「MISHIMA ――11月25日・快晴」 不安と恐怖を楽しむ時に〔26〕
ハリウッドが描く三島由紀夫
【原題】Mishima: A Life In Four Chapters
【公開年】1985年 【制作国】亜米利加 日本国 【時間】120分
【監督】ポール・シュレイダー
【制作総指揮】フランシス・フォード・コッポラ ジョージ・ルーカス
【原作】三島由紀夫
【音楽】フィリップ・グラス
【脚本】ポール・シュレイダー レナード・シュレイダー チエコ・シュレイダー
【言語】日本語 一部イングランド語
【出演】緒形拳(三島由紀夫) 塩野谷正幸(森田必勝 楯の会学生長) 立原繁人(古賀浩靖 楯の会隊員) 三上博史(小賀正義 同左) Junya Fukuda(小川正洋 同左) 大谷直子(倭文重 三島の母) 加藤治子(なつ 三島の祖母) 織本順吉(自衛隊益田総監)
【成分】悲しい 切ない 知的 絶望的
【特徴】ハリウッド映画人が描く三島由紀夫伝記映画。ハリウッド制作の日本語映画としては先駆けといえる作品である。
若松孝二監督作「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」は現代日本が抱える社会問題をも意識しながら三島の割腹事件を考察しているのに対し、本作の場合は三島由紀夫個人の内面から事件を掘り下げている。
劇作家でもあった三島を意識しているのか、原題にある「Four Chapters」が示すように四幕で構成されている。冒頭は事件当日の朝、三島がいつもと変わらず起床し身支度を始めるところを淡々と描写、幼年時代からの回想を交えながら三島の代表作である「金閣寺」「鏡子の家」「奔馬」の実写化を舞台劇風に魅せていく。
【効能】右翼思想に目覚める。三島由紀夫の内面を覗いたような感覚になる。
【副作用】右翼思想に目覚める。アメリカ的藝術描写に違和感。
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「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」 社会問題を考えたい時に〔28〕
若松監督昭和三部作
【英題】11:25 The Day He Chose His Own Fate
【公開年】2011年 【制作国】日本国 【時間】79分
【監督】若松孝二
【制作】若松孝二
【原作】
【音楽】板橋文夫
【脚本】若松孝二 掛川正幸
【言語】日本語
【出演】井浦新(三島由紀夫) 満島真之介(森田必勝 楯の会2代目学生長) 渋川清彦(持丸博 楯の会初代学生長) 岩間天嗣(古賀浩靖 楯の会隊員) 永岡佑(小賀正義 同左) 鈴之助(小川正洋 同左) タモト清嵐(山口二矢 日本社会党委員長浅沼稲次郎を刺殺した少年) 寺島しのぶ(平岡瑤子 三島の妻) 大西信満(倉持清 楯の会隊員) 中泉英雄(田中健一 同左) 平野勇樹(鶴岡友昭 同左) 笠松伴助(中辻和彦 同左) 鈴木信二(関河真克 同左 龍笛奏者) 橋本一郎(斎藤英俊 日本学生同盟会員) 落合モトキ(遠藤秀明 同左 森田と一緒に貝殻島上陸をはかる) 粕谷佳五(楯の会A) 礒部泰宏(楯の会B) 小橋和之(楯の会C) 小林優斗(上田茂 森田の幼なじみ) 韓英恵(上田牧子 同左 茂の姉) 篠原勝之(碇井陸将 陸上自衛隊富士学校校長) 地曵豪(福岡喬 富士学校教官) 辻本一樹(富士学校教官A) 山岡一(富士学校教官B) 安藤岳史(自衛官M) 小橋和之(楯の会C) 小林優斗(上田茂) 韓英恵(上田牧子) 篠原勝之(碇井陸将) 地曵豪(福岡喬) 辻本一樹(富士学校教官A) 山岡一(富士学校教官B) 水上竜士(山本舜勝一佐 陸上自衛隊調査学校情報教育課長) 吉澤健(益田兼利陸将 陸上自衛隊東部方面総監部総監) 増田俊樹(幕僚A) よこやまよしひろ(幕僚B) 中沢青六(幕僚C) 岡部尚(全共闘学生A) 森岡龍(全共闘学生B) 寺井文孝(全共闘学生C) 安田暁(全共闘学生D) 藤井由紀(全共闘学生E) 安部智凛(全共闘学生F) 小林三四郎(舩坂弘 元軍人 三島に日本刀・“関孫六”を譲渡した人物) 小倉一郎(田中必勝の父) 長谷川公彦(徳岡孝夫記者)
