イギリスのEUからの「独立」はスコットランドのUKからの独立を煽る。 近頃の現象[一二五四]
スコットランド、独立へ投票準備
英北部スコットランド自治政府のスタージョン首相は25日、中心都市エディンバラで演説し「英国からの独立を求める住民投票の実施に向けた手続きを進める」と話した。スコットランドでは2014年にも独立を求める住民投票が行われたが、否決されている。(毎日新聞)
【雑感】子供の頃、私は一種のコスモポリタンのようなものに憧れていた時期があった。国境線は無くなり平和で戦争の無い世界、大人になってもその理想を捨てずに平和運動を続けている人々などにとってEUはその先駆けモデルだった。
こないだの年末年始にオランダ・アムステルダム経由でドイツ・ケルンへ渡航したのだが、パスポートを呈示する緊張の場面はオランダ入国の時だけだった。アムステルダムからケルンまでの飛行機は、まるで関空から高知へ飛行機で帰省するような感覚、私が肌でEUを実感した瞬間だった。
パスポートの査証欄には関空で捺された出国帰国の印鑑とアムステルダムの印鑑の4つしかない。これが昔だとドイツの印鑑も2つ加わっただろう。
さて、経済界や知識人たちの予想を裏切ってイギリスはEU離脱を決めてしまった。既に私もTwitter上で指摘したのだが、やはりそうきたか。イングランドの女王に忠誠を誓う前にEUの一員である事で渋々UK残留に同意したスコットランド人も多いと聞いている。
かつてチェチェンがロシアからの分離独立を主張して戦争へ突き進んだ時、独立派市民のインタビュー記事が印象に残っている。「事実上ロシアの支配下であっても、(建前であれ)社会主義国の国際連合体だったソ連の一員なら感受できたが、ロシアの自治共和国では名実ともに憎きロシアの支配下、我慢ならん」という趣旨の発言だった。
独立派スコットランド人の気持ちもこれによく似ている。
スコットランドではEU残留を希望する人が多い。イングランド人の「エゴ」に付き合ってEU離脱なんてとんでもないという感覚もあるだろうし、イングランド人が「EUからの独立」を主張するなら我々も「UKからの独立する権利がある」となる。
せっかく沈静化していたアイルランドとイギリス領の北アイルランドとの国境線の紛争も再燃する。というのも、EUのおかげでヨーロッパ諸国の国境線が県や州の境界線のようなモノへ変化していったおかげなのだ。こないだ体験したアムステルダムとケルンのフライトが国内旅行感覚だったのが良い例だろう。
ところがイギリス離脱は再び自国領に強固な国境線を引くことを宣言する訳だから、アイルランドも黙ってられなくなる。
米ソの和解、東西冷戦の終息、東西ドイツの統一、EUの成立、80年代末から90年代にかけて旧革新勢力が望むようなうねりが世界的に起こったが、今はその副作用が至るところで噴出している。



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俺は舛添要一は嫌いだから弁護する気はない。しかし彼をクビにする都民は脊髄反射が過ぎるのではないか? [一二五三]
辞職の理由説明―舛添氏
東京都の舛添要一知事は15日の都議会本会議で、辞職の理由について「これ以上、都政の停滞を長引かせることは、私にとっても耐え難いことだ。私が退くことが一番だと考えるに至った」と説明した。
「任期途中でこのような形となり、反省と心残りの念は尽きないが、全て自らの不徳の致すところだ」とも語った。(時事通信)
【雑感】私事だが少し広い府営団地に引っ越した際に、当ブログの管理画面を開けるパスワードを記したメモ用紙が紛失してしまい、段ボールの山から発掘するのに手間取った。ちょうど、パスワード変更の時期だったので新しい番号を身体で覚えきれていなかった。
今朝、偶然にもありふれた所からメモ用紙が出てきたのでブログ更新ができる運びとなった。
