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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「エイリアンX」 寂しさをまぎらわす時に〔21〕 

エイリアンX」 
ヒット作の便乗企画。

 
 
  
【原題】ALIEN LOCKDOWN/CREATURE
【公開年】2004年  【制作国】亜米利加  【時間】91分  【監督】ティム・コックス
【原作】
【音楽】ジョン・ディクソン
【脚本】ロス・ヘルフォード T・M・ヴァン・オストランド
【言語】イングランド語
【出演】ジョン・サヴェージ(-)  ミシェル・ゴー(-)  ジェームズ・マーシャル(-)  マーティン・コーヴ(-)  スタニスラフ・ディミトロフ(-)  
         
【成分】パニック 不気味 SF アクション 女戦士 
       
【特徴】「プレデター」や「エイリアン」をはじめ複数のSFアクションのパッチワーク。いわゆるヒット作の便乗企画で制作されたBC級作品。
 大半の日本人の感覚では「美人」と認識されにくいアジア系スレンダー女優が体格の良い猛者たちを率いてエイリアンと戦う様が主な見どころ。彼女の長くてサラサラ黒髪が印象に残る。
   
【効能】小柄でスレンダーのアジア系女性が厳つい白人男性たちを指揮する様に萌え。孤独な深夜に観ると馬鹿馬鹿しさに気が紛れる。
 アメリカ人のアジア系女性に求める美的感覚が理解できる。
 
【副作用】時間の浪費感に襲われ鑑賞したことを後悔する。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
複数のヒット作を稚拙にパッチワーク。
 
 ヒット作が1作誕生するれば無数の便乗B級およびB級未満作品が制作される。さらに邦題はその意を酌んでヒット作の続編か外伝のように装う。本作もそんな作品だ。
 
 たしかに怪物の体型は「エイリアン」に登場する生物に近い。しかし顔付きは「プレデター」をほぼそのままをパクっている。
 宇宙から飛来した謎の隕石に記録されていた遺伝情報をもとに怪物をつくりあげるアメリカの怪しい科学者たち、宇宙から飛来ということで「遊星からの物体X」から連想して「エイリアンX」なのか? かなり苦しいこじ付けだが。「スピーシーズ」にも似ている。
 若い女性隊長率いる一団が連絡が途絶えた厳寒の研究施設に踏み込むところは「エイリアン2」や「バイオハザード」的かもしれない。

 ともかく、有名ヒットSFアクションホラースプラッタ映画数作を適当にパッチワークのように貼り付けたように見える。物語としてはB級未満作品らしくイマイチ設定や構成に行き届いていない点がいくつかあり、それを補うために社会風刺的ユーモアや過激残酷場面やお色気場面を入れることが多いのだが、本作は殆どそれが無く、変に真面目でシリアスに仕上げているのが意外だった。
 
 例えばイタリア映画伝説の迷巨匠ジョー・ダマト監督(余談1)が制作したら、十中八九お色気場面を必ず入れる。本作のようなシチュエーションなら謎のエイリアンに手ごめにされた挙句に殺される女性科学者や女性隊員などヒロイン以外にお色気殺され役を複数名用意するだろうし、ヒロインとて無傷で生還せず、辛うじて半裸状態で逃げ延びるパターンにするだろう。
 しかし本作には目立った残酷場面もお色気場面も無い。聞くところによるとTV映画らしく、そのためかヒロインもエイリアンに組み伏せられて危うしの場面になるが、せいぜい襟が心持ち開いて鎖骨のくぼみが覗く程度、乳ポロリはおろか胸の谷間すら見えない。
 
 本作の主人公にして華ともいうべきヒロイン、特殊任務のスペシャリストらしく、エイリアンが潜む酷寒の研究所に乗り込むときは武装した1個小隊規模の部隊を指揮する女性隊長、ファッションモデルのようなスレンダー体型、サラサラの綺麗な長い黒髪、テキパキと猛者たちに命令を下すさまは気持ちがいい。(余談2)
 ただ、顔付きがモロにアジア人女性なのだ。アジア人女性が登場する米映画やポップスのPVを観るたびに思うのだが、大概は吉永小百合氏や長澤まさみ氏のようなタイプの女性は登場しない。失礼ながら五輪真弓氏や泉ピン子氏をスタイリッシュにしたようなキャラが多い。
 
 女性隊長を演じるのはミシェル・ゴー氏。見た目は20代。前に何かの雑誌で観たおぼえがあるが、五輪真弓風でもう少し顔が痩せて日焼けしているのだが、本作では顔が丸く白い。本作出演の後に整形でもしたかのように顔つきが変わっていた。
 名前からして中国系なのか、あるいは東南アジア系なのか? 日本ではあまり知られていない女優なのでどんなポジションにいる人なのかはよく判らない。が、アメリカ人が連想する東アジアの女性像は相変わらずミシェル・ゴー氏のようなタイプなんだな、というのが解る。アジア的美女はけっして吉永小百合や長澤まさみではないのだ。
 
 作品としては駄作の部類に入れる者が多いだろうが、アメリカ人が美しいと思う東洋系美女の概念がよく出ていて興味深い。
 
(余談1)イタリアが誇る迷監督。本人は正統ホラーを撮りたかったらしいが、アメリカの「最低映画監督」エド・ウッド氏と同じく生活のためポルノを撮り続ける。ポルノを強引にホラーや食人族モノに仕立てにした無茶苦茶な作風で知られる。
 「褐色のエマニエル」と讃えられたインドネシア出身の女優ラウラ・ジェムサー氏とのコンビで印象深い「名作」を発表している。
 
(余談2)彼女が率いるのは武装した小隊規模の部隊だが、部下たちは彼女の命令に従うものの言葉遣いはタメ口ぽい。語尾に「Sir」をつけていなかった。どういう性格の組織なんだろう。結果的に彼女の独断で壊滅状態になったわけだから指揮官として有能とはいえないし、特に戦闘員としてのスバ抜けた能力も魅せていなかった。だから、部下たちはよく彼女に従っているなぁと気の毒に思ってしまう。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆ 可
 
晴雨堂マニアック評価
☆ 駄作



 
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