【成分】悲しい 切ない 知的 絶望的
【特徴】若松孝二監督昭和三部作最終章。
日本を代表する小説家三島由紀夫が憂国の情に突き動かされて民兵組織「楯の会」結成し市ヶ谷駐屯地で占拠事件を起こした末に割腹自殺を遂げるまでを描く。
決して駄作ではないが、前作の連合赤軍に焦点を置いた「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」や反戦をテーマにした「キャタピラ」ほどに思い入れを感じない。
思うに、監督自身は左翼ではないと公言しているものの、これまでの作風から左翼にシンパシーを感じるタイプだ。ただ左翼ではないと言った手前、左系内容の映画制作が続いたのでバランスをとるため不本意ながら右側の三島由紀夫を撮ったのではないかと私は勘繰っている。
とはいえ、俳優たちの熱演は素晴らしい。
【効能】右翼思想に目覚める。反日勢力の間接侵略に危惧を抱く。
【副作用】右翼思想に目覚める。反日勢力の間接侵略に危惧を抱く。
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晴雨堂の2016年公開映画 残念ながら晴雨堂が劇場で観たのは「キネマ純情」と「帰ってきたヒトラー」の2作のみ。
昨年は映画館で観た作品は僅か二作。
さて、今回も昨年1年間の公開映画を振り返る行事がやってきた。
「日本で2016年に劇場初公開された新作」という条件に絞って晴雨堂が独断と偏見で優秀作品を1作ぐらいは選ぼうと考えた。
具体的な評価基準は、劇場で1800円支払って鑑賞してなおかつDVDが発売されたら購入して本棚のコレクションに加えたい映画である。
で、昨年に引き続き映画館へ行く機会がめっきり減った上に心に残る映画も思い浮かばない。リメイクやらシリーズものやら、たしかにそれなりに面白いかもしれないが、思い出に残る事はたぶん無い。季節が過ぎれば、数多くある映画の一つとして記憶の沼の底へ沈むことになる。
かつては毎週末に映画館へ行ったものだ。なにしろ近所には歩いて10分以内の所に映画館があるのだ。映画好きにとって誠に素晴らしい居住環境、しかも私が観る映画の多くはメジャーではないため観客は下手をすれば私一人のときもあり貸切状態、まさにマイシアター状態なのだ。
しかし子供が幼いとき、例えごくたまにとはいえ映画館へ行こうものなら、親戚縁者から吊るし上げにあう。ただでさえ仕事の関係で育児は連れ合いに任せっきりの状態ゆえたまの休みは子供の相手をするのは責務、映画館へ行くなど言語道断。
それでも身内の批難を覚悟の上で観に行った映画があった。昨年5月に大阪第七藝術劇場で上映された「キネマ純情」と6月に日本初公開された「Er ist wieder da(帰ってきたヒトラー)」である。
残念ながら劇場で観た映画は以上の2作のみである。



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チバレイ、左翼になったと思ったら一気に右翼へリバウンドか。 近頃の現象[一二六八]
抗議電話で「開催せず」
有田芳生参院議員「常識的な判断」
千葉さん「言論弾圧だ」
元女優で実業家の千葉麗子さん(42)が今月12日に行われる予定だったサイン会が抗議の電話やFAXがあったとして、中止されたことが分かった。千葉さんは今月5日、自身のツイッターに「サイン会ですが東京堂書店さんに『わかってやっているのか?』と店員さんに恐怖心を与えるような電話が相次いでかかってきたため、書店側が万が一を考慮して中止になりました。楽しみにしていた皆様にお詫び申し上げると共に、このような言論弾圧には憤りを感じます」と投稿。この後、9日までに、賛成、反対の立場から著名人がツイッターに投稿した。(産経新聞)
【雑感】「恐竜戦隊ジュウレンジャー」を観ていた時、実業家になるまでは予想していたけど、まさか左翼とつるんで反原発運動するとは思わなかったし、それから程なくリバウンドで旭日旗を振り回すとは思わなかった。
