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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

失速する「維新」 近頃の現象[九百二十八]

憲法破棄ではなく改正」 
橋下氏、石原氏に反論


 日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長は29日午前のBS朝日番組で、石原慎太郎共同代表が「憲法廃棄」を唱えていることに関連し、「石原氏にも『改正』で納得してもらっている。(党が目指すのは)『破棄』ではなく『改正』だ」と述べた。両者の憲法観の相違が改めて露呈した。(産経新聞)
 
【雑感】同じ「右翼」でも毛色が違う石原慎太郎氏とくっついた時、たぶん多くの「大阪維新の会」支持者は危惧した。必ず不協和音が発生して失速すると予想した者も少なくなかった。「なんで地域政党のままでおらへんねん」と思った支持者は今の状況を「そら見たことか」を通り越して、「もう維新は終わった」と思っているだろう。
 
 こうなってくると、組織としてガッチリまとまっている共産党や公明党と違って、なんとなくイケイケムードで膨張した団体は脆い。自民党や民主党が顔色を窺っていた頃の「維新」の姿はもはやない。景気の良さに集まった人たちは「いつ降りるか」「いつ逃げるか」の算段をしているかもしれない。

 こないだの千葉貴樹氏とて、もし彼が常識というものをわきまえた人間だとしたら、文句たらだら吐きながら1日でバイトを辞める糞ガキのような台詞を言ってまで橋下教育改革の現場責任者たる校長職を放り出す理由は1つしかない。
 「維新」や橋下氏はもう終わり、あてにしていた橋下「維新」からの教育委員会攻撃は期待できない、なら早々に撤退するに限る。もし、彼が一応の常識人で一応の知恵を持った「大人」であるなら、こんな算段で逃げの一手を打った、と見たほうが自然だ。

 「維新」に賛同して活動に参画した方々は、「こんなはずじゃなかったのに」と愕然とした思いではないか。参院選までもはや時間がない。今から潮目が変わるとは思えない。
 

 
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千葉貴樹よ、仕事をいちびるな。 近頃の現象[九百二十七]

「謝罪するつもりはない」
3カ月で退職の民間人校長、
大阪市教委の配属に不満


 大阪市教委の公募で民間人校長として4月に市立南港緑小学校(大阪市住之江区)に着任し、25日付で退職した千葉貴樹校長(38)は同日、同校で記者会見を開き、「自分のスキルを生かせる学校ではなかった」と述べ、配属をめぐる市教委への不満を理由にあげた。3カ月足らずでの異例の退職には「不祥事で辞めるわけではないので(児童や保護者に)謝罪するつもりはない」と強調した。(産経新聞)
 
【雑感】残念ながら、千葉貴樹氏のおかげで「民間人校長」や「証券マン」のイメージを悪化させたようだ。
 
 千葉氏は自分が何を言っているのか自覚しているのだろうか?

「自分のスキルを生かせる学校ではなかった」
 そもそも、民間人校長は橋下徹市長が教育改革の一環として行った政策、かなり以前から橋下氏は教育行政の改革を主張し、教育委員会批判を執拗に繰り返していた。良い悪いは別にして橋下改革を妨害する勢力を橋下氏本人だけでなく保守派マスコミも批判してきた。これは昨日今日の話ではなく、橋下氏が知事として鉈を振るい始めてから考えても数年単位の長丁場、民間人登用の校長職はそんな橋下改革の現場責任者である。
 改革推進の現場当事者が僅か3カ月弱で辞めるとなればまず己の立場が解っていないし、「自分のスキルを生かせる」云々を理由にするとは教育改革を単なる転職活動と同列に扱っていると見なされても仕方がない。
 日本的常識を言えば、まず児童や保護者、そして橋下市長に陳謝しなければならない類のものだ。

「不祥事で辞めるわけではないので(児童や保護者に)謝罪するつもりはない」
 本心からの発言なら、この千葉氏は今までどんな社会人生活をおくってきたのか? 本当に38歳なのか? 不祥事でなくても、仕事半ばで放り出せば同僚や取引先など関係者に迷惑を被るもの、いままでバイト感覚で仕事をしてきたのか? 
 1年がんばればまだ格好がつくが、1学期も満足に仕事できなかったのだ。一介のパート従業員ならいざ知らず、学校の最高責任者であり橋下改革の現場責任者が、である。とにかく自分の力の無さを認めて関係者に謝るのが筋だ。社会人としての信用を失ってしまった事に気付いていないのか?
 