さて、更新できる状態となって最初に飛び込んできたニュースが舛添要一氏の東京都知事辞任だ。
個人的には舛添要一氏に良き印象は持っていないので「ざまぁみさらせ」という思いしかないのだが、東京都の問題として考えた場合ではホンマにこれでええんか?という疑問を抱く。
当初の舛添都政は自民から共産まで概ね可もなく否もなく恙ない評価だったし、東京都が出した防災冊子「東京防災」などは大好評だった。
待機児童解消を謳いながら都の土地を韓国学校のために使う事などは首を傾げるが、どの知事さんでも長所短所はあるし同じ政策でも主権者各々の立場によっても評価は分かれるものなので、むしろ知事失格の烙印を捺さなければならないほどの失点ではない。
また、舛添外交が「地方自治体の首長がやる仕事ではない」との批判が多いが、五輪を誘致してしまった以上は2020年東京五輪主催都市の首長として諸外国に対し宣伝工作を行う必要は当然出てくるし、舛添氏はフランス語と英語が話せるのでIOCの幹部たちと通訳なしで付き合えるメリットがあるし、それが他の知事・歴代の知事に無い舛添の価値ではないか。
某コメンテーターの中には「都民は五輪だけで生活している訳ではない」と一見正論のような言葉を吐くところを観たが、未だ放射能を流している福島原発を僅か2・300キロ北に抱え、ISなどのテロ組織の活動が活発なこの難しい時期にオリンピックを行うなどと私個人は正気の沙汰ではないと思っているのだが、都民たちの多くは危険な五輪開催を支持した。
一連の報道でも明らかなように、東京五輪も無駄遣いの塊だ。それを看過しておいてフランス語のできる舛添氏を数十万円規模の無駄遣いでクビを切るのは果たして賢いやり方なのか?
もう一度いうが、俺は舛添氏が嫌いだし、五輪なんてやるもんじゃないと思っている。どうしても日本で開催したいんやったら既に開催経験のある東京よりもかつて東京と候補を争った福岡市で行うべきだと思っている。
だが、東京五輪も舛添要一氏も都民の多くが支持をした。都民たちが舛添氏を引きずり下ろすことに熱中する様に強い違和感を抱く。そして次期知事候補に名が挙がっているのは、これまたタレントあがりの有名人ばかりだ。タレントあがりが悪いという意味ではなく、そんな人材しか思い浮かばない体質が今回の猪瀬・舛添と続く失態を招いた、その反省が全くない。東京都の主権は東京都民やぞ。都民自身が蒔いた種だ。
今回のスキャンダルに関係する舛添氏の記者会見映像を観ていると、老けたなぁと思う。
舛添氏の今までの生き方は要領よく自分を高く売り込んでステップアップする事だった。文武に秀でた神童が東大法学部へあがり、マルクスにかぶれて学生運動に参加するも早々に見切りをつけてフランスへ留学。アメリカではなく歴史と文化が薫る御フランス、東大助教授(現在の准教授)に若くして就任しマスコミの寵児となる。東大での出世に見切りをつけると退官してマスコミに「政治評論家」とは呼ばせず「国際政治学者」なる評論家より格上風の肩書を造語して呼ばせ、たしか自民党から北海道知事選の要請を一度は断り、本人の計算かどうかは判らないが自民党に焦らし効果を与え、後の参議院ではトップ当選。
さらに年金処理の杜撰さ露見など問題の多い厚労省の大臣を敢えて務めて火中の栗を拾ったアピールをし、一時は自民党総裁候補の一人とまで讃えられた。
ただ、この頃からの執行部批判や離党あたりから舛添氏の勘がズレてきたように思う。それ以降の活躍はいまいちパッとしない。
私は東京都民ではないので気楽に言うが、いっそ往生際悪く議会を解散させて知事職の権限を目一杯にやりたい放題やりまくり悪行を歴史に名を残してほしかった。鉄面皮に動いて楽しませてくれたらいいのに、妙なところで常識人ぶって気弱になりよって。
年齢も考えると、以前のようなタレントにも戻れない。残りの人生を隠遁するしか道はない。



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