、協会が磐石なら無理に理事選に討って出ることはせず年功の順番を待っていた、私はそんな性格に見える。
社会のバランスが崩れてくると、保革双方から事態収拾のため立ち上がる人物が慣習を無視して行動する。幕末では西郷隆盛や大久保利通ら下級の青年武士が討幕派として動き、徳川慶喜や井伊直弼ら本来は宗家を継ぐはずはなかった青年政治家が佐幕派として改革を行う。
貴乃花親方はけっして討幕派ではない。佐幕派として現協会を守るために動いていると思う。ほとぼりが冷めている感はあるが、協会体質は依然として爆弾を抱えている可能性があるかもしれない。



ブログランキングに参加しています。
貴乃花光司(2) 近頃の現象[三百三十九]
理事選で二所一門-大相撲
大相撲の二所ノ関一門は19日、東京都内で初場所後の日本相撲協会理事選に向けた対応を話し合い、貴乃花親方(元横綱)を支持する間垣親方(元横綱2代目若乃花)ら6人の親方が一門からの離脱を求められ、事実上「破門」された。貴乃花親方を含め一挙に7人の親方が一門を離れるのは、大相撲では極めて異例の事態。(時事通信)
【雑感】正統派横綱として君臨した貴乃花だったが、正統派過ぎて逆に相撲協会内の異端児になっていくのか・・。波風たてなくても理事長職は必ず貴乃花親方に回ってくる。北の海親方の次はいずれ九重親方、その後に貴乃花へと政権が禅譲されると思っていたし、協会関係者もそう見ていたはずだ。
だから敢えて順番を待たずに理事選出馬を行うのは、貴乃花親方の大相撲建て直しにかける生真面目な情熱からとみるべきか?
今は理事選云々に色目を使わず、弟子の育成と親方修行に精進するべきとの声は当然あるだろうし、そんな批判も根強いと思う。ただ、時津風部屋で暴行死事件が起こって部屋が危急存亡の事態となったとき、幕内の時津海が急遽現役を引退して16代時津風を襲名した事例がある。まだ丁髷の若い親方が誕生した。
いまは協会が危急存亡、だから若い貴乃花親方が立たなければならない、という理屈も成り立つ。
早々に支持する親方が一門を離脱、こないだの会見で貴乃花親方は「(貴乃花一門をつくるなんて)そんな大それたことは考えていません」と答えていたが、本人の意志とは無関係に貴乃花一門形成へと動いていく。そうならざるを得ない。



ブログランキングに参加しています。
豆腐チゲ 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十三]

【調理者】晴雨堂ミカエルとその妻
【食材】キムチ鍋の素・豆腐・大根の葉・大根・椎茸・鶏肉団子・マロニー・キムチ
量は全て適量と思う数だけ入れた。
【作り方】キムチ鍋の素を土鍋に注ぎ、あとの食材は身が硬い順番に入れる。最後に大根の葉とマロニーを入れて、適当と思う時間煮る。
【雑感】こないだ豆乳鍋というのをやってみた。味が薄くて全然ダメ、身体も温まらない。締めにラーメンや雑炊を食べたが全く物足りない。
ということで、今回はやはりチゲにした。キムチの量が少なかったので豆腐チゲとする。チゲにすると締めのウドンや雑炊が美味い。
以前にも述べたが、「チゲ鍋」という表現が定着しつつある。これはやはり間違いだ。「チゲ」で鍋物の意味があるから、「鍋鍋」になってしまう。「キムチチゲ」だけで「キムチ鍋」という意味になるのだ。
日本の鍋物と区別する意味で「チゲ鍋」という用法になっているのは理解しているが、間違いは間違いだ。
今回はキムチの量が少なく豆腐の量が多いので「豆腐チゲ」ということにした。韓国語で「スンブドゥチゲ」、漢字に変換すると「純豆腐チゲ」。つくづく思う、漢字復活してくれんかなぁ、東アジア共通のメディアを殺すのは勿体無い。


