鰻が絶滅危惧種にされても何のその、絶滅する前に喰いまくろうてか・・・? 川津祐介氏が90年代初頭の段階で絶滅の可能性を指摘してたんだが。近頃の現象[一二八一]
浜名湖、土用の丑へ出荷ピーク
一年でウナギの需要が最も高まる土用の丑(うし)の日(25日、8月6日)に向け、浜松市西区の浜名湖養魚漁業協同組合で養殖ウナギの出荷がピークを迎えている。22日には、昨年冬以降に稚魚を養殖した「新仔(しんこ)ウナギ」も次々と持ち込まれていた。組合職員によると「量、質ともに上々」。卸売価格は昨年比で1割ほど安いという。(静岡新聞)
【雑感】90年代初頭だったと思う。今から三十年近く前だ。朝のTV番組に「てれび博物館」という教育番組があった。俳優の川津祐介氏とタレントの中野珠子氏を司会に番組が展開されていく。(余談1)

当時の川津祐介氏は穏やかな50代の理科の先生といった雰囲気、中野珠子氏は溌溂とした20代の女子大生という雰囲気で川津氏の助手を務め、川津氏が都合で番組収録を休んだ時は独りで司会を務める事もあった。番組名は「てれび博物館」なので、川津氏は館長先生、中野氏は学芸員といった趣きか。
番組内容は学校のビデオ教材にそのまま使えるのではないかと思えるほど良質で気に入り、当時の私はビデオで録画して観ていた。たしか科学技術庁長官賞に輝いた番組だったはず。
さて、本題に入ろう。20数年前の今頃の季節の朝だった。川津祐介氏が美味そうな鰻重を前にしみじみと「土用の丑の日と言ったら鰻、でも将来この鰻が食べられなくなるかもしれないんだ」と語り、隣の中野珠子氏が「えっ! そうなんですか!」と驚く場面から始まる。(余談2)
私はこの番組で、鰻の生態は謎の部分が多く産卵場所が特定されていない(余談3)事や、浜松の鰻の養殖は卵からではなく稚魚を捕獲して育てているだけ、という事を初めて知った。
つまり養殖といっても雄と雌を交配させて卵を産ませている訳ではないので、語弊のある言い方になるが一からの生産ではないのだ。稚魚の捕獲量が減れば養殖できる数も減る。
ここで注目してほしいのは、既に90年代の初頭の段階で鰻の絶滅が俳優の川津祐介氏の口から危惧されているのである。
しかし世間は全く鰻絶滅の話が上る事はなく、土用の丑の日になると例年通り鰻商戦。当時、駅前にあった鰻屋では鰻丼750円で蒲焼が4枚入っていた。特上の鰻重でも1500円程度だった。ところが当時の750円鰻丼レベルのモノを今(2017年)食べようと思ったら千円札二枚は出さないといけない。因みに駅前の鰻屋は90年代末に廃業した。
絶滅への道は着実に進んでいる。
鰻が食えなくなる! と騒ぎ出したのは絶滅危惧種に指定された3年前から。反応が遅すぎやしないか? 20年以上もの間、無策だったのではないか? それとも絶滅する前に喰いまくろうという趣旨なのか?
(余談1)番組自体は私が中学生だった頃からあり、ちょくちょく観ていた。初回から川津祐介氏がまるで理科の先生のように番組を進行させているのが魅力だった。中野珠子氏が加わるようになったのは80年代の終わりごろか。
ビデオ録画するようになったのはタマちゃんが目当てだったかもしれない。
川津氏はこの番組に思い入れが強く、夏休みにはサイエンスキャラバンと題してワゴン車で各地に出張し、子供たちと触れ合いながら番組作りをする彼の活き活きした穏やかな笑顔を見ていると、小中学校時代の恩師を思い出してしまう。
事情は判らないが2001年頃に川津氏と中野氏が惜しまれながら勇退し、代わりに大桃美代子氏が司会を引き継いだのだが、彼女が悪いのではないと思うが番組内容が「理科の授業」から「グルメ情報番組」みたいになってきたので見るのを止めた。
(余談2)七輪で焼いている途中の蒲焼かもしれない。記憶が曖昧になっている。ビデオ録画しているので確認する事が可能だが、自宅から数キロ離れたトランクルームに保管しているのですぐに見れない。
(余談3)鰻の産卵場所をが突き止められたのは2006年になってから。マリアナ諸島の西側沖のマリアナ海嶺のスルガ海山付近らしい。「てれび博物館」放送時ではマリアナ付近に小さな稚魚が発見されたので、ひょっとしたらマリアナ海溝に?という段階だった。



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