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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

ミニシアターの危機 近頃の現象[四百七] 

元気なのは「東宝」だけ 中小は倒産多発

 映画業界がジレンマに苦しんでいる。大不況下にありながら昨年の総興行収入は前年比5.7%増の2060億円を記録。特に邦画は同1.3%増の1173億円で過去最高記録を2年連続で更新した。ただ、好調なのは大手のみで、昨春から中小の映画配給会社の倒産が続出。関係者は「不況の長期化で中小配給会社の安定経営がますます困難になっている」と危機感をあらわにしている。(産経新聞)
 
【雑感】これは昨日今日に始まった事ではない。どの分野でもいえる事だ。
 
 私はドイツやベルギーが出している本格ビールが好きなのだが、日本で満足できる国産ビールは地ビールしかない。ところが大手ビールメーカーが繰り出す安価な発泡酒や第3のビールにおされて売上は低迷だ。私が美味いと思った地ビール業者の多くが潰れてしまった。
 近頃は地ビールも見直されブームになっていると聞いてはいるが、大局の流れは変わっていない。名の知れたマイクロブルワリー(小規模醸造所)は安定軌道かもしれないが、多くの醸造所は厳しい展開を強いられている。かなり極端な二極分化が進んでいる。
 
 映画館でも全く同じ事がいえるだろう。私が「面白い!」「衝撃!」「これは凄い!」「観たい!」と思う映画の多くはミニシアターだ。近所のシネコンではまずやっていない。だから都心まで出張っていかねばならない。まだ堺市に住んでいるだけマシだろう。私の郷里はシネコンでさえも1時間以上かけて県庁所在地まで出張らないといけない。ましてや私が観たい映画はほとんどやっていない。地域の有志が公民館などを借りて上映するにとどまっている。それだけでも凄いのだが。
 都会の常設ミニシアターが憧れの存在である。

 経済の論理からいって、この形は至極当然でやむを得ないのは理解している。日本では大手の映画会社とテレビ会社がタイアップして販促攻勢を行う。経済力にモノをいわせて全国の映画館で上映される。少々、内容がつまらなくても観てしまう人は大勢いるだろうし、それなりにセオリーを踏んでいれば大コケすることは無い。
 
 そうでない映画はジリ貧だ。どんなに気合を入れても客が入らなければ、次回作をつくる体力が無くなる。近年、地方自治体が映画の「宣伝力」に気がつき、町興し村興しの手段として映画人に場を提供するようになり、それに活路を見出している映画人も少なくないが、それはそれで場合によっては大手がスポンサーに付くよりも内容に制約が生まれる。町興し村興しはあくまでも町や村の魅力を宣伝するのが目的なのだから、その目的に支障が出る内容は不可だからだ。
 ジョニー・デップ氏主演の「エド・ウッド」で、金策に困った自称映画プロデューサー兼監督のエドが入信と引き換えに某キリスト教団をスポンサーにつける事に成功するが、映画制作の現場で細かいところまで口出しされる場面がある。
 
 そんなとき、韓国から興味深い映画人が脚光を浴びた。梁益準監督(ヤン・イクチュン)である。自ら制作・監督・脚本・主演・編集を兼任して制作した「息もできない」が世界的好評。一躍、時の人になった。
 韓国の映画業界は日本にわをかけて厳しいかもしれない。プロダクションと俳優の力関係にしろ、映画制作の窮屈さにしろ。近年は日本に韓流ブームが定着したこともあって、日本向けの作品、日本の淑女にウケる作品も意識しなければならない。
 また、韓国の芸能界は高学歴社会でもある。有名監督や俳優の多くが大卒、しかも藝術系や映画に直接関係のある学部学科を出て学位をとっている。
 ところが梁益準監督は高校を出て兵役に就き、除隊後は映画スクールで映画を学んだ叩き上げだ。「息もできない」は家を売ってつくった渾身の力作、彼の監督としての技量、俳優としての演技力、説得力のある脚本力、エディターとしての能力、そして映画制作者としての執念、どれをとっても素晴らしい。
 
 映画人としての原点をみせられた思いである。ミニシアターが果敢に大手と張り合い、映画文化を担うヒントがあるように見える。
  

 
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[ 2010/05/18 18:29 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(1)
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[ 2010/05/20 00:17 ] [ 編集 ]
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