「配属前から市教委に対して市立学校の英語教育の強化を訴えてきた」
 訴えるだけで思い通りになる? 世の中いちびっているのか? 現場責任者として橋下改革の一端を担っていた立場を何と心得ているのだろうか?
 とにかく一介の教諭ではなく現場責任者たる校長なのだから、その学校で実績をあげるべきだ。実績という目に見えるものを示せば、世の中も少しずつ動く。3ヶ月で辞めるということは、実績云々以前に何もやっていないと同じだ。
 良い悪いは別にして橋下氏が大阪府や大阪市を動かす権力者となって辣腕ふりまわしても改革がなかなか進捗しない様を見て、自分が担う仕事は大変とは思わなかったのか? 「訴える」だけで仕事をしたつもりでいたのなら了見違いも甚だしい。

「配属された学校では基礎学力の習得という別の優先課題があり、自分の本来の力を活用できなかった」
 小学校だから基礎学力が優先である。それからたった3カ月弱では「本来の力」以前に活用する気が無かった、やる気が無かったと批難されても仕方がない。そもそも「本来の力」が本当に有ったのかどうかも疑わしい。本来なら「力およばず」と頭を下げるべきで、「自分の本来の力」などと言わない方が良い。身の程をわきまえない人と世間からみなされる。

「市教委が校長を公募して大阪の教育をどう進めるのかビジョンが見えず、(自らの退職は)市教委への問題提起に必要だった」
 残念だが、問題提起にはならないだろう。何もせずに辞めるのだから。何かをやった、何かをやろうとした、そんな形を示せればよかったが、今の状態では仕事の不平不満を並べながら一日でアルバイトを辞める軽薄な人間と千葉氏との違いが判らない。

 そして、今回の一件は、橋下維新の軽さを世間にアピールする効果を生んでしまった。もしかしたら、千葉氏は元証券マンという損得勘定に長け訓練を受けてきたので、維新の凋落に利無しと見て早々に引き上げる選択をしたのだろうか?
 ようするに辞めたこともさることながら、物言いも顰蹙をかう格好悪さ、もう少しなんとかならなかったのか?
 

 
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「八重の桜」(8) TVドラマ評[六十三]

いよいよ八重の出陣か。
 
【雑感】とうとう会津領の国境防衛線が突破され官軍は領内に侵攻、猪苗代湖を挟んでの攻防戦も敗退し、鶴ヶ城城下に迫る勢い、というのが今回の回だ。
 
 作中で容保が重臣たちの前で「会津は会津の手で守る」と檄を飛ばしたことでも判るように、もはや奥羽越列藩同盟は事実上崩壊し、会津は孤立状態になっている。猪苗代城で戦っていた新選組も北海道へ転進する土方と会津に残る斉藤に分かれる。

 ここで時代劇に詳しい人は「あれ?」と思うだろう。前回の激戦攻防の舞台となった白河城は会津領の隣の旧白河藩での出来事だが、猪苗代城は完全に会津領だ。幕藩体制下では一国一城と定められており、城は軍事目的の「要塞」ではなく執政のための藩庁となっていた。現在の地方自治体の県庁所在地は幕藩体制下で発達した城下町であったため、県庁は城郭や城跡の近く又は敷地内に置かれたのはその名残といってもいい。ところが会津では藩庁の鶴ヶ城(若松城)以外に猪苗代城も持っているのである。
 
