帰省するたびに思う。「旅人」がいなくなった。 近頃の現象[一二五九]

【雑感】上記写真は1980年代半ばに私が乗っていたサイクリング車である。白黒写真なので若干判り辛いと思うが、サイクリング車の中でも長期旅行を想定した「キャンピング車」と呼ばれる自転車である。
荷台はハンドルとサドルの後ろの他に前後車輪両側にもサイドキャリアと呼ばれるカバンを取り付けるための台座がある。今でこそマウンテンバイクで20段以上の変速ギアがついているのは珍しくないが、当時のサイクリング車ではほぼ最高のギア枚数の15段。写真では判らないが、泥除けは長期の酷使にも耐えられるよう分厚くて硬度があって特殊な板金加工を施したものを装備。タイヤは今や天然記念物である650B(フランスの規格。イギリスの26インチに相当)の太いタイヤを使用。
このキャンピング車は将来の海外サイクリングを睨んで(結局、まだ行っていないが)20万円かけてオーダーメイドした。もし今の時代に全く同じ仕様でオーダーメイドしたら、おそらく100万円くらいになってしまうかもしれない。
私はこの自転車にテントや寝袋や食器に着替えなど所帯道具と3週間分の米と1週間分の食料を積んで日本全国を走り回った。
さて、本題に入る。ここ20年くらいの傾向だと思うが、重装備のサイクリストに出会わなくなった。今時分のような夏休み期間ともなれば、中高生たちのサイクリストに大勢出会ったものだ。上記写真のような本格的な装備とまではいかなくても、安いサイクリング車に寄せ集めの装備をつけて日帰りまたは数日の行程でサイクリングに出かける人をよく見かけたものだ。
ところがである。そんなサイクリストはいないのだ。長期旅行を思わせる重装備のバイクツーリストはよく見かけるが、かつての私のようなサイクリストは皆無なのだ。たまに「サイクリスト」に出会う事も若干はあるが、華奢なロードバイクに競輪選手のような服装で走っている。荷物はウエアーの腰のポケットに詰めている程度でほとんど手ぶら。とても長期サイクリングの姿ではない。少なくともキャンプや野宿はやっていそうにない。
この季節の北海道は全国から「広大な大陸」もどきを求めて旅人が集まる。私は30年前の今頃、上記写真の自転車で北海道を走っていた。札幌駅前は旅人が大勢集まっていてテント村化していたし、稚内や釧路などの主要な駅前では旅人たちが複数名たむろしていたものだ。
ところが北海道在住の映画友達の話によると、そんな旅人はめっきり減って殆ど見かけないそうである。私も10年ほど前にキャンプ道具を持って琵琶湖を一回りしたのだが、サイクリストの野営者は1人も出会わなかった。私が若かった頃では考えられない光景である。
私は世界中が内向き志向になりつつあるような気がしてならない。日本に限って言えば、海外留学を希望する若者が激減しているとか。
右派市民の重鎮たちは「若い旅人」「風来坊」をよく蔑む。古くは石原慎太郎氏の堀江謙一批判だった。近年では金美齢氏が「自分探しの旅をする人を批難していた。
しかし、右派であればなおさらそんな若者の旅を応援するべきである。何故なら、冒険的旅行をする者の有無は国力や国民士気のバロメーターであるからだ。
難民でもないのに旅をする若者たちは、殆ど欧米と日本に限定されている。国内に視点を変えれば、私の時代では関西出身者がダントツで多かった。日本の有名企業で海外展開をしている企業の多くは関西出身である。
旅に興味を持たない若者が激増した。せっかく旅に興味を持ち出かけようとする者も右派市民からのバッシングだ。まことの右派は旅を支持しなければならない。応援しなければならない。今の右派がやろうとしている事は、表現規制の件にしても日本の良さを締め付け封じ込め潰すだけだ。
健康になりたいといいながらジャンクフードばかり食っている愚か者と同じだ。



