ドイツからF氏がやってきた。 晴雨堂の晴耕雨読な日常[二五六]
日本にやってきた。
【雑感】ケルンでお世話になったF氏が日本に来ていた。交際している姪っ子に会いに先月末に来日して一か月ほど滞在、沖縄や広島などを見て回ったという。
27日は連れ合いの実家に泊まり29日にドイツへ帰るという事なので、私は昨日仕事を休んで連れ合いと息子を連れ会いに行った。
彼はあと半年で大学を卒業するのだが既に就職もしている。彼は以前にも留学で日本を訪れた事があるが、今回は有給休暇を使って来日した。日本では有給休暇を一日消化するだけでも同僚や上司に気を遣いまくらねばならないので、その結果消化率が悪い。仕事が好きというよりは職場の人間関係などを配慮しての事が多いのだ。ひと月分以上の有給を貯めておきながら使わずじまいに終わる事が多い。
さっそく私は長居公園のオクフェスでリッヒャーを飲んだ事を話した。マールブルグのレストランで飲んだ思い出のリッヒャーがなんと大阪で飲めたのだ。
残念ながら日本での流通はまだまだ先の話のようだが、ビットブルガーに吸収合併されたので今後日本で購入できる機会も出てくるだろう事を話したら、「えっ? ビットブルガーに合併されたんですか?」と知らないようだった。
もっとも、日本人でもキリンとサントリーが合併しようとしていた話を知る者は少数だから、ドイツ人だからといってビール業界のことを全て掌握している訳ではあるまい。たぶん私は彼よりもドイツビールの事を知っているだろうし、彼はたぶん私より日本の文学事情を知っているだろうと思う。
私は一応映画ブログを運営している人間なので、ドイツ映画談議に話をもって行った。どうも彼は特に映画大好きという訳ではなかったようだ。どちらかといえば、ハリーポッターなどの今どきの映画が好きで、27日も姪っ子とユニバーサルスタジオへ遊びに行ったという。
「帰ってきたヒトラー(ER IST WIEDER DA)」がついに日本語で封切られた事を、タブレットで日本バージョンの予告編YouTube動画を見せながら説明すると、「ああ・・それじゃあ私も観ようかな」と呟くように言った。ケルンで話した時は彼の言動を深読みしてしまったが、単純にドイツ映画にはそれほど関心が無かっただけのようで、洋画ばかり観て邦画はあまり関心が無い日本人と同じポジションかもしれない。
彼にお薦めのドイツ映画を聞いてみた。すると彼は「日本語のタイトルが判らないので・・」とメモ用紙に「DAS LEBEN DER ANDEREN」と書き始めた。話の内容は思い出せるが、今度は私も邦題が思い出せない。タブレットにいくつもキーワードを打ち込んでやっとYouTubeからtrailerを探し当てた。
ところがである。彼はこの映画も観てなかった。主演のウルリッヒ・ミューエ氏の生い立ちについても私の方が詳しかった。これについても彼は「じゃあ、帰ったら観てみようかな」と呟くように言う。
私はドイツ映画に興味を持った作品、ペーターセン監督の「Uボート」を紹介した。F氏も笑いながら「ああ、Das Bootね」とは反応が良かったものの、続けて「あれ退屈で途中から観ていません」と、私には信じがたい言葉が返ってきた。
彼はテレビ版の長尺のことを言っていた。たしかにあれは戦闘場面よりもサブマリナーたちの艦内生活の日常が中心、臭ってきそうなジメジメした潜水艦で上司の悪口や猥談や悪戯ばかりが延々続く、連れ合いや姪っ子たちには退屈かもしれない。
たぶん、F氏が姪っ子と感性が合うのだろう。だから仲が良いのかなと納得した。
なんだか白けムードが漂いそうだったので下記の動画を紹介した。「エグいですねえ」と言いながらも、面白がっていくれた。
Vat19.com から。



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「ウォーキングZ」 孤独を楽しむ時に〔61〕
孤独感を楽しむ作品

