金妍兒(4) フィギュアスケート[三十七]
バンクーバー五輪のフィギュアスケート女子で金メダルを獲得した金妍児(キム・ヨナ)は25日、今後の去就について「五輪が終わったばかりなので、将来に何をすべきか決断はしていない」と話した。報道陣の「引退やプロ転向を考えているのか」との質問に答えた。(毎日新聞)
【雑感】「もう一度(オリンピックに)戻って行きたい」と即答した浅田真央選手とは対照的に金妍兒選手は明言を避けた。やはりな。
私としては、あと4年だけ真央ちゃんと2人でフィギュアスケートを盛り上げ、東アジア経済に貢献してほしいと思っている。妍兒ちゃんが居ないオリンピックで真央ちゃんが金を獲ってもつまらん。



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真央と妍兒(3) フィギュアスケート[三十六]
バンクーバー冬季五輪は第14日の25日(日本時間26日)、フィギュアスケート女子のフリーで、浅田真央(19)=中京大=が自己ベストの合計205.50点で銀メダルを手にした。ショートプログラム(SP)、フリーともに歴代女子世界最高をマークした金妍児(キム・ヨナ)(19)=韓国=が228.56点で初優勝した。(毎日新聞)
【雑感】下馬評では、真央と妍兒が「金」を狙い、ミキティとロシェットが「銅」を狙う。特に大きな番狂わせもなく、概ね予想通りの展開と結果だった。しかし、トップを競い合った選手たちの獲得点数は凄い。前回のトリノとは全く次元と世界が違う。
もし、安藤美姫選手がバンクーバーの演技をトリノでやっていたら、メダルを獲ることができただろう。非常に失礼なことを言うが、荒川静香氏の金メダルよりも浅田真央選手の銀のほうが遥かに重く価値がある。荒川静香氏のトリノには、フィギュアの神様がとり憑いた金妍兒氏のような選手はいなかった。おそらく、荒川氏自身も同じ意見ではないだろうか。銅メダルのロシェット選手も200点超えを果たした。以前のオリンピックなら金メダルだ。
妍兒ちゃんの神懸り的演技の後で、真央ちゃんは果敢にトリプルアクセルで追撃する。今にしてみれば、赤と黒の衣装にラフマニノフ前奏曲「鐘」は適切な選択だった。金妍兒選手と互角に対抗することを考えたら、今までのような明るい美少女キャラ的なプログラムでジャンプを繰り出すだけでは弱い。昨年はやたら暗い感じがしたが、もし今までの朗らかプログラムで勝負したら金妍兒選手の演技に見劣りしただろう。
前半は「おおっ凄い」と一声出そうな良い調子だったが、中盤、何があったのだろう? 氷にスケート靴の歯が引っかかったような感じがしたが。バランスを崩し後半のトリプルを省略してしまった。ラストのキメのポーズは両手を大きく万歳して天を見上げるのだが、なんだか「ああ・・、私の金メダルが消えていく・・」と悲痛な叫びのように見えて痛々しかった。
あんなミスをしながらも205.50点、自己最高点を更新した。技量は格段に上がっている、ただ妍兒ちゃんのスピードについてゆけなかったのだ。たとえ、ノーミスの完璧演技でも金妍兒選手の228.56点に届かなかったと私は思う。
泣きながらインタビューに応え、表彰台で銀メダルの栄誉に輝いても真央ちゃんは愛想笑いを浮かべるだけで、悔しさと寂しさが入り混じったような表情は抜けなかった。隣で金メダルの妍兒ちゃんは感極まって嬉し涙を流している。
ふと、思った。妍兒ちゃんは19歳の若さで頂点に立った。彼女の世界はもはやフィギュアの天空である。もし私が妍兒ちゃんなら、脱力感に襲われてフィギュアスケートを引退し別の人生を歩むことを考えるだろう。もう上が無いのだ。フィギュア選手としての具体的な目標といったら世界最高得点を更新させたり、オリンピックやグランプリを連覇するくらいしか残っていない。女王の座を維持するのは、初めて金メダルを獲った喜びよりはインパクトが無いし、モチベーションの維持が辛いのではないか。
対して真央ちゃんは、まだ金メダルという目標がある。金妍兒に勝つという目標がある。仮に今回のオリンピックでノーミス・パーフェクトな演技をやっても金妍兒に及ばず銀だったら、同じ銀でもあまり悔しさは感じずミキティや鈴木明子選手のように晴れ晴れとした顔になっていたかもしれない。笑顔で表彰台にのぼり喜々として銀メダルの栄光を受けたのではないか。
アクシデントなのかミスなのかは素人には判らないが、真央ちゃんにとってはなはだ納得のいかない演技になってしまった。この失敗による悔しさが次回オリンピックへの目標を忘れさせない作用がある。金を獲る、妍兒に勝つというモチベーションを維持させる。
悔し涙を流す真央ちゃん泣き顔、銀メダルを首にかけてもらっても視点が定まらない消沈した顔、痛々しいが頼もしく思える。むしろ心配なのは世界第一人者となってしまった妍兒ちゃんのこれからの4年間だ。



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冬季オリンピックに思う 近頃の現象[三百六十一]
ボブスレー女子2人乗りは地元カナダがワンツーフィニッシュ。最終滑走のAチームが優勝を決めると、ゴールで待機していたBチームも大喜び。冷たい雨が降る会場は熱気に包まれた。
Aチームのそりを押すモイズは女子ラグビーのカナダ代表で、2006年の女子ワールドカップ(W杯)でトライ王に輝いた経歴を持つ。アルペンから転向した操縦者のハンフリーズは「これ以上の結果は起こり得ない」と感激の面持ちだった。(共同)
【雑感】ふと日本のボブスレーを思い出した。日本では昨年の事業仕分けで「競技人口の少なさ」を理由に補助金打ち切りを仕分け人から要求されている。
事業仕分け担当者の仕事はあくまで切れそうな事業は悉く切る事であるので、必要の無いと判断できる材料が少しでもあるとカットするために事業の無価値要素をあげつらう。そんな姿勢でないと仕分けはできないのは理解している。
論理的には部屋の掃除と同じで、限りあるスペースであれもこれも大事なものと言っていたら、部屋はモノで溢れてしまう。私はモノを棄てられない性格なので、いつも連れ合いと口論になる。彼女は年賀状でさえも一昨年のものは棄ててしまう人だ。年賀状の送り先のデータとして一年間保管するだけ。私はファイリングして未来永劫「文化遺産」として保存する人間である。
さて、ボブスレーの事だが、仕分け人の任務としてカットを目指すのは当然としても、ゼネラリストたる政治家たちは果たしてそんな判断をしていいのか疑問だ。
というのも、4人用ボブスレーだったか? ある男子ボブスレー競技の選手はオリンピック代表選手であるにも関わらずオリンピック間近なのに居酒屋で働いていたという。本来なら練習したり調整したりすべき時間に居酒屋でビールジョッキを客が待つテーブルへ運んでいるのだ。オリンピックで日本国を代表して参加する栄誉ある選手に対して、些か粗末な扱いではないか。職場が支援し、選手もその恩義で働いているというから、そこはやはり国を代表する選手に相応しい待遇を国家権力が提供するべきで、それが国家権力が持つ値打ちの一つではないのか。
こないだ、国母和宏選手が今どきの中高生のような腰パンスタイルでいたとき大変なバッシングを受けた。なぜバッシングを受けたか、それは国を代表し日の丸を背負っていたからだ。国を代表して参加すべき大会で「だらしない」と思われる格好をすることは、国民全員および他国の選手にも喧嘩を売っているととられかねない。
オリンピックは、いろいろ理想論はあるが、事実として国および国に準ずる地域による対抗戦である。表彰式にはトップ3の選手が所属している所属している国の旗が掲げられ優勝選手が所属する国の歌が演奏される。選手個人の大会ではないのだ。
しかし、国を代表して競技に臨むボブスレー選手たちを国や国民が粗末に扱うのであれば、国母和宏選手をバッシングする資格も筋合いも無い。
素人考えでは、脚光を浴びている競技は黙っていても銭が集まる。企業や民間有志がスポンサーに付くし、浅田真央選手ほどになれば自らCMに出て費用を捻出できる。日本ではマイナーな競技となっているボブスレーこそ国家権力が面倒を見るべきではないのか。裾野を問題にしたら、解釈の仕方によっては野球とサッカーと相撲しか補助金は出せなくなってくる。
それにボブスレーだけでない。今や優勢に競技を展開しているはずのフィギュアスケートでさえも、果たして国の後ろ盾は十分なのかどうか疑問である。現に地元関西では大阪府立臨海スポーツセンターのスケートリンクが経営危機となっている。一時期閉鎖騒ぎがあり、高橋大輔選手をはじめ有志たちが運動を起こしたおかげで閉鎖話は遠ざかったが、今度は府の資金凍結の話だ。さすが橋下知事は政治家、どっちにも転ぶ含みを残していて一筋縄ではいかない。
練習環境が悪化すれば、それは競技人口の減少を意味し、競技人口の減少は全体のレベルにも響く。メダルどころではない。
オリンピックでメダルとれ、金は出さん、では無茶を言いすぎだろう。隣国韓国では着々と躍進しているのだ。ある意味、金にならない、金が出て行くだけの名誉で大半の日本人選手たちがオリンピックに出場しているのは快挙かもしれないが。
日本国政府よ、JOCよ、選手たちの競技だけでなく、国や自治体がどれだけ補助金を出したのかも採点基準に入れるようIOCに強訴するかね。



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豊田章男 近頃の現象[三百六十]
豊田章男社長の低姿勢に好感も…米公聴会
トヨタ自動車の豊田章男社長は24日の米下院の公聴会でトップ自ら謝罪と反省を繰り返すことで、大規模リコール(回収・無償修理)問題の収拾の糸口にすることを狙った。議会側は豊田社長の低姿勢ぶりは好感したものの、肝心の欠陥隠しの有無などでもあいまいな答弁には、いら立ちを隠さず、トップ登場が米国でのトヨタ不信一掃につながったとは言い難い状況だ。(毎日新聞)
【雑感】豊田章男氏は良い戦術を取った。公聴会では通訳を介して日本語で議論と釈明を展開したのだ。豊田氏に英会話能力が無い訳ではない。高校時代と大学時代にアメリカへ留学し、アメリカの大学院で経営学の学位を習得している。MBAだから、日本ではこれにぴったり合致する学位は無いが、修士あたりに相当する。だから、その辺の英会話教室に通っている人たちよりも達者であり、しかも専門的な話も英語でできる人なのである。
ところが敢えて通訳を介す方法をとった。会話能力と議論能力は別であり、下手に喋れるからと英語で挑戦するとエライ目にあう。アメリカの法廷劇や政治劇を観れば一目瞭然だろう。激しい突込みが展開されるのである。予定調和で完結しがちな日本の国会や会議とちがって、言葉による戦争だ。日本ではせいぜい声が大きな奴が勝ったり、相手により多く酒を飲ませた奴が勝つ、口喧嘩のレベルだが、アメリカは戦争だ。口喧嘩でも言葉の格闘試合でもない、戦争である。
特に中間選挙を控えているので、トヨタと利害対立している地域から選出された議員などは、ここぞとばかりに正義の騎士ぶりを有権者にアピールする絶好の機会である。普段よりもテンションは高く、攻撃も苛烈を極めるだろう。「悪の帝国トヨタを追い詰める有能な議員」というイメージを出そうと必死だ。
しかし、難しい込み入った議論はできないとして通訳を介す方法をとれば、発言を通訳する間(ま)が生まれる。その時間を有効に利用して、米議員たちに土俵際に追い詰められても態勢を立て直す時間をつくれる。下手に正面から論破を試みたら揚げ足を取られて悪の商人に仕立て上げられる。ひたすら低姿勢で嵐が過ぎるのを耐えるしかないのだ。
せっかく景気が下げ止まりつつあるときにトヨタの損害は製造業に身を置く私としても怖いのである。ここは乗り切ってもらいたいものだ。
豊田章男氏には好感を持っている。トヨタ建て直しのために社長になったので単なる世襲社長ではない。営業畑の人間だが、製造業の現場で行われているQC活動や改善活動を営業にも導入したり、自身も車が好きで国際C級ライセンスを持っているから、全く製造現場や技術開発の現場を知らない人間ではない。ゼネラリストとして正しい姿勢をとってきている点は好感を持つ。



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金妍兒(3) フィギュアスケート[三十五]
ライバルの好演技に動揺
バンクーバー冬季五輪のフィギュアスケートで優勝候補の金妍児(キム・ヨナ、19)=韓国=は23日、78.50点の歴代最高得点で首位発進したショートプログラム(SP)を振り返り「真央が完璧だったので、少し心配だった」と演技直前の心境を明かした。(サンケイスポーツ)
【雑感】それが正直なところではないのかな。人間というのは幾ら齢を重ねてもなかなか達観できないものだ。ましてや20歳前の人間には。
コメントに幼さが残る真央ちゃんに対して、妍兒ちゃんはかなり大人びた印象を受ける。しかし受け答えが大人びているからといって、精神的に強いからといって、老成しているとは限らない。というより、妍兒ちゃんもやはり真央ちゃんと同じく19歳の女の子である。
ライバルは誰かと聞かれて、金妍兒選手は「いない。私自身がライバル」と答えていた。えらい悟った言い方だなぁ、と思った。妍兒ちゃんに対抗心を抱く日本人のフィギュアファンの中には「真央ちゃんはライバルではないってか。お高くとまりやがって」と思う者もいるだろう。
しかし、他選手を完全に気にしなくなるほどデキた人間にはなかなかなれない。たとえ第一人者金妍兒選手であってもだ。同時に第一人者であるだけあって勝負の厳しさも自覚している。記者会見で「勝利の神に選ばれた者が金をとり、それがどんな結果でも受け入れる」という趣旨の発言をしている。
日本の女子フィギュアを例にとれば、鈴木明子選手が代表になるなんて昨年の夏の時点では想像できなかった。代表が決定される直前まで、真央・ミキティ・友加里の3人だと多くが信じていた。オリンピックで友加里ちゃんのドーナツスピンが見られないシチュエーションを想像できた人は少数だったはずだ。それが鈴木選手奇跡の復活。
前回のトリノにしても、注目は安藤美姫選手に集まっていて荒川静香選手は殆ど注目どころか、世間は名前すらろくに認識しなかった。金メダル本命選手が次々と転倒する中で荒川選手だけが残り、まさかの金を獲った。彼女の十八番イナバウアーも彼女が金を獲ってから評判になった。
オリンピックというのは、何が起こるか判らない。そして自分に何かアクシデントが起こったとき、追い抜ける位置にいるのがカナダのロシェット選手と、同い歳で何かと比べられる浅田真央選手だ。気にならないはずがない。真央ちゃんが70点台を叩き出した時、険しい顔付きになりコーチに思わず苦笑いを投げた瞬間はTVで放送されている。
「ライバルはいない。私自身がライバル」は自分に言い聞かせているように見える。
対して浅田真央選手は素直にライバルであることを認めている。「歳も同じ、生まれ月も同じ、身長も同じ、運命なのかな」と。今回のSPを終えた記者会見でも「いつもは10点くらい離されているのに、今回は5点くらいなので、少しは金妍兒選手に近づけたかな」「金メダルをとりたいです」といったように素直さを前面に立てた受け答えだ。
プレッシャーは追われる側のほうが強い。あくまでナチュラルな体で挑む真央ちゃんと、気のせいかもしれないが19の人間にしては精神的に無理をしているような気がする妍兒ちゃん、これがフリーで吉とでるか、それとも・・。



