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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ハゲタカ」 社会を冷笑したい時に〔32〕

ハゲタカ」 
資本主義を嗤うエンターテイメント。

 

 
【原題】
【公開年】2009年  【制作国】日本国  【時間】134分  【監督】大友啓史
【原作】真山仁
【音楽】佐藤直紀
【脚本】林宏司
【言語】日本語 一部中国語 イングランド語
【出演】大森南朋(鷲津政彦)  玉山鉄二(劉一華)  栗山千明(三島由香)  高良健吾(守山翔)  遠藤憲一(古谷隆史)  松田龍平(西野治)  中尾彬(飯島亮介)  柴田恭兵(芝野健夫)  嶋田久作(-)  志賀廣太郎(-)  小市慢太郎(-)  グレゴリー・ペーカー(-)  脇崎智史(-)
        
【成分】ゴージャス パニック 知的 切ない かっこいい 経済
  
【特徴】NHKの人気ドラマ、企業買収をテーマにした「ハゲタカ」の映画化である。今回は中国政府が後ろ盾になっているファンドが日本の基幹産業である自動車業界に戦を仕掛ける舞台設定。
 TVドラマではアクの強いキャラだった主人公の鷲津政彦は本作では善玉にまわるのでやや味が薄くなっている。代わりに新しいキャラ中国系ファンドの若き司令官劉一華が魅力的な悪役として描かれている。劉一華役の玉山鉄二氏は綺麗な発音の中国語を話す。
  
【効能】資本主義の無情を学べる。
 
【副作用】毒気の無い鷲津政彦に不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
劉一華の続編を観たかった。
 
 NHKドラマの「ハゲタカ」は重厚で見応えのある作品だった。これはその映画化だが、他の作品レビューでも述べたように、小説・漫画・ドラマ・アニメなどを90分から120分程度の映画に組み立てなおすと、いろいろ切り落としたり貼り付けたりするので、当然のことながら原作原版ファンに違和感や不快感が生じてくるのはやむを得ない。
 
 今回の映画化で切り落とされたのは、松田龍平氏の西野治、栗山千明氏(余談1)の三島由香、柴田恭兵氏の芝野健夫、そして大森南朋氏の鷲津政彦だ。ドラマでは、彼ら彼女には内面に様々な問題を抱え葛藤に苦しんでいるはずの複雑なキャラだったが、西野と三島は普通の主要脇役、鷲津は一応主人公だが毒気を抜かれた平凡な善玉に成り下がった。
 新たに貼り付けたキャラは、玉山鉄二氏扮する中国系ファンドの若き司令官劉一華だ。このキャラが突出して魅力があり、敵役というよりは第一主人公である。
 
 謎の中国残留日本人孤児3世の劉一華、眼鏡をかけた白面のクールな優男、実際にこんな感じのエリート中国人がいそうだ。中国語の台詞が思ったほど多く出たが、いずれの発音も綺麗な普通話だった。高良健吾氏扮する守山翔と部屋で口論する時も、まるで中国語が母語であるかのように中国語の諺が出た。仕草や表情など、かなり研究して役作りされたのだろう。(余談2)
 冷酷に計算高く攻略しているようで、ときおり滲ませるヒューマンな表情、果たしてそれはどこまでが演技で本音なのか、ジャーナリストの三島や派遣工の守山に接触したのは当然戦術なのだが、そこで見せる重い台詞、必死に金を拾う姿、鷲津に内面を突かれて思わず目を赤くしてしまう様、この魅力的キャラが本作限りなのが実に惜しい。結末をいささか平凡な悲劇にしたのが残念である。
 「T4」の作品レビューでも述べたが、こういった複雑な内面を持ったキャラが主役に適している。劉一華の続編を観てみたい気にさせるほどだ。
 
 聞くところによると、中国系ファンドが日本経済界に来襲するというコンセプト自体は変えていないものの、この1年の世界経済激変で大幅な改編を余儀なくされたようだ。もし、本作の内容を昨年の暮れに発表して正月映画として封切っていたら、面白い事になったかもしれない。
 
(余談1)スペクタクル場面の無いこの手の映画はDVD化を待つのだが、栗山千明氏がヒロインとあれば別だ。映画館へ行く目的はただ一つ、栗山千明氏の顔のアップを巨大画面で観ること、それだけである。
 
(余談2)冒頭、劉一華の少年時代が出てくる。鼻の下が鼻水が乾いて固まっている。これはリアルでグッド。近頃の子役は綺麗過ぎる。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
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映画ハゲタカ オリジナル・サウンドトラック
TVドラマ版 ハゲタカ DVD-BOX
 
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ハゲタカ(上) (講談社文庫) 真山仁
ハゲタカ(下) (講談社文庫) 真山仁
ハゲタカ2(上) (講談社文庫) 真山仁
ハゲタカ2(下) (講談社文庫) 真山仁
 

 

 
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コメント

ちょっとうす味

映画が公開されたとき、初めて「ハゲタカ」を見た!という人が多かったのが、結構意外でした。
やっぱN○Kのドラマは、毛嫌いされるんでしょうかね。
龍平氏と、千明嬢の役割がよくわかんなかった・・という意見もありましたが、さもありなんですよね。
うーん、最後は少々、物足りなかったですかね。
ま、あたしは、あのサントラが大好きで、車の中でがんがん鳴らしてます。

Re: ちょっとうす味

sakurai氏へ

> やっぱN○Kのドラマは、毛嫌いされるんでしょうかね。
 
 毛嫌いというか、マークされないのでしょう。採算やスポンサーを気にせず制作できるので、ジャニーズやお笑い芸人に気兼ねしない良質なドラマが多いのですが。

> 龍平氏と、千明嬢の役割がよくわかんなかった・・という意見もありましたが、さもありなんですよね。
 
 どうせなら、オールカットでも良かった。あの2人はけっこう目玉でしたから、強引に出番を作ったという感じですね。

> うーん、最後は少々、物足りなかったですかね。
> ま、あたしは、あのサントラが大好きで、車の中でがんがん鳴らしてます。
 
 私は劉一華が意表を突くどんでん返しを仕掛けてラストは両者痛み分けというのを期待していました。平凡な悲劇にしてしまったのが残念です。

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