【原題】WASTELAND
【公開年】2013年 【制作国】英吉利 【時間】92分
【監督】トム・ワドロウ
【制作】
【原作】
【音楽】デイブ・S・ウォーカー
【脚本】トミー・ドレイバー
【言語】イングランド語
【出演】シェメアー・シーパーサンド(スコット) ジェシカ・メッセンジャー(ベス) マーク・ドレイク(マックス) レイチェル・ベンソン(ローリ) ギャビン・ハリソン(ジョージ) カール・ブライアン(デーブ)
【成分】パニック 不気味 切ない 恐怖 悲しい 泣ける 絶望的
【特徴】B級ゾンビ映画の典型例の一つ。アメリカが制作した作品の多くは安っぽさやチープさが丸出しなのだが、イギリスの作品はどこか文学的に見えてしまう。
晴雨堂は個人的にこの雰囲気は気に入っている。
【効能】独りで物思いに耽るのに最適の環境映画。深夜、孤独感を楽しむ補強剤。主人公に感情移入して過去の大恋愛を思い出し泣ける。
【副作用】睡眠導入剤になる。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
第2162回「初デートに行くならどこ?」 晴雨堂は喫茶店だった。
こんにちは!FC2トラックバックテーマ担当の岡山です今日のテーマは「初デートに行くならどこ?」ですみなさんそれぞれ色々思い出があると思いますが私は初デートならカフェのある大きな公園がいいですね園内にある草花や池の周りを散歩しながらお話しして近くのカフェでお茶をしながらお話しお話しばかりですが、私はこんな初デートが理想ですみなさんは初デートにどこに行きますかたくさんの回答、お待ちしておりますトラック...
FC2 トラックバックテーマ:「初デートに行くならどこ?」
【雑感】晴雨堂なら常軌を逸したところへ初デート、と思う者が多いと思う。しかし私は平凡な人間なので普通に喫茶店だった。
ただ、お洒落なサ店ではなく、近所のオッチャン・オバチャンがたむろするような場末のサ店だった。そこで珈琲一杯で5時間ほど粘った。話す内容は男女のカップルらしくなく創作談義だった。当時の私は漫画家になる事に淡い夢を抱いていて描き上げた漫画原稿を彼女に見せて批評を聞いていた。一方、彼女は詩集を自費出版していて、その感想を私に求めていた。
社会人になると、少しグレードアップした。25歳頃に輸入物のドイツビール「レーベンブロイ」を飲んでからドイツビールにハマり、時期を同じくして大阪ミナミで本格的なドイツ料理店を見つけ、そこの常連になった。ドイツビールを20銘柄ほど常時ストックしている稀有な店だったが、残念ながら廃店してしまった。
30歳前後の頃に職場の先輩の紹介で知り合った女性との初デートをそのドイツ料理店にした。彼女は心斎橋界隈のスナックのチーママで、いわゆる出勤前デート。当時、彼女はまだ二十歳そこそこの若さで学歴がないがパソコンの扱いに長け、頭の回転が速かった。ドイツ料理を美味しそうに食べている姿を観ていると、ナイフとフォークの扱いに慣れていてテーブルマナーも心得ていた。北ドイツのイェーバーを気に入ったようで「お父さんが昔飲んでいたビールみたい」と言った。
このまま「同伴出勤」に付き合おうと思ったが、急な用事ができたか何かで私は帰らざるをえず少しほろ苦い思い出となった。現在、もし同じシチュエーションが巡ってきたら、私は迷わず「急な用事」は無視して女性との楽しいひと時を優先する。
30代前半の頃、短い期間だったが10歳年下の九州の女性と遠距離交際をした。大阪と博多との中間地点、尾道辺りを考えていたが、彼女が関西を観光したいという事で関西屈指の中華街神戸南京町で初デートした。
何軒か中華料理店や飲茶店をハシゴしたような記憶があるが、彼女と何を話したのか殆ど覚えていない。彼女から一緒に福岡で古本屋をやらないかと誘われ、私は言葉を濁さず断った。現在の私は郷里に古本屋のような店を開きたい淡い夢を持っている。あのとき彼女の誘いを受け入れていたらどうなっていたのだろうかと、ときどき思う。
現在の連れ合いとの初デートは大阪ミナミの映画館だった。野村萬斎主演の「陰陽師」を観た。映画のデキは私が期待したものではなく、連れ合いも趣味に合わず不満たらたらのようだったが、この頃はまだストレートに私の前で貶す事はしなかった。
映画館からの帰りに蕎麦屋に寄り夕食をとった。私が整理整頓が苦手で部屋がごみ屋敷状態だと言うと、連れ合いは嬉しそうに笑いながら手を叩き「私も苦手なんです」と言った。
私が予想をはるかに上回る整理整頓苦手人間のオタク族である事に、連れ合いは後に驚愕する事になった。



