「U2/魂の叫び」
87年全米横断ツアー
「ジョシュア・ツリー・ツアー」ドキュメント。 【原題】U2: RATTLE AND HUM
【公開年】1988年
【制作国】亜米利加
【時間】99分
【監督】フィル・ジョアノー 【原作】 【音楽】U2 【脚本】【言語】イングランド語
【出演】ボノ(本人)
エッジ(本人)
アダム・クレイトン(本人)
ラリー・ミューレン・Jr(本人) B・B・キング(本人)
フィル・ジョアノー(本人)
【成分】勇敢 知的 かっこいい ロック アイリッシュ アメリカ 1987年
【特徴】アイルランド出身の社会派ロック・バンド
U2の87年全米横断ツアー“
ジョシュア・ツリー・ツアー”を追ったドキュメンタリー作品である。
デビュー当時の痩せた反抗期の少年というイメージから、汗と体臭が漂う反骨の逞しい大人へと成長した姿へ変貌。4人それぞれの性格を反映した生のインタビューが収録。
コンサート中にIRA(アイルランド共和軍)の爆弾テロを非難する場面が物議をかもした。
【効能】エネルギッシュで反骨のパワーを得られる。戦闘的なメロディーに気分高揚。
【副作用】保守的日本人には左翼的・民族主義的・政治的な雰囲気があって敬遠したい衝動にかられる。戦闘的挑発的な歌と曲調に嫌悪感。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
私のお気に入りバンド。 U2の世代は、60年代に生まれ80年代に青春時代をおくった人が該当するだろう。私は高校生時代に「ニュー・イヤーズ・デイ」を聞いてファンになった。この歌はポーランドの労組「連帯」を当時率いていたワレサ委員長に触発されてつくったという。その社会派姿勢がまた惹かれた。ビートルズのルーツの国アイルランドの出身というのも興味を抱く。(余談1)
しかしビートルズと違って
U2は未だメンバー同士の内輪もめや金銭トラブルで解散という話は聞かない。4人は家族ぐるみの付き合いで結束も固いという。これは不思議な感じだ。
外からは見受けられる印象では、イケメンで我の強そうなボーカルの
ボノ、職人肌のギター奏者
エッジ、マイペースでだらしなさそうなベースのアダム、童顔で純情そうなプレスリーファンのドラムのラリー。
ボノがバンドのリーダーで独裁に近い感じで引っ張っているイメージを持つ者もいる。
実際は4人同格の原則で、ギャラも貢献度の多少に関わらず均等分配、またバンドの創始者は一番歳が若そうなドラムスのラリーであり、初期の頃は彼がリーダーとしてバンドを引っ張ってきた。現在も他の3人から頼りにされている。リーダー的なイメージのある
ボノはあくまでグループのフロントマン(窓口)という。
もし
U2が並の売れっ子バンドなら、リードボーカルの
ボノが脱退してソロデビューやらムービースターやら、社会派を意識して政界進出などを行うこともあり得たかもしれない。が、メンバー4人は個々のジャンルで活躍しながらも、音楽のスタイルを変えながらも、一貫して社会派「
U2」であることを続ける。
さて、
U2は1980年頃のレコードデビュー以来、前述したバンドの基本原則こそ変えていないが今日に至るまで音楽のスタイルやファッションスタイルについては大きく変えている。
反骨の欧州の少年といった感じの20歳前後、すっかりワイルドな大人といった感じのアメリカン調の20代後半、シンセポップの前衛の30代、40代は原点回帰か。本作はアメリカ時代にあたる。メンバーはそろそろ30歳を目前に控えた歳頃。
87年の全米横断ツアーのドキュメント構成で、アメリカ各地で展開されるコンサートを追いながら、
U2各メンバーのインタビューなどを織り交ぜている。4人はインタビューでほぼイメージ通りの発言をしているのが特徴。メンフィスでプレスリーの存在を肌で感じて感無量のラリー。アフリカ系ミュージシャンから「パワフルな歌じゃないか」と褒められてはにかむ
ボノ。ロックは政治的主張をすべきでないとの批判にアダムは「馬鹿げたこと」と一蹴。
そしてコンサート中、「サンディ・ブラディ・サンディ」の間奏で
ボノは「ファック!レボリューション!」とぶちあげ、IRA批判を並べる。
汗だくになりながら雄叫びをあげる反骨青年の姿が延々つづく。初期の名曲が収められており、昔からのU2ファンには懐かしい作品であり、当時の生々しいU2の躍動感に共鳴できる仕上がりになっている。
