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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ノウイング」 不安と恐怖を楽しむ時に〔18〕 

ノウイング」 
宇宙人と神様が同居するアメリカ。

 

 
【原題】KNOWING
【公開年】2009年  【制作国】亜米利加  【時間】122分  
【監督】アレックス・プロヤス
【原作】
【音楽】マルコ・ベルトラミ
【脚本】 ライン・ダグラス・ピアソン 、ジュリエット・スノードン 、スタイルズ・ホワイト
【言語】イングランド語
【出演】ニコラス・ケイジ(ジョン・ケストラー)  ローズ・バーン(ダイアナ・ウェイランド)  チャンドラー・カンタベリー(ケイレブ・ケストラー)  ララ・ロビンソン(ルシンダ・エンブリー/アビー・ウェイランド)  ベン・メンデルソーン(フィル・ベックマン)  ナディア・タウンゼンド(グレース・ケストラー)  アラン・ホップグッド(-)  エイドリアン・ピカリング(-)  タマラ・ドネラン(-)  トラヴィス・ウェイト(-)
        
【成分】悲しい ファンタジー スペクタクル 不思議 パニック 不気味 知的 絶望的 終末モノ 
   
【特徴】典型的なアメリカの終末モノ。
  
【効能】超自然現象や都市伝説などにハマッた少年少女時代を思い出す。真夏の深夜に鑑賞すると効果増大。
 
【副作用】夜、寝るのが怖くなる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
手塚治虫や藤子不二雄の漫画のほうが凄い。

 この手の映画、子供の頃はけっこう好きだった。70年代に小中学生時代をおくった人なら「ノストラダムスの大予言」にハマった事も多いのではないか。手塚治虫氏や藤子不二雄氏らのSF漫画にも同様のネタがけっこうあった。また、タイトルは忘れたが、人類滅亡前夜に一部の人間だけが良心的宇宙人によって記憶を消され救助されるといった話が、NHKの「少年ドラマシリーズ」でやっていた。そのドラマでは主人公の少年少女は記憶を消されることを拒否し地球に残る。(余談1)
 「ノウイング」の基本アイディア自体は、半世紀以上にわたって使用されてきたもので、新機軸ではない。日本でも60年代から70年代にかけて盛んに小説や漫画などで使われてきたものだ。
 
 前半の不気味なミステリー調のスリラー的描写、これは実にアメリカらしい。
 夏になると日本では稲川淳二氏の怪談が全盛期となり、誰も居ないはずの部屋に人の気配が、幽霊か、といったシチュエーションが多用されるが、アメリカでは幽霊よりも宇宙人である。本作でも幽霊のような宇宙人が節目ごとに現れる。日本では金縛りにあって幽霊が覆いかぶさる事が多いが、アメリカでは宇宙人に身体を弄られる事が多いそうだ。日米の「超自然現象」体験の文化的相違である。
 日本では怨霊や崇りなどの文化が根強いが、アメリカではこの百年の間に宇宙人接触ネタが広く深く浸透している。「政府は宇宙人と接触している事を公表しろ」とデモまで行われているほどだ。
 
 宇宙人ネタが浸透している「科学的な国」である一方で、保守的なキリスト教国家でもあるのがアメリカ。案の定、聖書のエゼキエル書が登場した。超自然現象ファンなら御存知のように、神がエゼキエルの前に現れて怖い話をするのだが、この神が宇宙人ではないかとよくいわれている。ラスト、正体を現した宇宙人が上空の宇宙船へ舞い上がる姿は天使のように見えなくもないし、宇宙人に連れられた子供たちはまるで聖書のアダムとイブが暮らしたような風景に立たされる。選ばれた人間だけを助ける行為もノアの箱舟に似ている。
 
 アメリカ人にとってはお約束の場面ばかりかもしれない。映画の目玉は旅客機墜落と地下鉄暴走と太陽風襲来、そして最期に仲が悪く疎遠だった家族との抱擁。終末の時、どうありたいかの理想を描く絶望の中の「癒し」を最初から表現したかったのだろう。
 
(余談1)70年代、月曜から金曜まで夕方18時から半時間枠で放送されていたように思う。「なぞの転校生」や「七瀬ふたたび」「二十四の瞳」「けんかえれじい」などが印象に残っていて、オープニングテーマ曲も今だに憶えている。
 SFから文学作品まで幅広い。概ね中学生くらいの少年少女が主人公になっていた。この一連のドラマがきっかけになって小松左京氏・眉村卓氏・筒井康隆氏の小説を読んだ人も多い。
 
 私にとっては、「ノウイング」より藤子F不二雄氏の「箱舟はいっぱい」のほうが強烈だった。
 主人公は小学生の息子と若い妻の3人家族。突然、隣の大きな新築に住んでいた一家が家を格安で売りたいともちかけられるところから話が始まる。驚きながらも喜ぶが、ある日「ノア機関」と称する人物がやってくる。脱出用宇宙船云々の話。彼は隣人に用があって来たのだが誤って主人公の家を訪問したのだ。
 そういえば、こないだ彗星が衝突するニュース、後に政府は正式に衝突はしないと発表したが。やがてバラエティ番組の司会者が生放送で彗星衝突は事実、選ばれた人間だけが宇宙へ避難、を暴露する。主人公は怒り隣人に殴り込みをかけ、妻や子供に「俺は家族を守れない」と泣き出す。
 ところが、「ノア機関」は実は詐欺集団で警察一斉摘発を受け、TVでは「人の不安に付け入る馬鹿げた詐欺だ」と評論家たちは一笑する。主人公たちは安堵、隣人は愚かだったと謝罪し、2つの家族は大団円で和解する。
 しかし、彗星が地球をかすめるのは事実だった。ノア機関による詐欺事件は政府の隠蔽工作だった。大部分の国民が死亡するのは確実、秘密裏に選ばれた国民しかシェルターに入れない。首相は沈痛な気持ちでシェルターへ急ぐ。
 ラスト、主人公と隣人の家族は一緒に和解のハイキングに出かける。笑顔の主人公と隣人たち一行とは対照的に、青白い顔付きでハイキングする家族とすれ違う。会社の同僚とその家族で、彗星ネタや人類滅亡ネタの話題にはいつも「馬鹿馬鹿しいヨタ話」と冷笑していた者だった。同僚家族は暗い顔で挨拶しながら、人目を避けるように去って行く。
 和気藹々の主人公と隣人家族の一行にはやがて少し強い風が吹き付けるようになった。このラストの方が、ホノボノとしていて怖い。
 

   
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆ 凡作

 

 
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