ブログランキングに参加しています。
「劔岳 点の記」 感動からエナジーを得よう〔13〕
山岳映画の金字塔
【原題】
【公開年】2008年 【制作国】日本国 【時間】139分 【監督】木村大作
【原作】新田次郎
【音楽】
【脚本】木村大作 菊池淳夫 宮村敏正
【言語】日本語
【出演】浅野忠信(柴崎芳太郎(陸軍参謀本部 陸地測量部測量手)) 香川照之(宇治長次郎(測量隊案内人)) 松田龍平(生田信(陸軍参謀本部 陸地測量部測夫)) モロ師岡(木山竹吉(陸軍参謀本部 陸地測量部測夫)) 螢雪次朗(宮本金作(測量隊案内人)) 仁科貴(岩本鶴次郎) 蟹江一平(山口久右衛門) 仲村トオル(小鳥烏水(日本山岳会)) 小市慢太郎(岡野金治郎(日本山岳会)) 安藤彰則(林雄一(日本山岳会)) 橋本一郎(吉田清三郎(日本山岳会)) 本田大輔(木内光明(日本山岳会)) 宮崎あおい(柴崎葉津よ(柴崎芳太郎の妻)) 小澤征悦(玉井要人(日本陸軍大尉)) 新井浩文(牛山明(富山日報記者)) 鈴木砂羽(宇治佐和(宇治長次郎の妻)) 笹野高史(大久保徳昭(日本陸軍少将)) 石橋蓮司(岡田佐吉(立山温泉の宿の主人)) 冨岡弘(-) 田中要次(-) 谷口高史(-) 藤原美子(-) タモト清嵐(-) 藤原寛太郎(-) 藤原彦次郎(-) 藤原謙三郎(-) 前田優次(-) 市山貴章(-) 國村隼(矢口誠一郎(日本陸軍中佐)) 井川比佐志(佐伯永丸(芦峅寺の総代)) 夏八木勲(行者) 役所広司(古田盛作(元陸軍参謀本部 陸地測量部測量手))
【成分】ロマンチック 勇敢 知的 切ない かっこいい 山岳映画 アウトドア 剱岳 富山県 1907年
【特徴】剱岳初登頂を目指す2組のパーティを描いた山岳映画。まるでアムンゼン隊とスコット隊の南極点初到達レースにも似ている。アムンゼンは個人的な冒険心で、スコットは英海軍大佐として大英帝国の威信を賭けて。
本作はCG多用の当世に敢えて逆らい全て剱岳オールロケーションを敢行、空撮すら無い。アナログの迫力を魅せてくれる。俳優たちの過酷な登山をやりながらのリアルな演技と雄大な剱岳の風景は、明治の日本人の力強さと日本の原風景の美しさを改めて感じさせるだけでなく、映画づくりの原点を回帰させてくれる。
【効能】剱岳の美しさに癒される。明治の知性と力強さに励まされる。主人公に理想的な上司像を見る。
【副作用】脚色不足で退屈する。盛り上がりに欠け、がっかりする。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
海堂尊(2) 近頃の現象[三百三十八]
ブログで名誉棄損-東京地裁
医療現場を舞台にしたミステリー小説「チーム・バチスタの栄光」などで知られる作家で、医師の海堂尊さんのブログで名誉を傷つけられたとして、日本病理学会副理事長の深山正久東大教授が海堂さんに損害賠償330万円の支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、110万円の支払いを命じた。(時事通信)
【雑感】まずは深山教授側に軍配があがったか。海堂氏の主張が100%事実だったとしても、深山教授側の公式見解はあくまで「Aiは解剖前の情報としては有用だが、解剖に代わるものではない」なので、言葉だけを評価すれば、海堂氏の言う「Ai研究がだめにされる」「Ai導入の普及を阻害している」「厚労省のAiつぶし」は飛躍解釈による不当批判、私が深山氏だったら「慎重に言葉を選んで結論づけたのに、Aiを完全否定したわけではないのに、なんであそこまで辱めを受けなあかんのや」とムカつくだろう。
海堂氏の批判に正当性を持たせるには、深山教授の言葉の「含み」を論証する必要があったのだが、裁判所ではそれは不十分と判断された。当然、深山氏は訴訟するにあたって弁護士と立件できるか否か、勝訴できるか否かを相談した上で提訴しているので、今回の判決は「予定通り」だろう。
私も海堂氏の言い分は勇み足だと思っている。歯に着せぬ批判や反論は議論を面白くさせるが、訴訟リスクがあがってしまう。本来なら、「過激な深山批判を」に入る前に、深山教授の研究結果に対する問題点を列挙して公開討論を申し入れる旨を内外に広く喧伝して言論戦の伏線を十分張っておくべきだった。
しかし、そんなやり方だと、第三者からすれば「訳の解らん理屈」が淡々と並べられるだけで退屈してしまうのは目に見えている。
この事件は、言論活動についてのあり方を考察する有用なサンプルだ。



ブログランキングに参加しています。
小沢一郎(3) 近頃の現象[三百三十七]
スパム 近頃の現象[三百三十六]
Symantecが動向報告
セキュリティ企業の米Symantecは1月13日のブログで、2000年から2009年にかけてのスパムメールの動向を振り返り、全電子メールに占めるスパムの割合は2000年には8%足らずだったのが、現在では90%近くを占めるようになったと報告した。
Microsoftのビル・ゲイツ会長は2004年、「2年以内にスパムは全滅する」と公言したが、その後も流通量は増え続け、2009年5月には全メールに占める割合が過去最高の95%に到達。同年中に出回ったスパムは40兆通を超えた。
スパムの増加は企業にも悪影響を与えており、スパム対策にかかるコストは世界で1300億ドル、米国だけで420億ドルに上るとの推計も紹介している。(ITmedia エンタープライズ)
【雑感】当ブログのアクセスが1日に数件程度の設置初期から有った。携帯電話にも数十件単位でくる。メールアドレスは現在6つ持っているが、そのうち1つは大量に押し寄せるスパムによって事実上閉鎖状態になっている。来襲するスパムの殆どがポルノ系や色事の出会い系だ。。
特にブログは、ネット社会を通じて全世界に自分の文を公開する行為なので、スパムの来襲は避けられない。そこでメールホームを設置したり、承認制にしたりと様々な工夫をする。記事との関連性が認められなかったり、ネーム無記入のコメントやメールは無条件で削除したりと、労力を払っているがそれでも追いつかないことがある。
まずそんなことは無いと思うが、仮に私が著名人になってしまったら、芸能人たちのブログの大半がそうであるようにコメント・TBの受付を断念せざるを得なくなるだろう。
ネット社会は人脈をつくるのに非常に便利なツールだが、手軽だけに邪なアクセスも増えてくる。また私が他のブログとの交流をする段でも邪まを疑われる。
そういえば若いころ思ったなぁ。90年代初頭だったか。まだパソコン通信やインターネットはコンピューターや技術関係者か一部のアニメ・漫画オタクしか利用していなかった時代、ある市民運動に参加していてチラシやDMや機関紙の発行でしんどい思いをしていたのだが、パソコンが普及したら手軽にフルカラーのチラシをネットで安価に大量配布できるではないか、と考えた。
紙代・印刷代・郵送費は馬鹿にならないし、作成と発送作業にかける時間と労力も痛い。皆からのカンパはあっても結局は自分の出資で賄わねばならず家計を圧迫する。
それで運動の仲間にパソコンを勧めたのだが、殆どの仲間はインターネットの力を理解できず難色を示した。面白いものだ。漫画・アニメ関係の友人たちは話題にすぐ食いついたのに、左翼系市民運動はアナログが大好きなのだ。漫画同人誌関係の知人が色上紙でカラフルなチラシを作っていた時も、左翼系の知人は藁半紙に墨一色のガリ版刷にこだわった。
趣味なんだな、結局。広く大衆に宣伝する目的は同じはずなのに。漫画同人誌関係は、カラフルが好きという趣味はあるけれども、コミケなどに出品してチラシや本の表紙が粗末すぎたら「これではいけない」と自覚する。
左翼関係に限らずかつての政治的勢力は概ねアナログが好きだった。下手に宣伝工作を力説すると「商業主義」と批難される。「広く大衆に宣伝する」という目的を達成するのに商業主義を否定してどうすんや?
漫画・アニメという先進大衆文化メディアよりもいち早くネットに目をつけた業界がある。それはポルノである。むかしビデオテープで「β」と「VHS」が市場を争ったとき、性能的には「β」が優れていたとの評価があったにも関わらず、勝敗を決したのはポルノビデオだったとの有力説があるほどだ。ポルノ観たさに機械が苦手でもレコーダーの操作方法を憶えるしソフトを買い漁る。
MacとWinの競争でもポルノ関係の力が少なからず作用していたのではとの噂もある。いずれにせよ、インターネットの普及にポルノ画像が大いに貢献したのは確かだ。
そういった背景と歴史を背負っている社会だから、ポルノや色事関係のスパムが増殖し襲来するのは宿命かな。増え過ぎるのは困ったものだが、逆に撲滅させると科学技術や経済にとって発展普及の芽を摘み取ることになる。社会主義国の失敗を繰り返すことになるのだ。



