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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

議員定数削減 近頃の現象[四百九十二] 

民主党 定数削減方針を先送り 
政治改革看板倒れ

 
 民主党は12日、国会議員の定数削減をめぐり、菅直人首相が9月の党代表選公約で掲げた年内の党方針取りまとめを断念する方針を固めた。企業・団体献金の自粛撤回に続き、首相が約束した政治改革の看板倒れとなる。岡田克也幹事長は12日、「代案」となる国会議員の歳費1割削減を政治改革推進本部総会で提示したが、こちらも反発が相次いでまとまらなかった。尖閣諸島問題などでの政権の求心力低下の影響が党運営にも表れ始めた。(毎日新聞)
 
【雑感】菅直人首相の求心力低下、というイメージを周囲に与えてしまうのは避けられない。公約が果たせられなくなったわけだから。
 ただ、議員定数削減は民主党の公約の中で私が賛同できないモノの一つである。反対者としては喜ばしい現象だ。

 何故、定数削減に反対なのか。そんな問いがあれば、私は逆にそもそも適正の定数と何か?と問い返す。定数削減は財政難からのリストラの意味合いがあるのだが、この財政難は簡単には解決できない。というより私の寿命が100歳あったとしても、生きている間は無理だろう。すると削減してもまた削減話が出てくる。極端な実例になってくると、議会無視の専決を繰り返す阿久根市の市長は議会を邪魔な存在と公言しているがそれで良いのか。
 
 元首や首長が全知全能の神様で国民市民は全く文句を言わず納得済みで従う社会であれば、確かに議会は要らない。しかし実際の世の中は単純ではない。様々な利害が入り乱れ連鎖となって循環しているのが人間社会である。そのため1人の権力者が治めるには物理的に不可能、だから民主主義の伝統が無い国でも官僚組織を整備したり、重臣会議を設けて元首に助言するシステムを構成してきた。
 
 さらに現代社会になると私たち庶民だけでなく政治家ですら訳が解らないほどに利害が入り組むようになった。そうなると、それら各々の利害関係を熟知している者や権益の代表が意見する必要に迫られる。何故なら、何かを変えると必ず利害連鎖のバランスが崩れて不利益を被る者が出てきるからだ。
 民主党の高速道路無料化政策が判り易い。明石海峡では無料化政策によって海峡を往復するフェリー(たこフェリー)の会社が潰れた。一つの会社が潰れる現象は日常茶飯事だが、この会社が潰れることでフェリーの運航が停止し地域住民の生活に支障が出てくると、一会社の問題ではなく地域や自治体の死活問題へと発展する。そうなれば、この周辺地域の民主党票田が急激に痩せ細る事になる。
 
 政策を進めるとき、皆が笑って従うのは不可能なので、ある程度の割り切りはやむを得ない。しかしやむを得ないで済ませるには影響が大きい、政権へのダメージが強い、局地的な混乱に留まらず回りまわって全日本や全世界に波及する羽目になれば取り返しがつかない。
 そうならないために行政をチェックする議会が必要なのである。そして議会には似たような考え方の議員だけが集まるのではなく、様々な考え方や価値観の人間が集まったほうが無数の問題に対処しやすい。
 
 ところが定数を削減してしまったらどうなるか。極端な話、さきほどの「たこフェリー」を例にとって言えば、明石海峡周辺に限定した選挙区から出た議員なら地元ゆえこの問題についての情報が大量に入るが、仮に大幅削減になって京阪神地域で2・3人になってしまったら、有権者の多い大阪の人間ばかりが当選したり、明石や淡路の人間が当選しても人口の多い大阪の問題に振り回されて明石海峡には手が回らなくなってくる。大阪の有権者の大きな怒号に明石海峡の声が掻き消されるのだ。
 
 複雑な現代社会であれば、定数削減よりも定数増員のほうが理に適っている。
  
 こんな事を主張すると、ある人はアメリカ議会を例にとって「日本は議員が多すぎる」と反論するだろう。アメリカは日本の倍以上の人口を抱え、様々な民族や宗教や思想が入り乱れているのに議員数は日本の3分の2程度だ。
 しかしそれは大きな勘違いである。たしかにアメリカの議会は日本より議員は少ないが、議員1人につけるスタッフは多い。また政治活動とそうでない活動との線引きは厳格(たとえば公設秘書は選挙に関われない。選挙は政治ではなく就活)ゆえ、一般報酬は低く抑えられている。
 日本では国家公務員の待遇で賃金をもらう秘書は公設秘書・政策秘書あわせてたった3名だ。3名で森羅万象の利害連鎖と格闘する議員を補助しているのだ。とても3名では仕事が回らないので、各々は私設秘書を雇う。あるいはボランティアとして支持者が事務処理を手伝う。まともに政治をやっていたら公費だけでは難しいので報酬も使う。生真面目な野党議員はジリ貧になる。

 現行のシステムのままで議員定数を削減したら、真っ先に犠牲になるのは社会的少数者や弱者だ。「所詮は淘汰される存在」と嘯く者もいるだろうが、社会問題というのは過去の歴史を見ても判るように、社会的少数者や弱者の犠牲だけに留まらない。必ず市井全域に副作用が広がる。
 産科医療の弱体化を見よ。医師の利益になると思ってインターン制度などを廃止しシステムを変えた。最初は地方の病院が医師不足で閉鎖、次に地方だけの問題に留まらず訴訟リスクが高い産婦人科医が不足して大都市でも参加医療が弱体、出産の問題はもはや社会的少数者や弱者の問題ではない。国民全員の死活問題であり、国家存亡にもつながる。
 

 
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[ 2010/11/13 12:20 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(2)
こんにちは。最近の政治改革に関して、コンパクトにまとまり、経済的な裏づけもしっかりしていて、著者の主張もはっきりなされている書籍にいきあたりました。これは、私がツイッター上でお付き合いさせていただいている方の著書です。それが、「政治家がなくなる日」です。最新の状況を手早く知るために、かなり有用な書籍であると思います。私のブログでは、この書籍に対する書評、ならびに、なぜ今政治改革が必要なのか、その歴史的背景やその必然性について、論評しました、詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
[ 2010/11/19 11:18 ] [ 編集 ]
yutakarlson氏へ
 
 著者は経済のプロのようですね。しかも若くて働き盛り。私も政治運動をやった事がありますが、ビラを受け取ってくれる方は還暦過ぎばかりです。背広を着た20代から50代が最もビラを受け取ってくれない世代です。著者はまさに政治には係わり合いをもちたがらない世代の代表ともいうべき年齢ですから、興味深いですね。
[ 2010/11/19 17:57 ] [ 編集 ]
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