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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ターミネーター4」 ストレス解消活劇〔71〕 

ターミネーター4」 
ターミネーター新シリーズ第1弾。

 

 
【原題】TERMINATOR SALVATION
【公開年】2009年  【制作国】亜米利加  【時間】114分  
【監督】マックG
【原作】
【音楽】ダニー・エルフマン
【脚本】ジョン・ブランカトー マイケル・フェリス
【言語】イングランド語
【出演】クリスチャン・ベイル(ジョン・コナー)  サム・ワーシントン(マーカス・ライト)  アントン・イェルチン(カイル・リース)  ムーン・ブラッドグッド(ブレア・ウィリアムズ)  コモン(バーンズ)  ブライス・ダラス・ハワード(ケイト・コナー)  ジェーン・アレクサンダー(ヴァージニア)  ジェイダグレイス(スター)  ヘレナ・ボナム=カーター(セレナ・コーガン)  マイケル・アイアンサイド(アシュダウン)  イヴァン・グヴェラ(-)  クリス・ブラウニング(-)  ドリアン・ヌコノ(-)  ベス・ベイリー(-)  ヴィクター・ホー(-)  バスター・リーヴス(-)  ケヴィン・ウィギンズ(-)  グレッグ・セラーノ(-)  ブルース・マッキントッシュ(-)  トレヴァ・エチエンヌ(-)  ディラン・ケニン(-)  マイケル・パパジョン(-)  クリス・アシュワース(-)  テリー・クルーズ(-)  ローランド・キッキンジャー(T-800の首から下)  アーノルド・シュワルツェネッガー(T-800の首から上)  アンジャル・ニガム(-)
        
【成分】スペクタクル 勇敢 絶望的 切ない かっこいい 近未来 2018年 SF ターミネーター
  
【特徴】「T3」の続編。ジョン・コナーは人類軍の一部隊を率いる指揮官として活躍しているが、まだ最高司令官ではなく前シリーズでほのめかされたカリスマ性はまだ全開ではない。ジョン・コナーの父親となる運命のカイル・リースもまだ少年だ。ここでは人間の生きた筋肉や皮膚をまとったターミネーター誕生秘話を語る重要なキャラクターとしてマーカス・ライトが登場し、ジョン・コナーを差し置いて事実上主人公となっているのが特徴。マーカスを演じたオーストラリア人俳優サム・ワーシントン氏にとって本格的なハリウッド進出作となるが、彼にとっても主役のクリスチャン・ベイルを差し置いて事実上の主役といえる。
 ケイト・コナーをはじめ女性の登場人物が印象深く登場はするが、事実上「男の友情物語」に仕上がっているのが新鮮。シリーズの中では最も女性キャラガおとなしい作品でもある。
 佳境でツルツルの若いシュワちゃんが登場する。さすがCGは素晴らしい。
  
【効能】爽やかな男臭さに女子は萌え。懐かしさと新鮮さに物語世界に感激する。マーカス・ライトのアクションにストレス解消。
 
【副作用】マーカス・ライトの扱いに不満。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
新シリーズ第一弾として無難だが好かん。
マーカス・ライトがもったいない。


 これまでの3作でときおり挿入されていた「未来世界」、T1ではカイルの回想場面、T2では冒頭で登場するジョン・コナー司令官、T3では青年ジョン・コナーの悪夢。今回はその「未来世界」が舞台となる。(余談1)
 
 ファンとしては興味深い内容だ。20代の頃、漫画同人誌を専門に請け負う印刷会社に勤めていたとき、顧客の原稿の中にジョン・コナー総司令官を主人公にした未来世界のエピソードを独自の解釈で創作した漫画を何件か目にした事がある。
 ジョン・コナーがどういう経緯でスカイネットが脅威と見なすほどの人物になっていくのか、母親サラはどう絡むのか、崇拝の眼差しで従う純粋で忠実な部下カイル・リースにどんな顔で接しどんな言葉をかけるのか? そして潜入型ターミネーターがどのように造られていったのか、旧型のゴム製はどんな感じか、生きている組織を貼り付ける製造過程は? ターミネーター世界にのめり込んだ事のある方なら誰もが空想した事に違いない。だから、「ターミネーター」は「T2」で完結と考えているキャメロン派ファンでも今回の「T4」には好奇心をもってしまうだろう。
 