気持ちは解るような気はする。
あくまでも私の体験で私の周囲に限った現象であると断ったうえで言えば、右も左もどちらかに偏る人たちの多くは内面に問題を抱えている人が多い。天下国家云々よりも世界平和云々よりも、まずは自分自身の性根をどうにかした方がいいのではないかと思ったこと多々ある。
多々あったから幻滅した。この人たちは本音では国に尽くす事なんか全く考えていない、人民に奉仕する気なんか全く無いのではないか、そういう疑惑を抱いた。
本音では自分の身を国民より数段上に、人民より数段上に置きたがっている、国民や人民を見下ろす位置に自分を置く事が目的ではないのか、と。
小林よしのり氏が左に幻滅して、そのリバウンドのように右にすり寄って、結局は既成の保守や右翼とも距離を置くようになったのは、ある意味正常である。
千葉麗子氏に少しでも冷静な部分があれば、遠からず右にも幻滅を感じてくるだろう。
ただ、主体性を維持するのは至難の業である。人間関係の険悪化は避けられないからである。正気でいようとすればするほど、特にカルト的な純化した集団内では衝突は避けられない。人間関係を悪化させたくないから、内心では「違う」と思っていても面従腹背で通す。
面従腹背で居続けるのが苦しくなれば、居場所を手放したくないがゆえに主体性を抑え込んで潰し、自らを「洗脳」して楽になる。多くの政治団体・思想団体はそんな人たちで構成されているのではないかと私は疑っている。
千葉麗子氏が立ち位置を保守中道に微調整するのか、それともこのまま極右へと走るのか興味がある。内面に問題を抱え、孤独感に悩まされている状況であれば、微調整はしないかもしれない。



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第2212回「おもちはどうやって食べるのが好きですか?」 晴雨堂はやはりお雑煮か。
こんにちは!トラックバックテーマ担当の一之瀬です。今日のテーマは「おもちはどうやって食べるのが好きですか?」です。醤油やマヨネーズ、おぞうににしてみたりとお餅は色々な食べ方がありますよね私はみたらしとずんだ餅にして食べるのが好きですみなさんはおもちをどうやって食べるのが好きですかたくさんの回答、お待ちしておりますトラックバックテーマで使っている絵文字はFC2アイコン ( icon.fc2.com ...
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【雑感】普段はシンプルに焼餅にして醤油をかけて食べるのが好きだが、お正月なのでやはりお雑煮だろう。

大阪は白味噌仕立てで具材も餅以外にいろいろ入って賑やかなのだが、我が家の雑煮は澄まし汁に餅と菜っ葉が少し入っているだけのシンプルなもの。
郷里高知伝統の雑煮かと思ったが、少し違う。たしかに澄まし汁は同じだが、餅は高知では切り餅、ウチは丸餅、というより切り餅でも丸餅でもどちらでもいいような感じだ。家にある餅をとにかく使う。
たぶん、大昔は切り餅だったかもしれないが、大晦日に餅をつくようになって出来立ての餅では切り餅に成形しづらいので丸餅が手っ取り早くて定着したのではなかろうかと思う。
ただ、連れ合いにはイマイチ我が家伝統の雑煮は不評みたいだ。連れ合いの実家はやはり白味噌で具材は盛沢山、そういえば母も徳島出身で高知の雑煮はイマイチのような印象を持っていた。徳島は地理的に大阪文化の影響が強く大阪と同じく白味噌で具材たっぷりだから、我が家の雑煮は貧相に見えた事だろう。
母は高知の山村の家の伝統に渋々従っているが、連れ合いは澄まし汁に妥協したものの具材は年々増えていく。餅も我が家では煮るのだが、連れ合いはまず焼いて柔らかくした餅を椀に入れて汁をかける。たしかに、煮ると餅が溶けて汁がドロドロになるし後の食器洗いなどが面倒だ。
ということで、上記写真の形に落ち着きつつある。



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