FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「初恋のきた道」 カップルで癒されたい時に〔4〕 

初恋のきた道
広々とした農村を背景に実る純愛。

  

 
【原題】我的父親母親
【英題】The Road Home
【公開年】1999年  【制作国】中華人民共和国  【時間】89分  
【監督】張藝謀
【原作】鮑十
【音楽】三宝
【脚本】鮑十
【言語】中国語
【出演】章子怡(招娣・若き日の母)  鄭昊(駱長余)  孫紅雷(駱玉生)  趙玉蓮(老招娣)     
 
【成分】泣ける 楽しい ファンタジー ロマンチック 切ない かわいい 文化大革命 農村 70年代前半 中国 一部白黒
  
【特徴】広々とした長閑な農村の小学校に赴任してきた若い男性教師に恋をする村の美少女。後に2人は結婚し間に息子が生まれる。この物語は成人した息子が、父親が倒れた事をきっかけに父母の馴れ初めを語る形式で話が進む。
 現在を白黒映像、青春時代の父母をカラーで表現する方法は純愛を効果的にあらわしている。
 
【効能】カップルで観るとより心が癒される。交際を始めた頃の新鮮な感覚が蘇るかもしれない。
 
【副作用】「オズの魔法使」のパクリに見えるかもしれない。ヒロインの行動は一種のストーカーで引いてしまう人がいるかもしれない。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
ひとつ間違えばストーカーだけど・・

 いまや国際的女優になる章子怡氏(チャン・ツィイー)のデビュー作になるのかな? 監督は張藝謀氏。素朴で清涼な恋愛物語である。
 
 原題は「我的父親母親」、訳すと「私の父母」という極めてシンプルな表現である。たしかに内容は語り部である青年の父親と母親がまだ青春時代だった頃が舞台になっている。が、邦題の方が情緒があって良い。とくにハリウッド製映画を日本で公開する時に邦題を付けずに、英語の原題をそのままカタカナにする風潮があるが、あれは配給会社の怠慢だと思う。
 
 昔からの張藝謀監督のファンにとっては、平凡な作に見えるかもしれない。「紅いコーリャン」や「菊豆」を代表作にあげるだろう。(余談1)「初恋がきた道」に感動して張藝謀ファンになった人々に、昔からのファンたちはこの2作を強く薦めるかもしれない。これら映画は社会派の暗いトーンの映画なので、癒されたいだけの人は観ないほうがよい。
 
 他の作品レビューでも書いたが、「灰とダイヤモンド」など抵抗三部作で有名なアンジェイ・ワイダ監督がいきなり他愛無い恋愛ものを撮るように、ほっとひと息つきたい作品があっても良いと思う。
 ちなみに「初恋がきた道」の前作だったか、「キープ・クール」は大都会北京を舞台に、凶暴な男性ストーカーが登場する愛と暴力の映画だ。
 
 よく過去の回想シーンを白黒で表現する事が多々あるが、この映画では逆をとった。現在を白黒にして父母の瑞々しい青春時代を鮮やかなカラー映像と山村の美しい描写に力を入れている。カラーフィルムが開発されたばかりの映画「オズの魔法使い」で現実世界を白黒に夢の世界をカラーにする手法に似た単純ではあるが説得力のある映像である。
 張藝謀氏がカメラマンとして参加した陳凱歌監督「黄色い大地」でも広々とした黄土の風景描写が美しかった。
 
 特に中国の社会問題や歴史を知らない人でも感動を誘う純愛物語だと思う。また自分の父母がそんな恋愛の末に結ばれていてほしいと願う子供心にも共鳴するかもしれない。(余談2)
   
(余談1)たぶん、おすぎは「紅いコーリャン」「菊豆」を好意的評価するのではないか。

(余談2)毛沢東を担いだ文化大革命が1965年頃から約10年間続いた。簡単に言えば中国政府内の権力闘争だが、このおかげで経済が著しく低迷し、多くの文化人や技術者が反革命の烙印を押されて粛清されたり左遷されたりした。
 文化大革命の政策として、学生に「実地教育」を施すため農村へ下放するのがあった。主人公の一人である青年時代の父親も農村へ下放された可能性がある。張藝謀氏の世代は下放を体験している。

 章子怡氏は私の好みのタイプだが、もし全く嫌なタイプだったら、完璧にストーカーだ。
 「安珍・清姫」など日本昔話には女性ストーカーを題材にした話が多いような気がする。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
【受賞】第50回ベルリン国際映画祭:銀熊賞審査員グランプリ部門受賞
 
晴雨堂関連作品案内
あの子を探して [DVD] 張藝謀
至福のとき [DVD] 張藝謀
紅いコーリャン [DVD] 張藝謀
「初恋のきた道/あの子を探して」オリジナル・サウンドトラック 三宝
クラシックミュージック ジャン・ジェンホワ 姜建華
  
晴雨堂関連書籍案内
初恋のきた道 鮑十
中国映画の明星 朱旭・姜文・張藝謀・張國榮 石子順
チャン・イーモウ (キネ旬ムック―ディレクターズ・ファイル)
私の紅衛兵時代―ある映画監督の青春 (講談社現代新書) 陳凱歌
 

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
この記事のトラックバックURL
http://seiudomichael.blog103.fc2.com/tb.php/129-806de768

チャン・イーモウ監督の初恋三部作の中で一番人気があり、チャン・ツィイーのデビュー作でもあるこの作品。当時は張芸謀監督と恋仲にあった章子怡は「第2のコン・リー」なんて呼ばれてましたが、コン・リーとはまた違う独特の可愛らしさのある女優さんでしたね。今の章子...
[2008/01/02 21:02] めでぃあみっくす
村に先生がやって来た! 先生に一目ぼれした村で一番の美人のディー。 先生のために一生懸命食事を作ったり、道で待ち伏せしたり。 村を突然離れることになった先生を追って走る走る。 好きになった先生に会いたくて、会いたくて、雪の中をひたすら待ち続ける。 物語は、...
[2009/06/18 11:14] のほほん映画鑑賞
チャン・ツィイーのデビュー作。 見よう見ようと思ってて、忘れてましたっ。 こちらも「ひらりんのお蔵入りしそうな作品リスト」の中からの脱出作品。 (リストの中で「これはっ・・・」という作品があったらオススメコメント書いてね。) 1999年製作のラブ・ストーリ...
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
107位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
51位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク