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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「陽のあたる場所」 カップルで考えよう〔5〕

陽のあたる場所」 
愛憎サスペンスの古典。

 
 
  
【原題】A PLACE IN THE SUN
【公開年】1951年  【制作国】亜米利加  【時間】122分  
【監督】ジョージ・スティーヴンス
【原作】セオドア・ドライサー
【音楽】フランツ・ワックスマン
【脚本】マイケル・ウィルソン ハリー・ブラウン
【出演】モンゴメリー・クリフト(ジョージ・イーストマン)  エリザベス・テイラー(アンジェラ・ヴィッカーズ)  シェリー・ウィンタース(アリス・トリップ)  アン・リヴェール(-)  レイモンド・バー(-)
         
【成分】悲しい ゴージャス 切ない かわいい アメリカ 1950年代
     
【特徴】愛憎サスペンスの古典ともいうべき名作。日本のサスペンスに強い影響を与え、同様の展開の作品が多数制作される。
 野心家の青年が2人の女性を同時に好きになる。1人は上流階級の令嬢、もう1人は似た境遇の貧しい女工。主人公は逆タマを選んでしまうが・・。
 エリザベス・テイラー氏が若くてスレンダー。
   
【効能】カップルで「幸せ」について考える良き機会になる。物質的な幸せか、ささやかな幸せか。
 
【副作用】愛憎サスペンスの古典ゆえ、数多くの模倣作・リメイク作があり、日本でもサスペンス2時間ドラマの雛型のようなものになっているため、よくある物語のように見えてつまらなく思う。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
ヒロインたちが
若くてスレンダーなのが切ない。

 
 「日のあたる場所(A PLACE IN THE SUN)」、映画タイトルは詩的で余韻のある綺麗な文言だが、原作は「アメリカの悲劇(An American Tragedy)」と生々しい。どちらも雄弁に物語の内容を表したタイトルである。が、原作の方が社会批判・体制批判的臭いがする。
 
 物語は1人の貧しい青年の野望が破綻していく様を描写していた。(余談1)青年役は50年代から60年代にかけて大活躍したモンゴメリー・クリフト氏、事故で顔を怪我しなければ幅の広い演技ができる名優になっていたかもしれない人物である。

 さて、主人公は貧しいといっても貧困に喘いでいる訳ではなかった。一応真っ当な定職に就いていたし、親は生真面目で家庭環境が荒んでいた訳でもない。だが青年はアメリカンドリームへの憧れからか、生真面目過ぎる親への反発からか、事業で成功を収めている伯父に取り入り伯父の工場に転職、もともと仕事上手だったのと伯父の縁者であったため職場内で頭角をあらわしていく。

 そこで、上流社交界にデビューした清純な美少女と自分と同じような境遇の若い女工と出会う。令嬢役は当時20歳になるかならないかのエリザベス・テイラー氏。スレンダーで顎のラインがすっきり、この頃はまだ妖艶さは見せず清純派キャラである。貧しい女工はシェリー・ウィンタース氏、彼女が出演した最も有名な作品は1作目の「ポセイドン・アドベンチャー」で水泳が得意な初老の肥えたオバサン役を務めている。本作のスレンダーで可愛い2人を観ると、後の容姿を知る私はつくづく切なくなる。
 
 令嬢も女工も純粋無垢、令嬢には華やかさと気品があり、女工にはささやかな幸せを求めるいじらしさがある。(余談2)2人の女性を愛してしまった青年は葛藤し、ついに逆タマ狙って邪悪な炎を灯してしまう様を青春スターでも重厚な正統派ヒーローでも文藝作の悪役でもいけそうなモンゴメリー・クリフト氏が巧く演じている。(余談3)

(余談1)「アメリカの悲劇」第1回目の映画化は1931年に公開されている。監督は「モロッコ」で有名なョセフ・フォン・スタンバーグ氏。この作品は原作の陰鬱なイメージに沿っていて、物語の基本構成は「陽のあたる場所」と同じだが、登場人物の性格や境遇が微妙に異なっている。
 たとえば主人公は「陽の・・」では貧しいながらも堅気だが、「・・の悲劇」ではけっこう荒んだ不良青年だ。後に邪魔になった恋人の女工をボートに乗せて湖面中央で殺す場面でも、、「陽の・・」では殺害を思いとどまるが女性が騒いで湖に落ち溺死する事故だが、「・・の悲劇」では躊躇するものの明確な殺意をもって殺してしまう。
 リメイクの方が生臭さを消して綺麗な悲劇にしている。また、「ベン・ハー」と同じくリメイクの方が有名になってしまった。
 
 日本でも同様の作品がある。山崎努氏主演の「黒の奔流」だ。原作は松本清張だが主人公の職業が弁護士になっているだけでシチュエーションは殆ど同じだ。たぶん本作の影響だろう。
 近藤正臣氏主演の2時間ドラマもある。こちらは職業がスーパーの店員になっているだけで展開は全く同じ、たぶんこれは「アメリカの悲劇」原作になっているはずだ。
 
(余談2)主人公が伯父のパーティーで令嬢と夢の時間を楽しんでいるとき、女工は狭い下宿で主人公の誕生日を祝おうと準備して待っている。初めて観た時、つい主人公に感情移入して胸が痛くなった。イスラムに改宗して2人とも娶ればええやないか、青年なら2人平等に夫婦の営みを律儀にするだろう。俺ならそんなストーリーのラブコメに変形させる、なんて妄想を子供心に抱いた。
 
(余談3)女工たちに混じってぎこちなく工場ラインの作業する仕草から、仕事に慣れててきぱき作業をこなす場面がなかなかリアルな演技。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】アカデミー賞(監督賞)(1951年) ゴールデン・グローブ(作品賞(ドラマ))(1951年)
 

 
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陽のあたる場所

邪魔なあいつを早くなんとかしなければ…「陽のあたる場所」 モノクロ。 1951年のアカデミー賞作品。 監督賞とか6部門を受賞してるみたいです。 作品賞はとってないんかな。 けっこう面白かったっすね。 萩原健一主演の「青春の蹉跌」を思い出したなあ。 貧乏..

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