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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

男優評 サム・ワーシントン ターミネーター4 (2009) 

ターミネーター4」 
なぜマーカスを単独主人公にしないのか?


 作品レビューで述べた通り、マーカスは新シリーズT4からT6を通じて主人公であるべきキャラクターだ。
 
 鑑賞する前はジョン・コナーがどのような経緯で人類軍の最高司令官になっていくのか、父親となるカイル・リースとどこで出会い、どんな顔をして話しかけるのか、これが最大の関心だった。
 ところが、本作の冒頭場面はシリーズ初登場のマーカス・ライトだった。しかも処刑直前の囚人の姿だ。最初からかなりインパクトがある。そこへ額が大きく丸い女性が面会にやってくる。どうやらガン治療で頭髪が抜けている頭をスカーフで隠しているようだが、逆に広すぎる額を強調している。
 彼女はマーカスに献体を勧めている。ああ、なるほど。さてはスカイネットのサイバーダイン社か。案の定だ。マーカスは手錠をかけられた手でペンを持ち承諾のサインをする。処刑台に乗せられたマーカスは薬殺処刑となる。(余談1)
 
 やがて、十数年後に全く歳をとらず若いまま全裸の状態で地上に放り出されるようにマーカスは出現する。ここが何処なのか、世界がどういう状態なのかわかっていないようだ。殺人ロボットT-600を人間と間違えて声をかけてしまったり、カイルから今が2018年と聞いて釈然としなかったり。
 だが、カイルに銃口を向けられた時、T2のシュワちゃんと同じ要領でいとも簡単に銃を奪い取ったり、やたらメカに詳しく簡単にクレーン車を修理して走らせる。さらに人間技とは思えない運動神経、飛んでいる飛行機から谷底へ落下しても無傷で生き延びるなど、T-800試作品を思わせる活躍が続く。
 しかしこれでは、カイル・リースが崇拝するようになるのはジョン・コナーではなくマーカス・ライトになってしまうではないか。
 
 明らかにマーカスが主人公だ。人類軍の総司令官となる事が約束されているジョン・コナーとジョンの忠実な部下となり過去へタイムスリップしてサラ・コナーと契る運命のカイル・リース、この2人に比べてマーカスはいかようにも膨らませ新しい物語をつくる事ができる。
 ジョンとカイルの設定はシリーズの根幹であり、改編する事は偉大なT1とT2を否定する事になる。この2作を否定するだけの胆力が現スタッフにあるとは思えない。同時にそれはジョンとカイルを主人公とする限り、T1とT2の範囲内で作品を作らざるを得ない。だが、マーカスなら「もう1つのターミネーター」を創作できる。
 
 そしてジョンとカイルに無い魅力が、人間と機械の中間、人間の心を持ったターミネーターだ。この「ハーフ」という設定は人間の葛藤を描くのに適しているので、古来より主人公として定番だが、それだけに飽きがこない普遍的な魅力である。T1とT2が否定できない以上、当面の「将来」が約束されているジョンとカイルよりも断然惹きつける魅力がある。
 
 マーカスが新シリーズ通じての単独主人公とするべきだった。いや、物語の組み立て方からいって、マーカスが主人公でないと不自然だ。(余談2)
 
(余談1)アメリカの処刑は電気椅子を連想するが、近年は薬殺が増えてきているようだ。これは「ゴルゴ13」のエピソードでかなり詳しく判り易く薬殺方法が描写されている。
 受刑者を寝台に寝かせ固定した後、腕の静脈に注射針をさす。薬剤は機械操作で自動的に行われる。最初は睡眠薬で眠らせ、次に毒薬を注入する。受刑者自身は心理面は別にして肉体的苦痛は伴わない。
 本作を観た時、あっ「ゴルゴ13」にあった通りのやり方だと妙に感心した。
 
(余談2)友人から聞いた話によると、もともと主演のクリスチャン・ベイル氏はマーカスを演じるはずだった。ところが彼がジョン・コナー役を強く希望したため、脚本を差し替えたという。
 もしかしたら、原案は私がイメージしたマーカス主人公版に近い内容だったかもしれない。
 

 
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[ 2009/12/29 00:15 ] 映画・・男優評 | TB(0) | CM(0)
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