FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ウォーロード/男たちの誓い」 孤独を楽しむ時に 

ウォーロード/男たちの誓い」 
金城武の辮髪が観れるかもしれない。


【原題】投名状
【英題】THE WARLORDS
【公開年】2008年  【制作国】中 香  【時間】113分  【監督】陳可辛 葉偉民
【原作】
【音楽】金培達 陳光栄
【脚本】須蘭 秦天南 林愛華
【出演】李連杰(龐青雲)  劉徳華(趙ニ虎)  金城武(姜午陽)  徐静蕾(蓮生)  魏宗万(陳大臣)  王奎栄(姜大臣)  顧宝明(狄大臣)  周波(陸大山)  郭暁冬(黄文金)  石兆叙ャ(何魁)
        
【成分】悲しい スペクタクル 勇敢 切ない かっこいい 清王朝 太平天国 1860年代前半 中国
  
【特徴】香港や中国の映画賞を独占した超大作。太平天国の乱で揺れる清朝末期が舞台。官軍の落ち武者龐将軍と盗賊団を率いる趙姜兄弟が三国志のように義兄弟の誓いを立て、清朝に反旗を翻したキリスト教信徒ら太平天国軍と戦う。
 迫力ある合戦シーンと、3人の義兄弟たちの思惑や性格の対立が物語の核となる。金城武氏は他の仕事の関係から他の2人のように辮髪メイクのための坊主頭にはできず、全編殆どで帽子を被っている。ただ特殊メイクで辮髪姿はHPで披露していた。
  
【効能】
 
【副作用】
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。 辮髪の金城武は出てこなかった。
 
 簡単にいうと、三国志と水滸伝を掛け合わせ、日本の太平記を少し混ぜたような内容だ。新興宗教の信徒が徒党を組んで朝廷に対して蜂起する動乱の時代に3人の男が義兄弟の盟約を結ぶところは三国志に似ている。盗賊団(侠)が集まる集落に官軍が嫌がらせをしたり、朝廷の策略により官兵として消耗するまで戦わされるところは水滸伝に似ている。信頼し合っていた兄弟が、路線の違いや周囲の利害関係に翻弄されて殺し合うようになるところは日本の太平記に近い。(余談1)
 
 前半は迫力ある合戦場面(余談2)の連続、後半は愛憎と陰謀のドロドロ、できれば3時間程度の映画にして魅せてほしかった。中国ではポピュラーなエピソードなので多少のダイジェスト的構成にしても高評価だったようだが、私としては3人の主人公のキャラがそれぞれ濃厚な味わいがあっただけに、作中で3人各々の葛藤を魅せてほしいところだ。
 李連杰氏(ジェット・リー)のゼネラリストゆえの打算と苦悩、突撃隊長劉徳華氏(アンディ・ラウ)のナンバー2に甘んじる不満と李連杰氏への敬意と部下への仁義、末っ子の純粋さがある金城武氏。そこへ割り込む紅一点。主人公たちを仲間割れを計り破滅させる朝廷、私の好きなドラマが展開するはずだったのに、時間が無いのか必要最低限の描写になっていた。しかも日本公開版は中国版より十数分短い。さらに映画の雰囲気から明らかに外してしまっている日本版エンディングテーマ曲。
 
 誠に残念な仕上がり、せめて中国版そのままで公開してほしかった。(もし私が望む通りの内容だったら、興行的に不利だろう)もしかしたら、中国版では辮髪の金城武氏が登場しているかもしれない。(ホームページには特殊メイクで頭を大きく剃り上げ三つ編みを垂らした辮髪の金城武氏のスチール写真が掲載されていた)

(余談1)やはり、中国の歴史を予め踏まえておいた方がいいだろう。現共産党政権が宗教勢力に神経質になっているのは、社会主義思想だけが動機ではなく、過去の王朝で衰亡期に宗教勢力が蜂起して倒された例が何度かあるからだ。三国志では新興宗教太平道が黄巾の乱を起こして漢王朝を虫の息にし、元朝末では白蓮教徒たちが紅巾の乱を起こし反乱に参加していた朱元璋が明王朝を立てた。

 本作はキリスト教徒が太平天国の乱を起こし、長江一帯の華中をほぼ制圧していた。作中で十字架がてでくるのはそのためである。描写されていないが、欧米列強の力も借りて太平天国を潰した。もし欧米の介入が無ければ、朱元璋が蒙古族を北へ追い出して明を建国したように、太平天国の洪秀全も満州族を北へ追い出して新たな統一王朝になったかもしれない。
 
 太平天国の試みは後の中国革命にも影響を与えた。軍規は当時としては厳しく、その姿勢は後の毛沢東ら八路軍にも影響を与えた可能性がある。作中でも太平天国の軍勢は行儀良く指揮官は聡明に描かれ、清朝軍の狼藉が目にあまる。私としては洪秀全を主人公に「男たちの誓い」を撮ってほしかった。(中国はやらんだろうが)
 
 李連杰氏扮する悲劇の冗x青雲将軍のモデルが馬新貽。太平天国の乱で功あげ、南京周辺の長江沿岸地域を治める総督に出世するが、多勢の人がいる前で暗殺される。これは日本に例えれば坂本龍馬暗殺に匹敵するくらいの謎の事件だ。

(余談2)一部、笑いながら仕事をやっているエキストラがいた。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作
 
【雑感】第27回香港電影金像奨最優秀作品賞  第45回金馬奨最優秀作品賞 第2回アジア・フィルム・アワード視覚効果賞


 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



敵の足首をまとめて切り払う場面と
大砲が地面に向けられて放たれ
砲台そのものが吹っ飛ぶ場面、素晴らしかったですね

ああいうアクションを
邦画の時代劇でももっと見たいです
[ 2009/12/30 07:41 ] [ 編集 ]
ヒノキオ氏へ
 
ようこそ、我がブログへ。
 
> 敵の足首をまとめて切り払う場面と
> 大砲が地面に向けられて放たれ
> 砲台そのものが吹っ飛ぶ場面、素晴らしかったですね
>
> ああいうアクションを
> 邦画の時代劇でももっと見たいです
 
 中国ならではの迫力でしたね。日本ではエキストラの人件費が高いから、CGに頼らざるを得ないでしょう。もう少しCGの技術が上がりコストが下がれば、そこそこ観れるスペクタクル邦画ができるでしょう。
 ただ、巨匠黒澤明監督ほどではなくても、群集シーンをつくる事に長けた監督が日本にいないのが難点です。ハリウッドから監督を招聘するのが手っ取り早いかな。
[ 2009/12/31 12:27 ] [ 編集 ]
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
117位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
58位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク