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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

表現の自由とは(13) 近頃の現象[三百七十五] 

日弁連が「単純所持」禁止…規制で方針転換

児童買春・児童ポルノ禁止法の改正をめぐり、日弁連は児童ポルノ画像を個人で見るためだけに所有する「単純所持」を禁止すべきだとの意見書をまとめた。捜査機関の権力乱用を防ぐ観点から規制強化に慎重な立場だったが、インターネット上などで児童の性的虐待画像がはんらんしている現状を憂慮し、姿勢を転換した。意見書は23日、関係省庁や各政党などに提出する。(毎日新聞)
 
【雑感】国家権力を法的にチェックする役割も担っていた日弁連が、権力にお墨付きを与えたか。
 
 私も昨今の児童虐待のニュースを聞くたびに、このままではいけないと思っている。児童ポルノ問題もここに至ってはやむを得ないだろう。問題なのは規制の仕方だ。
 
 中学生だった頃、学校でサイクリング車禁止令というものがあった。これは私の学校だけでなく全国的傾向で、当時のチャリンコ関係の月刊誌「サイクルスポーツ」の読者欄でもしばしば問題に上がっていた。
 「生徒はサイクリング車に乗ってはいけない」、当時の教頭先生が朝礼で「あの自転車は遠い距離を走るためのもので、皆さんには必要ない」などと、もっともらしく理屈をつけて禁止の理由を説明していた。まことに笑止。
 中学生が煙草を吸ったり、シンナー遊びしたり、バイク盗んだり、授業をエスケープしたり、校舎の窓を割るほうが遥かに深刻だし、そちらをまずどうにかすべきだ。サイクリング車に乗って健康的かつ爽やかに走る堅気の少年少女を規制するなど筋違いのバチ当たりも甚だしい。当然の事ながら私は納得しなかったし禁止には従わなかった。

 高校時代だったか、禁止令の追い風となる事件も起こった。ドロップハンドルのサイクリング車に乗った少年が転倒してハンドルが胸に刺さり死亡した事件だ。これによってドロップハンドルの安全性がマスコミ各社で問われた。一部、世間では子供がサイクリング車に乗ってはいけない、といった風潮まで生まれた。チャリンコの構造を理解していない馬鹿げた与太話だ。
 不幸な少年は転倒の仕方が不運だっただけ。サイクリング車は100年近く形が変わっていない、ということはそれだけ安定した安全性と性能を誇っていることだ。
 そんなことより、自動車のほうがより危険だ。年間、何人の人間が轢殺されているのか!
 
 児童ポルノ規制の問題についても、チャリンコ規制と同じ臭いがする。昨年では宮沢りえ氏の写真集が「児童ポルノ」か否かが議論された。児童を虐待から守るはずの法律ではなかったのか? 宮沢りえ氏は「児童」か? プロの女優が所属プロダクションの反対を押し切って発表した作品だ。彼女は虐待されて裸になったわけではない。当時は18歳ごろの少女だったが少なくとも児童ではない。それに現行の法律でも女性は16歳で結婚できるのだ。結婚には前提として子づくりがある。
 
 この論議から明らかなように、規制推進派の姿勢は「推定有罪、疑わしきモノは潰す」である。子供を守るためという正義の御旗を掲げているから歯止めがききにくい。
 下手をすればこんな事も起きるかもしれない。保育園や幼稚園の中には、子供の健康のために冬場あえて上半身裸になって乾布摩擦をやったり園庭を走らせたりするところがある。もし園の方針に不満を持ったモンスターペアレントが児童ポルノ規制を悪用して、「子供を無理やり裸にして、寒空のもと公然の場で強制的に走らせた。これは児童虐待・強制猥褻だ」と訴えられたら。
 法律の改正によっては立件の可能性も出でくる。仮に裁判で潔白が証明されても、立件された事実は残り失われた名誉はなかなか回復できない。
 
 ただでさえ、法律というのはどこかを弄るとどこかで歪が生じる。必ず弊害が出てくる。弊害を最小限にするために議論を尽くすのだが、この手の問題は十把一絡げに切り捨てられることが多い。サイクリング車はなんとなく危ない、事故もあった。では全面禁止だ。という安易な結論。前後左右上下の相関関係はあまり考慮されない。
 
 「児童」の法的概念を見直したり、未成年に関連する法律の洗い直し、様々な作業が必要だ。これを怠ると児童を救うはずの法律が逆の結果にもなりかねない。
 悪法との評判高い「治安維持法」とて、法律の題目自体は別におかしくはない。ところが言論弾圧に応用された。大日本帝国憲法の天皇統帥権も、もともとは幕府政治から解放された直後の明治で政治家が勝手に軍を掌握して下部政府(幕府)をつくらせない予防線の意味があったし、天皇の裁可には帝国議会の協賛が必要であったから独裁的に軍を動かせるシステムではなかった。ところが統帥権干犯を持ち出して軍が暴走、第二次大戦へと突き進んだ。
 良かれと思ったことが、想像以上の悲劇を生む一例だ。いずれも「正義の御旗」を掲げているのが特徴である。
 
 児童ポルノ規制の声は日に日に高まってきているので、むしろ日弁連はバランスをとる意味で従来の立場のまま規制方法の問題点抽出を行っていくほうが良かったのではないかと思う。
 繰り返し述べる。規制推進派の姿勢は「推定有罪、疑わしきモノは潰す」である。日弁連がこれに加担する形になったのは政治的に拙いし極めて遺憾である。
 

 
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[ 2010/03/23 00:12 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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