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真央と妍兒(2) フィギュアスケート[三十四]
バンクーバー冬季五輪第12日の23日(日本時間24日)、フィギュアスケート女子のショートプログラム(SP)が行われ、昨年の世界選手権を制した金妍児(キム・ヨナ)(19)=韓国=が安定した演技で78.50点の高得点をマークし、1位となった。五輪初出場で08年世界選手権覇者の浅田真央(19)=中京大=は、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に成功し、73.78点で2位につけた。(毎日新聞)
【雑感】すごい! 鳥肌が立った。前回のトリノよりも遥かに充実した内容であるのは間違いない。バンクーバーでとった金メダルは、失礼ながら荒川静香氏の金メダルよりも重たい。
当ブログで指摘してきたように、現在の金妍兒選手はフィギュアの神様が憑いている状態、たとえ浅田真央選手がノーミスの演技ができたとしても超える事はできない、2位どまりだろう。SPはまさにその通りの結果になった。
真央ちゃんはノーミスどころか完璧な演技をした。女子フィギュア史上初のSPでのトリプルアクセルを成功させるという大技を成し遂げたことが注目されているが、演目全体の構成も藝術性も真央ちゃんのキャラにぴったりと合って完成されている。まるで春の妖精が軽やかに飛び跳ねながら舞踏会を楽しんでいるような、見事な演技だった。
前にも述べたことがあるが、彼女のジャンプには良い意味で重量感がない。他選手では重たくてスローで氷上にドスンと響くような、腰や膝を痛めてしまいそうな印象を抱いてしまうが、真央ちゃんと妍兒ちゃんにはそれが無い。
2位というのは日本のフィギュアファンから観れば残念な出だしかもしれないが、真央ちゃん本人にとっては満足のいく出だしだろう。審査員や観衆に自分の復調をアピールするとともに、いつもは妍兒ちゃんに大きく差をつけられての発信が今回は5点弱に留まっている、既に妍兒ちゃんを追う側にいる自覚がある者としては、むしろ嬉しい第一関門突破だ。
さて、妍兒ちゃんの方だが、真央ちゃんを見る表情に闘志を隠さないのが素敵だ。今回は真央ちゃんの次に滑走する、目の前で真央ちゃんに70点超えをされた訳だが、その時の近寄りがたいような怖い表情、そしてコーチの方を向いて苦笑い。
スポ根少女漫画的に台詞を入れるとしたら、「おおっ、70点超え、さすがね、やっぱりやるじゃないの。そうでないと面白くないわ」あたりが適当かな。
真央ちゃんによって会場が盛り上がったところに金妍兒選手が登場。やはり第一人者は妍兒ちゃんであることを再確認させる場面でもあった。真央の残り香を一掃してしまったからだ。
真央ちゃんは暖色系の春風のような妖精といった感じで仮面舞踏会を楽しんだようなイメージだが、妍兒ちゃんは寒色系ダークな輝きでボンドガールをテーマにスピード感のある演技をする。私には戦場を滑空するワルキューレのように見えた。妍兒ちゃんのジャンプは真央ちゃんと同様に重量を感じさせないのと同時に、鼻先を引っ叩くような鋭さがあった。終始、小悪魔的な笑顔で演技をしているが、そのウラには阿修羅のような顔を感じる。
今回のフィギュアでは真央と妍兒だけでない、地元カナダのジョアニー・ロシェット選手も70点超えを果たして2人に肉薄している。金髪で端正な顔立ち、鍛えぬかれた筋肉美、まるで「ヨーロッパ人」の美を象徴しているかのような選手だ。近年、東アジア系の選手が台頭している中で彼女は割って入っている。
まるで筋肉隆々のダンサーがキビキビとタンゴを踊っているかのように気品と躍動感があり、ジャンプは2人と違って筋肉の重みを感じさせる迫力。ロシェット選手の演技を観ていると、フィギュアスケートがスポーツであることを改めて思い出す。
今回は競技直前に応援にやってきた母親がたおれ精神的にきつかったはず、タンゴを貴婦人然と演技した直後に緊張が途切れ泣き出してしまう様は、オリンピックにかける執念といったものというより、人生を賭けているような気迫を感じる。
今日のトップ3人は他選手を引き離した孤高の水準だ。3人、それぞれ際立った個性でぶつかる総力戦、普通のアスリート同士の戦いではない。
春の妖精の様な浅田真央選手、阿修羅かワルキューレのような金妍兒選手、欧米の貴婦人ジョアニー・ロシェット選手、3人の基礎技量に差はない。誰がどれだけプラスαの能力を引き出せるか、誰がフィギュアの神様を味方につけるか、それでメダルの色が決まる。
それにしても、こんなにドラマを感じるオリンピックは滅多にない。不謹慎かもしれないが、日韓加で実写かアニメで映画化しても良いくらいである。



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リード姉弟 フィギュアスケート[三十三]
カナダ金 アイスダンス
バンクーバー五輪のフィギュアスケートはパシフィックコロシアムで22日、アイスダンスのフリーが行われた。オリジナルダンス(OD)を終えた時点で16位だった日本のキャシー・リード、クリス・リード組(木下工務店ク東京)は79.30点をマークし、合計で自己ベストの159.60点を記録したが、順位は一つ下げて17位となった。優勝は地元のテッサ・バーチュー、スコット・モイヤー組(カナダ)で、母国にアイスダンスでは初の金メダルをもたらした。(毎日新聞)
【雑感】「伝統的」にアイスダンスも男女ペアフィギュアと同じくロシアが強いが、今回は地元カナダが花を持ったか。
それにしてもリード組、フリーは良かったがショートの衣装は「なんじゃこりゃ!」だった。黒紋付と袴に振袖、「日本」を前面に打ち出したいのは判るし、あの動きにくそうな衣装でよく演技できたと思うが、さすがに脚は動きやすいように丈を短くしたり、袴をステテコ風にするのは奇異に見えてしまう。チンチクリンだ。
スケートに向いている日本的衣装として真っ先に浮かんだのは、黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」で三船敏郎氏と上原美佐氏が来ていた腕と脚があらわのスレンダー山賊風。あっちのほうが良かったのではないか。



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国際捕鯨委員会 近頃の現象[三百五十九]
海域ごとの捕獲数に上限-IWC議長案
国際捕鯨委員会(IWC)は22日、こう着状態となっている議論の打開に向け、10年間にわたり海域ごとの毎年の上限を設定して全体の捕鯨頭数を削減する新しい議長提案を公表した。調査捕鯨を停止する一方、日本が求めている沿岸小型捕鯨の再開を容認する内容。3月2~4日に米フロリダで開催されるサポート会合での議論のたたき台とし、6月の総会で合意を目指す。ただ反捕鯨国の反発は必至で、交渉は難航が予想される。(時事通信)
【雑感】議長提案は妥当だと思う。日本から遠く離れた南氷洋での調査捕鯨は、残念ながら突っ込みどころがある。食糧生産的に時間と労力がかかってコストは高いし、他所の海へ行ってまでの鯨獲りは鯨肉を食べる習慣の無い民族に反発を抱かれやすい。調査捕鯨を止める見返りに沿岸での捕鯨を再開するのは悪くない考えだ。
しかし、反捕鯨国は捕鯨そのものを悪と決め付け、たとえ海域が他国の主権下であってもキリスト教文明の「正義の御旗」の下に干渉し鯨の「人権」を守るべく何らかの行動を起こすだろう。
国際捕鯨委員会、看板に偽りありだ。事実上は国際捕鯨禁止機構となってしまっている。アイスランドと同じように日本も脱退したら良いと思うが。



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女子フィギュア フィギュアスケート[三十二]
注目の大きさ示した「遅刻」
思いはそれぞれに、3人娘が集まった。バンクーバー五輪のフィギュアスケート女子日本代表が20日、現地にそろった。
早速、プレスセンターで最も大きな会見場で開かれた公式記者会見。午後4時半に設定されていたのに道路事情を読み違えて定刻までに会場入りできず、最初に入ってきた浅田真央選手(19)=中京大=が一礼して謝罪。続いて安藤美姫選手(22)=トヨタ自動車=、鈴木明子選手(24)=邦和スポーツランド=も頭を下げた。48分遅れ。広い会見場にいた外国人記者は帰らず、辛抱強く待っていた。「遅刻」が日本女子への注目の大きさを示すことにもなった。(時事通信)
【雑感】私も含め、冬季オリンピックを観戦する世界中の人々が最も楽しみにしているのは、フィギュアスケート、それも「女子フィギュアスケート」だろう。大会本部もそれを自覚しているからこそ、女子フィギュアを日程の後半にもってきているはずだ。



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大阪都にしたら、ええんとちゃう。 近頃の現象[三百五十八]
生活保護や府市統合構想など
橋下徹・大阪府知事と平松邦夫・大阪市長による意見交換会が22日、大阪市内であり、生活保護の問題や府市統合構想を巡り丁々発止のやり取りを展開した。「まずは府市統合を」と将来ビジョンを主張する橋下知事に、平松市長が「理想論だけでは何も進まない」と指摘、議論は最後までかみ合わなかった。(毎日新聞)
【雑感】我が堺市が東隣の美原町を併呑、いや失礼、合併して政令市になったときでも思ったが、これだけ全国に政令市の数が増えてしまっては政令市誕生のインパクトはない。推進派は盛んに経済の活性化と地方自治の強化を謳っていたが、従来の堺市民にとっては特に生活は変わらないし、事実上吸収合併となって美原区になってしまった旧町は大幅に権限が縮小されたのではないか。
それに他の政令市で定番のように見られる現象、すなわち権限が道府県並みに大きくなったものの税収がイマイチなので権限を行使するために借金を重ねる、政令市に相応しい豪華なインフラ設備や市長や議員の特別職報酬アップなんかをやって余計に財政が逼迫なんて話を聞いた事がある。
そして今まさに橋下知事と平松市長が問題にしている二重行政、狭い大阪府の中に府に準ずる権限を有した自治体が2つもあるのだ。
私は前か思っていたのだが、むしろ東京都に続いて大阪も「都」になったほうが、関東に次ぐ文化と経済の中心地であることを知らしめ、さらに「都」になることで逆に旧市町村が東京の23区と同じく市制と同じ権限をもてるので地方自治が強化されて良いのではないか。
東京府と東京市が合併して東京都ができたように、大阪市・堺市・東大阪市など、大阪府中央部の自治体を全て大阪府と合併して日本第二の都、関東に対して関西あり、で大阪都にしてしまえば、面白い事になると私は思う。政治的にも経済的にもインパクトは絶大で、二重行政解消にもなる。