ブログランキングに参加しています。
「真夏のオリオン」 ストレス解消活劇〔72〕
邦画版「眼下の敵」を目指した作品
【原題】
【公開年】2009年 【制作国】日本国 【時間】119分 【監督】篠原哲雄
【原作】池上司
【音楽】岩代太郎
【脚本】長谷川康夫 飯田健三郎
【言語】日本語 イングランド語
【出演】玉木宏(倉本孝行海軍少佐・イ-77潜水艦艦長) 北川景子(倉本いずみ/有沢志津子) 堂珍嘉邦(有沢義彦海軍少佐・イ-81潜水艦艦長) 平岡祐太(坪田誠軍医中尉・イ-77潜水艦軍医長) 黄川田将也(遠山肇・イ-77潜水艦回天搭乗員) 太賀(鈴木勝海・イ-77潜水艦回水雷員) 松尾光次(森勇平・イ-77潜水艦水雷員) 古秦むつとし(早川伸太・イ-81潜水艦水雷長) 奥村知史(小島晋吉・イ-77潜水艦水測員) 戸谷公人(山下寛二・イ-81潜水艦水測員) 三浦悠(久保憲明・イ-77潜水艦回天搭乗員) 山田幸伸(岡山宏次・イ-77潜水艦水雷員) 伊藤ふみお(有馬隆夫(イ-77潜水艦機関科員)) 鈴木拓(秋山吾朗(イ-77潜水艦烹炊長)) デヴィッド・ウィニング[俳優](マイク・スチュワート(米海軍駆逐艦パーシバル艦長)) ジョー・レヨーム(ジョセフ・フリン(米海軍駆逐艦パーシバル副長)) 吉田栄作(桑田伸作(特務大尉・イ-77潜水艦機関長)) 鈴木瑞穂(鈴木勝海(現代)) 吹越満(中津弘(大尉・イ-77潜水艦航海長)) 益岡徹(田村俊雄(特務大尉・イ-77潜水艦水雷長))
【成分】ロマンチック 勇敢 知的 かっこいい 海洋ロマン 第二次大戦 1945年 沖縄近海 日本語 英語
【特徴】米駆逐艦と日本海軍潜水艦の死闘を描いた戦争映画。一応、敗戦直前にあった実際の海戦をモデルにしているが、内容はファンタジックにしている。あきらかに「眼下の敵」を意識した構成。
伊号潜水艦内部のセットはかなり正確で、関係者からの助言等を得て気合を込めた映像づくりをしているのは窺われるが、たぶんに台詞や所作は当時でも現代でも軍人らしからぬトンデモが目立つ。
ただ、「戦争」を知らない、知識が無い人たちにとっては快いエンタメ映画として楽しめるだろう。
【効能】気楽に観れる娯楽戦争映画なので気晴らしになる。
【副作用】有り得ないトンデモ場面でストレス大。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
「カティン」を見た。 晴雨堂の晴耕雨読な日常[二十四]
【雑感】やっと観た。この手の作品は東京の格調高い(マニアック)映画館で公開され、大阪はひと月遅れで封切られる。
上映映画館は大阪梅田スカイビルにあるシネ・リーブル梅田。駅から私の足で徒歩10分程度。ハッキリ言ってアクセスは悪い。スカイビルは一応梅田界隈の観光スポットになっているのである程度の集客はあるかもしれないが、堺在住の人間にとって都心は難波なので梅田へ行くだけでも遠く感じる。ましてや梅田駅から離れたところに建っているスカイビルの映画館へは余程興味のある名作でない限り行く気がしない。ところが、このシネ・リーブル梅田はけっこう私好みの映画を上映してくれるのである。
以前は10月になるとスカイビルの広場でビールのお祭りをやっていた。だから毎年1回はスカイビルに足を運んでいたものだ。ビルの敷地内にはけっこう広い公園があって、酔いつぶれそうになったときは散策して身体を冷やした。ビルの地下は昭和初期の街並みをイメージしたレストラン街があり、掘り出し物のビールを置いてある店もあって、もし茨木市や吹田市などの梅田経済圏に住んでいたら頻繁に通っていたかもしれない。
「カティンの森」は、アンジェイ・ワイダ監督の総決算的映画と評する人もいるだろう。「灰とダイヤモンド」や「地下水道」からのファンならそう思う者が多いはず。青年時代からワイダ監督は撮りたかった作品だからだ。
ただ、私には時代劇になりつつある第二次世界大戦の記憶の風化に待ったをかける叫びのように見えた。作中で登場人物が東と西から迫りくる死の気配に不安がる顔、その顔は当時中学生から高校生くらいの年頃だったワイダ監督自身が見ていた顔である。自分自身の顔であり父母の顔であり親戚や友人たちの顔である。
時代劇になりつつあるのか、近頃は「パールハーバー」や「オーストラリア」「真夏のオリオン」といった大戦を知らない若者にウケるファンタジーにしてしまう傾向があるが、ここでワイダ監督のビンタがとんだように感じる。



ブログランキングに参加しています。
チキンラーメン 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十二]
創業者生誕百年で
日清食品は12日、即席ラーメンを開発した創業者・安藤百福氏の生誕100年を記念し、3月1日から「チキンラーメン」を35円(通常の希望小売価格は税別100円)、「カップヌードル」を100円(同税別170円)と、発売当時の価格で限定販売(各1000万食)すると発表した。(読売新聞)
【雑感】素晴らしい企画だ。しかし偉大な安藤百福氏の生誕100年なのだから、限定1千万食といわず今年いっぱい頑張ってほしいものだ。
ジャンクフードだと忌み嫌われる事も多いインスタント食品だが、チキンラーメンは非常食として重宝する。たしかに独特の後味と残り香はあまり良いものではない。同じインスタントラーメンなら、まだ「サッポロ一番塩ラーメン」の方が食べやすいしトッピングやアレンジの応用が利く。
しかしチキンラーメンには強い武器がある。鍋を使って調理する手間を省いてお湯だけで出来上がるし、いざとなったら生のままかじることも有りだ。子供のころ、おやつのベビースターラーメンの代用に食べたことがあるし、学生の頃は友人の下宿でかじりながらビデオ鑑賞したりと思い出深い。我家では災害用非常食に指定し常備している。
噂によると、ベトナム戦争時にアメリカ軍と闘う南ベトナム解放戦線(余談1)は非常食として食べていたらしい。調理道具なしでそのまま食べられるから炭水化物と塩分の補給になるので熱帯ジャングルでの戦いに向いているとか。
そういえば、もともとベビースターラーメンもチキンラーメン型の食品として開発されたらしい。1950年代、日清食品のチキンラーメンとほぼ同時期に開発・製造・販売を展開していたが営業は失敗、インスタントラーメンの分野ではチキンラーメンが1人勝ち。しかし日本初インスタントラーメンの栄冠は「おやつカンパニー(松田産業有限会社・当時)」の可能性が高い。
チキンラーメンに完敗したが、製造過程でできた麺のクズを食べたら「なかなかいける」ということで菓子として販売、これがあたって現在に至る。
(余談1)よく「ベトコン」と呼ばれる。最初、私は「ベトナム・コミュニスト」の略かなと思ったら、実は「ベトナム・コンサン」の略らしい。
意味自体は大きな違いは無いのだが、けっこう漢字好きには興味深い背景がある。ベトナムも日本や韓国と同じく漢字使用国だった。日本語や韓国語と同じく漢字に変換できる単語は多数ある。「ベトナム・コンサン」をワープロで漢字変換するような理屈で漢字に直すと「越南共産」になる。つまり「ベトコン」は「越共」となる。中国共産党を中共といったり日本共産党を日共と呼ぶのと同じだ。
いつも思うのだが、漢字復活してくれんかなぁ。漢字が忌まわしい中華帝国の文化侵略なら、世界はローマ帝国の支配下ということになる。漢字は東アジア共通のメディア、復活して損は無い。



ブログランキングに参加しています。
ピラミッド 近頃の現象[三百三十五]
「奴隷が建設」の通説覆す発見
エジプト考古最高評議会は10日、首都カイロ近郊のギザで、クフ王の大ピラミッドなどの建設に従事した労働者の墓を発見したと発表した。ピラミッドは奴隷が建設したされる通説を覆す重要な資料だという。(ロイター)
【雑感】あれ? ずいぶん前からピラミッドは農閑期の農民に仕事を提供する「公共事業」で、奴隷が酷使されたのではない事が判明したという話を聞いてきたのだが。
ピラミッドは王の墓ではなく別の「宗教施設」だとか、ピラミッド建設労働者の勤務評定が見つかって二日酔いで欠勤などと書かれてあったとか、だから奴隷のはずはないという。毎年暮にスペシャル放送する吉村作治氏関係の番組で御馴染みではないか。まだ定説ではなかったのか?奴隷による建設という通説は未だ世界の主流だったのか?



