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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「愛の記念に」 カップルで考えよう〔6〕 

愛の記念に」 
サンドリーヌ・ボネールの出世作。

 
 
  
【原題】A NOS AMOURS
【公開年】1983年  【制作国】仏蘭西  【時間】100分  【監督】モーリス・ピアラ
【原作】
【音楽】ヘンリー・パーセル
【脚本】アルレット・ラングマン モーリス・ピアラ
【言語】フランス語
【出演】サンドリーヌ・ボネール(シュザンヌ)  ドミニク・ベアネール(ロベルト)  
         
【成分】パニック 知的 切ない かわいい 不安定 思春期 恋愛 フランス 
       
【特徴】恋人が安定志向になると物足りなさを感じて他の男と寝てしまう情緒不安定な少女の物語。性愛の遍歴を重ねる思春期の女の子を当時まだ10代の初々しいサンドリーヌ・ボネール氏が好演、脚光を浴びる。
   
【効能】精神不安定なヒロインの姿を見る事で逆に精神の安定を得る。
 
【副作用】身勝手なヒロインの生活に激怒。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
少女シュザンヌ、性愛の遍歴。
 
 83年の仏映画、日本での公開は85年か86年頃と思う。私は学生時代に観た。
 
 作品の内容を簡単に言うとレビュータイトルになる。といっても性描写中心のポルノではなく、女子校生の愛の遍歴を描いた青春文学作品なのだが、当時は日本でもそろそろエイズ騒ぎ起こり始めていたので、「そんな生活してたら病気うつされるぞ」というラブロマンスのカケラも無い実務的で醒めた印象をもった。もっともポルノではそんな印象は持たないのだから、それだけ作品世界をリアルに体感したということなのか。
 
 主人公は多感で情緒が些か不安定な女子校生(余談1)、父は真面目な毛皮職人、母は普通の主婦、兄は父の仕事を手伝いながら文学をやっている陽気でデップリとした若者。家庭環境はどちらかといえば恵まれた中流家庭、けっこう良い家に住んでいるし兄の部屋はまるでアンティークな事務所のような書斎だ。
 主人公は少し地味で真面目そうで清純な美少女、そんな彼女の可愛らしさを兄は友人たちに自慢する。ところが、世間一般から観て幸せそうな家庭のバランスが、清純キャラだったはずの主人公の言動で崩れていく。
 
 彼女はボーイフレンドがいながら、彼氏との関係に倦怠感を感じたのか行きずりの見知らぬアメリカ人男性と寝る。ヒロインの「男遊び」がきっかけなのか、家庭がギクシャクする。娘を注意した父は家出をし、母と兄はヒロインにつらくあたる。ヒロインだけが情緒不安定かと思いきや、家族全員がおかしくなってきたのだ。怒号が家中に響く場面の連続。
 ヒロインはそんな家の雰囲気に耐えられず(彼女が家庭内のバランスを崩したわけだから責任の一端は少なくとも皆無ではないのだが)学生寮に入ってしまい、新たに恋人をつくって婚約する。
 
 やがて、兄が劇作家?として大成功をおさめ、評論家の友人の妹と結婚するという、一家にとっては長い冬から春が訪れたような場面になる。ところがその兄の門出を祝う宴席に家出した父が戻ってきて再び暗い雰囲気に、ほどなく母と父の罵り合いの大喧嘩。それを観ていたヒロインは何を思ったのか、またしても婚約者を捨てて、今度は兄の友人の1人と駆け落ちする。ヒロインの駆け落ちを温かい目で見送る父の姿。

 わからん。ヒロインはどうやら「無病息災」のありがたさが解っておらず、「波乱万丈」を求めているようだ。まだまだ若いから、まだまだ男性遍歴を続けるのだろう。男性が安定志向になると彼女は別の刺激を求めて男を変えているように見える。
 そんな娘の駆け落ちを、まるでハッピーエンドであるかのように見送る父親の気持ちも解らない。
 
 当時の私はまだ20歳になるかならない頃だった。カッコつけて「人生は旅、旅から旅」と考えていた。様々な分野で活躍する友人知人を間近に見ていたせいか、少々の変わった主義主張趣向にも寛容だった。それでも主人公の行動は解り難い。それどころか彼女のような子に関わると、自分の生活も乱されそうだと強い警戒心を抱いた。
 作中の父親の年齢に近づいてきた今でもやはり解らない。ただ、同じシチュエーションになったら、20歳の私だったら理詰めで論破し平伏せしめ娘を「本来の姿」へと軌道修正させることにエネルギーを集中させるだろう。しかし今は父親と同じ表情で見送るかもしれない。ただし、映画の解説では「深い愛情」とあったが、私の場合は温かい愛情からの笑顔というよりは「Let It Be(なすがまま)」のような境地か、あるいは別れる最後の時ぐらいは笑っておこうという、いずれにせよ諦めの境地になるだろう。
 
(余談1)多感な主人公を演じたサンドリーヌ・ボネール氏はなんと私より1つ歳下の同世代、映画撮影時は私と同じ高校生ということになる。同世代の女の子が次々とベッドで男性と寝る演技をするとは。しかもそれが映画初主演。当時のスチール写真には、物憂げにベッドから顔を上げるサンドリーヌのアップ、その手前にはぼんやりと男性の胸毛、どんな場面か一目瞭然、日本の芸能界では撮らせないだろうな。
 
 後に彼女はヴェネチア国際映画祭女優賞を受賞し、カンヌでは自閉症の妹をテーマにドキュメント映画を監督して高く評価されている。
 彼女のファンにとっては「愛の記念に」は初々しい10代の姿なので貴重映像だろう。
 


晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアロック評価
☆☆☆ 佳作



 

 
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青春ドラマのようでいて、ジャン・コクトーの作品みたいに毒があって生々しい!父親が家庭を去り母親のヒステリー兄のマザコン振りも凄まじいが、突然の父の帰還でー。ドラマがドラマを呼び波瀾万丈のエネルギー満開
。学園青春劇みたいな導入部、船で旅立つファーストシーンからは想像が着かないラストだが、機上のラストシーンは波乱を含んでいる。(ポリス)の別れのラストシーンといい、(ヴァン・ゴッホ)の突然の人生の最期といい、未完成の謎を残す…。
[ 2016/02/17 03:55 ] [ 編集 ]
PineWood氏へ

 私はあまり価値が解りません。ただ不愉快なだけで。

> 青春ドラマのようでいて、ジャン・コクトーの作品みたいに毒があって生々しい!父親が家庭を去り母親のヒステリー兄のマザコン振りも凄まじいが、突然の父の帰還でー。ドラマがドラマを呼び波瀾万丈のエネルギー満開
> 。学園青春劇みたいな導入部、船で旅立つファーストシーンからは想像が着かないラストだが、機上のラストシーンは波乱を含んでいる。(ポリス)の別れのラストシーンといい、(ヴァン・ゴッホ)の突然の人生の最期といい、未完成の謎を残す…。
[ 2016/02/20 05:14 ] [ 編集 ]
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