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「東京残酷警察」 おバカになって愉快になろう〔27〕
【英題】TOKYO GORE POLICE
【公開年】2008年 【制作国】日本国 亜米利加 【時間】109分 【監督】西村喜廣
【原作】
【音楽】
【脚本】西村喜廣 梶研吾
【出演】しいなえいひ(ルカ) 板尾創路(ミヤマアキノ/ミヤマアマネ) 堀部圭亮(ルカの父) 紅井ユキヒデ(機動隊長) 坂口拓(タナカコウジ) 菅田俊(西東京支部・署長) ジジ・ぶぅ(-) 澤田育子(-) 泉カイ(-) マメ山田(-) 山本彩乃(-) 木ノ下もこ(-) 長澤つぐみ(-) 浅野麻衣子(-) 松木大輔(-) 村田尚史(-) 清水崇(-) オッペマ(-) 園子温(-) 豊島圭介(-) 神谷誠(-) デモ田中(-) 塩田時敏(-) 田野辺尚人(-) 桐島チェリー(-) ナコシサヤコ(-) 三島ゆたか(-) 津村和幸(-) 西村喜廣(-) 重盛さと美(-) 神田茉里奈(-) 町田マリー(-) 中原翔子(-)
【成分】笑える 不気味 セクシー スプラッタ バイオレンス 近未来
【特徴】日本人がアメリカ向けに制作した日本文化をふんだんにパロディにしたスプラッタ映画。真面目に捉えず、血飛沫ナンセンスギャグを楽しむべし。
【効能】スカッと爽やか血飛沫映像。あまりに馬鹿馬鹿しい設定に、残酷描写なのに笑いを禁じえない。
【副作用】残酷描写の連続で気分が悪くなる。アメリカに迎合して日本文化を愚弄する制作陣に怒りを感じる。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
真央と妍兒 フィギュアスケート[三十一]
「真央ロールVSヨナトッポギ」
バンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケー日本代表の浅田真央選手と、韓国のキム・ヨナ選手のライバル対決は、日本でも韓国でも注目を集めている。キム・ヨナ選手は20日にバンクーバー入りし、浅田選手はその翌日にバンクーバー入りする予定である。そのヨナVS真央の戦いは、リンクの上だけでなく、場外でも起こっているという。
バンクーバーのダウンタウンにあるホットドッグ屋台「JAPADOG」では、浅田選手にちなんで「真央ドッグ」が売られている。ソーセージの3回転半の切れ込みはトリプルアクセルと、豚カツソースは「試合に勝つ」を意味、金色の湯葉も添えられている。また日本のTVでも報道された亀井ロイヤルの「真央ロール」も有名である。卵、エビ、アスパラ、シイタケ、ウナギを錦糸玉子、アトランティック・サーモンなどで巻いたもので、2つのすしをハート型に盛り付けている。
それに負けまいと、バンクーバーの韓国料理店では「ヨナトッポキ」を売り出した。コチュジャンの代わりに醤油味で、シーフードもたっぷり入っている。またキム・ヨナ選手のトレーニング地であるトロントでは「ヨナロール」が以前から有名だと言う。(サーチナ)
【雑感】19歳の少女2人のおかげで日韓両国を沸かせ、カナダのオリンピック景気も盛り上げるとは素晴らしいことである。2人のライバル対決はぜひ次回のオリンピックでも続けて欲しいものだ。
下馬評では金妍兒選手優勢で金、浅田真央選手は銀どまり。たしかに昨年の演技をみるかぎり妍兒ちゃんの演技は他選手を凌駕しており、一回ぐらい尻餅をついたぐらいでは優勢は揺らがない。真央ちゃんがどんなに難易度の高い技をくりだしても、金には届かないだろう。また妍兒ちゃんは早くから練習拠点をカナダに移しており、カナダには妍兒ファンが多い、韓国に次ぐ妍兒地元だ。
しかし、トリノの荒川静香選手の例がある。優勝候補が軒並みミスを連発し、残った荒川選手が金を獲った。別に他選手の失敗を望むという意味ではなく、オリンピックの大舞台には魔物がいて、魔物にとり憑かれた選手は負けて、スケートの神様を巧く呼び込んだ者が勝つ。
さきの男子フィギュア、無難なプログラムで金を獲ったアメリカのライサチェク選手と銀に終わったロシアのプメシェンコ選手が良い例だ。
技量ではやはりプルシェンコ選手が上だと思う。4回転も確実に決める。しかし何故かミスが無いにも関わらずジャンプのバランスが悪く見えた。
ライサチェク選手は明らかに見栄えが凄い。迫力がある。長身で長い腕と脚、黒髪の豊かなオールバックに濃い無精髭、モデルのような体型と映画俳優のようなイケメン、それを前面に強調する黒い衣装、無難なプログラムなのに凄い演技をしているように見える。それを演技の無難さを隠すマイナス要因と見られるか、あるいは藝術的にプラスと見られるか。
プルシェンコ選手は納得いかないだろう。実際、記者会見では不満を隠そうとしなかったようだし。
真央ちゃんと妍兒ちゃんの対決も、そんな火花がちる激しいものになるやもしれない。あるいは、ミキティが意表を突く形で金だったりして・・。
男子フィギュアで思い出したが、アメリカのジョニー・ウィアー選手、どこか漫画家でタレントの山咲トオル氏に所作が似ているような・・。


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さっそく、ラグメンをつくってみた。 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十九]

【調理者】晴雨堂ミカエル
【食材】ピーマン 人参 玉葱 舞茸 大豆ミート 豆腐の味噌汁の残り オリーブ油 大蒜 水溶き片栗 冷凍うどん 醤油 パスタソース 豆板醤 花椒
【作り方】オリーブ油に大蒜の香りをつけ、玉葱を炒める。次に人参を入れ、舞茸を入れ、最後にピーマン。ついでに古くなって棄てる予定だった豆腐の味噌汁の残りを入れ、パスタソースと豆板醤で味を調え、醤油と花椒で香りを整える。
羊肉が無かったので、大豆の挽肉もどきを代用。

これは自然食材店で購入した肉の代用に使う大豆製品。菜食主義者や環境保護運動でけっこう人気がある。肉を生産するには莫大な飼料が必要で環境問題的コストが高い、よって肉はなるだけ控えるようにしようという考え方である。
私は熱心な運動家ではないので、単に肉が買えない時の代用品として重宝している。

お湯で戻すとこんな感じだ。食感は挽肉に近い。パスタやカレーに入れて食べれば肉と変わらない。
スコットランド在住の友人からもらった羊の内臓肉などでつくるハギスの缶詰があり、それをラグメンに使用することを考えたが、羊肉に対して異常に嫌悪の反応を示す連れ合いのために断念する。
麺は、自分でつくることも考えたのだが、面倒くさいので冷凍の讃岐うどんで代用した。ウイグルで使われる香辛料は手に入らないので、調味料はパスタソースや中国の豆板醤と山椒で代用した。
【雑感】見た目は写真の通り。ラグメンに見えないこともない。しかし、味はやはりウイグルのラグメンに及ばない。
しかし、ミカエル風アジアン餡かけうどんとしては美味い。連れ合いの評判も上々だった。


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「ウイグル料理店 シルクロード マムティ」 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十八]

【雑感】今月18日の事である。職場の友人と堺東にあるウイグル料理店で飯を食う。
駅構内で無料配布されている「スルッとKANSAI」で知った。日本でウイグル料理店は数えるほどしかないのではないか。あまり聞かない。それが地元の堺で食べられるのだ。
場所は堺の中心街、堺東駅下車してすぐの堺銀座商店街に入って最初の右横丁にある。いわば堺市内一の一等地にある。しかしながら写真にある看板は赤くて派手に見えるが、実際は殆ど目立たない。パッと見は餃子の王将の看板だけがケバケバしく光っている。
餃子の王将のほぼ向かいにある雑居ビル2階にあるが、テナントを掲示した看板も、店の入り口の看板も、字が小さすぎて目立たない。もっと看板のデザインを工夫したほうが良いように思う。

