「学歴」で分断される日本のリアル 晴雨堂はもろにそのリアルを体験している。格差を縮めるにはまず視野を広げる事、その手っ取り早い手段は映画鑑賞である。 近頃の現象[一二六七]
「学歴」という最大の分断 大卒と高卒で違う日本が見えている
日本は学歴で分断される社会になっている。さまざまな「格差」の根にあるのも学歴だ。学歴分断から共生へ、舵をきれるのか?日本社会が抱える最大のリスクに迫る。【BuzzFeed Japan / 石戸諭】(BuzzFeed Japan)
【雑感】私は20代後半から30代後半までの10年余りを友達の義理で左翼系の市民運動に関わった。そこに集まる人々はどちらかといえば高学歴で政治や福祉を勉強しているような学生や、そういった大学を卒業して優良企業や公務員におさまっている紳士淑女で概ね占められていた。
私はというと、大卒ではあったが学部は藝術学部、政治や福祉などは学んだ事はない。仕事は工場の労働者で背広を着て働くような職種ではなかった。
彼ら彼女らの話を聞いていると、とにかく政府批判・日本文化批判が目立つ。加えて小難しい単語や外来語がやたらと多い。最初の印象としては、人の悪口を難解な表現で並べまくっている人々の憤懣の吐け口だった。
彼ら彼女らはやたら社会の危機を主張するのだが、その危機というのがよく解らない。
ある若そうな主婦は「生活が厳しい」と言ったが、家計を伺うと当時の私の手取りより沢山もらっている。(2016年現在の私の手取りはあの頃よりも減っているうえに妻子持ちになった)薄給の私よりは楽勝の日常ではないか。
あるサラリーマンらしき人は「組合は企業の補完組織と化している」というが、私にしてみれば組合があるだけマシやないかとしか思えない。
フェミニズムにかぶれたある若い女学生は「水商売は撲滅しなければならない」と主張して仰天する。なんでと尋ねると、「お前は馬鹿か」と言わんばかりの表情で「水商売は売春だ」と言い切った。温厚な私はやや声を荒げて「あなたは水商売の意味わかって言うてるんか」と詰問した。
世間との乖離が凄まじい。
私の父は土建屋で自民党員、母は戦後の革新系の風にやや影響されてはいるが、同世代の女性で最も出世した美智子皇后を素直に讃える主婦である。左翼風に言えば、私の出身階級は保守中流である。
小学生時代からの幼馴染はいずれも育った家庭環境もほぼ同じ、有名大学を出て有名企業に勤める。どちらかといえば裕福な保守系の市民である。
高校・大学から友人たちは似たような家庭環境で育ったものの漫画アニメのオタクが多い。やや世間に対して斜に構えた視点を持ち権威や常識には否定的になる事もあるが左翼に対してもかなり距離を置いている。学歴は高卒・専門学校卒から大卒まで。
職場の同僚たちは、現在もそうだが「飲む打つ買う」の世界。解らない人のために解説すると、「飲む」とは酒のこと、「打つ」は博打・ギャンブル、「買う」は女を買う、売春や風俗である。学歴は中卒から高卒が多い。
そして市民運動、顔ぶれは前述の通り。ただし、労働運動の現場などは中卒や高卒も少なくないし、在日コリアンや性的少数者など多種多様。
20代後半から30代後半までの10年余、「家」と「職場」と「運動」とを行き来していたが、同じ日本とは思えぬ価値観の隔たり、違う国を往来しているような感覚に襲われたものだ。
なにせ同じ日本語でも意味するところが違うのだ。「左翼新聞」というと保守は朝日や毎日を指すが、市民運動の現場では朝日も毎日も左翼ではなくもはや保守に迎合したメディア、赤旗ですら疑念を持ち、韓国の「ハンギョレ新聞」に強い憧憬を抱き、新しい新聞創刊を願いつつ「週刊金曜日」や岩波の「世界」を読んでいるような状況だ。
ただ、この国々には二つだけ共通項があった。いずれも自分たちが「まとも」であると思い込み、異なる価値観や常識がある世界がある事を知らないかもしくは拒絶する。
私のように渡り歩くような事は誰もしない。だから簡単に他者を否定してしまえる。
視野を広げ寛容の精神を養うのは至難の業だ。私でも癇に障る嫌な上司の顔は見るのもおぞましい。外へ出て様々な価値観と対峙するのは気合がいる。
手っ取り早く外の世界を覗き見る手段は無い事はない。それは映画を観る事だ。一応、当ブログのテーマは映画なので映画鑑賞を推薦する。
但し、映画といってもジャニーズ系俳優が出演するようなメジャー映画や流行りの絵柄でアクションやお色気が並ぶアニメばかり観てもあまり視野は広がらない。世界各国の映画、あらゆるジャンルの映画を観る事だ。