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元横綱千代の富士、お疲れ様でした。つくづく大横綱は現実問題として命を削る仕事なのだなぁ。近頃の現象[一二五九]
涙の九重部屋弔問
横綱白鵬(31=宮城野)が2日、急逝した九重親方(享年61、元横綱千代の富士)への「恩返し」を誓った。福井巡業で関取衆全員で黙とうをささげた後、同親方との思い出を語った。
「入門したころは62キロしかなくて、体重が増えない時期がありましたから。(千代の富士が)体重差をものともせず、大きい力士を次から次に倒す姿をビデオで見た。左前まわしを取る型をまねしてました」
まだ平幕だった05年ラスベガス巡業では「もう少し体を作っていけば、いいところまでいくよ」と助言された。昨年5月の還暦土俵入りは太刀持ちを務めた。
「本当に力士思い。夏巡業が終わって1回サシで話したかった。それが悔いに残ってます」。巡業後帰京し、九重部屋を弔問。目を真っ赤にし「(死ぬのが)早かったです」と悲しんだ。(読売新聞)
【雑感】北の海親方に続いて千代の富士まで。還暦相撲をニュース映像を見た時、まさか1年後に黄泉の客となるとは想像できなかった。
赤い綱をつけた親方たちは、大概は筋肉が脂肪と入れ替わって弛んだ肥満老人の体型になのだが、千代の富士だけは違った。肩から二の腕の隆々とした筋肉、パッと見は現役時代と変わりのない躍動感のある逞しい身体に敬服したものだ。太刀持ちや露払いを務めた横綱たちが小さく見えたほどである。
それが何故、という思いが未だにある。最晩年は痩せこけて小さくなっていたらしい。川島なお美氏らのように痩せた姿を見せてないので、未だに信じられない。
千代の富士は少年時代のヒーローだった。以前の記事で述べたように北の海は嫌いだった。嫌いゆえに肥満体にしか見えない北の海のアンコ型体格も嫌いだった。ところが千代の富士だけは異例にも金剛力士像のような引き締まった身体をしていてカッコ良かった。
千代の富士のファンになったのは中学生時代、高校時代は同じ水泳部の同輩に千代の富士と顔や体格がよく似た友人がいて、よく相撲の話をしたものだ。私の相撲ファン時代は千代の富士とともにあった。
九重親方の晩年は輝かしい力士時代の実績とは真逆で不遇だったかもしれない。それまでの角界の慣例からいえば、当然のことながら北の湖親方の次に理事長席に座るのは九重親方だと思っていたからだ。一時は理事長代理まで務めていたのに、平理事からも落ち、弟弟子の八角親方が理事長となった。
それにしても、力士は短命が多い。特に大横綱と呼ばれる人は50代、60代で黄泉の客となる。アンチ大相撲系の某有名週刊誌は八百長疑惑や傲慢不遜な私生活などを「スクープ」してきたし、千代の富士もしばしば標的になった。しかし、短命というのはそれだけ大横綱として君臨するという事は命を削る凄まじい世界なのだろう。
いまはただお疲れ様でしたとしか言えない。
抜群の健康管理を誇る貴乃花親方は短命のジンクスを破ってくれるのではないかと期待している。私より先にいくな。



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都知事に小池氏か。舛添おろしをした者の中にもし「市民派」がいたなら、青島をおろして石原都政を産んだ二の舞と知るべし。 近頃の現象[一二五八]
女性初、増田・鳥越氏に大差【都知事選】
舛添要一前知事の辞職に伴う東京都知事選が31日投開票され、無所属で新人の小池百合子元防衛相(64)が、増田寛也元総務相(64)=自民、公明、こころ推薦=、野党4党統一候補でジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=ら無所属や諸派の新人20人を破り、初当選を果たした。初の女性都知事として、混乱した都政の立て直しに取り組むとともに、2020年東京五輪・パラリンピックの開催準備を急ぐ。(時事通信)
【雑感】小池百合子氏の戦術勝利だ。それにしても、彼女が勝つと思ってはいたが他候補を瞬殺するとは。投票締切とともに当確が速報とは、なんじゃこりゃだ。ついに小池百合子氏は内閣総理大臣の次に権力を持つ東京都の知事閣下におなりだ。
小池百合子知事誕生のメリットは、女性初の都知事というアピールと、アラビア語ができるのでアラブ諸国へのイメージが良好で東京五輪時のテロ予防に若干の好影響が期待できるかもしれない事ぐらいか・・。
それ以外は政策を見る限りではあまり魅力を感じない。
まあ、私は大阪府民なので関係ない、と言おうものなら革新系の知人は脊髄反射的に説教を並べようとするが、道義的関係はあっても法律上は東京都の主権者ではない。



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