(余談1)ビートルズの4人はイングランド出身だがルーツはアイルランド。リンゴ以外はアイリッシュ移民の子供だったと思う。リバプールの対岸にはアイルランドの首都ダブリンがある。
ビートルズという現象を日本の国内事情に例えてみれば、大阪出身の在日コリアンのバンドが世界的ヒットを飛ばす、そんな感じになるだろう。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作
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私のお気に入りバンド。 U2の世代は、60年代に生まれ80年代に青春時代をおくった人が該当するだろう。私は高校生時代に「ニュー・イヤーズ・デイ」を聞いてファンになった。この歌はポーランドの労組「連帯」を当時率いていたワレサ委員長に触発されてつくったという。その社会派姿勢がまた惹かれた。ビートルズのルーツの国アイルランドの出身というのも興味を抱く。(余談1)
しかしビートルズと違って
U2は未だメンバー同士の内輪もめや金銭トラブルで解散という話は聞かない。4人は家族ぐるみの付き合いで結束も固いという。これは不思議な感じだ。
外からは見受けられる印象では、イケメンで我の強そうなボーカルの
ボノ、職人肌のギター奏者
エッジ、マイペースでだらしなさそうなベースのアダム、童顔で純情そうなプレスリーファンのドラムのラリー。
ボノがバンドのリーダーで独裁に近い感じで引っ張っているイメージを持つ者もいる。
実際は4人同格の原則で、ギャラも貢献度の多少に関わらず均等分配、またバンドの創始者は一番歳が若そうなドラムスのラリーであり、初期の頃は彼がリーダーとしてバンドを引っ張ってきた。現在も他の3人から頼りにされている。リーダー的なイメージのある
ボノはあくまでグループのフロントマン(窓口)という。
もし
U2が並の売れっ子バンドなら、リードボーカルの
ボノが脱退してソロデビューやらムービースターやら、社会派を意識して政界進出などを行うこともあり得たかもしれない。が、メンバー4人は個々のジャンルで活躍しながらも、音楽のスタイルを変えながらも、一貫して社会派「
U2」であることを続ける。
さて、
U2は1980年頃のレコードデビュー以来、前述したバンドの基本原則こそ変えていないが今日に至るまで音楽のスタイルやファッションスタイルについては大きく変えている。
反骨の欧州の少年といった感じの20歳前後、すっかりワイルドな大人といった感じのアメリカン調の20代後半、シンセポップの前衛の30代、40代は原点回帰か。本作はアメリカ時代にあたる。メンバーはそろそろ30歳を目前に控えた歳頃。
87年の全米横断ツアーのドキュメント構成で、アメリカ各地で展開されるコンサートを追いながら、
U2各メンバーのインタビューなどを織り交ぜている。4人はインタビューでほぼイメージ通りの発言をしているのが特徴。メンフィスでプレスリーの存在を肌で感じて感無量のラリー。アフリカ系ミュージシャンから「パワフルな歌じゃないか」と褒められてはにかむ
ボノ。ロックは政治的主張をすべきでないとの批判にアダムは「馬鹿げたこと」と一蹴。
そしてコンサート中、「サンディ・ブラディ・サンディ」の間奏で
ボノは「ファック!レボリューション!」とぶちあげ、IRA批判を並べる。
汗だくになりながら雄叫びをあげる反骨青年の姿が延々つづく。初期の名曲が収められており、昔からのU2ファンには懐かしい作品であり、当時の生々しいU2の躍動感に共鳴できる仕上がりになっている。
(余談1)ビートルズの4人はイングランド出身だがルーツはアイルランド。リンゴ以外はアイリッシュ移民の子供だったと思う。リバプールの対岸にはアイルランドの首都ダブリンがある。
ビートルズという現象を日本の国内事情に例えてみれば、大阪出身の在日コリアンのバンドが世界的ヒットを飛ばす、そんな感じになるだろう。
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☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
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