ブログランキングに参加しています。
貴乃花光司 近頃の現象[三百三十四]
固い決意は止められず
貴乃花親方(37、元横綱)が8日、初場所後の日本相撲協会理事選に、二所ノ関一門を離脱して「無所属」で出馬することを表明した。現職理事の放駒(61、元大関・魁傑)、二所ノ関(61、元関脇・金剛)両親方らは、初めて立候補する鳴戸親方(57、元横綱・隆の里)より大幅に若い貴乃花親方を翻意させようと動いたが、決意は固かった。二所ノ関一門は初場所10日目の19日に再び会合を開き、対応を協議する。(毎日新聞)
【雑感】貴乃花親方の決断に喝采をおくる若手親方やファンがいる一方で、「なんで?」と戸惑う古参親方や古くからのファンもいる事だろう。
外国人力士が幅を利かせる中で、正統派日本人力士として一時代を築き大鵬に次ぐ大横綱として君臨した貴乃花、一代年寄の栄誉、伯父は横綱若乃花にして第6代理事長二子山親方、父親は名大関貴ノ花、37歳の若さで役員待遇として理事会出席を許されている中枢幹部、未来の理事長職が約束されているようなものなのに何故一門離脱までして理事選挙に出るのか理解に苦しむ人も少なくない。
また先輩親方からしてみれば、いくら現役時代は大横綱で大功労者であっても、親方としてはまだ1人も幕内力士を輩出させた実績が無い駆け出し親方だ。もし横綱大関を狙える勢いの弟子がいれば、逆に大相撲建て直しの切り札として一門のほうから貴乃花親方に出馬要請しただろう。今は弟子の育成に専念して親方修行の段階だという批判は当然あったはずだ。理事として協会運営に関わるようになれば、部屋を見れなくなる。ただ、かつて幕内力士10人を抱え角界に君臨した二子山部屋の後継なのか部屋付親方が2人いる。師匠の貴乃花親方が不在でも弟子の面倒はみれるが。
それとかつてほどではないにしても、一門から離脱すれば他部屋への出稽古はやりにくくなる。今でも他の一門との交流稽古はあまり無いと思う。現在は小さな世帯となった貴乃花部屋で弟子が強くなるには出稽古も必要なのだが、大丈夫なのだろうか?



ブログランキングに参加しています。
「女子高生VS狼男」 おバカになって愉快になろう〔26〕
興味深い俳優が出演している。
【原題】NEVER CRY WEREWOLF
【公開年】2008年 【制作国】加奈陀 【時間】91分
【監督】ブレントン・スペンサー
【原作】
【音楽】マイケル・リチャード・プロウマン
【脚本】ジョン・シェパード[監督]
【言語】イングランド語
【出演】ニーナ・ドブレフ(ローレン) ピーター・ステッビングス(シャレド) ケヴィン・ソーボ(レッド・タッカー) スペンサー・ヴァン・ウィック(カイル) ショーン・オニール(スティーヴン) キム・バーン(-) メラニー・レイシュマン(アンジー) ラザフォード・グレイ(-)
【成分】笑える 不思議 パニック 不気味 かわいい セクシー コミカル 狼男 ホラー 喜劇
【特徴】ホラーというよりは、少しお色気があるコメディ。パッケージイラストでは日本風の女子校生の制服を着た少女が弓矢で武装して仁王立ちになっているが、そんな場面は無い。前半は妖しげなホラーとして丁寧に物語が展開していくが、後半から急展開して戸惑う。
あのカナダのスタートレックと呼ばれているSFTVドラマ「アンドロメダ」のデュラン・ハント艦長が狂言回しの貧乏臭い役で大立ち回りをする。ファンにとっては貴重映像。
ヒロインのブルガリア系カナダ人ニーナ・ドブレフ氏はけっこう私のタイプである。
【効能】男性はニーナちゃんの初々しさに萌え、女性は狼男のピーター・ステッビングス氏の妖しげな魅力に萌えかもしれない。
【副作用】出演者たちに思い入れの無い人にはクダラン映画。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
田村淳 近頃の現象[三百三十三]
結婚へ前向き!
歌手・安室奈美恵(32)との熱愛が発覚したお笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳(36)が7日午前、旅行先の米サンフランシスコから韓国経由で帰国、真剣交際を認めた。これまで多くの女優らと浮名を流してきたが「これからは生まれ変わって。自分自身が変わらないといけない」と自称400人斬り男が“脱・プレーボーイ宣言”で、安室へのいちずな愛を誓った。結婚についても「お互いの感情が高まれば…」と前向きに語った。(スポーツ報知)
【雑感】一介のお笑い芸人から芸能界の一翼を仕切る「大御所プロデューサー」のような存在になっていく者、50代では文句なし島田紳介氏だろう。私と同じ40代では内村光良氏、そして30代では田村淳氏がなっていくのではないかなぁと思っている。
安室奈美恵氏、もう30を超えたのか・・。童顔でスレンダーだから、今でもハイティーンか20代前半のような感じがして意外に思ってしまう。
そういえば20年近く前だったか、芸能オタクの友人が「アムロちゃん、アムロちゃん」というから、「なんやこいつ、ガンダムのアムロに何をちゃん付けしとんねん、気持ち悪い」と思ったものだ。暫くして安室奈美恵が大ブレイク、まだ14か15、「うわぁ、あいつ中学生の女の子に懸想していたのか!」と驚いた私も、いつの間にやら彼女が出演する歌番組を録画したり、CD買ったり、写真を集めたり・・。
ちょうど歌謡界は芸能アイドル路線から歌唱力を要求するJポップ路線へと切り替わる時期でもあったと思う。可愛らしさ優先、歌が下手糞でも取り敢えずレコード出してみよう、そんな時代が終わりつつあった。そこへ眉間にしわを寄せながらパワフルに歌う女の子は新鮮だった。
大ブレイクの反動から一時期は大波乱の状態だったが、近頃は安定した歌手活動を確立しているように見える。
お互い様々な経験をして現在の地位を築いた芸能人、ノリカ・陣内カップルのような不景気な話にはなってほしくない。とにかく影響力のある芸能人の結婚は、もはや両性の個人の問題ではないのだ。経済問題である。現実に影響がある以上、公共の利益に配慮する責務がある公人だ。ゆめゆめ不景気な話で終わらせるんやないで。