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元AV女優紅音ほたる氏で思う事 社会的に活躍しようとしていたAV女優たちが次々と突然の他界をしているように見えてしまう。 近頃の現象[一二六〇]
元AV女優紅音ほたるさんが
伝えたかったこと
元AV女優の紅音(あかね)ほたるさんが先月、死去した。32歳という若さだった。生前、HIV予防やコンドームのつけ方など性教育の啓発に取り組み、2010年には一般社団法人も立ち上げた。紅音さんが伝えたかったことは何か。ともに活動してきた赤枝六本木診療所院長で衆議院議員の赤枝恒雄氏の言葉とともに振り返る。(THE PAGE)
【雑感】惜しい人材を失った。日本にとって必要な偉人だった。かつては飯島愛氏が熱心に取り組んでいたようだが、彼女が志半ばで斃れた後を引き継いだのが紅音ほたる氏だった。
日本は性メディアについて諸外国に比べれば比較的寛容である。東京のストリップ劇場などは未来の大物タレントの下積み場であるし、ポルノ映画は未来の巨匠監督の修練場でもあった。世界一の規模を誇る漫画同人誌即売会「コミックマーケット」は性を謳歌した作品が数多く流通している。
これだけ性メディアが発達した世界でありながら、世間の建前は厳しい。日本文化を支えているのは間違いのない事実を認めようとせず、私のような「表現の自由真理教信徒」からみれば婦女子の人権を守るという口実の法規制という名の「弾圧」を執拗に繰り返す。
まこと婦女子の人権のためになるのなら良き事なのだが、規制派の話を聞いていると婦女子を「生物」扱いしていないのではないのか、という疑問を持つ。
どんな動物も生殖年齢に達したら子作りを始める。これは人間とて例外ではない。その生物学的な生殖年齢とはいろいろ説はあるようだが少なくとも法定年齢である二十歳ではない。排卵と射精が始まる時期とすれば、中学生に相当する年齢がホモサピエンスという生き物としての生殖年齢だ。それを主に先進国を中心に社会的制約で生殖行動を延期させている。いわば生理的に限っては不自然な状態なのである。その証拠に、現在の晩産晩婚傾向は生まれる子供に何らかの障害や疾病など何らかのリスクを背負わせる可能性が高い。
だからといって現行の社会制度を否定するつもりはない。ゆえに性行為を肯定・前提とした上での性教育というものが必要なのであり、紅音ほたる氏や飯島愛氏の取り組みは問題解決のために必要だった。
ところが現状では右派(特に男尊女卑系の保守)も左派(特にフェミニスト)もまるで性行為を忌み嫌っているかのように否定的な教育をする。婦女子に「穢れを知らない天使」である事を強要しているみたいだ。しかし生殖行為自体は元来穢れではないし、祖先は10代で当たり前にやっていた事だ。
今回の訃報で少し気になる事がある。というのも紅音ほたる氏をはじめ、社会的に意見を言い出すAV女優経験者たちの何人かが不可解な最期を迎えているからだ。
紅音ほたる氏の先輩である飯島愛氏が有名だが、それよりも世代が上で私とほぼ同じ時期に青春時代をおくった井上あんり氏と林由美香氏によるAV新党(ABLE VOLUNTEER)も不可解だった。
94年にポルノ普及による性教育推進と性犯罪抑止などを掲げて深夜番組など中心に派手な宣伝活動をしていた。どこまで本気なのか私は懐疑的だったが、できれば公言通り参議院に出馬して1人ぐらいは国会議員になってほしいと思った。しかし結局は誰も出馬せず新党も自然消滅したようだった。
党首を務めた井上あんり氏は新党騒ぎから2年後に自宅マンションのベランダから転落死する。睡眠薬の服用のし過ぎで意識障害を起こした、というのが定説となった。
また幹事長的なポジションだった(余談1)林由美香氏は新党騒ぎ後も精力的にAV作品ポルノ作品に出演、サブカルチャーの世界で著名となり、カンヌ映画祭で評価されたNHKドラマで準主役を務めたり、彼女の主演作「たまもの」(いまおかしんじ監督)はドイツのライプツィヒ国際映画祭、韓国の全州国際映画祭などにも招待された。
ところが彼女も2005年に不可解な死に方をする。警察は事件性の無い自然死としたが、死因は明らかにされていない。
以上あげた4人の「社会派」AV女優たちは全員、30代の女盛りで命を落とした。しかも最期をみとったものはいない。誰も彼女たちの最期の瞬間は知らない。
怖い話だ。
(余談1)正式に幹事長として名を連ねていたのは五十嵐いずみ氏だったと思う。少なくとも林由美香氏は新党の幹事的な役割は務めていたと思う。
晴雨堂関連作品案内
由美香 [DVD] 平野勝之監督
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たまもの [DVD] いまおかしんじ監督
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PLATONIC SEX 飯島愛



