民も自もQちゃんに出馬打診 女子マラソンのシドニー五輪金メダリスト高橋尚子さん(38)が13日、同じ五輪金メダリストで、夏の参院選に民主党公認の比例代表で出馬する女子柔道の谷亮子(34)に、エールを送った。
この日、都内でアフリカの子供たちに感染予防のための靴を贈るなどのプロジェクトの発表会見を行った高橋さんは「しっかりしたビジョンを持たれていると思うので、夢や目標に近づけるように、がんばってほしいですね」。
実は自身にも、3月に民主、自民の2党から出馬オファーに近い打診があった。しかし、「体が動くうちは、“現場”を通じて、恩返ししていきたい」と断ったという。(スポーツ報知)【雑感】スポーツ報知の記事では
谷亮子氏にエールを送ったとされている
高橋尚子氏だが、正直なところそれは外交辞令で本音では谷氏の真意が解らず首を傾げているはずだ。
高橋尚子氏は現役を退いた選手だが、
谷亮子氏はロンドン・オリンピックを目指す現役選手だ。選手として引退はしない、子育てもする、参院議員としてスポーツ省設立に向け奔走する。
しかし、選手といっても世界トップ水準を維持しなければならないメダリストだ。子育てといっても、夫もプロ野球選手で家を長く空ける、親御さんに子供の面倒を見てもらえば済むことだろうが、自身が子育てにかかわる時間はあまり無い。議員としても「一回生」のうちは議員生活の勉強と人脈作りに精一杯で政治的に力を発揮できる段階ではなく、国会以外にも市井での宣伝活動や講演会や行事の参加などあり、議員の殆どは慢性的に睡眠不足、メダリストの力を維持するどころか基礎的な健康を維持するのも難しい激務である。
どう考えても物理的に無理だ。知名度を頼みに議席を埋めるだけの要員、と批判されても仕方が無い。 ネット上では
高橋尚子氏の英断に喝采を送っているそうだ。たしかに称揚するべきだろう。ただ、私自身もかつて某候補の選対事務所を手伝った経験から、
谷亮子氏を弁護したくなる。
というのも、出馬要請というのは尋常な空気ではないことを私は知っている。電話で打診されるとか、一介の党員がスカウトしに来るとか、そんな軽いものではない。少なくとも党の地方組織の役員が毎日のように家を訪問して説得しに来る。もちろん、説得する前に候補者の親族や友人など関係者を落として外堀を埋める。
谷亮子氏クラスなら、民主党の中枢幹部が何度も地均しをやり、御大の
小沢一郎氏自らも三顧の礼で訪問する。民主党に口説かれた関係者も谷氏を説得するだろう。
体育会系の価値観や文化を考えたら、世話になった恩人たちの顔を潰す事は生理的にできない。民主党への出馬を勧めたり賛成したりする恩人がいたとしたら、谷氏は逆らえない。さらに御大の小沢一郎氏の面子を潰す発想ももてない。断るのは余程の不義理で水臭くて薄情な人間でなければ至難の業だ。 といったらまるで
高橋尚子氏が薄情のように聞こえてしまうかもしれないが、彼女は自ら恩師の下を去り、チームQを立ち上げて独自の選手活動を展開した、日本のアスリートには珍しい自立心の高い人だ。先輩や監督に依存してしまうタイプが多い中で独立独歩の気性、従って日本的な根回し工作にブレてしまう事は少ない。政治家からすれば口説きにくいタイプだ。
おそらく彼女自身に何らかのプランがあって、それを邪魔されたくない気持ちが強かったのだろう。
谷亮子氏は以前から監督官庁が厚生労働省と文部科学省に分かれたスポーツ業界をスポーツ省で統一したい気持ちを公言していたので、政党からすれば突き入る隙間は最初からあった。
政治の世界の恐ろしさを垣間見た驚きのニュースだ。そもそも人気があるからといって、任期半ばの宮崎県知事を国政選挙に担ごうとする日本政治の浅ましい風土が問題だ。谷氏本人はロンドンオリンピックを目指しているのだから、ちょっかいをかけること自体が非常識、もっとも谷亮子氏の方から
小沢一郎氏に「議員になりたい」と言ったのなら、責任は谷氏本人なのだが。
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