 実は例外的に大藩は城を複数持つ事がある。伊達氏の仙台藩も藩庁の仙台城以外に白石城を持ち、重臣片倉氏が代々城主となっている。城代ではなく城主であるのが味噌で、知行も一万数千石、仙台藩の中に白石藩があるようなものだ。「八重の桜」では奥羽諸藩の重臣が会津救済の会議を行ったところとして紹介されている。
 同じように第一の重臣を支城の城主にして万石以上の領地を与えた例は熊本藩の八代城がある。また親藩では紀州藩の新宮城などがあり、家老職の家臣が城代となっている。会津藩の猪苗代城も有力家臣を城代として置いていた。

 とはいえ、あくまで幕府の例外的処置。大名の中には城を持たない家も少なくなく、見栄から屋敷を無理に城っぽく見せようとした例もある。そういう幕藩体制下で、大藩とはいえ城を複数持つ事を幕府から正式に許可された藩は特別待遇といえる。
 会津藩の松平家は藩祖が二代将軍秀忠の御落胤、つまり徳川御三家に次ぐ血筋といっても良く知行も23万石(実質の石高は御三家の水戸藩より多いといわれる。逆に水戸藩は御三家の体面から内実よりも高めに申告している)、戊辰戦争直前の容保の官位は正四位下左近衛権中将、親藩の中でも家格は上、これに京都守護職時代の尊皇攘夷派弾圧の責任も加わると、薩長の怨嗟は激しいものだったに違いない。
 
 この猪苗代城で土方歳三と斉藤一が袂を分かつ。短い場面だが土方と斉藤の会話は双方の志が出て良い。史実の土方もこの頃になると剣客の新選組副長から卒業し旧幕府軍の一部隊を指揮する陸軍司令官になっている。後の箱館戦争では陸軍奉行並として大量の銃弾を浴びせる大規模な銃撃戦を展開し官軍を何度も撃破している。
 作中では会津に残る斉藤に向かって「どうやって戦う気だ? 銃も弾も尽きかけているぞ」と説得する土方に向かって、腰にさした太刀を掴んで「まだ、刀がある」と迷わず言い切る。「会津に惚れた女でもできたか」と訊ねる土方に「女ではない。愚かなほどに真っ直ぐな会津という国です」と答える。後世の歴史家や歴史ファンから幕末最強の剣士と讃えられた斉藤一、今後の数々の激戦を刀で切り抜け、戦争終結後は会津人として生きていく。
 「まだ、刀がある」と言い放つ斉藤一の無精髭の顔が格好いい。私の個人的希望としては、もっと斉藤が活躍する場面を入れて欲しいのだが、八重が主役だから無理だろう。

 今回のエピソード終盤でついに悲劇の白虎隊が出陣してしまう。官軍からの攻撃に驚き、あたふたと銃口に棒を突っ込んで弾込めをする場面で終わるのだが、これが有名なヤーゲル銃だ。
 八重が愛用する最新のスペンサー銃や薩長が使っているスナイドルは元込め式で現代の銃に近い方式なのだが、白虎隊ヤーゲル銃は火縄銃と同じく銃口から火薬と弾を入れて備え付けの棒で押し固めてから撃つ。しかも作中で何度も紹介されたゲベール銃よりも弾込めに時間がかかる。

 というのも、命中精度を上げるためにパチンコ玉のような弾丸から釣鐘状に改良してライフルマークを入れたのは良いが、弾込め時に筒の途中で弾が引っかかるのだ。山本家の角場で八重がパチンコ玉状よりも釣鐘状の方が射程が伸びると少年たちに指導していたが、物語上ではそれが仇となった。この作品はそんな伏線が多いような気がする。
 ヤーゲル銃をさらに改良して扱いやすくしたのがミニエー銃なのだが、日光口を完璧に防いでいる山川大蔵ら主力部隊が使用し、元々後詰の予備軍だった白虎隊には回らなかったのだ。
 
 次回はいよいよ会津戦争の悲劇が始まる。
 

 
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「八重の桜」(7) TVドラマ評[六十二]