ブログランキングに参加しています。
シー・シェパード(2) 近頃の現象[三百三十二]
シー・シェパード船衝突で-豪
米反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)の妨害船「アディ・ギル号」が南極海で日本の調査船と衝突し大破した出来事により、オーストラリアで反捕鯨世論が一段と強まる恐れが指摘されている。豪州ではSS寄りの報道が目立つ中、豪政府は7日、衝突状況などについて調査する方針を明らかにした。(時事通信)
【雑感】神から「海の羊飼い」の使命を代行していると信じて疑わないシー・シェパードにとっては、衝突は妨害工作の1つの選択肢だろう。神の名に於いて捕鯨船に天誅を下したいところだが、しかしそれよりも自ら身を呈して捕鯨をやめさせようとしたところ構わず衝突してきて大破するに至った、彼ら彼女にとっては警告に従って捕鯨船は日本へ回れ右すれば事故は起こらなかった、責任は日本の捕鯨船にあると思っているはずだし、この「事故」によってシー・シェパードのメンバーたちは殉教者精神を讃えられ更なる反捕鯨・反日の世論を煽ることができる。
百歩譲って、いや公海上のことだから千歩譲ってと言った方が良いだろう。遠洋での捕鯨は駄目としても、彼ら彼女たちは日本の和歌山県に上陸し、日本の領海内で行っている捕鯨やイルカ漁にまで妨害工作を行っている。私にはこの精神構造はキリスト教にあるのではないかと疑う。
聖書の知識がある方はお判りのように、「シェパード」とは犬ではない。「海の猟犬」ではなく「海の羊飼い」である。主は羊飼い、彼ら彼女たちは神の御心に従って海の羊飼い足らんとしている。仮に世界中の海が鯨で溢れても鯨の「人権」を守るだろう。
初詣の参拝客に向かって他宗教批判を行うキリスト教徒の布教者たち、異端や異教を断固として認めない態度、これが世界史に於いて多くの悲劇を生んでいるのにその反省が無い。そんな精神が日本の主権がある海域までも出張って妨害とネガティブキャンペーンをする反捕鯨活動家の根底にあると私は疑っている。



ブログランキングに参加しています。
「龍馬伝」(2) TVドラマ評[五]
【雑感】「龍馬伝」で気がついたことの1つにメイクがこれまでの時代劇と異なる事、特にカツラである。できるだけ自毛の生え際を活かしたナチュラルメイクを心がけていた。特に主役の福山雅治氏は実際の坂本龍馬の写真に見られるような癖のある総髪になるよう、龍馬役を引き受けたときから髪を伸ばしていた。
既に90年代前半からNHKの「大河ドラマ」「金曜時代劇」で女優は半カツラを使用するようになってきた。半カツラとは頭をすっぽり覆うカツラではなく、自毛の生え際を活かしながら髪の量を増やす道具である。江戸時代の髪型にしようと思うと、腰の辺りまで髪を伸ばさなければ十分でない。現代の女性でそこまで伸ばしている人は少なく、どうしても髪の量を足さなければならない。
これまではよほど長い髪で無い限りはカツラを被っていた。そのため、演じている女優たちは全員工業規格化された狭い富士額になってしまった。さらに女性なのに耳たぶの辺りまで揉み上げが生えているという不自然さ。私は広い額の女性が好きなので、せっかくの美額が時代劇のカツラで台無しになってしまうのが不愉快だった。耳の鬢の生え方やうなじの少し濃い産毛もセクシーポイントだが、カツラによって隠れてしまう。
ところが、近年は急速に半カツラが多くなり、よほどのショートカットでない限りはナチュラルな生え際の島田髷にしている。大河ドラマ常連の沢口靖子氏も90年代初めの「太平記」では全カツラだったが、2000年代の「新選組!」ではナチュラルな島田だった。
ところが、女優と違って男優のメイクはなかなか自毛を活かすことができなかった。男性となると平均して髪が短い。本気で丁髷を結おうと思ったら肩甲骨辺りまで髪を伸ばさなければならないが、そこまで伸ばしている男はハードロック歌手ぐらいだろう。女優は長い髪のほうが様々な役柄に適応できるが、基本は短髪の男文化では男優は特徴のありすぎるロンゲになかなかできない。
さらに戦国時代後期ごろから頭頂部を剃る習慣が一般的になっていくので、月代メイクは避けて通れない。だからどうしても全カツラにならざるを得なかった。よくある不自然さは、頭頂部が妙に盛り上がっていたり、顎まで伸びる太い揉み上げ、首筋の不自然な後れ毛。
幕末明治維新時の侍の写真をみればわかるように、時代劇の侍と違って耳の辺りや頭頂部がスッキリしている事に気がつくだろう。勝海舟や福沢諭吉の写真などが判りやすいが、揉み上げを綺麗に剃っている。
今回の「龍馬伝」では福山龍馬以外の男優も耳の辺りの生え際をナチュラルに見せるよう配慮している点である。このちょっとしたメイクで臨場感や随分違ってくる。通常の時代劇では鬢付け油や化粧の臭いが漂ってきそうだが、今回のメイクは幕末の体臭が匂ってくる。そう、時代劇の晴着臭ではなく幕末の汗の匂いである。



