FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

男優評 ベニチオ・デル・トロ 「チェ 28歳の革命 (2008)」 

チェ 28歳の革命」 
スクリーンに本物のゲバラがいた。

 
 以前にも革命家チェが登場する映画はあった。例えばアメリカ映画「ゲバラ!」、主演は「アラビアのロレンス」で有名になったアラブの名優オマー・シャリフ氏で、けっこうゲバラぶりが様になっていた。公開年は1969年、ゲバラがボリビアで処刑されて2年しか経っていない。
 低予算の映画だったので派手な戦闘場面はなかったが、それでもゲバラの英雄ぶりがよく強調されていて、キューバ革命を知らない観客にも判り易く描写されたエンタメ作品に仕上がっていた。
 当時のチェはカストロ政権の頭脳と評価されていたから、映画のいたる所でカストロがチェの言動にカストロが影響されたり、チェの意向にカストロが従う様が描写されていた。(余談1)

 今回の映画ではスペイン語圏出身の「アメリカ人」俳優ベニチオ・デル・トロ氏が演じた。オマー・シャリフ氏のチェは英語台詞だったが、デル=トロは美しいスペイン語だ。これだけでも臨場感が違う。さらにチェの仕草や話し方、さらに考え方まで、全てにおいてデル・トロはチェになりきっていた。オマー・シャリフ氏の時は「巧くチェになりきっているな」と思ったが、デル・トロ氏はもはやチェそのものだった。スクリーンに映るチェの姿は、俳優が演じているチェではなく、チェ自身に見えてしまった。

 これはデル・トロ氏の演技力だけの手柄ではない。ソダーバーグ監督のエンタメ性と脚色臭を徹底排除した作風が功を奏している。また、シャリフ版ではチェとカストロの関係を対等もしくはチェの方がイニシアチブを握っているかのように描写されていたが、今回はそんなデフォルメはしていない。実際には仲の良い「戦友」はカストロよりもカミーロだと思うし、映画もその線で作っていた。

 この映画をきっかけに、チェの青春時代を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」をご覧いただきたい。今回の「チェ 28歳の革命」でチェの言動の端々にある含みが理解できる。

(余談1)この作品では当時50男のジャック・バランス氏がカストロを演じた。まったくハマっていない。例えて言うなら、小泉純一郎の役を森繁久弥氏が若作りして演じるようなものだ、といったら言い過ぎだろうか。
 

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



[ 2010/02/13 02:32 ] 映画・・男優評 | TB(0) | CM(2)
ブログへの書き込みありがとうございます!

僕も結構映画が好きで、ゲバラのことを知ったのも、この映画がきっかけでした。ソダーバーグ監督は、キューバ革命を誇張せず事実を誠実に描写されているという意味でこの映画は良いと思います。

ただ惜しいのが、僕にとって、この映画だけではチェの魅力が伝わってこない点ですね。そういう意味では、晴雨堂ミカエさんと意見が対立すると思いますが。。。wまた機会があれば僕もブログの方で詳しく書いてみようと思います。(ちなみにモーターサイクルダイアリーズは大好きです

ゲバラの魅力を知るうえでは、やはり本人の映像を交えたドキュメンタリーが一番です。これはフィデルに関しても同じですね。どれほどの名優でも、さすがにカリスマ性を演じるには限界があると思います。もし、僕の自作の動画でよろしければゲバラの演説とか観て見てください。
http://www.youtube.com/watch?v=0doOebRkylk

長々と書いてしまって、失敬
[ 2011/04/09 11:05 ] [ 編集 ]
Venceremos氏へ
 
こちらこそ、わざわざの御返礼ありがとうございます。
 
 私がゲバラに興味を持ったのは、朝日新聞記者だった本多勝一氏が「冒険」について論じていた記事の中でゲバラたちのキューバ革命を「冒険」として高く評価している文面を見たときでした。
 
 ゲバラが喘息もちであったこと、バイクで南米放浪の旅に出たことを知ったとき、私も少年時代は喘息で悩まされ、学生時代はチャリンコで旅によく出かけていましたから、なんと共通項のある人なんだろうと不思議に思いました。
 実際、メンタルの部分で近い要素は幾つかあったと思います。そのせいなのか一時期は左よりの政治活動に参加していました。
 私はオタクなので、ゲバラのいう「新しい人間」にはなりたくないので止めましたが。
  
> ただ惜しいのが、僕にとって、この映画だけではチェの魅力が伝わってこない点ですね。そういう意味では、晴雨堂ミカエさんと意見が対立すると思いますが。。。wまた機会があれば僕もブログの方で詳しく書いてみようと思います。(ちなみにモーターサイクルダイアリーズは大好きです
 
 少し誤解があるようですが、対立はしないと思いますよ。当ブログは一応映画に特化した(自分はそのつもりですが)サイトですから映画基準に記事を書いているだけです。

> ゲバラの魅力を知るうえでは、やはり本人の映像を交えたドキュメンタリーが一番です。これはフィデルに関しても同じですね。どれほどの名優でも、さすがにカリスマ性を演じるには限界があると思います。もし、僕の自作の動画でよろしければゲバラの演説とか観て見てください。
 
 昔の私は小説や映画がつまらなく思えて、ルポルタージュを読んだりドキュメント映画などを好んでみるようになり、ルポやドキュメントでさえも制作者の主観が混入されているので、自分が見なければならないなんて思った時期がありました。

 いまはある程度は広く許容できるようになりました。もともとの私の考え方は、どんな主義にも効能と副作用がある、どんなにつまらない占いの類でも人一人に希望を持たせる事ができるし、どんなに素晴らしい思想でも大量虐殺の口実になり得る、が基本にありましたから、だからゲバラに共鳴する事はあるのですが深入りは体質的にできない人間です。
 つまらない映画でも、良いところを見つけて楽しんでしまう、今はそんな生活姿勢ですね。
[ 2011/04/09 12:02 ] [ 編集 ]
コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
130位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
64位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク