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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「BALLAD 名もなき恋のうた」 家族と一緒に感動しよう〔19〕 

BALLAD 名もなき恋のうた」 
草剛の武者ぶりと新垣結衣のお姫様ぶりは
期待通り!

 
 
  
【英題】
【公開年】2009年  【制作国】日本  【時間】132分  【監督】山崎貴
【原案】臼井儀人 原恵一
【音楽】佐藤直紀
【脚本】山崎貴
【出演】草剛(井尻又兵衛)  新垣結衣(廉姫)  大沢たかお(大倉井高虎)  夏川結衣(川上美佐子)  筒井道隆(川上暁)  武井証(川上真一)  吹越満(仁右衛門)  斉藤由貴(お里)  吉武怜朗(文四郎)  波岡一喜(彦蔵)  菅田俊(儀助)  織本順吉(-)  油井昌由樹(-)  綾田俊樹(-)  矢柴俊博(-)  飯田基祐(-)  香川京子(吉乃)  小澤征悦(安長)  中村敦夫(康綱)
         
【成分】笑える 悲しい スペクタクル 勇敢 切ない かっこいい タイムスリップ物 SF 時代劇 戦国時代 埼玉県 1574年 
     
【特徴】アニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』(原作:臼井儀人/監督・脚本:原恵一)の実写リメイク。監督はCGで1950年代の東京の風景を再現した「ALWAYS 三丁目の夕日」で有名な山崎貴氏。今回も16世紀の日本の合戦風景をリアルに再現した。
 主人公が活発で傍若無人的幼稚園児から内気で臆病な小学生に変わったり、父親の職業がサラリーマンから写真家へと多少の設定変更があるが、原作世界の著しい破壊は少ない。
 子供向け映画なので血が流れる場面は殆ど出てこないが、歴史好きが見たら納得するリアルな合戦描写。草剛氏の精悍な古武士ぶりと新垣結衣氏のお姫様ぶりは期待通り。
 実写化の成功例に入れていいだろう。
   
【効能】血が流れる場面は殆ど無いので家族団欒で楽しめる冒険活劇。時代考証も深刻な誤りはないので、歴史に興味を持つきっかけになる。
 
【副作用】原作支持者にとっては設定の改編は不愉快。悪い意味で「子供向けファンタジー」に見えて白ける。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
良く出来た子供用リアル時代劇
 
 リメイクというのは駄作を覚悟しなければならない。だから、監督や俳優の顔ぶれや予告編が気に入らなければ映画館での鑑賞をパスする事が多々ある。近所のレンタル屋で旧作になれば1週間100円で借りられる。
 
 もし草剛氏が主人公の侍大将井尻又兵衛に扮していなければ、たぶん映画館鑑賞をパスしていただろう。制作者の身になって考えれば物語の展開は予測できる。リメイクであれば、何処を改編もしくは改悪するかも想定できる。私はそれをあまりハズした事はない。原作であるアニメ版の廉姫と又兵衛の恋愛はもどかし過ぎるプラトニックだったのに対して、今回は少し踏み込んだ描写をするに違いないと踏んでいたら、全くその通りだった。
 合戦場面を俯瞰で観たような光景やリアルな16世紀日本の城下町も、90年代なら驚きだが今ではCGで作れない風景は無く、NHK大河ドラマや朝の連続テレビ小説でも行えてしまう。映画となれば、やって当たり前の時代になった。
 
 草剛氏に興味を持ったのは、以前にテレビ時代劇で犬公方で有名な徳川綱吉を演じていた事があって、その演技がどうも貫禄も迫力もなく「ツヨシ君は時代劇にあわない」と思ったからだ。本作では本格的な侍を演じる、予告編ではけっこう様になっているように見えたので楽しみだった。期待を裏切らない演技だったと思う。線の細い優男を演じる事が多い草氏にとって新境地ではないだろうか。殺陣もかなり練習したのか、良い動きだった。
 もちろん、無敵の猛将を演じるので痩せた草氏に違和感を感じる人も少なくないだろうが、私はリアル時代劇追求の視点ではアリと思っている。明治幕末の写真を見れば判るように、みんな体格だけを見れば現代人よりはるかに貧相だ。肩幅は狭いし痩せている。
 
 新垣結衣氏の廉姫も期待通り、敵役の大沢たかお氏の大倉井高虎も智勇備えたまずまずの存在感。武井証君をはじめ子役たちも良い表情をしている。
 気の弱い真一の成長と廉姫・又兵衛の悲恋との絡め方まとめ方も上手くいっている。さらにリアル合戦(余談1)を描写しながら子供向けに配慮して血飛沫・死体が殆ど描写しない点も賛否あるが私は好意的に見ている。

 ただ、16世紀の日本人の口に果たしてビールやカレーは口に合うだろうか? 特にビールなど幕末や明治初期は薬局で売られていたほど「酒」という認識は薄かった。美味い酒とは思えないはずだ。映画を2時間強でまとめるため、16世紀人が21世紀を強引に理解している。
 
(余談1)合戦場面はリアルだ。現代人の感覚から見ればテンポは恐ろしくスローで、作中の真一少年がいうように「お祭り」みたいな感じで進む。実際に血が流れ死者が出る喧嘩祭りだ。
 戦死者の半数以上が矢玉によるものというデータがあり、時代劇のように太刀を使う事は殆ど無く、最初に鉄砲や弓矢で試合をし、あとは槍や薙刀で叩き合いだ。
 鉄砲が導入された当初は、撃ち殺す戦果よりも発射時の大音響で相手の馬や足軽を驚かすのが目的だったので、真一らがクラクション鳴らしながら自動車を走らせるだけで敵が散り散りになるのはあり得る。
 合戦中でも握り飯を食べる余裕があり、大将が引けの合図をすれば停戦というより休憩時間になる。大将が負ければ、次席が代行して戦争を続けることもない。
 
 たぶん私のような歴史好きが、「たぶんこれが実際の合戦風景だろう」といった感じでプロデュースしているに違いない。そう思うと楽しくなる。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
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