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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「山猫」 美術鑑賞的映画〔2〕 

山猫」 ヨーロッパ美術を体感する映画
 

 
【公開年】1963年  【制作国】伊太利 仏蘭西  【時間】161分  
【監督】ルキノ・ヴィスコンティ
【原作】ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ
【音楽】ニーノ・ロータ
【出演】バート・ランカスター(サリーナ公爵)  アラン・ドロン(タンクレディ)  クラウディア・カルディナーレ(アンジェリカ)  リナ・モレリ(-)  パオロ・ストッパ(-)  ジュリアーノ・ジェンマ(-)  オッタヴィア・ピッコロ(-)  ピエール・クレマンティ(-)  ロモロ・ヴァリ(-)  セルジュ・レジアニ(-)  イヴォ・ガラーニ(-)  アイダ・ガリ(-)  マリオ・ジロッティ(-)     
 
【成分】ゴージャス ロマンチック 切ない 知的 没落貴族 イタリア 19世紀中頃
   
【特徴】ランペドゥーサが老境になって発表した処女小説をルキノ・ヴィスコンティ監督が映画化。若きアラン・ドロンが出演。佳境の舞踏会は西洋絵画のようで美しい。没落していく公爵家と台頭する市民階級出身の若きレディが対比されて美しい。
 
【効能】ヨーロッパ美術そのものの映画。ゴージャスな気分に浸れる。
 
【副作用】ハリウッド映画に慣れている人には、退屈でダラダラ長い映画。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
あるシチリア貴族の日記
 
 ある映画サイトのレビューでは、退屈とか緩慢とか伸ばしすぎる旨の批判が見受けられる。たぶん、それは原作を読まずに映画を観たのが原因だろう。
 
 原作者のランペドゥーサはイタリア文学で必ず紹介されるほどの作家である。公爵の家柄で、「山猫」を執筆したのは晩年、しかもそれが処女作である。自身の体験や一族の歴史などを元にしたフィクションだけに、まるで実際の日記のように淡々と没落していく貴族と台頭する市民との対比が描写されている。(余談1)
 19世紀中ごろのイタリアを楽しみたい人には面白いかもしれない。「ゴットファーザー」とは違うシチリアが観られる。私は歴史に興味があるので退屈はしなかった。
 
 ヴィスコンティ監督も元は伯爵の家柄、没落貴族や退廃世界を描かせたら右に出るものは居ない。「山猫」はヴィスコンティ監督のための素材といっても言い過ぎではないだろう。

 言うまでもないことだが、原作と映画は別物と見なさなければならない。この作品も例外ではなく、映画としてのメリハリをつけるため些か脚色が過ぎるきらいはある。ただ19世紀のイタリアの様子はよく再現されているし、特に有名な舞踏会の場面は圧巻である。監督の徹底したこだわりでライト照明なしで撮影した。(余談2)
 
 現在であれば、フィルム感度も良くなっているしデジタル補正も容易にできるので、正味の自然光だけでも撮れるかもしれない。しかし当時のフィルムでは蝋燭の灯りを大量追加して光度をあげざるを得ないので、演じている正装姿の俳優たちはさぞや蒸し暑かっただろう。作中にもそれが窺われる。舞踏会で重苦しく暑苦しく着飾った多勢の貴婦人たちが全員せわしく扇を動かしているのに注目してほしい。涼しげに演技する主役たちは1ショットごとに汗を拭きメイクをなおしていたのではないかと想像してしまう。
 
 没落していく公爵のファブリッツォ役にバート・ランカスター氏、散財しながらも積極的に時流に乗ろうと動き回る若き甥タンクレディにアラン・ドロン氏、台頭する市民階層の美女アンジェリカにクラウディア・カルディナーレ氏、適切なキャスティングである。
 
 語弊を恐れずにいえば、映画を楽しむというよりも、美術を楽しむ感覚で観たほうが良いだろう。それから、この作品の場合はイタリア史と原作を予習しておくべきかもしれない。
  
(余談1)今はどうか知らないが、象徴する場面であるバート・ランカスター氏とクラウディア氏の2人が踊る1ショットが文庫本の表紙になっていた。

(余談2)最初観たのは英語版だった。ここまでこだわっておきながら何で英語なんや、と憤慨したが、イタリア語版が発売されている?そうだ。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 
晴雨堂関連作品案内
ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター [DVD] ルキノ・ヴィスコンティ
ベニスに死す [DVD] ルキノ・ビスコンティ
 
晴雨堂関連書籍案内
山猫 (河出文庫) ランペドゥーサ
山猫 (岩波文庫) トマージ・ディ ・ランペドゥーサ
私が学生だった頃は、もっぱら河出文庫版が有名だったが、岩波文庫からも新たな翻訳本が出た。微妙なニュアンスの違いを楽しむのも一興。
 

 
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映像の世界遺産とも呼べるイタリアの至宝。巨匠ルキーノ・ヴィスコンティの最高傑作にして、絢爛豪華なる一大ページェントが、イタリアが国を挙げて完全復元したマスター・プリントにて蘇る。 伊・シシリー島(シチリア島)のジュゼッペ・ディ・ランペドゥーサの小説The Le...
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