ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「2012」 不安と恐怖を楽しむ時に〔21〕 

2012」 
エメリッヒがおくる大終末ショー。

 
 
  
【英題】2012
【公開年】2009年  【制作国】亜米利加  【時間】158分  
【監督】ローランド・エメリッヒ
【原作】
【音楽】ハラルド・クローサー トマス・ワンダー
【脚本】ローランド・エメリッヒ ハラルド・クローサー
【言語】イングランド語
【出演】ジョン・キューザック(-)  キウェテル・イジョフォー(-)  アマンダ・ピート(-)  オリヴァー・プラット(-)  タンディ・ニュートン(-)  ダニー・グローヴァー(-)  ウディ・ハレルソン(-)  モーガン・リリー(-)  ジョン・ビリングスレイ(-)  ジョージ・シーガル(-)  ジミ・ミストリー(-)  パトリック・ボーショー(-)  アガム・ダーシ(-)  ヨハン・アーブ(-)  トーマス・マッカーシー(-)  
         
【成分】スペクタクル ロマンチック パニック 恐怖 絶望的 終末 2012年  
     
【特徴】エメリッヒ監督が贈る壮大な人類滅亡ショー。大迫力の音響と映像、本作は映画館で観ないと損である。
   
【効能】ジェットコースター以上のスリルを体感し、ストレス大発散。
 
【副作用】派手なだけで中身の無い作品に時間の浪費感を味わう。2012年が無事に過ぎると旬を終える。
 終末思想にかぶれやすくなる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
映画館仕様の作品。
 
 既に多くのレビュアーがご指摘しているように、本作は映画館仕様である。大スクリーンと音響設備が整った映画館で鑑賞してこそ楽しめるものであって、DVDでのご家庭鑑賞は魅力半減する。エメリッヒ監督もそれは企画段階から織り込み済みだろう。このショーは映画館で楽しまなければならない。
 
 私はハッキリとショーと述べた。これに大きくうなずく者もいれば違和感を感じる者もいるだろう。誤解の無いよう言っておくと、私は批判や皮肉を込めて「ショー」と表現しているのではない。
 過去のエメリッヒ監督の話題作を見て判るように、彼には文藝作や社会的メッセージ性のある作品を制作する志は故意に持たない映画人であり、あくまで娯楽としての映画、ショービジネスとしての映画を追求している職人である。私の趣味には合わないが、そんな映画もジャンルとして必要だと思っている。
 
 今回の映画は監督の志向が徹底して発揮されている。まず巷で話題となっている2012年問題をストレートかつ巧くビジネスにして興行を成功させている。(余談1)
 ここ数年、映画産業は2012年問題を意識してやたら人類滅亡をテーマにした作品を繰り出すようになり、「アイアム・レジェント」「地球が静止する日」「ノゥイング」など、特に「ノゥイング」は本作とテーマがダブる部分が多いのだが、徹底して崩壊スペクタクル映像を追及しているのが「2012」だ。
 
 他は映像一辺倒ではなく脚本にも重心を入れているが、本作は開き直ったかのように過去に制作された多くの災害映画で確立された雛形を踏襲しているのみ、端的にいえばベタな場面の連続だが、好意的にとれば世界の多くの人々が納得しやすい定番劇ともいえる。
 多くの映画は主軸は登場人物たちの物語なのだが、本作のストーリーや人間模様は災害スペクタクル映像を補強するためのモノといっても過言ではないだろう。映像が主で俳優たちが演じる物語が副である。といっても、けっして俳優たちは手を抜いている訳ではない。所々不自然な描写があるが、それは脚本が定番過ぎるせいだろう。
 
 2012年を目前に控えて人類滅亡説が話題となっている時期に、全米を中心に世界中の観客が期待する内容の終末ショーを提供するエメリッヒ監督は映像職人としてビジネスマンとして優秀だ。
 もちろん、「羅生門」や「ベン・ハー」などのように長く名作と讃えられる部類の作品ではない。賞味期限のある映画だ。2012年が無事に過ぎれば魅力が大幅減退するし、CG技術の向上や良質の脚本があれば本作は急速に忘れ去られる。それは監督も承知だろう。いま(2009年)映画館で楽しむために作った映画なのだから。
 そして興行は公開数日後に投下資本を回収し莫大な売上を獲得した。本作の目的は達成、監督はグッド・ジョブだ。(余談2)
 
(余談1)ノストラダムスの人類滅亡予言が指定した1999年が過ぎると俄に脚光を浴びるようになったマヤ族の終末予言が2012年人類滅亡説だ。これにはマヤ文明を研究している学者からも反論があり、マヤ族が作成したカレンダーが2012年に終わっているとか、一つの区切りをつけているだけで、人類滅亡を記している訳ではないとの事。
 他、科学者の多くは以前のノストラダムスの予言と同じく、科学的根拠を挙げて予言の信憑性を否定している。

 ノストラダムスの予言の場合、米ソ対立と核武装を背景にした第三次世界大戦への恐怖が予言に信憑性を持たせた。
 今回は地球温暖化や経済の低迷、中東を中心に広がる戦火と社会不安。冷戦構造が崩壊して世界が平和へ前進したと錯覚したのも束の間、もっと厄介な魔物が噴出したような状態が現代である。それら社会問題を背景に2012年黙示録説は真実味を帯びて世界中に広まった。
 2012年が無事に過ぎても、また新たな予言が発掘されて脚光を浴びることになるだろう。

(余談2)ふと思い出したのが樋口監督「日本沈没」だ。津波シーンなど多少の共通項があるが、映像が綺麗という印象しか浮かばない。本作のように心臓に響く迫力は無い。
 また、樋口監督は前作よりも世界情勢のリアリティーを出したい気持ちは理解できたが、やはり脚本がこなれておらず中途半端な感がした。「2012」は徹底して脚本に力を入れず過去の災害映画の雛形を踏襲し映像に全力を傾けたのとは対照的だ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 
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