二本松少年隊の悲劇
 
【雑感】八重の桜」上半期も佳境に入ってきた。
 
 前回は奥羽越列藩同盟の最前線基地である白河城(小峰城)が陥落し、今回は白河城奪還を試みるもことごとく失敗し、逆に二本松まで攻め込まれ会津がいよいよ分断孤立する戦況となった。しかし八重がいる若松城下はまだ銃後で戦は会津領の外だ。
 白河城を会津の城と勘違いする視聴者もいるだろうが、時代劇に詳しい人ならピンとくる寛政の改革を断行した老中首座松平定信の居城だったところだ。この会津戦争の時期は藩主不在で、少しややこしいが天領(幕府の直轄地)の二本松藩預かりとなっていた。つまり、幕府が管理する領地になったが、実際の管理は二本松藩が代行する状態。
 ここで西田敏行氏扮する会津藩家老西郷頼母を総督に仙台藩をはじめといる列藩同盟の各藩と旧幕府軍の新選組や伝習隊をはじめとする残存部隊の混成軍で薩長を中心とする軍勢と戦った。
 

 今回の回では興味深い場面がある。土方歳三が「捧げ銃(つつ)!」などと号令をかけ西洋式軍隊の指揮官として新選組や白虎隊を率いている場面だ。
 もともと新選組の組織も結成から半年毎に改編を繰り返していったが基本は西洋式軍隊と同じ組織形態である。というのも、新選組の主な役職は英語式階級名に直訳可能だからだ。

 たとえば局長と副長を補佐し小隊の隊長を勤める「助勤」という役職、日本語で「少尉」と訳される「Lieutenant」の意味は「副官」の意味がある。まさに隊長(Captain)を助け小隊を率いる事もある階級だから「助勤」そのものである。
 沖田総司は助勤で一番隊長だから「First Lieutenant(中尉)」に当てはめることができるし、土方が務めた副長職は局長を補佐するというより新選組全体の実務を統括する権限を持っているのでCaptain(大尉)だろう。そして新選組の規模からいって、近藤勇が務めた「局長」は「Major(少佐)」が適当だろうが、参謀伊東甲子太郎や総長山南敬助の存在もあるので、彼らが副長と局長の中間の格なら局長は「Lieutenant Colonel(中佐)」となるだろう。

 さて、タイトルにもある二本松少年隊の悲劇を観て思ったが、かつて八重が新婚旅行気分に二本松を訪れて少年たちと交流する場面が悲しみの伏線だったことがわかる。
 今回は西郷頼母の家族が勢揃いする場面がある。ニコニコ笑う幼い娘たち5人の顔が史実を知る人たちにはかえって悲しみを誘うシーンだ。
 

 
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私は辛坊治郎氏の冒険完遂を願う! 近頃の現象[九百二十六]

辛坊治郎氏 
コメンテーター休業示唆「どの面下げて…」 
辛坊治郎氏 小型ヨット太平洋横断断念


 神奈川・厚木基地に到着した辛坊氏は「助かった、の一言」と憔悴(しょうすい)した表情で話し、日付が変わった22日に東京都新宿区の吉本興業で会見しあらためて謝罪した。(スポニチアネックス)
 
【雑感】まず、たった一回の失敗で「冒険はしない」「仕事はしばらく休業する」では、それこそ太平洋横断を舐めてかかっていると私は逆に批判する。辛坊氏の責任感からでた言葉であるのは理解できるが、これでは100%確実に太平洋横断できると思い込んでいたのか、と突っ込みを入れたくなる。
 数々の海洋冒険を成し遂げた堀江謙一氏でさえも、出港まもなく日本近海で遭難した事がある。1972年に単独無帰港世界一周へ出発したが僅か3日目でマストが折れ航行不能、マスコミから猛バッシングを受けた。しかしその2年後には失敗を糧にして単独無帰港世界一周を成功させた。因みにバッシングの急先鋒はヨット乗りが趣味の石原慎太郎氏である。
 安全で確実な方法で太平洋を横断するのなら旅客機か客船に乗れば良いことで、わざわざヨットを使うのは遭難のリスクが高い困難な方法にチャレンジする事に意義を感じたからではないのか。関係者に謝罪するのは当然だが、初心完遂してこそ関係者への謝罪完了ではないのか。


