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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「はだかの女王」 カップルで考えよう〔3〕

はだかの女王」 
ジャン・ギャバンとジョセフィンの共演。

 
はだかの女王
 
【原題】ZOUZOU
【公開年】1934年  【制作国】仏蘭西  【時間】85分  【監督】マルク・アレグレ
【原作】G・アバチノ
【音楽】ヴィンセント・スコット ジョルジュ・ヴァン・パリス
【脚本】カルロ・リム
【出演】ジョセフィン・ベイカー(ズーズー)  ジャン・ギャバン(ジャン)  ピエール・ラルケイ(-)  イヴェット・ルボン(-)  イラ・メルリー(-)
        
【成分】楽しい 切ない セクシー かわいい コミカル レビュー 1930年代 
   
【特徴】ジャン・ギャバンとフランスが誇る伝説の大女優ジョセフィン・ベイカーとの共演。
  
【効能】
 
【副作用】
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
伝説の大女優ジョセフィン・ベイカー

 ジャン・ギャバン氏が「望郷」で大スターの仲間入りをする3年ほど前の作品。一応、ジャン・ギャバン氏は主役なのだが、ヒロインのジョセフィン・ベイカー氏(余談1)が単独主役で、ジャンは事実上助演的ポジションだろう。ジョセフィン扮する少女の役名ズーズーが原題になっている。ちなみにジャン・ギャバン氏の役名は同じジャンだったように思う。
 
 物語は当時よく題材に使われた舞台モノ・サーカス団モノであり、他愛のない男女の三角関係を展開させていて、映画や少女漫画のラブコメを見慣れた人には、いまいちパッとしない作品に見えるかもしれない。しかしそれはトーキー映画が主流となった1930年代の作品群が後年の映画や日本漫画の礎になっている証でもある。

 物語を簡単に紹介すると、ズーズーとジャンは孤児でサーカス団のオジサンに育てられ、やがて2人は成人しズーズーはジャンに恋心を抱く。いつも一緒に生活していることからズーズーの方は近い将来ジャンと結婚するものと思い込んでいた。
 2人はある劇場に就職する。ズーズーは劇場付の洗濯屋、ジャンは劇場の設備関係で働く。2人は職場でクレールという美女と親友になるのだが、ジャンとクレールが恋仲になってしまう、映画としても現実日常でもよくあるパターンだ。
 佳境はめまぐるしくい。ジャンが冤罪で逮捕されるは、育ての親が事故で亡くなるは、職場では看板女優が男をつくって駆け落ちするは、無茶苦茶。ズーズーはジャンのために弁護士料を稼ぐべく、劇場支配人に逃げた女優の代役になる事を申し出る。支配人は以前からズーズーの才能を知っていたので舞台を任せ、レビュー(余談2)は大成功。
 ジャンの冤罪は晴れるがクレールとデキている事を知ったズーズーは、独り芸能の道へ進む決意をし哀歌を歌う。

 この作品は学生の頃に観たのだが、完全版ではなくダイジェスト版だったように思う。大学の映像資料かNHKの番組なのか忘れた。残念ながら日本ではビデオ化もDVD化もされておらず、映画番組で放映・紹介される事もまずない。したがって内容を確認する事はできない。
 
 印象に残っているのは、正直言って現代のマイクロビキニもびっくりの半裸の衣装、踊りの上手さと歌唱力、そして彼女のプロポーションだった。まだミニスカートが流行っていない時代で、ここまでやるか、という驚きだった。
 
(余談1)容姿は和田アキ子氏を童顔にして褐色にしてナイスボディにした感じ。ジョセフィンの存在を邦画に例えると、あくまで強いていえば原節子氏やデコちゃんになるが、スケールの大きさ波乱万丈さは比較にならない。フランスの顔ともいうべき存在で、最期は国葬でおくりだされている。
 アメリカ・セントルイス出身だが、過酷な差別に直面しフランスに渡って活路を開きレビューや映画で大成功を収め貴族の称号とフランス国籍を得る。
 第二次大戦中はレジスタンスに参加し、飛行機パイロットの資格をとり将校として活躍、レジオン・ドヌール勲章を得ている。単にフランスへの「愛国心」だけではなく、差別主義ナチスドイツへの激しい敵意からの行動だろう。
 いわば名誉あるフランス人なのだが、生れ故郷のアメリカは冷淡でニューヨークの高級ナイトクラブに入ろうとしたら店員から拒否され大問題になった事があった。
 
 ジャン・ギャバン氏よりもはるかに偉人なのだが、日本では殆どといって良いほど知名度がない。ただ、最近になって前田美波里氏がジョセフィンの生涯をテーマにした舞台で扮した事がある。ジョセフィンのイメージに近いが、さすがに本物に比べると衣装の露出度は少ない。つまり、20年代30年代の彼女の舞台は、現代でも刺激的であり、当時はもっとインパクトがあっただろう。マイクロビキニで顔を顰める現代人は「現代人」である資格は無い。
 当然、当時の日本では彼女の舞台部分は大幅カット。しかし、19世紀までの日本も諸肌脱ぐことに抵抗は無い民族だったのだが。20世紀にはいって急速に管理統制が強くなったような気がする。
 
ジョセフィン・ベイカー
レビューに出演していた頃のジョセフィン
 
(余談2)ここでの「レビュー」は「revue」、歌と芝居と踊りをミックスさせたミュージカルのような寸劇をさす。ジョセフィンはレビュー界の大スターである。
 ちなみに映画などの評論や批評は「review」、カタカナでは同じだがローマ字ではちょっと違う。
 


晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
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