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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「HACHI 約束の犬」 家族と一緒に癒されよう〔22〕 

HACHI 約束の犬」 
リチャード・ギアと俳優犬たちに感謝。

 

  
【原題】Hachiko: A Dog's Story
【公開年】2008年  【制作国】亜米利加  【時間】93分  
【監督】ラッセ・ハルストレム
【原作】
【音楽】ジャン・A・P・カズマレック
【脚本】スティーヴン・P・リンゼイ
【言語】イングランド語 一部日本語
【出演】リチャード・ギア(パーカー教授) ジョーン・アレン(ケイト)  サラ・ローマー(アンディ)  ケイリー=ヒロユキ・タガワ(ケン)  ジェイソン・アレクサンダー(カール)  エリック・アヴァリ(シャビール)  ダヴェニア・マクファデン(メアリー・アン)
         
【成分】泣ける楽しい 悲しい ファンタジー 切ない かわいい 犬
     
【特徴】昭和初期の渋谷駅前に実在した名物秋田犬の物語を映画化した「ハチ公物語」をハリウッドがリメイク。舞台は現代アメリカの田舎町に、焼き鳥屋がホットドック屋に変更されているが、飼い主は上野英三郎教授とほぼ同年輩の大学教授、俳優犬は秋田犬を起用するなど、史実と原作に気を遣ったアレンジがなされている。
 犬好きだけでなく、特に小さな子供がいる家庭なら家族団欒で鑑賞する事を勧める。アメリカが思い描く幸せな家庭だ。あまり注目されていないが、娘婿役のロビー・コリアー・サブレット氏が若者から父親の表情へと変化するところがグッド。
  
【効能】家族団欒で観ると感涙と癒しで心が洗われる。
 
【副作用】俳優犬の微妙な表情に突っ込みを入れたくなる。パーカー教授とハチとの間にただならぬ関係を勘繰ってしまう。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
ハリウッドのハチ

 何故か近所の映画館では日本語吹替版のみが上映されていて、字幕版は都心の映画館まで出張らなければならなかった。昨日、やっと字幕版を観ることができた。(余談1)
 北大路欣也氏の吹替も良いが、せっかくアメリカンにリメイクされるのでアメリカ人ならハチとどんな感情で接するのかを詳しく見たかったのだ。特にリチャード・ギア氏が英語のイントネーションで「ハァチィ~」と微笑む様を見たかった。

 多くの人が知っている「忠犬ハチ公」の物語。今でも渋谷駅前のハチ公の銅像は待ち合わせ場所になっている。
 昭和初期の渋谷、飼い主の出勤を渋谷駅まで見送り帰宅時も駅まで迎える。その習慣は飼い主が亡くなってからも続き、新聞で評判になるやハチ公と親しまれ、なんとハチが存命のうちに銅像までたった。80年代には仲代達矢版「ハチ公物語」が上映され、リチャード・ギア版はそのリメイクとなる。(余談2)
 
 制作陣は「ハチ公物語」のイメージを損なわないよう気遣っている。ハリウッドのリメイクと聞いてシェパードかビーグル犬あたりが主役犬になるのかなと警戒していたが、リチャード・ギア氏をはじめ製作者たちは「秋田犬のハチ」を主人公と捉え大事にしてくれた。飼主は同じ大学教授、駅前で餌をくれる屋台の焼き鳥屋はアメリカらしくホットドック屋、戦前の長閑な渋谷駅前はアメリカの長閑な田舎町に設定。
 ハリウッド映画は伝統的に子役や動物を演技させるのが巧い。本作でもハチの幼犬・成犬・老犬と3匹の俳優犬がそれぞれ可愛らしく、また切なく表情豊かに演じている。(余談3)これは仲代達矢版との大きな違いかもしれない。
 
 ハチとの出会い、飼主パーカーとハチとの楽しい日々、パーカーの死期を感じ取ったハチがパーカーを仕事に行く列車に乗せまいと立ち止まったり普段やらないボール遊びをせがむ場面、ハチを快く応援するホットドック屋とハム屋、飼主を待ち続けるハチの背景が晴夏秋冬と目まぐるしく変化して行く様、老犬となり足を引きずりながら駅の指定席で待つハチ、そんなハチを泣きながら抱きしめるパーカーの妻、もらい泣きするホットドック屋、そして夜になって老犬ハチの前に眩しい光の中からパーカーがやってくる最期の場面、全て観る前から予想していた場面の連続なのに、安心し納得し感動し涙が出そうになる。リチャード・ギア氏と3匹の俳優犬のおかげだ。
 
 犬好きのアメリカ人も感動する話だろう。また舞台となった田舎町はアメリカの良い面がよく出ている。ノンビリとした駅員、温かい町の人たち、初老になっても円満な夫婦に中の良い娘夫婦、ハチに感化されて自分の犬にも「ハチ」と名づける孫。けっこう理想的な幸せの光景だ。
 
(余談1)私は基本的に字幕派だが吹替の良さも熟知している。字幕では画面に表示できる字数が限られているため原版台詞の多くが割愛され、政治や宗教などの込み入った内容の映画ではチンプンカンプンだ。この場合は情報量の多い吹替が有利である。
 しかし声優の演技力が良くなければ、せっかくの俳優の熱演が台無しになる事も多々ある。特に日本の声優はパニックや緊迫感を表現するのが不得手だ。「タワーリング・インフェルノ」「Uボート」「アポロ13」「ジャンヌ・ダルク」など、映画館で観たときは迫力ある映像だったのに、吹替になると臨場感が無くわざとらしい。
 本作については声優陣は適切だと思う。各々イメージに合った俳優が声を務めていた。

(余談2)実際のハチ公は受難続きだったようだ。飼主の上野英三郎教授が亡くなってからは縁者に引き取られるが、大型犬ペットにありがちな近所とのトラブルが相次ぎ、複数の縁者の家を点々とした。また渋谷駅では野良犬扱いで、大声で怒鳴られたり蹴りを入れられたりと邪険に追い払われていた。最初から映画のように心優しい駅前の人々に可愛がられていたわけではない。
 ところが、事情を知る愛犬家が新聞に寄稿しハチ公が有名になってからは可愛がられるようになり、渋谷界隈の名物になっていった。
 
 因みにハチ公が果たして亡き主人のために駅へ行ったかどうかは疑問視されている。駅前の屋台にある焼き鳥が目当てで通っていた説が有力だ。
 
(余談3)時折、ハチの視線が挿入されている。白黒に近い映像。哺乳類は人間と猿以外は色盲といわれている。といっても若干は色が判別できるらしく、映画でも赤や緑が僅かに見える。よく猫が身を伏せてジワジワとターゲットに近寄る様を見たことがあるが、子供の頃は「頭隠して尻隠さず、まるわかりぜ」と思っていた。しかし白黒映像ではたしかに判りにくい。
 因みに鳥類は人間でも確認できない色が見えるらしい。鳥類の視界は再現不能、科学的に再現できても肝心の人間の目には見えない。永久に未知の世界だ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 

 
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