店内に入るとウイグル独特のスパイスの香りと羊肉が焼ける臭いが合わさった空気が食欲を刺激する。
雑誌で紹介されていた店内の写真では広いように見えたが、やはり広角レンズの魔術だった。実際はかなり狭い。中央に厨房があり、それを取り囲むようコの字型のカウンターがある。これで店舗の面積はカツカツなのだが、コーナーの幾分広い部分にテーブルを置いているので、満席になったら窮屈感があるだろう。金曜の夜はウイグル舞踊のアトラクションがあるそうだが、かなり苦労しそうだ。
我々は奥のテーブルで食事をとる事にした。壁には実際にアトラクションに使用される民族衣装が飾られている。写真の絨毯の図柄は、テーブル脇の壁を飾っている絨毯のもの。
厨房ではウイグル出身のふくよかなオバチャン2人が忙しそうに調理していた。ウイグル料理に興味がある人にとっては、調理手順が見れるのでかなり美味しい。
客層は近所の年輩のオッチャン・オバチャンらしき人や、近所に市役所があるのでその職員らしき人、また中国語を勉強していそうな若い女性など。ランチメニューは大衆食堂なみにリーズナブルだし、店のオバチャンは気さくで日本語が達者なので感じが良い。

シシカバブ、羊肉の串焼き、これは中央アジアから中東にかけての定番料理ともいえる。トルコにも同様の味付けの料理があったように思う。
羊の臭いは好き嫌いがあり、連れ合いは大嫌いだが私には食欲をそそる香りに感じてしまう。むしろ羊肉よりも鳥や豚のほうが臭く感じてしまうのだ。羊肉と独特のスパイスが絡んで香ばしい。家でも中国の花椒か日本の山椒で代用してもいけるかもしれない。
ビールがほしいところだが、イスラムは酒を飲まないので我々も飲まないことにする。(酒を注文する金銭的余裕が無かったとする説もあるが)

これはラグメン。ウイグルの定番料理らしい。麺はちょうど私がよくつくる団子汁の団子のようなモチモチ感だ。日本の饂飩とは異なる食感だが歯ごたえがある。これに、ピーマンや人参を羊肉と炒めてつくった餡をかけて食べる。
これも家庭でつくって楽しめそうだ。

グシナン、ウイグルのミートパイである。これとよく似た料理をトルコ料理店で食べたような記憶がある。もともとトルコ民族は現在の中国ウイグル自治区あたりに居住していたのが、徐々に西へ移動し現在のヨーロッパとアジアの境目の黒海沿岸に移った歴史がある。聞けば、ウイグルとトルコは言葉もかなり近いとのこと。簡単な会話程度なら通じることも多々あるそうな。料理はたしかにトルコ料理と中国料理を合わせたような感じだ。
店の人に聞くと、味付けは日本人のために若干辛さを抑えている事があるものの、基本的には現地で食べられている味をそのまま出しているそうな。
日本ではウイグル料理は数えるほどしかない。それが堺在住の私にとって、この堺で食べられるとは真に幸運である。
今度は舞踊アトラクションがある時に行ってみよう。
晴雨堂関連サイト紹介
ウイグル料理 シルクロード マムティ



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織田信成(2) フィギュアスケート[三十]
「靴ひもは前から切れていました」
バンクーバー五輪のフィギュアスケートは18日(日本時間19日)、男子フリーが行われ、SP4位の織田信成(関大)は演技中に着氷が乱れ、靴ひもが切れるアクシデント。フリーで153.69点と得点が伸びず、合計238.54点で7位に終わった。織田は「(靴ひもは)演技の前から切れていました。試合前で感覚が狂うのが、嫌だったので切れたところをくくってやっていました」と大粒の涙を流しながら話した。(サンケイスポーツ)
【雑感】うわぁ、なんということ。俺は信長ファンなので高橋大輔選手よりも信成君を応援していたのに。高橋選手も今回は道化師をテーマにしたフリー演技をやったが、信成君こそ似合っていると思っている。大輔君はよろけて頭をかく演技をするのだが、わざとらしくて似合っていない。
少しのバランスの狂いが競技に影響する、その気持ちは理解できなくもないが、結果として大チョンボになってしまった。大舞台で紐が切れて、おそらく顔面蒼白、泣き出したい気持ちだったろうが、チャップリンがテーマなので必死に笑顔をつくろうとした顔が痛々しい。
次ぎのオリンピックで頑張ってほしいものだ。自分のスタイルを確立して安定した演技をし一番メダルに近かったのに。モロゾフコーチも笑顔で慰めていたが、どこか引きつっていたような。
3点減点されても4回転を決めた小塚選手より上位の7位は凄い。観ている私まで悔しくなってしまうが、次回のオリンピックは信成君が主役だ。



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国母和宏(3) 近頃の現象[三百五十七]
ショーン・ホワイト(23=米国)が別次元の強さで連覇を果たした。
何もかもが、予定通りだった。今回の五輪も、ホワイトに敵はいなかった。
予選を楽に通過すると、決勝1回目で46・8点をマーク。これで優勝を決めると、2回目はショータイム。ダブルコーク2連発から、最後はダブルマックツイスト。米メディアから「ホワイト・スネーク」と名付けられた大技は、縦に2回転しつつ、横に3回転半。圧巻の演技で、五輪連覇を成し遂げた。(日刊スポーツ)
服装問題に揺れ続けた、国母のバンクーバー五輪が終わった。
2回目の演技が終わり、表彰台に手が届かないことが決まると、国母はヘルメットとゴーグルを宙に放り上げ、悔しさをあらわにした。1回目に転倒して顔面を強打し、口の周りから出血した。それもあって競技終了後、報道陣の問いかけの最中に口に含んでいた水を、何度も吐き出す場面もあった。(毎日新聞)
【雑感】ショーン・ホワイト選手と国母和宏選手、2人とも20代前半の子どもっぽい若者で、以前よりプロとしてスノーボードをやってきた。一見すると似たもの同士だが、両者の間で大きな差がある。
以前の国母選手は、オリンピックを特別視しない姿勢をとっていた。幾つかある世界的大会の一つと公言、プロとしての誇りなのかオリンピック強化指定も辞退、といったクールな言動だ。今にしてみれば、それは今回の服装問題にも現れていたように思う。
8位になって悔しさを露にしたり、前回トリノの雪辱だの、次回もまた出るだの、自分のスタイルを貫けただの、と記者にコメントしていたらしい。さらに愁傷にも萩原文和監督に1人で会いに行き騒動について陳謝したようだ。
ショーン・ホワイト選手は国母選手とは明らかに桁が違う。技量もさることながら、そもそもスノボの難易度の高い技の多くは彼が開発したもの。つまり他選手は彼が描いた絵を必死に練習してなぞっていたことになる。プロとしての収入も年間7億円とか。自分専用のスノボの施設で新しい技を日々開発しているスノボ馬鹿、プロ選手として自他共に認める第一人者で収入も十二分ありスノボ三昧の生活が保障されている。
そんな人がオリンピックに出る理由、「祖国の名誉のため」らしい。金メダルを獲り星条旗を両手で頭の上に掲げてはしゃいでいる姿が象徴している。彼にとってもオリンピックはただの大きな大会だが、しかし国際社会では国の名誉がかかっている政治的に特別な大会、スノボ種目でアメリカが金を獲得するためには自分が出場しなければならない、そんな理由だ。
2人とも今どきの無邪気な「少年」だ。しかし大きな違いがある。ホワイト選手は天才に多く見られる天真爛漫な少年的魅力があるが、国母選手は根は真面目で素直なのに未だ反抗期の中高生のガキみたいに突っ張っている、そんな気配を感じるのだ。
オリンピック出場の意義についても、ホワイト選手は明確に自分の役割を自覚し割り切っていたのに対し、国母選手は「俺はオリンピックであろうと普段通りだよ」とでも言いたげに腰パンで闊歩する。そのくせ、後進のスノボ選手のためだとかトリノの雪辱のためだとか、後になって本音を漏らしてしまう。国母君は変に力が入り過ぎや。
「子供」なら子供らしくホワイト選手のように心から無邪気にスノボを楽しめば良い。変に肩肘張るから大チョンボをやってしまう。トリノから成長しとらんやん。
自分のスタイルというけれども、ホントに自分のスタイルか? 反抗期の中高生と同じでカッコつけているだけとちゃうか? 21歳の大学生くん。