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中国の土産「沙琪玛」 晴雨堂の晴耕雨読な食生活[二〇九]

【雑感】連れ合いの友人からいただいた中国の土産である。その友人は中国系で元をたどれば満州族らしい。なるほどと思った。この菓子は満州発祥だからだ。といっても、今はポピュラーな菓子で中国のコンビニで普通に売っているらしい。
因みにこの袋菓子の製造元は二ヵ所あって、福建省(台湾の対岸)と河南省(洛陽などの古都で有名)とあった。多くの中国人にとってはコンビニで売っている駄菓子だが、満州族は今でも家庭で作る事があるらしい。
沙琪玛の読み方はシャーチーマーともサチマとも。実はつい最近まで読み方を知らなかった。漢字の右側の部首から発音を推測したらほぼ正解だった。こういうとき漢字というものは便利だ。因みに拼音(ローマ字記号)は「shāqímǎ」である。

見た目は粟おこしやポン菓子に似ているが、おこしのような歯が折れそうな硬さは無くしっとり柔らかい。油で揚げた菓子なので油っぽい味を想像してしまうが意外にあっさりとしていて淡泊な味である。ほのかな香ばしさと甘さは飽きがこない。



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「帰ってきたヒトラー」 知的興奮を楽しもう〔11〕
ヒトラーがコメディアンとして甦った!

【原題】ER IST WIEDER DA
【英題】LOOK WHO'S BACK
【公開年】2015年 【制作国】独逸 【時間】131分
【監督】デヴィット・ヴェント
【制作】
【原作】ティムール・ヴェルメシュ
【音楽】エニス・ロトフ
【脚本】デヴィット・ヴェント
【言語】ドイツ語
【出演】オリヴァー・マスッチ(アドルフ・ヒトラー) ファビアン・ブッシュ(ファビアン・ザヴァツキ) フランツィスカ・ウルフ(フランツィスカ・クレマイヤー)
【成分】コミカル 不気味 恐怖
【特徴】自殺したはずのヒトラーが現代ドイツにタイムスリップして甦り、コメディアンとして大活躍。
数年前、ドイツの言論界でブレイクした小説の映画化。
【効能】社会問題の暗部への神経が研ぎ澄まされる。
【副作用】ナチズムに傾倒する。
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