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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「シャーロック・ホームズ」 ストレス解消活劇〔74〕 

シャーロック・ホームズ」 
アメリカン・パロディのホームズ。

 
 
  
【原題】SHERLOCK HOLMES
【公開年】2009年  【制作国】亜米利加  【時間】129分  
【監督】ガイ・リッチー
【原作】
【音楽】ハンス・ジマー
【脚本】 マイケル・ロバート・ジョンソン 、アンソニー・ペッカム 、サイモン・キンバーグ
【出演】ロバート・ダウニー・Jrシャーロック・ホームズ)  ジュード・ロウ(ジョン・ワトソン)  レイチェル・マクアダムス(アイリーン・アドラー)  マーク・ストロング(ブラックウッド卿)  ケリー・ライリー(メアリー)  エディ・マーサン(レストレード警部)  ジェームズ・フォックス(-)  ハンス・マシソン(-)  ウィリアム・ホープ(-)  ブロナー・ギャラガー(-)  ジェラルディン・ジェームズ(-)  ロバート・メイレット(-)  
         
【成分】笑える 楽しい パニック 不気味 勇敢 セクシー コミカル シャーロック・ホームズ 1890年代 イングランド 
       
【特徴】ハリウッドが制作したシャーロック・ホームズ
概ね原作の設定には忠実だが、ハリウッドらしいデフォルメ、やや不潔感・無精感が強調され過ぎている。ワトソンだけはワトソンらしい。
 
 原作では唯一ホームズを手玉に取った高貴な知能犯アイリーン・アドラーを「ルパン三世」に登場する峰不二子のように描いている。
   
【効能】冒険活劇にワクワクドキドキ。
 
【副作用】不潔でくたびれたホームズに幻滅。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
わしはこのホームズ嫌いや
 
 予告編や映画のチラシは「おぞましい」印象を受けたが、本作を観てみると一応ホームズにはなっていた。
 
 原作にあるシドニー・バジェットの挿絵通りに映像化したドラマで名高いジェレミー・ブレット版ホームズは、概ね黒のフロックコートを着用、人前では身なり正しい紳士である。子供向けホームズでは知的で健康的なお兄さんとして描かれがちなホームズだが、ジェレミー・ブレット氏のホームズは原作の病的でオタク系でだらしない不健康さも描写している。
 一方、本作のホームズはだらしない部分を徹底的にクドイくらいに強調していた。部屋は徹底的に汚く、コカインを注射する場面こそ無かったものの、暗く生気のなさそうな表情、無精髭にボサボサの髪、外出するときも小汚くて緊張感の無い身なり。ワイシャツにネクタイをする場面は無し。(余談1)頭脳で生計を立てているはずのホームズなので、格闘シーンまで論理的思索する場面を強引に入れているが、思索やミステリーよりアクションがメインの娯楽映画にしている。

 原作でボヘミア王家を攪乱し、ホームズを唯一手玉にとったアイリーン・アドラー(余談2)が本作でも「好敵手」として登場するが、王家と対等に相対する貴婦人、ホームズから尊敬されたアドラーの姿ではない。レビュアー諸氏が指摘されているように、「ルパン三世」の峰不二子的キャラ、いや峰不二子そのものといったほうが良いだろう。原作では気高い女性だったが、本作では犯罪界のナポレオンと呼ばれている某教授のパシリをやらされている。
 という訳で、原作に近い主要キャラはジュード・ロウ氏のワトソンだけ。医者で紳士で常識人でお人好しで女性に甘く、ホームズの世話をやきまくるワトソンそのもの。
 
 話は原作にあるエピソードを随所に入れながら、ジェレミー・ブレット版のベイカー通の風景を参考にしたのかビクトリア朝末期の1890年代のロンドンをゴミゴミと再建させている。そこで男の加齢臭が漂いそうな不潔ぽい、いや失礼、男臭いホームズが紳士ワトソンを道連れに、右往左往上昇下降の大立ち回りをテンポ良く展開する。
 よくもまぁ、ここまで原作を無茶苦茶いじり作り変えながらも、制作陣はホームズの根幹にさほど手を加えなかったようだ。

 予告編ではアイリーンが妖しげに現れたり、ホームズが全裸でベッドに手枷の状態だったりと、嫌な予感がした。原作のホームズは女嫌いだ。淑女には一通りの礼はわきまえ丁寧に接するが、それでも触られるのは生理的に抵抗を感じてしまう男だ。もしヒロインとのキスシーンやベッドシーンなどがあったら、一部シャーロキアンは制作会社を訴えるかもしれない。
 本作のホームズは、私には許容できる範囲だ。ヒロインのアドラーから峰不二子ばりのフェロモン攻撃を受けても顔を顰めたり困惑したり、けっしてジェームズ・ボンドやカーク船長のような肉欲は発散させない。それでこそホームズだ。
 もっとも原作のホームズだったら、いくら有能な女性でも峰不二子的人間では親しみも尊敬もしないだろう。
 
 一通り事件を解決しラストは、原作にも登場する宿敵の影をちらつかせている。興行的成功なら続編決行か。
 しかし、私はダウニー版ホームズが大嫌いだ。ムカつく。構成はまあまあだし、散々映画化されて、新機軸を展開するとなれば本作のような選択になるのは仕方がないだろうが、不愉快だった。
 
(余談1)ここでいうワイシャツとは「ホワイトシャツ」「ドレスシャツ」のこと。袖口はダブルカフスになっていてカフスボタンで留め、襟はカラーの取り外しができる「正式なシャツ」を指す。本作では紳士ワトソンが着用しているシャツがそれにあたる。20世紀の前半頃まではレギュラーカラー(一般的なカッターシャツと同じ形状)を装着して着用されていたが、簡略化・簡素化がすすみ現在ではフォーマルな席でさえも殆ど着用されない。 
 ジェレミー・ブレッド版ホームズが好んで着ていたシャツは、ワイドカラーに蝶ネクタイをつけ、袖口はシングルカフス。ダウニー版ホームズは当時ならスポーツ用か仕事着のシャツを常にだらしなく着ていた。
 
(余談2)ジェレミー・ブレット版では、ゲイル・ハニカット氏が品良く演じていた。ハニカット氏は「ヘルハウス」で物理学者の夫人役で出演していたといえば、「ああっ」と思い出すファンがいよう。
 助平な悪霊の影響を受けて淫らな夢を見、主人公の男性霊媒師の目の前で汗をかきながら素っ裸になる。後姿だけしか映らなかったが綺麗だった。
 ゲイルはてっきりイギリスの女優だと思っていたら、なんとアメリカ・テキサスの出身だ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 
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