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国母和宏(2) 近頃の現象[三百五十六]
決勝で大技、痛恨の失敗 ハーフパイプ
軽やかに、鮮やかに舞ったが、メダルには届かなかった。多彩な技を見せ付けた国母和宏(東海大)。スノーボード男子ハーフパイプ決勝で、勝負を懸けた大技に失敗。無念の8位に終わった。(時事通信)
【雑感】あかんやん! 偉そうな態度で8位かい! せめて銅でもとって傷心の帰国せいや。
大技への果敢な挑戦は理解しているが、やはりあの態度であの転び方はぶざまだ。予選では期待通りの活躍、技術は世界トップ水準、凄いと思った。だからこそ金が期待される。できて当然のような態度、世間をいちびった偉そうな態度をとれば、もはや最低でも金でなければならなくなる。
これは理屈ではない、感情論だ。上村愛子選手のように可愛らしくて健気な感じであれば、たとえ期待されていた金や銀がとれず4位に終わっても拍手喝采で讃えられる、労ってくれる。しかし国母選手のような態度ではハードルが高くなってしまう。
だからこそ、金をとって世間のバッシングを力でもって一蹴してもらいたいと、反感と同時に期待もするのだ。それが、銅でも4位でもない8位とは・・。



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男優評 笑福亭鶴瓶 「ディア・ドクター」 (2009)
「俳優」らしくないリアルさ。
東京映画記者会(デイリースポーツなど在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)で制定する「第52回ブルーリボン賞授賞式」が16日、東京・銀座ブロッサムで行われた。「ディア・ドクター」で主演男優賞に輝いた落語家・笑福亭鶴瓶(58)や、「おっぱいバレー」で主演女優賞を受賞した綾瀬はるか(24)らが出席。初主演作で栄冠をつかんだ鶴瓶は、「釣りバカ日誌」コンビ・三國連太郎(87)&西田敏行(62)からその演技を大絶賛され、“役者株”をさらに上げた。(デイリースポーツ)
笑福亭鶴瓶氏、(余談1)そういえば意外にも本作が映画初主演だ。たしかに俳優歴も長いが、チョイ役・脇役・助演ばかり、彼の本職はあくまで落語で準本職はバラエティ司会者、俳優業は主役を張るほどに力を割けないといったところだったか。
鶴瓶氏に限ったことではなく、関西出身の「俳優業」を本職としない芸能人は人物設定を「大阪出身」にしてもらい、台詞を言い易くしている。「俳優」としてアマチュアというよりも、本業が別にある芸人は「俳優」以外にも力を割かなければならない。本作でも重要な助演ポジションに出演している香川照之氏のように、変幻自在にその土地の人間になりきり方言を操るには役作りの手間がかかるのだろう。
さて、初主演の役柄は無医村状態の村で医師を演じ続けるモグリ。医療関係の商品を販売する営業マンをやっていたので、そこそこの医学的知識はあり、得意先で医師の所作を見てきたから、そこそこ医者の振りをすることができる。至らない部分はベテラン看護師の「補助」と、自身が常に腰低く丁寧に気さくに振る舞い本物の医者以上に地域医療に尽くす事で診療所医師の地位を守ってきた。
おそらく看護師も彼がモグリである事に、うすうすどころか完璧に気がついていただろうが、医師の不在は診療所閉鎖と失職につながるため疑惑を敢えて封印していた。また彼が常に生真面目に村人に尽くす医師を演じ続けている事に敬意すら抱く。
負傷して気胸となった若者の呼吸困難を救ったとき、モグリ医師と本物ベテラン看護師の関係が雄弁に物語っている。看護師の的確な判断と機転と指示で処置したものなのに、村人からはモグリ医師の手柄となり名声はさらに高まる。たぶん、そんなシチュエーションはこれまでにも何度かあったはずだ。しかし彼は図に乗らず逃げ出さず、萎えかけた気力を奮い立たせ普段通り急患に応じる。そんな彼を安堵の笑顔で見る看護師。
周囲の村人も無医村状態に陥るのが嫌なため、若干「?」と思うことがあっても、彼を医者として遇する。おそらく陰では看護師の活躍があったのだろう、難しい治療をクリアしたり、冒頭の喉を詰まらせた老人をたまたま蘇生に成功したり、そんな事が何度か重なって尊敬を集めるようになった。後に捜査に来た刑事が「皆であの男を本物に仕立て上げたんじゃないのか」と指摘したような状況になる。
彼の下で研修医となった若者に至っては、刑事の事情聴取では「おかしいと思った」「目を光らせていた」「機能しているものを(よそ者)が裁く義務は無い」と言っていたが、「今にしてみれば」というべきところを「最初から判っていた」という輩と同じで、実際は疑うことなく彼独特の医療スタイルとして敬意を持っていた。そして事件後に東京の病院に戻った若者は彼の患者に対する対話スタイルを取り入れている。
地の言葉で台詞を言っても構わないというハンデをもらいながらも、本物以上の本物を演じる偽者を演じる微妙な演技を実に自然に行っている。もちろん、落語も演じる芸であるのでけっして俳優は素人という訳ではなく芸歴はベテランであるのだが、彼の演技は俳優らしくないリアリティを出している。香川照之氏の演技が典型的だが、俳優は自然体で演じているようで独特の発声やデフォルメがあるのだが、鶴瓶氏には無い。この微妙な表情はどこから出るのだろうか? 落語家でありながらプロ俳優を差し置いて主演俳優というのも役作りに関係あるのか?
(余談1)笑福亭鶴瓶氏を間近で見た事がある。私がまだ学生だった頃だった。大学から家に帰る途中、近鉄阿倍野駅のホームで大股開いて座っている刈上げ頭のトレーナーにジーンズ姿の鶴瓶氏を見かけた。
当時は腰まで伸ばしていた髪をバッサリ切って刈上げ頭にした頃だったように思う。なんだか大学の六回生・七回生にいそうな雰囲気だった。近くにマネージャーがいたかもしれないが、独りで電車待ちをしているところ声をかけてきた中年のオッサンと気さくに笑顔で話をしていた。
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「ディア・ドクター」 家族と一緒に考えよう



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安藤美姫 フィギュアスケート[二十九]
髪バッサリ&日サロで完璧クレオパトラ化
ミキティが“日サロパトラ”で金取りだ。安藤美姫(22)=トヨタ自動車=が14日、米コネティカット州からバンクーバーに到着した。安藤は米合宿中に「日焼けサロン」に通い、ロングヘアも肩の上までカット。フリーで演じるクレオパトラになりきって夢の金メダルを目指す。また、ペアのショートプログラム(SP)ではロシアに国籍を変更した川口悠子、スミルノフ組が、自己ベスト73・92点を塗り替える74・16点で3位。ロシア勢13連覇を目指し、フリーで逆転を狙う。(スポーツ報知)
【雑感】残念ながら、川口悠子・スミルノフ組はフリーでミスを連発させて4位。ソ連時代よりロシアは無敵の力を発揮してきた種目だったが、メダルを逃してしまった。きっかけは川口悠子選手のちょっとしたジャンプのタイミングミス、4回転を跳ぶ予定が急遽3回転にするようコーチの指示があったらしい。この時点では手を付いただけで体制を立て直せればメダルはとれたが、ミスの誘発を招いてボロボロ、観ていると気の毒に思えた。
コーチの指示が事実ならば、本番直前での予定変更はミス誘発を促進させるようなもの、起こるべくして起こった悲劇だ。本番は選手の判断に任せるべきだったと思うが。
さて、ミキティはクレオパトラモードのようだが、地黒なんだから別に日焼けサロンで黒くしなくてもいいような気がするが。
フィギュアスケート選手の大半はミキティをはじめ長い髪をお団子に結っている。昨年のクレオパトラ演技を観てどこか今一つ違和感があったのは髪型のせいだったか。古代エジプトの王女は独特のオカッパ頭をしている。どんな演技になるか楽しみだ。



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「大奥」 近頃の現象[三百五十五]
『大奥』映画に
堀北真希、玉木宏らの出演決定
よしながふみの人気コミックを嵐の二宮和也、女優・柴咲コウ主演で実写化する映画『大奥』(金子文紀監督)の主要キャストが16日、発表された。男女の役割が逆転した大奥を舞台に、1人の女将軍に3000人の美男が仕える世界を描く同作。野望と愛憎が渦巻くドラマの中で、一味違うさわやかなラブストーリーの要素を担う町娘・お信役で女優・堀北真希の時代劇映画初出演が決定。将軍の寵愛を受ける究極の美男・松島役で玉木宏も特別出演する。(オリコン)
【雑感】原作漫画の方は近年ではピカ一の傑作だ。もし映画化されたら女将軍は柴崎コウ氏だろうと思っていたが、やはり。



