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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「龍馬伝」(22) TVドラマ評[三十三] 

龍馬伝」を振り返って。
 
101105_1449~福山龍馬.jpg
郷里のスーパーに貼られてある福山龍馬のポスター。すっかり色褪せている。
  
【雑感】明日が最終回なので振り返るのはまだ早いが、最終回を観たくない気持ちが強いので、いま振り返りたい。
 なんだか、お祭りがいよいよ終わってしまう、そんな寂しさに似ている。
 
 歴代の大河ドラマの中で最も「青春」を体感できた作品に仕上がっていると思う。大半の大河ドラマは歴史上の「偉人」の一代記なので、幼少から老年までを描く。人の一生を一年で描くのでけっこう駆け足だ。おまけに戦国時代や源平合戦を舞台にした「時代劇」が圧倒的多数なので、自分の日常からかけ離れた世界のフィクションを観ているような感覚だ。
 
 実際、フィクションが占めるウエートは大きい。その証拠に、作品によって登場人物の性格や素行が著しく違うのである。例えば徳川家康だ。概ね家康は狡猾な狸親父に描かれる事が多いが、家康が主人公の滝田栄氏主演「徳川家康」では思わず「はぁ?!」と顔を顰めてしまうほど善人、というより馬鹿である。こんな家康だったら、300年近く続いた幕藩体制なぞ築けなかったろうと思うくらい正直者の善良な小市民なのである。
 大抵の場合、大河ドラマで主人公になると善良な小市民に成り下がる。おそらく世間一般の視聴者が納得する主人公像に無理やりハメ込んでしまう事から生じる不自然さなのだろう。実際はかなり残酷なことをやっているのに、それを脚色で隠している様が私にはムカつく事である。ところが「龍馬伝」はむしろ等身大に近い。
 
 「龍馬伝」もフィクションのウエートが大きいドラマである。リアル描写に惑わされフィクションを史実と勘違いしている人が多いが、前にも述べたように龍馬と弥太郎が幼馴染というのは架空であるし、そもそも龍馬の実家と弥太郎の実家は近所ではない。徒歩で1泊旅行するくらい距離があるので気軽に往来できる間柄ではないのだ。
 しかしこの「脚色」は視聴者に物語世界をわかりやすくするために改編した設定で、坂本龍馬という人物を変に無個性の「良い人」に作り変える事は少ない。むしろ他作品のように己の先進性をひけらかす様なくどさはない。福山龍馬は「偉人」というより現代人の等身大に近い青年像にしていた。
 

 龍馬の魅力、挫折の連続の中でも失わない活力だろうか。自ら選んだとはいえ脱藩浪士の立場は過酷だ。やっと見つけた海軍操練所という居所もまもなく失う。亀山社中では金策に苦慮し同志の切腹もあった。せっかく手に入れた船も沈没してしまう。それでも必ず活路を見つけ出し切り開いていく。
 司馬遼太郎氏の「竜馬」は高度経済成長期の楽天的なプラス思考にマッチした人物像だったが、「龍馬伝」の福山龍馬は一見すると暗く希望の無い閉塞の時代にもがく青年像、むしろ何かが変わっていく気配を肌で感じる現代にマッチしている。
 
 大政奉還を成し遂げて明るい明日の手応えを体感しているような福山龍馬と海援隊の仲間たち、久しぶりに再開した恩師の勝海舟、明日の最終回を思うと泣きそうになる。薩摩も長州も幕府も、大政奉還の舞台裏で暗躍する龍馬の存在を本気で排除しようと思案しているところで最終回への布石となる、上手い演出だ。
 
 さて、龍馬役を好演した福山雅治氏よ、しばらくは髪を切らないで、長いままでいてほしい。  


 
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