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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「チェ・ゲバラ -革命と戦いの日々-」 突っ込みどころを楽しもう〔16〕 

チェ・ゲバラ -革命と戦いの日々-」 
アメリカ人の解釈が強く出た作品


 

【原題】CHE GUEVARA
【公開年】2005年  【制作国】亜米利加  【時間】111分  
【監督】ジョシュ・エヴァンス
【原作】
【音楽】パトリック・キャシディ[音楽]
【脚本】ジョシュ・エヴァンス
【言語】イングランド語
【出演】エドゥアルド・ノリエガチェ・ゲバラ)  エンリコ・ロー・ヴェルソ(フィデル・カストロ)  ポーラ・ガーセス(アレイダ・マルチ)  ソニア・ブラガ(-)  ハヴィエ・ガルシア(-)

【成分】勇敢 知的 絶望的 切ない かっこいい キューバ革命 1950年代末~1967年 チェ・ゲバラ 

【特徴】スペインの俳優エドゥアルド・ノリエガ氏がチェ・ゲバラを熱演。ポーラ・ガーセス氏が扮するゲバラの妻アレイダも革命戦士には見えないくらいスタイリッシュでモデルのような所作。
 全体にチェ・ゲバラの特集番組に挿入する再現ドラマのような感じである。制作者は実際のゲバラやカストロやアレイダにとらわれず自由な解釈で構成。

【効能】エドゥアルド・ノリエガがカッコ良い、ポーラ・ガーセスがセクシー、萌えることができるかもしれない。

【副作用】あからさまに粗末な作品づくり、ゲバラ信奉者でなくても内容には激怒を通り越して呆れる。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
2時間特番の再現ドラマかな?
 
 端的にいうと、これはTVドラマのレベル、それも2時間ドキュメント特番に挿入される再現ドラマのような感じだ。かつて、オマー・シャリフ氏がゲバラに扮した低予算映画「革命戦士ゲバラ」をさらに低予算にして、キャスト・スタッフを大幅削減したようなモノだ。
 
 ゲバラに扮するのは「バンテージ・ポイント」で日本でも名を知られているラテン系の若手俳優エドゥアルド・ノリエガ氏。彼はハリウッドに進出するも、あくまでも拠点は母国スペインに置き、ヨーロッパでの俳優活動を大事にしている点は非常に好ましく思える。髭をそった顔が若き日のゲバラに似てなくもない。
 ただ、せっかくスペイン語を母語にしている俳優をゲバラ役に起用しながら、アメリカ人によるアメリカ人向けの作品であるため、台詞は英語である。スペイン語を話すゲバラをスペインの俳優が演じているのに台詞は英語というのはなんとも奇妙な感覚に襲われる。もし、仮に日本で孫文や毛沢東を主人公にした同種同程度予算の映画を作った場合、日本人向けでも台詞は中国語で日本語字幕付きにするだろう。(余談1)
   
 予算とエキストラの少なさは制作陣の頭を悩ませたのだろう。なんとかエキストラをあまり使わないような構成を心がけているのがよくわかる。時系列をバラし、ゲバラ本人の回想やインタビューでの回想など、目まぐるしい。少し時系列を崩しただけでも話が呑み込めない人が出てくる事を思えば、この作品には取っ付きの悪さを感じるだろう。それでもってエキストラは指で数えられるほどの人数なので安っぽさがある。エドゥアルド・ノリエガ氏はけっして悪くはないが、幻滅感は払拭できない。
 
 残念な事に、カストロ役をイタリア系のエンリコ・ロー・ヴェルソ氏が担当しているのだが、ほとんど役づくりをやっていない。オマー・シャリフの「革命戦士ゲバラ」でも年齢や容姿が異なるジャック・バランスは、見た目だけでもカストロに似せているのだが、彼はヘアースタイルも髭の伸ばし方も気に止めていない。だから、彼がカストロを演じている事に気付くのに時間がかかった。
 また、ゲバラの妻になるアレイダ役にはポーラ・ガーセス氏が扮したのだが、美人過ぎる。しかも案の定、ゲバラとの陳腐なベッドシーンが登場する。
 
 ゲバラの半生をドキュメントした2時間番組に挿入する再現ドラマとしてなら見れるが、まとまった作品では拍子抜けするばかりだ。
 90年代からゲバラ人気が再燃し、「エビータ」や「モーターサイクル・ダイアリーズ」などで取り上げられ廃れることなく現在も続いているが、2005年作の本作もその流行に乗った企画だろう。DVD化されて日本でも販売される事は本来無かったと思うが、2009年公開のソダーバーグ監督「チェ」2部作の好評に便乗するかのように「新作」としてDVDがレンタル屋に並ぶようになった。
 
(余談1)よくいわれているが、原版台詞を100とした場合、吹替は60程度、字幕は40程度の台詞になってしまう。日常のありふれた出来事を描写した映画なら差し障り無いが、専門知識や政治・宗教・文化の問題が深く絡む作品になると、字幕では意味が解りづらくなってしまう。だから字幕を嫌がる映画ファンは少なくない。
 しかし、声優の演技が下手だと折角の作品も台無しになる。俳優の生の演技が吹替よって隠れてしまう事は避けられない。そのため字幕をありがたがる日本人も多い。これは日本特有の文化だ。日本以外では中国や韓国などの漢字文化圏に限られる。欧米では字幕は嫌がられ吹替が主流なのだ。
 
 その理由の第一は、漫画文化にあるのかな、と思うようになってきた。漫画は絵を観ながら吹き出しの台詞を読む作業を同時に行う。漫画文化が発達しているのは日本や韓国をはじめとする東アジア一帯だ。画像を見ながら字幕を読む作業に慣れ親しんでいる。欧米でも漫画はあるのだが、日本のような徹底した「読む映画」ともいうべき漫画メディアは発達していない。画像を見ながら字幕を読むのは、かなり面倒に感じるようだ。



晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆ 駄作

 

 
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