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2010年のバレンタインデー 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[四十七]
【雑感】チョコレートのお祭りである。菓子屋の陰謀とかコピーに踊らされているといった批判が必ずチラホラあがるが、土用の丑の日の鰻と同じく日本の風習として定着し、海外でも「日本のバレンタインデー」として紹介されている。素直に受け入れチョコレートを楽しみ、日本経済の循環に寄与しようではないか。
さて、今年は連れ合いの弟の嫁と連れ合いの母と連れ合いの3人からもらった。
まず、私から見て義理の妹からのチョコ。

連れ合いの身内は美人が多いが、我が義妹は特に美形でお洒落のセンスも良い。このチョコレートは高島屋で購入した本高砂屋のショコラ・エコルセ。バレンタイン仕様のチョコではなく贈答の定番ブランド品だが、身内への義理チョコとしてはなかなかお洒落である。

これは連れ合いの母からのチョコ、メーカー名は確認していないが一応バレンタイン仕様で、お洒落な形の小粒チョコレートが並んでいた。バレンタインデーの雰囲気を味わうにはちょうど良い。

そしてこれが連れ合いからのチョコレート?である。近所のスーパーで購入した298円のロールケーキ、一応チョコレートを練りこんだスポンジでチョコレートクリームを包んだものなのだが、前述のチョコレートと比べると格下感は否めない。
当初の予定では手作りのチョコレートババロアだったはずだが・・。



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国母和宏 近頃の現象[三百五十四]
JOC目くじら立てすぎの声も
バンクーバー冬季五輪スノーボード日本代表の国母和宏選手(21)の服装がだらしないと批判を浴びている。日本オリンピック委員会(JOC)は選手村入村式への参加を自粛させ、国母選手は謝罪した。ただ、その謝罪ぶりもふざけているとし、さらにバッシングを浴びる事態になっている。しかし、だらしないといわれた服装は、専門家によると、「スノボ選手らしいといえば、らしい服装」なのだそうだ。(J-CASTニュース)
【雑感】スノボをやる人て、ああでなければいかんやろ。サーファーが七三刈上げ頭が似合わないのと同じように、軍人が長髪にピアスに腰パンでは戦闘に不向きであると同じで、スノボにはスノボに適ったスタイルがある。そう理解すれば良い。
と、若い頃の私は手放しで思っただろうが、加齢とともに保守的になってきた。オリンピックの監督省庁は日本では文部科学省(パラリンピックは厚生労働省)であるから、オリンピックは教育の一環であると捉えられている。すなわちオリンピック選手は国家国民を代表し教育の範たる存在と見なしているし、必然的に世間の大半もそのように見なす。したがって、国母和宏選手の身なりや言動を立場上看過することは無理である。もし看過することになれば、巷の中高生や20代の若者が喜々としてやっている腰パン(ズボンをずり下げて尻の上部で止める。パンツがチラ見しズボンの裾が汚れ摩滅するのが特徴)スタイルを文部科学省が公認することになってしまう。学校現場の教師たちのストレスや負担は激増するであろう。
国母選手がスノボ選手としてあのファッション、あの反抗的とも悪態ともとれる謝りかたをするのは仕方がない。もし髭を綺麗に剃り七三刈上げ頭にして品行方正なスタイル言動になったら、オリンピックという権威の前に毒気を抜かれ去勢されたと、スノボファンから見なされるだろう。
かといってJOCが黙ったままでいる事もできない相談だ。前述したように看過できない立場なのである。今回の一件は極めて妥当な落とし所だろう。国母選手にとっても去勢されていない事を示す程度の譲歩だし、JOCは特に目くじらを立てた訳ではない。
あとは国母和宏選手がメダルを獲ることだ。獲れなければ、プロボクシングの亀田兄弟が味わったのと同じ公的抑圧の嵐に晒されるだろう。あんなだらしない格好と反抗的で軽薄な言動でメダルを獲れたら拍手喝采、獲れなければ見掛け倒しのエエカッコしいのチャラ男に成り下がる。



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男優評 ベニチオ・デル・トロ 「チェ 28歳の革命 (2008)」
スクリーンに本物のゲバラがいた。
以前にも革命家チェが登場する映画はあった。例えばアメリカ映画「ゲバラ!」、主演は「アラビアのロレンス」で有名になったアラブの名優オマー・シャリフ氏で、けっこうゲバラぶりが様になっていた。公開年は1969年、ゲバラがボリビアで処刑されて2年しか経っていない。
低予算の映画だったので派手な戦闘場面はなかったが、それでもゲバラの英雄ぶりがよく強調されていて、キューバ革命を知らない観客にも判り易く描写されたエンタメ作品に仕上がっていた。
当時のチェはカストロ政権の頭脳と評価されていたから、映画のいたる所でカストロがチェの言動にカストロが影響されたり、チェの意向にカストロが従う様が描写されていた。(余談1)
今回の映画ではスペイン語圏出身の「アメリカ人」俳優ベニチオ・デル・トロ氏が演じた。オマー・シャリフ氏のチェは英語台詞だったが、デル=トロは美しいスペイン語だ。これだけでも臨場感が違う。さらにチェの仕草や話し方、さらに考え方まで、全てにおいてデル・トロはチェになりきっていた。オマー・シャリフ氏の時は「巧くチェになりきっているな」と思ったが、デル・トロ氏はもはやチェそのものだった。スクリーンに映るチェの姿は、俳優が演じているチェではなく、チェ自身に見えてしまった。
これはデル・トロ氏の演技力だけの手柄ではない。ソダーバーグ監督のエンタメ性と脚色臭を徹底排除した作風が功を奏している。また、シャリフ版ではチェとカストロの関係を対等もしくはチェの方がイニシアチブを握っているかのように描写されていたが、今回はそんなデフォルメはしていない。実際には仲の良い「戦友」はカストロよりもカミーロだと思うし、映画もその線で作っていた。
この映画をきっかけに、チェの青春時代を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」をご覧いただきたい。今回の「チェ 28歳の革命」でチェの言動の端々にある含みが理解できる。
(余談1)この作品では当時50男のジャック・バランス氏がカストロを演じた。まったくハマっていない。例えて言うなら、小泉純一郎の役を森繁久弥氏が若作りして演じるようなものだ、といったら言い過ぎだろうか。



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鳩山兄弟 近頃の現象[三百五十三]
首相「子分を養うためにお金が要る」
母親からの資金提供問題で
自民党の鳩山邦夫元総務相は12日、衆院予算委員会で与謝野馨前財務相が邦夫氏から聞いた話として鳩山由紀夫首相が母親に金を無心していたとのエピソードを紹介したことについて、「1年半か2年ほど前、母から『お兄さんは子分を養うためにお金が要るといっている』という電話を受けた」と述べた。(産経新聞)
【雑感】鳩山邦夫氏は、母から聞いたのであって兄が母に直接無心したのかどうかは知らない、という趣旨のコメントをした。上手い言い回しだ。しかし、人によっては小賢しく聞こえるかもしれない。
ふと思い出した事がある。橋本龍太郎・大二郎兄弟だ。顔付きは似てはいるが、龍太郎氏は失礼ながら豊かな髪を油性の整髪料(本人は水性クリームだと主張)でオールバックにし脂で顔がテカテカしているといったイメージ、弟大二郎氏はテカリのない清潔そうな面もち、タイプは大きく違う。2人は腹違いの兄弟、ドラマや映画で腹違いというのはドロドロとした人間模様としてよく描かれるが、橋本兄弟はそんな暗い話は聞かない。
私は美談として認識しているエピソードに、当時NHK記者だった大二郎氏は兄龍太郎氏の選挙を応援した。一応、NHKは「不偏不党」の立場だったので、大二郎氏の行動は問題になった。後に大二郎氏が高知県知事選に出馬した時、自民党が推す候補者がいるにも関わらず龍太郎氏は弟を応援した。
2人は子供のころから一定の距離感のある関係だったらしい。2人で遊んだ事はあまりなく、政治家になってからも相談をしたり貸借関係を繰り広げるといった事はなく、良く言えばドライな関係、悪くいえば水臭くて冷たい関係のようだが、信頼関係は強かった。
私は良い兄弟だと思った。2人の間にはベタベタと馴れ合わない他人行儀と思えるほどの緊張感がある突き放した付き合いだが、土壇場では所属組織の意向よりも兄弟との関係を優先する2人に清々しいものを感じた。
さて鳩山兄弟、兄は痩身で進歩的学者風で天然ボケ的ギャグを飛ばす、弟は親交のある山田まりや氏の弁によれば「第一印象は時代劇の悪代官だが、実際に話すと愉快な人」。
邦夫氏は当初から政治家の道を進んでいたのに対し、由紀夫氏は学者・エンジニアの道を歩んいたのに突然転身された。一時は2人で民主党を引っ張ったが、邦夫氏が民主党を離反して兄と反目。
批判・非難合戦はけっこうなのだが、私だったら身内の首の皮の部分は売らない。所詮、家族は一生の付き合いだし縁を切っても血縁関係は残るが、組織との関係は明日どうなるかは判らない。邦夫氏も由紀夫氏も、所属組織を何度も変えてきた。