 辛坊治郎氏らへの批難には的外れが多い。一例を挙げると、

「健常者2名が補助につくべき」
 これは不測の事態に備えて健常者が交代で主役である岩本光弘氏サポートする意味らしい。
 一見すると正論のようだが、それなら堀江謙一氏の単独航はどうなる? 彼こそ辛坊氏ら以上の無謀な行為だ。しかも彼の最初の冒険はパスポート無しの国法を犯しての実行だ。しかも年齢は20歳代前半、現在の辛坊・岩本両氏よりもはるかに若輩で技術も経験も装備も脆弱だった。
 どこまで準備するべきかの線引きは難しいが、不測の事態に備え過ぎると映画「植村直己物語」で西田敏行氏扮する植村が大声で吼えた「組織と最新の設備があれば登れない山なんて無いよ!」になってしまう。死の危険があるから冒険である。
 プラスに考えたら、準備を怠らなかったからこそ、沈没間際に脱出でき、海保も位置を把握でき、迅速に海自が救援できた。
 冒険を理解しない人間や冒険をする人に嫉妬を抱く人が口にする物言いだ。

「救助費用を払え!」
 まず、国際法を理解していない。というより無知だ。海難事故の場合、公的機関所属の船舶や航空機などで救助なら無償という事が国際条約で取り決められている。今回は日本の公的機関である海上保安庁と海上自衛隊が動いたのでタダである。この点で「海を知らない」事が暴露されている。

「危機管理がなっていない」
 これは「健常者2名が補助につくべき」と批判する人たちの本音でもあるだろう。が、太平洋を小型ヨットで横断する意味を、この台詞から理解していないことが露わだ。
 たとえ頑丈な軍艦でも遭難するときは遭難する。それをわざわざ木の葉のごときヨットで横断するのだから、遭難死の危険も織り込み済みであり、それを乗り越えて達成することに意義があるのが「冒険」である。
 危機管理が無かったから浸水したのではない。危機管理が十分にあったからこそ、早期に船を放棄する決断ができ、時化のなか沈没の恐怖と戦いながら全盲の岩本氏を救命ボートに誘導し、遭難時のバックアップが完璧だったからこそ海保も海自も的確な救援活動ができた。遭難時の対策ができているのに危機管理がなってないと批判する者こそ危機管理というものを理解していない。
 辛坊氏はこのような雑音に耳を傾けなくても良い。

 
 冒険と経済には密接な関係がある。私は冒険の「ぼ」の字にも満たない気楽なチャリンコ日本一周をやった事があるが、そこで出会った旅人たちの多くは東京出身か大阪出身の人たちばかりだった。しかも高学歴者が圧倒的に多かった。
 80年代末の日本アドベンチャーサイクリストクラブの記録によると、海外冒険サイクリングに出かける人の出身地を見れば多くが東京圏と大阪圏で占められている。さらにその他の地方出身者でも京阪神や京浜の大学に在学または卒業の人で占められている。
 さらに海外サイクリングをやった人から聞いた話では、同じようなサイクリストはイギリス・フランス・ドイツ・アメリカなどの先進欧米諸国にほぼ限られていて、アジアでは日本が圧倒的に多いという。近年は中国人や韓国人が増えてきたとか。
 
 この事から何が判るか。冒険者は経済力と教育水準が高い地域の出身者であるという法則がある。加えて所属する国家や地域の活力にも比例する。近年、留学をしたがらない日本の若者が問題になってきているが、若い冒険者も減少傾向ではないか。中国や韓国に後れをとるようになっても「冒険」の芽を潰したいのか?
 