ブログランキングに参加しています。
藤井裕久 近頃の現象[三百三十一]
国家戦略相は仙谷氏兼務
鳩山首相は6日、体調不良を理由に辞意を示した藤井裕久財務相(77)の辞任を了承し、後任に菅国家戦略相の起用を決めた。
菅氏の後任の国家戦略相は、仙谷行政刷新相が兼務する。 (読売新聞)
【雑感】確かに職制上では堅実で無難な人事だ。財務省は国庫を管理し各省庁に運営資金を配分する要の役所なので、実務面では省庁の首座だ。したがって財務相も首相に次いで権限と影響力があり、これまで次期総理候補や総理経験者が担当することが多かった。閣僚ナンバー2の副総理であり、鳩山総理の下で閣僚たちを束ねる国家戦略相を務めている菅直人氏が財務を担当するのは至極当たり前だ。
ただ、懸念されるのは経済政策について菅氏は未知数であるということ。それと私が気になるのは左派護憲系列の市民運動出身者であるところだ。この手の市民運動の業界は、それら主義主張を代弁している社民党の言動を見れば判るように傾向として「経済」「利害」を軽く見る。ヒューマンで立派な意見が多いのは結構だが利害関係の恐ろしさを敢えて無視したり知らなかったり、理念優先になりがちだ。もちろん、その中で管氏は実務面でも頭角をあらわした人物なのだが。
対して藤井裕久氏は財務省の前身旧大蔵省の大臣経験者であり、さらに大蔵省の要の主計局の官僚だった。そのうえ高級官僚養成大学ともいえる東大法学部を出ている。意味なく輝かしい肩書きを並べたのではない。これは藤井氏の財政通であり官僚にも睨みが利く能力を現している。
田中角栄のように学歴の後ろだて無く自分の実務能力と実績を頼りに蔵相を経験し首相にまでなった人はいるが、そんな人は稀だ。学歴の無い人間がトップに立つという事は学歴がある者以上のスーパーマンにならなければならない。
凡人の身になって想像してみよう。子供のころから勉強漬け受験漬けで東大法学部を出て首尾よく日本を支配する財務官僚になった平々凡々の秀才が早稲田慶応あるいは東京工大出身の大臣の下で働くとどんな気持ちになるのか。仮に角栄のように「小卒」という極端な例なら逆に自分に無い能力を感じ羨望を持つかもしれないが。判りやすくいえば、若くしてトップに立ったタイガー・ウッズ氏や石川遼氏なら「凄い」と納得できるのに、自分より2・3級程度下で日陰にいた後輩が突然自分の前に立つのは納得できないものである。
凡人が従いやすいのは自分たちと同じ道で極めた「先輩」である。東大法学部・大蔵省主計局出身の藤井裕久氏は官僚への重石になるし、長い議員歴と蔵相経験は閣僚に対しても重石になる。
そういう意味で菅直人氏では官僚も財界も不安がるかもしれない。経済についてのコメントは好意的にいえば楽観的で、中立的にいえば未知数、悲観的にみれば無知素人ということになる。



ブログランキングに参加しています。
井伊直弼 近頃の現象[三百三十]
埋葬状況解明へレーダー探査
東京・世田谷の豪徳寺にある幕末の大老・井伊直弼(なおすけ)(1815~60年)の墓について、世田谷区教育委員会は、墓を改修するのに伴い、地中レーダー探査を今週、行うことを決めた。(読売新聞)
【雑感】幕末の時代劇には必ずといってよいほど登場する大物政治家である。大河ドラマで暗殺される場面を何度観たことか。今回の調査は井伊直弼の遺体がどんな状態なのかを確認するのも目的だそうだ。なにしろ暗殺事件後幕府も彦根藩も大荒れ、襲撃の犯人たちが首をとって持ち去ったとの説も有力であるが、確認されていない。
さて、大河ドラマ「龍馬伝」がスタートし、おそらく大老井伊直弼暗殺事件もエピソードいれるだろう。このドラマでは誰が井伊大老を演じるのか?
よく時代劇では50代後半から60代の俳優が演じることが多い。しかし、実は若いのである。将軍を除けば幕府の最高職である大老に就任するのが42歳、暗殺時は満44歳、ということは今の私と歳はあまり変わらんのだ。俳優でいえば阿部寛氏・高嶋政伸氏・東山紀之氏など。
当時の平均寿命が40代だ50歳だから40代は「老人」だと勘違いする輩がいるが、容姿だけをみれば今も昔も40代は変わらんのだ。現代と違って昔は乳幼児の死亡率が高かったし、現代の医学なら通院するだけで治った病気や怪我でも当時は命を落とすこと多々あったろう。若年層や40代以降の傷病死リスクが今と違ってかなり大きかったから平均寿命が短かったのである。また現代人なら当たり前のように70年・80年の人生設計を考えるので、40代でもまだまだ学生気分が抜けられない人間もいるが、当時の40代は人生の制限時間というものを意識していた、そんな違いはあるだろう。
それともう1つ、栄養と衛生状態の悪い最下層の庶民なら、幕末の40代は今より老け込んでいたかもしれないが、井伊直弼の場合は当時の最上流家庭で育った。しかも本来家督を継ぐ事はありえない十四男、30代前半まで部屋住みで学問や武芸三昧で過ごしたのだから、案外現代人に近い生活水準だったかもしれない。
(執筆中)



ブログランキングに参加しています。
よなよなエール ビールは偉大な発酵食品だ

【雑感】年末年始となると酒を飲む機会が格段に増える。平素は晩酌に瓶ビール1本だけで済ます。特に旧年は経済危機のあおりで晩酌を制限され、ドイツ製の陶器のビールジョッキで麦茶を飲む毎日が続いた。
しかし正月くらいは誰はばかり無く昼間から酒を飲みたいものである。
さて、写真は軽井沢の地ビール「よなよなエール」である。今や地ビール業界では老舗となったヤッホー・ブルーイングの代表銘柄だ。
はじめて飲んだのは今から10年以上前だったか、90年代末のビールサミット会場だった。まだ20代前半くらいの女優の土家里織氏に似た可愛らしい広報係にすすめられて飲んだ。なんでも「夜な夜な飲んでほしいビール」とか。
日本のビール業界では珍しく上面醗酵のイギリス式エール、柑橘系のフルーティな香りが特徴だ。色はピルスナーよりはやや濃い茶色、だがイギリスのペールエールよりは淡い。
地ビール業界ではいち早く缶ビール化をして全国展開していた。今では近くのスーパーや酒屋でも並んでいる場合がある。値段も地ビールにしてはリーズナブル、たぶん最も手軽に飲みやすい地ビールではないか。正月は夜な夜なビールを飲んだ。
因みに「龍馬伝」は土佐鶴を飲みながら鑑賞。