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更新されなくなったブログ。 晴雨堂の晴耕雨読な日常[二五八]

【雑感】綺麗な部屋で正月を迎えるのが日本の風習であるので、年末になるとクリスマスが終わったあたりから各家庭で大掃除が始まる。
実は掃除に適した季節は春先から夏にかけてらしい。空気が乾燥する今時分は塵が舞いやすくて掃除には不向きで、空気に湿り気がある季節の方が埃を吸着しやすく効果的に掃除ができる。欧米では雪解けの春に暖炉の掃除をするついでにまとまった掃除をやるみたいだが、日本みたいな年中行事化してはいないとか。
さて、大掃除のついでにブログの整理もする。アクセスの多い記事には、追記したり写真や動画を加えたり、アフィリエイトのバナーを貼り替えたり。
それら作業のなかで悩ませるのがリンクの整理である。
来年5月で当ブログは10周年をむかえる。10年もやってるとリンクを張ったサイトの中には閉鎖されたり、更新しないまま数年も放置されたサイトが出てくる。閉鎖されたサイトは迷わず削除できるが、問題は放置サイトだ。
私自身も当ブログ以外に主にAV作品を論評するサイトを運営しているが、2009年頃から放置状態である。いつか再開するつもりなので、他所のサイトも4・5年滞っているからといって削除する気になれない。
しかし、そんな放置サイトがあまりに多いのだ。ブログを続けるというのは大変な事なんだな。
ネットの友人たちの殆どは面識がなく本名も住所も知らない。相手が情報発信を止めたらたちまち安否確認が困難になる。



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「キスト」 カップルで考えよう〔14〕
ネクロフィリアを描く女流監督作
原版日本語字幕無
【原題】KISSED
【公開年】1996年 【制作国】加奈陀 【時間】79分
【監督】リン・ストップケウィッチ
【制作】
【原案】バーバラ・ガウディ
【音楽】ドン・マクドナルド
【脚本】アンガス・フレイザー リン・ストップケウィッチ
【言語】イングランド語
【出演】モリー・パーカー(サンドラ・ラーソン) ピーター・アウターブリッジ(マット) ジェイ・ブラゾー(Mr. Wallis, Mortician) ナターシャ・モーレイ(少女時代のサンドラ)
【成分】悲しい 切ない ファンタジー 不気味 知的 絶望的
【特徴】カナダの女流監督が描くネクロフィリア物の映画。
ネクロフィリア(死体愛)と聞いてグロテスクな内容を連想するが、これはむしろ透明感のある切ない恋愛ものだ。生々しい変態性欲が強調されないのは、たぶん原案と監督が女性の手によるものなので男性との感性の違いからくるかもしれない。
ストップケウィッチ監督にとって初の長編映画らしいが、現在はTVドラマの監督のイメージだ。
【効能】青春の切なさを呼び覚まされる。モリー・パーカーのストリップに萌え。死体愛に目覚める。
【副作用】死体愛に目覚める。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
「レイプ・オブ・アナ・フリッツ」 社会を冷笑したい時に〔41〕
白雪姫の下衆版
【原題】EL CADAVER DE ANNA FRITZ
【英題】THE CORPSE OF ANNA FRITZ
【公開年】2015年 【制作国】西班牙 【時間】75分
【監督】エクトル・エルナンデス・ビセンス
【制作】
【原作】
【音楽】トロ・プラッツ
【脚本】エクトル・エルナンデス・ビセンス イサーク・P・クレウス
【言語】スペイン語
【出演】アルバ・リバス(アナ・フリッツ) クリスティアン・バレンシア(イバン) ベルナート・サウエル(ハビ) アルベルト・ガルボ(パウ看護師) ニコ・アビラ(医師)
【成分】セクシー 不気味 恐怖 笑える 絶望的
【特徴】死姦をテーマにした作品である。
ヒロインの名前がドイツ風に聞こえたのでドイツ映画かと思ったがスペイン映画である。猟奇映画と思いきやゾンビ映画? ゾンビ映画かと思いきやサスペンス映画? サスペンス映画化と思いきやスプラッタ?
1時間強の尺で比較的バランス良くまとめた佳作ではないかと思う。白雪姫の下衆版と思えば納得できるかもしれない。
殆ど全裸で演技したヒロインのお仕事が光った作品。
エログロ的萌え作品でもあるのだが、3人の下衆な議論のリアルさと破滅的オチで社会を冷笑したい作品とする。
【効能】人間の悲観的可能性を直視できる。ヒロイン役のアルバ・リバスが愛おしくなる。
【副作用】死姦趣味に目覚める? 様々な要素が中途半端に思え物足りなさを感じる。
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