 冒険に挑戦した人を短兵急に批難して冒険の根を摘むことは、国の活力を削ぐことに通ずる! すなわち、冒険を否定する輩は国賊である。

 辛坊治郎氏らには酷で無責任な意見になってしまうが、再チャレンジしてもらいたい。最初から、一度失敗したら尻に帆をかけて退散する計画であったのなら止むを得ないが。

 
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「太平洋ひとりぼっち」 青春回帰〔26〕
 

 
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「八重の桜」(6) TVドラマ評[六十一]

ごろつき世良修蔵
 
【雑感】いよいよ会津戦争の戦端が開かれた。そして斉藤一は後に妻となる時尾と初めての出会う。

 幕末明治維新の時代劇で、会津戦争編となれば必ず登場するといってもいい傲慢不遜の世良修蔵。この「八重の桜」は会津側視点で展開するので、ただでさえ偉そうに描かれる世良修蔵が今回はもはやゴロツキ・チンピラの類に描かれている。
 
 江戸城明け渡しに成功した新政府軍は、いよいよ会津をはじめとする東北地方平定に乗り出す。恭順の意を一応示している奥羽諸藩の筆頭格である伊達家の仙台藩に乗り込んで会津を討てという命じるのだが、最高司令官たるお公家の総督は何も言わず、横で酒を喰らいながら軍服の襟をだらしなくはだけた世良修蔵は、裃姿で正座する従四位下伊達中将慶邦に向かって上から目線の乱暴な言葉遣いで「中将!」と呼び捨てにして命令する。伊達中将の傍に控えていた家老らしき家臣は怒りに震える手で膝を握り締める。(余談1)

 伊達中将の家格は諸大名より二段ほど上である。北陸加賀藩の前田家・九州薩摩藩の島津家・周防長門長州藩の毛利家と並ぶ大大名で、諸大名がおおむね従五位下あたりなのに対し伊達家は四位クラスの家格、それを庄屋の出身(つまり士分ではない)から成り上がった世良修蔵が官軍の参謀というだけでパワハラをするのだ。
 世が世であれば、世良は伊達家棟梁にお目見えすら適わない。また、時代劇に見慣れている人なら解ろうが、たとえ自分が上座に立つ人間でも相手が歳上であったり叔父であれば謙る。つまり作中の世良は極めて非常識で礼を失した人格異常者に描かれているのである。因みに演じてる俳優はけっこういい歳なのでピンと来ないだろうが、当時の世良はまだ30代前半、伊達中将は40代半ばである。

 では世良ほんとうにゴロツキだったのだろうか? 彼の経歴は作中のキャラからは想像できないほど優秀である。17歳で藩校明倫館で学び、以降は有名学問所を渡り歩いてキャリアを積み上げ、長州藩の重臣浦元襄が設立した私塾で兵学講師をするまでになっている。このころに長州藩士となり浦氏から世良姓を賜った。
 長州藩の身分制度がどういうものか詳しくは知らないが、17歳当時は士分ではなく大百姓、同時代の土佐の坂本龍馬や中岡慎太郎とあまり変わりは無い。藩校で学んだり江戸へ留学したりと学問三昧できるわけだから相当に秀才だったはずだ。
 彼の青年時代は学問三昧だったが、高杉晋作の奇兵隊設立に招聘され隊の書記に就任、数々の戦いで部隊を指揮して軍功を上げ、特に戊辰戦争での世良の働きはめざましい。その流れで、新政府軍の東北方面軍を指揮する事実上の司令官になった。

 少なくとも、彼は強硬派路線であったのは確かで、寛大な処分で旧幕府勢力の力を潰さずにおくと将来の禍根となるから抹殺するべき、よって会津は武力で滅ぼさなければならない、そんな意思だったようだ。穏便に平和裏に終わらせたい伊達ら奥羽諸藩にとって世良は目障りな存在になっていたのも確かだ。

 「八重の桜」は会津視点で物語が進行するので、世良は憎たらしいほど徹底した悪役に描かれた。それこそ暗殺されても仕方がないくらいの悪だ。世良の直系子孫はいないが、縁者が見たらどう思うだろうか?

