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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「パブリック・エネミーズ」 孤独を楽しむ時に 

パブリック・エネミーズ」 
ハードボイルドのジョニー・デップ

 
 
  
【原題】PUBLIC ENEMIES
【公開年】2009年  【制作国】米  【時間】141分  【監督】マイケル・マン
【原作】
【音楽】エリオット・ゴールデンサール
【脚本】ロナン・ベネット アン・ビダーマン マイケル・マン
【出演】ジョニー・デップジョン・デリンジャー)  クリスチャン・ベイル(メルヴィン・パーヴィス)  マリオン・コティヤール(ビリー・フレシェット)  ビリー・クラダップ(J・エドガー・フーバー)  スティーヴン・ドーフ(ホーマー・ヴァン・メーター)  スティーヴン・ラング(チャールズ・ウィンステッド)  ジェームズ・ルッソ(-)  デヴィッド・ウェンハム(-)  クリスチャン・ストールティ(-)  スティーヴン・グレアム(-)  チャニング・テイタム(-)  ジェイソン・クラーク(-)  ジョヴァンニ・リビシ(-)  ビル・キャンプ(-)  スペンサー・ギャレット(-)  ピーター・ゲレッティ(-)  ブランカ・カティッチ(-)  リーリー・ソビエスキー(-)  ロリー・コクレイン(-)  ジョン・キッシュライン(-)  キャリー・マリガン(-)  リリ・テイラー(-)  ジョン・オーティス(-)  ドン・フライ(-)  マット・クレイヴン(-)  アラン・ワイルダー(-)  デヴィッド・ウォーショフスキー(-)  ランス・ベイカー(-)  スティーヴ・キー(-)  ダイアナ・クラール(-)  ジェフリー・カンター(-)  
         
【成分】ゴージャス ロマンチック パニック 勇敢 絶望的 切ない かっこいい アメリカ 1930年代前半
       
【特徴】「シザー・ハンズ」の白塗りアンドロイド役から「パイレーツ・カリビアン」の小汚い海賊まで、個性的キャラを演じることが多いジョニー・デップ氏にしては珍しく正統派のカッコ良いアウトローを演じている。
   
【効能】
 
【副作用】
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。 男の子が憧れるギャング浪漫。
 
 バランスのとれたハードボイルド・ラブロマンス佳作だろう。主役のジョニー・デップ氏とヒロインのマリオン・コティヤール氏の魅力がひきたつ舞台だ。ただ内容としては、同時代に活躍した銀行強盗犯が主人公の同様テーマ「俺たちに明日はない」には及ばない。
 
 「俺たちに明日はない」のボニーとクライドは、義賊を気取って国家権力や資本主義社会と対決し儚く押し潰される最下層の若者を描いた社会派の色合いを前面に出しているが、本作はあまりそれは意識していない。世界大恐慌を背景にしている事を冒頭で示すことでスパイス程度の味付けにしている。(余談1)
 本作主人公ジョン・デリンジャーもボニーとクライドと同じく義賊を気取った銀行強盗犯だが、マイケル・マン監督やジョニー・デップ氏らの解釈はかなりクールだ。犯罪者仲間から誘拐を誘われても大衆ウケを考えて断っている。反権力というよりは、職業的アウトローだ。
 
 本作のテーマは、古き良き時代の戦前を舞台にしたアウトローがタフで狡猾な才能を発揮して綱渡りの刺激的波乱万丈の人生おくる様を愛でる映画だ。男の子が一度は憧れるハードボイルドのラブロマンスのみがテーマといっても良い。
 ヒロインを口説く場面も、実に短気の短期決戦で展開を簡略化している。実際のデリンジャーは紳士的な物腰と評判だったので、果たしてチンピラの暴力まがいを女性の前でやっていたのだろうか? マレーネ・ディートリッヒ氏の「モロッコ」のようなお洒落な駆け引きは無い。私が監督ならもっと無難に最初から恋人同士という設定にする。ひょっとして、アメリカにも多くなった草食系男子が密かに憧憬する肉食行為なのだろうか?
 
 男子の多くは戦争映画が好きで、マシンガンの発射音や連続射出する薬莢に興奮する。作中のデリンジャーも史実と同じく無闇無駄な殺生はしないが、マシンガンを撃つ場面は盛り沢山。本作に限らず、ハリウッド映画の銃撃シーンはリアルで迫力がある。
 また近頃のジョニー・デップ氏は小汚い海賊や白塗り仮面のような変人を演じることが多いので、今回のデリンジャー役はシックなダブルカフスのワイシャツに三つ揃いのスーツ、中折れ帽の下はサッパリ清潔そうな刈上げ頭で新鮮かつカッコいい。
 
 さらに物語の展開上特に意味は無いと思うのだが、大胆不敵にも敵陣であるパーヴィス捜査官指揮の本部事務所に散歩するかの如く単身乗り込み、殺された仲間や収監されているヒロインの写真、そして自分の顔写真を眺めながら、プロ野球中継に熱中する捜査員に試合内容を尋ね、捜査員たちも語尾に「Sir」をつけて受け答えする。渋いと思う男子は多いだろうし、間近に迫る死の気配を体感するデリンジャーの切ない内面を描写したファンタジーとも解釈でき、女子もしびれるかもしれない。
 そして、作中でデリンジャーが観た最期の映画クラーク・ゲイブル氏の「男の世界」(余談2)も死が目前にあることを示す象徴的場面だ。
 
 収監されているヒロインのもとに、デリンジャーを射殺した老捜査員がやってきて遺言を伝える。デリンジャーが後頭部を撃たれて虫の息だったが彼は正確に聞いていた。ヒロインと主人公だけにしか解らない言葉、涙するヒロイン。
 
 場末の少女漫画やハーレクインロマンスに対して、これは場末の青年漫画や冒険小説の類だ。したがって、観客も「娯楽」と割り切って観るべきだろう。時代考証やデリンジャーが実際に行っていた強盗の手口はほぼ史実通り。舞台設定はかなり贅沢だ。
 
(余談1)「俺たちに明日はない」は60年代後半から70年代半ばに流行ったアメリカン・ニューシネマの代表作。それ以前の米映画は大衆に娯楽と夢を与えるメディアだったが、ニューシネマは反権力志向が特徴だ。権力に逆らってもがき苦しみ最後は捻り潰される若者像を描く。大衆に夢を与えるのではなく、現実社会の醜さや不条理を心のビンタで活を入れる、そんな映画だ。
 
(余談2)1934年の作品。本作に登場する場面を簡単にいうと、クラーク・ゲイブル氏扮する主人公が竹馬の友の州知事のために政敵を殺し死刑判決が下される。事情を知った知事は権限で減刑を申し出るが主人公は固辞する。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
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