 結論を言うと、映像は美しく迫力があったが物語の構成には不満がある。まず、どう考えても謎の死刑囚マーカス・ライトが主人公である。このキャラを今後どのように扱うかは判らないが、物語としては一応今回で出番は終わりのようなので勿体無い。マーカス・ライトは新シリーズ全体を支える主役ポジションであるべきで、ジョン・コナーやカイル・リースは思い切って脇役に退き、前3作とは全く新しいシリーズにしなかったのが非常に残念である。従来ファン層からの売り上げを意識しているようで気に入らない。

 ターミネーターをサイボーグかロボットかの議論が長年存在しているようだが、少なくともマーカス・ライトは完全にサイボーグに該当するだろう。外皮だけでなく脳と心臓まで人間なのだから従来のターミネーターとは一線を画す。人間である事と機械の面との葛藤、物語の重要な鍵となる存在、処刑されたはずの2003年から舞台となる2018年までの記憶の空白、どこか十字架を背負っているような感覚、主役となる魅力が詰まっている。これに加えて、キャシャーンのように身体が機械であることを周囲の人間にいつバレるかビクビク緊張する要素があれば完璧だ。
 つまり、ターミネーターはT1では悪役、T2とT3はジョン・コナー役とともに共同主役、今回はターミネーター誕生秘話とターミネーターの内面に迫るためターミネーターを単独主役としたほうが、私は面白く感じる。

 もし私が制作者なら、T4では記憶喪失のマーカス・ライトが機械軍と戦う過程で人望を集め人類軍の部隊長へと頭角を現し、総司令官ジョン・コナーの信頼と友情を得る話にする。佳境でシャワちゃん型ターミネーター(余談2)と格闘する過程で身体の一部を損傷し、身体のかなりの部分が機械になっている事に愕然とし、ラストはメカが覗いている傷口を隠しながら戦友や恋人と勝利を喜び、若き総司令官ジョン・コナーから参謀として迎えられるところで、T5へと流れるようにする。
 T5ではついにジョン・コナーたちに正体がばれて指揮官を解任、本作のように拘束・尋問・解体されかけるが、捕虜となったカイルを助けた事で再び信頼を回復するが人類軍の指揮官には復帰せずジョン・コナーとは別行動でスカイネットと戦う決意をし、T6ではマーカス誕生秘話が明らかになる。
 私は以上のような展開にしてほしかった。 
  
(余談1)新シリーズは三部作、T6まで企画がある。普通は本作T4の興行成績を確認してからT5制作に取り掛かるものだが、既に着手しているとの噂を聞いた。しかも、クリスチャン・ベイル氏は新3作でジョン・コナー役を担当する契約を結んでいるとか。
 
 少年時代のカイル・リース役には現在封切られている「スター・トレック」でチェコフ少尉役を担当しているアントン・イェルチン氏が扮している。若くしていきなりSF大作2本で重要なキャラを演じるとは。イメージがSFに限定される危険があるな。
 
(余談2)本作ではローランド・キッキンガー氏のボディと若い頃のシュワちゃんの顔をCG合成している。数体登場するかと思ったら1体だけで、しかもほどなく丸焼けになってメカ骸骨になってしまう。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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ターミネーター4 サントラ
 
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日経エンタテインメント!SFアクションSpecial(ターミネーター パーフェクトガイド (日経BPムック)
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やっぱり映画愛が感じられる作品って、見ていて嬉しくなってしまいますから。
[ 2009/12/27 21:37 ] [ 編集 ]
にゃむばなな氏へ

> 私はジェームズ・キャメロン版の2作に対するオマージュに満ちたこの映画が好きですよ。
> やっぱり映画愛が感じられる作品って、見ていて嬉しくなってしまいますから。
 
 たしかにオマージュですね。私はもっと冒険してほしかったのですが。
[ 2009/12/27 22:28 ] [ 編集 ]
ターミネーター4が興行的にズッコケ、T4製作会社破産、ターミネーター権利放出→競売中...でマックG監督によるターミネーター5は暗礁にのりあげ、ターミネーター3同様、ターミネーター4も無かったことになる模様...
[ 2009/12/28 02:34 ] [ 編集 ]
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