(余談1)当時の官軍は、最高司令官である総督とそれを補佐する副総督と参謀の三役はお公家さんが就任する。軍略の「ぐ」の字の無い人物が就くので、錦の御旗を掲げる朝廷の「正規軍」の建前を守るための飾りであることは言うまでも無い。実質の司令官は三役の下に設けられた下参謀と呼ばれる役職が務める。これは薩長同盟を反映して長州と薩摩からそれぞれ1人ずつ就任する。世良の同僚参謀は後に鹿児島県令になる大山格之助が就いた。


 
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AKB48(13) 篠田麻里子卒業か・・。 近頃の現象[九百二十五]

篠田麻里子、ついに卒業か・・。
 
【雑感】人気絶頂にして不動のエース前田篤子の卒業で、神7の古参たちも自分たちの引き際を考える、そんな雰囲気が昨年の総選挙だった。その中で篠田麻里子はそんな空気に反発するように、今の地位にしがみつく事を宣言し、後輩たちに「潰すつもりでかかって来なさい」とはっぱをかけた。
 今にして思えば、AKBの活性化と新陳代謝を促すため後輩たちに活を入れ、今年の選挙まで立ち塞がる壁となって後輩たちを鍛える役割を全うする事を自分の花道と考えていたのか。

 失礼ながら四捨五入すると30歳、卒業宣言は時間の問題と思っていたが、やはりこの節目で宣言か。前回と同じ5位で強い壁としての存在を見せ付ける事ができ、また神7のメンバーもガラリと顔ぶれが変わったことで、総選挙の舞台が卒業宣言するタイミングと思ったか。
 ひと勝負に臨む半泣きのような顔だったのでやるのではないかと思っていた。カメラマンもその気配を察知していたのか、それとも事前に知っていたのか、すかさず号泣顔の高橋みなみをロックオンしていた。高橋みなみにとって次々と同期の「戦友たち」が去っていくのは辛いだろう。

 柏木由紀と渡辺麻友は順位を下げたといっても一段だけ、現状維持と見て差し障りはない。ただ、ポストあっちゃんと目されていたまゆゆが3位に後退というのはかなり悔しいはず。この2人は冷静に状況を把握してスピーチをこなしていたから、可愛い女の子というより頼もしいプロのアイドルになった感がある。

 そして、私が以前から応援してきた指原莉乃がついに1位か。雰囲気はずいぶん垢抜けして美人顔になってきたがスピーチは相変わらずのズッコケぶり。計算なのか地なのか。感涙の場だった総選挙の舞台がお笑いの場になり、大島優子の言うように賑やかなお祭り気分になった。
 指原の1位にゲスト席の前田篤子が本気で仰天しているところを見ると、票の動きは異例だったようだ。

 さて、私のお気に入りNMBの山田菜々ちゃんは堅実に順位を上げて28位か。それにしても、NMBは全体にイマイチ人気が伸びないな。
 

 
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第1671回「あなたが最近鑑賞した芸術作品は?」

こんにちは!FC2ブログトラックバックテーマ担当加瀬です(^v^)/今日のテーマは「あなたが最近鑑賞した芸術作品は?」です。加瀬は、あまり芸術作品に詳しくはないのですが、母が行く美術館や個展などについていく機会が多いので、これまで色んな作品を見てきました!様々な芸術家の方の生い立ちや作品についてのエピソードも、作品の横に添えられてあるので、知識がない方でも、十分に楽しむ事が出来ますね。最近、「ボス...
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【雑感】もちろん、藝術の媒体は「映画」である。その映画作品のタイトルとは社会主義国キューバが制作した「ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-」だ。
 
 全編、脱力した笑いと下ネタとバイタリティに溢れた作風、昔の旧ソ連や人民中国などが制作していたNHK教育テレビ的真面目くさった説教くさい作品ではない。下手をすれば、キリスト教価値観と建前で縛られた自称自由の国アメリカよりも精神的に自由ではないかと思ってしまうほど、悲壮感が感じられない大らかな内容である
 
 後日、晴雨堂は「絶望から脱出しよう」へ処方するつもりだ。制作者たちはおそらく絶望することを知らない。
 

 チェ・ゲバラの特大ネオンサインがある有名な革命広場にゾンビが大挙押し寄せる絵を
キューバ人自ら描くとは、まっこと壮観だ! 
 

 
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