ブログランキングに参加しています。
駅長たま 猫がいる風景

2008年2月22日晴雨堂撮影。今回の「昇進」で帽子の金線が2本になる。
和歌山電鉄(和歌山市)は3日、貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市)の駅長を務める10歳の雌猫「たま」を執行役員に任命、辞令を交付した。同社によると、猫が鉄道会社の役員に就くのは「世界初」。駅長は執行役員と兼務でそのまま続ける。(毎日新聞)
【雑感】猫1匹のおかげで、赤字ローカル線が一躍観光名所になったのだから、たま様様だ。いっそ、貴志駅周辺を猫の町にしてしまってはどうだろう。駅前に喫茶店をオープン、店名は宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」に登場する「山猫亭」だ。ウケると思うが。



ブログランキングに参加しています。
「龍馬伝」 TVドラマ評[四]
「天地人」は下回る
3日から放送が始まったNHK大河ドラマ「龍馬伝」の初回視聴率が23.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録、前年の「天地人」の初回視聴率24.7%を下回った。(毎日新聞)
【雑感】掴みは「まあまあ」「こんなもんやろ」「そこそこ」とっいった感じか。私は最初から完璧を求めていないので、悪くないと思った。
一応土佐人として視聴率が気になるが、幕末明治維新を扱った大河ドラマは視聴率が低くなる傾向は以前からあるので仕方がないと諦めよう。世間様は勧善懲悪仕立ての時代劇を好む。幕末明治維新では誰が悪役かわからない政治ドラマだから敬遠されるのだ。
以前の大河ドラマで西郷隆盛と大久保利通を主人公にした「跳ぶが如く」あった。字幕スーパー付で薩摩言葉をリアルに取り入れた意欲作だったが全国平均の視聴率は低かった。但し、鹿児島県での視聴率は80%だが。
しかしNHKはそれでいい。民放ならスポンサーが手を引かれると放送中止になるだろうが、天下の大河ドラマは目先の視聴率なぞ気にしない。放送期間は1年、佳境になれば視聴率も上がってくるだろう。全国ネットで我が郷里を1年間宣伝してくれるのだ。20%でも小さくはない。
さて、物語の完成度について気のついたことを述べよう。
昨日今日に始まったことではないが、演技力に問題のある「若手俳優」が若干名いて背筋が痒くなった。また近頃の俳優はチャンバラが下手なのも気になる。チャンバラ遊びをする人がめっきり減ったので仕方が無いか。
福山雅治氏と香川照之氏はさすが「龍馬伝」の主役をはるだけあって気合は入っていた。坂本龍馬は全国に熱烈なファンがいる。特に高知では龍馬を国興しのヒーロー、下手な演技をするとクレームの嵐となるだろう。特に龍馬はカッコ良過ぎてもダメだし、ダサ過ぎてもいけない。下手な土佐弁はNGだ。福山氏はよく頑張ったのではないか。
香川照之氏の岩崎弥太郎はグッド。岩崎は当時地下浪人で法的には藩士ですらない最貧状態、歯を汚く茶色にメイクするなど、貧乏ぶりを徹底して演出している。TV時代劇は晴着を着た庶民が登場する不自然さがつきものなのだが、このこだわりは感動だ。
龍馬のドラマは数多く制作されているが、今回は岩崎弥太郎が語り部として龍馬を物語る趣向、これも良い演出である。
そういえば、本宮ひろ志氏が岩崎弥太郎を主人公にした漫画「猛き黄金の国」を描いていた。この作品では初顔合わせから龍馬と弥太郎は仲が良く、弥太郎は弟分のような立場で龍馬を尊敬する設定だった。「龍馬伝」では険悪な関係からスタートか。



ブログランキングに参加しています。
雑煮 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十一]

【雑感】坂本龍馬で思い出した。我が家の雑煮は代々鰹からとった出汁の澄し汁が基本である。味噌は入れない。これは高知県特有らしい。
母の実家も連れ合いの実家も雑煮は味噌仕立てで具沢山なのだが、我家は餅と菜っ葉があるぐらいでシンプル。母が嫁ぎ先の風習に従ったのと同じように連れ合いも従ってもらった。不公平かもしれないが、民主主義や人権思想だけでは郷土文化は守れない。あれこれ理屈を捏ね繰り回された挙句に何も決まらない進展しない事が多く、昔からの慣習や順序に従ったほうが安定するのである。連れ合いの実家の文化は義弟夫婦が引き継ぐので問題は無い。
もともとは山内一豊の影響からなのか角餅を入れるらしいが、我家は昔から丸餅だったように記憶している。今回は年越し蕎麦の余りのニシンの煮付があったので具財に加えた。蒲鉾が無かったので竹輪で代用した。
高知の正月料理はこれに鯖寿司や昆布の巻き寿司などがついた。というか、子供のころから「おせち料理」というものを食べたことが無い。大概は鯖寿司、大家族であったり人が大勢集まるような家庭では皿鉢(さわち)料理がドンと食卓を華やかにする。



ブログランキングに参加しています。