ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

江尻美保(8) 近頃の現象[四百七十七]  

林被告に死刑求刑 裁判員制度で初 
耳かき店従業員ら殺害

 
 東京都港区で昨年8月、耳かき店店員、江尻美保さん=当時(21)=と祖母の無職、鈴木芳江さん=同(78)=が殺害された事件で、殺人罪などに問われた元会社員、林貢二被告(42)の裁判員裁判第5回公判が25日、東京地裁(若園敦雄裁判長)で開かれた。検察側は、「極めて強い殺意に基づく残虐で計画的な犯行」などと述べ、林被告に死刑を求刑した。(産経新聞)
 
【雑感】検察側の主張は残念ながら尤もだろう。祖母に対しては鈍器で殴ったうえに包丁で的確に急所を刺し、江尻美保氏にも首を刺している。殺害現場は血の海。「弱い殺意」とは言えないだろう。それに単に2人の人生を奪っただけではない。被害者遺族のその後の人生に計り知れないダメージを与えているし、林被告自身の身内の未来にも暗い影で覆ってしまった。
 
 林被告は遺族に対して謝罪の手紙を書き続けているそうだが、私が遺族ならおぞましくて開封する気になれない。さらに殺害現場に居合わせた遺族であれば、被告からの手紙が来るたびに恐怖が蘇り、謝罪を装った精神攻撃で二重の蹂躙だと決め付けるかもしれない。
 弁護側は謝罪と反省を情状酌量の材料とするだろうが、そもそも謝罪と反省はやって当たり前の事であって、マイナスがプラスになるものでは決して無い。それに、被害者江尻美保氏と親しかった論拠をあげようとしている行為は、せっかくの謝罪に水を差す言動だろう。
 
 論拠となったものも、サービス業に従事する者なら有り触れた接客態度である。というか、特に何か誤解を招くような態度とは思えない。
 それから以下に述べる弁護人の主張、一見するとなるほどと思える主張なのだが、

 「被告は必ずしも自分勝手なだけの人間ではないのです。店での楽しい時間、よくしてくれた美保さんなのになぜ来店拒否になったのか分からない。それが出発点であり、最後まで影響していると思います」

 「信じ切っていた美保さんの態度が急に変わって頭が回らなくなったことなど、理解できる部分はないか」
 「美保さんと良好な関係を築いていたのが、平成21年4月5日を最後に、絶たれました。どうにかしたいと考えましたが、切り替えが苦手で問題処理を理屈で考える被告の性格が影響しました」

 「被告は意識野が狭窄し、抑鬱(うつ)状態になり殺意につながった」

 「芳江さんへの殺意の発生についてですが、被告は集中しきった状態でパニックを起こし、衝動的に行ったものです。冷静なものではないのは、(芳江さんに対して)ハンマーをめちゃくちゃに使っていることからも明らかです」
 
 しかし、これらの理屈が罷り通ってしまうと、モラルハザードが起きるのではないか。信じていた会社から突然解雇され、上司の態度が急に変わり、理由を問うても解らない、思いつかない、ウツ状態になって殺意が芽生え、会社を従業員もろとも爆破して皆殺しにした、というのも情状酌量できることになる。
 
 いや、そんな遠まわしな理屈を言うまでも無い。性根の悪い私が江尻美保氏の遺族だったら、以下のように思うだろう。
 
 「だったら、俺もあんな親思いの良い子が落ち度が無いのに殺されるのは解らない。林被告のおかげで憩いの場どころか人生そのものだった家族を一瞬に滅茶苦茶にされ、住むところも奪われた。母親は精神的にダメージを受け俺も感情を抑えるのが辛い。被告を殺してやりたいしパニックになりそうだ。
 被告に酌量が認められるのであれば、俺ならもっと認められるのではないのか。社会正義を信じて裁判に臨んでいるけど、被告が死刑を免れたら、俺に被告を殺す権利と資格が発生せねばフェアではない」
 
 という理屈も成り立ってしまう。弁護士は難しい司法試験を通ってきたので頭が良いはずだ。もっと他に酌量の仕方が無かったのか? 被告の死刑を回避する事ばかり考えて遺族の立場はまったく考慮しない。あんな酌量の仕方ならば、遺族に報復殺害の権利を認めてしまう事につながる。そんなことになれば法と道徳を信じられなくなりモラルハザードとなる。
 
 林被告が述べた「自分の命で償うしかないと思っています。しかし、それでは逃げることになるのではないかと、自分のしてしまったことと向き合って、問い続けていかなければならないのではないか」というのは真っ当な考え方である。もし犯行後に自殺でもされたら、遺族の気持ちは今以上に闇の中へ突き落とされてしまう。
   

 
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[ 2010/10/25 20:02 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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