グレタ・トゥーンベリ氏の主張は若い頃の連れ合いそっくりで大筋得心するが、晴雨堂は支持できない。近頃の現象[一二九二]
世界2位の富豪が批判
「天変地異説に傾倒している」
高級ブランド「LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・グループ」の会長兼最高経営責任者のベルナール・アルノー氏(70)が、16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんについて「若者の士気を低下させている」と批判した。ブルームバーグが9月26日に報じた。(ハフポスト日本版)
【雑感】世界第二位の大富豪が16歳の「小娘」の発言を無視できない、この事実はグレタの戦術的勝利といっても良いだろう。
グレタ・トゥーンベリ氏(以下敬称略)の演説を聞くと、連れ合いの若い頃を思い出す。
当ブログで何度か紹介した「環境保護運動家」の連れ合いもグレタとほぼ同じ主張を唱えていた。家庭の電力消費量のかなりの部分をエアコンが占めるからと言って真夏の炎天下でもエアコンなしの生活に付き合わされた。ベランダにゴーヤを植えて緑のカーテンを施すよう「指導」したのも連れ合いだった。
しかし子供を授かってからは方針転換した。都会の古い集合住宅中層五階建て最上階は真夏になると強烈な太陽光が屋根を熱しダイレクトに天井に伝わる。天井を触ると熱いのだ。こんなサウナのような部屋で乳幼児は脱水するので置いとけない。連れ合いは母親の決断をしてエアコン導入に踏み切った。
自動車も一時は手放そうとしたが、病院や保育園を回るにバスや電車では時間と金銭がかかり過ぎ不便なので維持することにした。
グレタも環境保護のために飛行機を拒否しヨットで大西洋を横断したらしいが、その徹底した姿勢が批判者たちの粗探しを招き、様々な矛盾を突かれてしまった。私は批難しない。連れ合いも出産を機に現実に沿った妥協をしてこれまでの主張から方針転換した。勿論、今でも合成洗剤は使わないし米や味噌など日々の食糧の根幹はキリスト教系の消費者団体から購入した無農薬有機農法の食材を高い銭を出して購入している。
グレタもいずれは若干の方針修正を迫られ実行せざるを得ない時がやってくるだろう。それは仕方のないことだ。だから批難はしない。主張と行動の矛盾や乖離をできるだけ小さくしようとする努力を続ける限りは大目に見る。人間、全く矛盾なく生きていくなんて事は不可能だからだ。
グレタは16歳という年若さと裕福な出身家庭を批判されているようだが、連れ合いの主体性を疑わなかったように彼女の主体性も疑わない。むしろ若さゆえに人間界の利害関係を考慮に入れずストレートに主張する事は意義のある事だと思っている。私が同じ立場に立たされたら、あの公の場では身の危険を感じて表現をマイルドにするだろうが。
ただプロパガンタの疑いは払拭しないので話半分に聞いて背後の利害関係を考察する。
プロパガンタには3B法則がある。Beauty(美人)・Baby(赤ちゃん)・Beast(動物)を活用すること。湾岸戦争時に悲劇のヒロインとして登場した15歳の少女ナイラの証言によって世界がイラクへの軍事制裁へと動いたが、実は演技だったことが暴露されプロパガンタの恐ろしさをリアルタイムで見た。
この3B法則は広告や販売促進の分野でも応用されている。日本製アニメや子供向け映画などはもろに3B法則に従って制作されている。ピカチューや妖怪ウォッチにセーラームーンはそれらの典型だ。
映画では「Uボート」でハリウッド進出を果たしたペーターセン監督の「ネバーエンディングストーリー」が典型例として挙げられる。可愛いドラゴンに二人の少年と、少女のような女王の幼こころの君。この役を演じた子役は当時12歳のタミー・ストロナッハ氏、美少女と評判だった。

ネバーエンディングストーリーで女王を演じるタミー・ストロナッハ氏
こうしてみると、グレタとダブる部分もある。グレタも16歳にしては丸みのある童顔だ。タミーは長い髪をきつくひっつめて結っていたが、グレタも長い髪をきつくまとめ一本の三つ編みにして左肩に垂らしていた。体型もグレタは12歳当時のタミーに似て華奢だ。異なるのはタミーは老成したような演技だったが、グレタは国際社会の大舞台で勇ましく演説。
私が環境保護団体の代表だったら、彼女のような活動的な逸材を共同代表に据えてスポークスマン役を担わせる。50過ぎのオッサンがしゃべるより若者がしゃべった方が影響力がある。男の子よりも女の子。そしてグレタも自分の役割は存外割り切っているのではないかと思う。
たとえば、私の知人筋から聞いた話に、若い女性が市議に当選して意気揚々と壇上に登ったもののヤジの嵐にあい泣き出した、という情けないエピソードがある。敢えてどこの自治体のどこの市議かは言わないが。また一時は友人関係だったある若いフェミニストは議論で劣勢になると泣き出して話をしばしば中断させた。
しかしグレタは自分に向けられた誹謗中傷を「賛辞と受け取る」と言い切った。敵が怒れば怒るほど良い戦いをしている、というゲバラたち先人の革命家の言葉を彷彿させる言葉だ。大したものである。

環境保護運動家として国際会議に臨むグレタ
今回のスピーチは先進諸国の関心を集めヒートアップさせた点で見事に大成功だった。私が「顧問」なら見事戦術目的達成。
彼女の「プロデューサー」の気持ちが解るような気がするので、話半分に捉え鵜呑みにはしない。



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