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浅田真央(14) フィギュアスケート[二十八]
五輪の“勝負服”は赤
バンクーバーで金メダルを目指す真央に、フィギュア界の“ジンクス”を打破するプランが浮上した。06年トリノ五輪の荒川静香さんをはじめ、98年長野五輪から3大会連続してフリーの衣装で「青」を選んだ選手が優勝しているが、「一番大事なのは曲のイメージ」と真央陣営。真央も「今の衣装をとても気に入っているから変えるかは分からない」と話している。今季を通じ身につけている赤と黒のカラーを変えないまま、五輪に臨むことが濃厚だ。(サンスポ)
【雑感】いよいよバンクーバー五輪だ。金妍兒選手も青系統を着る公算が高い。
青の衣装を着た選手が優勝というのが続いているが、赤と黒の衣装が優勝した例が過去にある。当時、東ドイツの選手だったカタリーナ・ビット氏だ。パッと見の基本デザインは真央ちゃんが着ている赤黒衣装に似ている。

カタリーナ・ビット氏は80年代前半に活躍した美形選手、当時は彼女しかできないと言われたビールマンスピンが目玉だった。ビールマンスピンはビット選手が活躍する前の70年代後半から80年代初頭に活躍したスイスのデニス・ビールマン選手が編み出した技なのだが、ビット選手のオリジナル技だと誤解するほど彼女の代名詞になった。
彼女の演技を観たとき、ヨーロッパ女性の美しさとしなやかさを見せ付けられたようで、短足胴長の日本人選手がどんなに難易度の高いジャンプ技を繰り出してもかなわないと落胆したものだ。
しかし今やビールマンスピンは孤高の技ではない。名のある選手の多くが魅せる様になった。韓国の金妍兒選手もできるし、真央ちゃんもよくやる技だ。そして、贔屓目かもしれないが真央ちゃんのほうがビット選手より柔らかくて優雅にさえ見える。



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石川知裕 近頃の現象[三百五十二]
きょう小沢氏に伝達
民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記載事件で、政治資金規正法違反の罪で起訴された衆院議員、石川知裕(ともひろ)被告=北海道11区=は9日、民主党を離党する意向を固めた。10日に小沢氏と会い、最終判断を仰ぐ。(産経新聞)
【雑感】少しでも党のマイナスイメージを和らげようとする策か。しかし議員辞職はできないだろう。
たしか、いま議員辞職をしたら、4月ごろに補欠選挙になる。石川議員の選挙区は故中川昭一氏の地盤、自民党側は中川氏の妻を候補者に立て弔い合戦として攻勢に出る。陸山会にまつわる疑惑に対して世論は厳しくなっている。地元では中川家への同情と石川氏を当選させたことへの後悔があろう。民主党の苦戦は必至だ。
もし夏の参院選の前に負け戦となれば、民主党の士気に悪い影響があり、さらに風評世論によって民主党の旗色は実情以上に悪化する恐れがある。
いつだったかな、3月15日以降だったかな? 辞める時期を遅らせば補選は秋になる。



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バンクーバー五輪 近頃の現象[三百五十一]
キリンとサントリー 近頃の現象[三百五十]
「ディア・ドクター」 家族と一緒に考えよう〔23〕
そうあってほしい気持ちに入り込む鶴瓶。
【原題】
【公開年】2009年 【制作国】日本国 【時間】127分 【監督】西川美和
【原作】西川美和
【音楽】モアリズム
【脚本】西川美和
【言語】日本語
【出演】笑福亭鶴瓶(診療所所長伊野治) 瑛太(研修医相馬啓介) 余貴美子(看護士大竹朱美) 井川遥(鳥飼りつ子) 松重豊(波多野行成巡査部長) 岩松了(岡安嘉文警部補) 笹野高史(曽根登喜男村長) 中村勘三郎[18代目](救急病院医師) 香川照之(斎門正芳) 八千草薫(鳥飼かづ子)
【成分】笑える 悲しい 知的 切ない コミカル 医療問題
【特徴】手塚治虫氏の「ブラック・ジャック」によく似たエピソードがある。村人から絶大な信頼を寄せられているモグリ医師の失踪を軸に描く主要人物たちの人生模様。
鶴瓶氏の綱渡り医療がリアル。現代社会の虚構に光を照らす。
晴雨堂の2009年公開映画10選に選ぶ。
【効能】鶴瓶氏の綱渡り医療にハラハラ。
そうあってほしい気持ち、それに支配される嘘をつく側とつかれる側の現代人悲喜劇を体感。
【副作用】結末がイマイチ現実味が無く拍子抜け。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
朝青龍明徳(2) 近頃の現象[三百四十九]
緊急理事会で決議へ
4日に電撃引退した元横綱・朝青龍(29=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ)の“退職金”が減額される可能性が出てきた。退職金とは別に元横綱と元大関に贈られる「特別功労金」を決議する日本相撲協会の理事会が、10日に開催されることが判明。支給額に関しては1億5000万円以上とも言われるが、数々の騒動を起こしての引退だけに外部役員らから“物言い”がつきそうだ。(スポニチアネックス)
【雑感】皆から惜しまれての引退ではなく、事件を起こしての引責引退であり、しかも騒動は一度や二度ではなかった。だから、これはやむを得ないだろう。
本来、朝青龍ほどの力士なら引退しても「元朝青龍」とはいわない。横綱は引退しても5年間は四股名のまま親方として協会にいられる。また一代年寄北の湖や貴乃花を上回る優勝回数だから四股名のまま一代に限り年寄になれる一代年寄の栄誉もあっていいはずだ。
その話すら無く退職金の減額の話し、朝青龍サイドもそれらのことは言及せず、引退会見で「これからは元朝青龍」と発言したことから、協会に残るつもりはないかもしれない。母国に帰って実業家か政治家か?
素人に怪我を負わせた問題、これはまだどういう状況なのかは明らかではない。当ブログでメッセンジャー黒田の事件を引き合いに出して警察の力士へのエコ贔屓疑惑に触れたが、その黒田の事件で被害者側の怪我の具合は当初報道されていたより軽症だったことが後になって判明した。
朝青龍の場合、当の被害者本人が刑事告訴せず寛大な処分を望んでいる訳で、はたしてどんなシチュエーションなのか流動的だ。積極的にプロの格闘家が殴る蹴るを素人にやってしまったら「引退」どころか「解雇」でないとおかしい。しかし、モノの弾み程度の可能性も残されている。以前、ある力士が報道陣を手で振り払ったところ、カメラマンの1人が怪我をして「全治10日間」などと騒いだ事があったおぼえがある。
私はヒール好きなので、朝青龍不在の場所はつまらなく思ってしまう。制限時間一杯の時に塩を巻く独特のポーズと表情を見る事をいつも楽しみにしていた。巨漢力士をあの力士としては小兵に近い体格で投げ飛ばす様は溜飲下がる想いだった。
「品格」といっても、横綱玉錦の前例があることだし、裏で品格のない言動をする親方衆の存在がよく週刊誌などで報じられている。力士の傷害致死事件があったが、ハインリッヒの法則(1つのトラブルがあったらその陰には無数のヒヤリ・ハットのトラブル未満のミスがある)に当てはめれば、朝青龍は楽屋裏を映す鏡になっているかもしれない。「他人の振り観て我が振り直せ」という言葉があるが、朝青龍のふり見て協会の振り直せ、かもしれんのだ。
外国人力士だから相撲文化を理解していない、という批判もある。しかしプロ野球の助っ人外人を見よ。日本にやってきて長い選手でも日本語がおぼつかない人は少なくない。
だが朝青龍は日本人だと錯覚するほど流暢に操れる。琴欧州はまだ不得手だがイントネーションは完璧で訛は無く、平仮名だらけながらも日本語でブログを書いている。相撲文化は、嫌でも叩き込まれる。理解していないわけではない。
相撲文化の奥深い部分への無理解であれば、それは協会や親方の責任だろう。協会や親方自身が理解していない可能性がある。
朝青龍には播磨灘のようになってほしかった。残念だ。



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