「ザ・コーヴ」
ハリウッドで賞賛され、
日本で上映反対運動が起こった問題作。 【原題】THE COVE
【公開年】2009年
【制作国】亜米利加
【時間】91分
【監督】ルイ・シホヨス 【原作】 【音楽】J・ラルフ
【脚本】マーク・モンロー
【出演】リック・オバリー(本人)
ルイ・シホヨス(本人)
【成分】パニック 不気味 イルカ問題 捕鯨問題 環境保護 似非エコロジスト エコテロリスト
太地町 【特徴】イルカ漁を野蛮で非人道的行為と決め付け、最初から否定する立場で撮影・編集した映像作品。
ドキュメントという事になっているが、ナレーションには事実関係から逸脱した内容がある。制作者は明らかに偏見で目が目が眩み事実解釈に問題がある。事情を知らない?ハリウッドでは高く評価。おかげで全世界に「ドキュメント作品」として紹介、しかし
その実体は良くできた運動の宣伝ビデオに過ぎない。 晴雨堂が選ぶ
2010年度日本公開最低最悪映画に認定。
【効能】環境問題についての関心が高まる。環境保護運動の宣伝に効果あり。
【副作用】環境保護について否定的な偏見が生じる。環境保護運動にとって大きなマイナス。
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。
これはドキュメントではない。騙されるな! 「映画作品」として見た場合、そこそこ面白い内容だった。構成力と尾鰭の付け方は巧い。だからアメリカ世論は騙されて支持してしまったのだろう。欧州のジャーナリストたちは首を傾げたらしいが。
今年、日本でも公開された「第9地区」のようにドキュメント形式を取り入れたフィクションならまだ許せるが、明確にドキュメントというジャンルとしてドキュメント部門で賞をとっている以上、構成と演出で主観を強調するところまではセーフだが「事実」から逸脱する事はアウトである。
たとえば「重大な秘密」などと、あからさまに
太地町が違法行為を秘密裏に行う犯罪者集団であると誤解されるような紹介は名誉毀損の疑いを持ってしまう。イルカ漁は秘密でも何でもない。
また、大半の日本人も知らないので鵜呑みにされる危険があるが、私は南紀に住んでいた事があるのでイルカ肉が普通の魚屋で素直に「イルカ肉」として売られているのを知っている。イルカ肉を鯨肉と偽る理由自体が無い。同級生たちはイルカ肉を食べて育った。
もちろん、水銀問題は日本側の調査でも確認されている。イルカ肉を子供に食べさせる事に反対している市民がいるのは事実だ。これはイルカ漁が野蛮であるか否かの問題とは全く別の次元で議論するべき問題だ。(余談1)それを水銀の問題と一緒くたにイルカ漁がまるで非人道的な行為であるかのように批難するので争点がぼやけるのだ。ゆえに水銀問題は「イルカ可哀相」でイルカ漁に反対する幼稚な姿勢を隠す狙いで持ち出しているように勘繰れる。
イルカ漁の現場で涙する撮影クルーの姿、私も鳥や豚の屠殺を見た事があるが惨いものだ。腹を裂いて内臓を引きずり出すなんて子供心に野蛮で残酷と思ったが、だからといってフライドチキンやソーセージを食べる事は止めない。その程度の問題を、さも大量虐殺をやっているかのように演出する姑息で卑怯卑劣な狡猾さは素晴らしい。
さて、本気で環境問題を考えたら、私は全ての肉食を止めるべきだと思っている。肉にする家畜を育てるのにどれだけ飼料コストがかかっているか。牧場が増えることによって酸素を供給する貴重な森林資源が消えているのも事実であるし深刻だ。それに比べれば、
太地町の
入り江の問題など瑣末である。
本来の環境保護運動は地味で地道、それでもって劇的な成果はなかなか得られない。その点、鯨イルカ問題なら漁に反対するだけで欧米世論に「我々は頑張っている」と華々しくアピールできる。
環境問題の本質は全く手付かずで成果無しでも、日本の捕鯨船にモノを投げただけで「英雄」になれ、出資者は増えるし米豪の国論も動かせる。運動の宣伝として考えたら実に美味しい。 太地町は、その宣伝のダシにされたのだ。
太地町民も、本作に異議があるのなら、名誉毀損で制作者を訴えるとか、あるいは反論の映画をつくるなり、本格的に動くべきだ。自治体をあげて動けば映画の一本くらいできるはず。ただの抗議では制作者の主張に説得力を持たせる事になる。
太地町よ! もっと怒れ! (余談1)ただ、日本子孫基金の資料を見れば、流通されている食品で汚染されていないモノを探すほうが至難の業だ。ある消費者団体に言わせれば、スーパーの安売り食材は全てレッドカード。
あるバーテンダーから聞いた話では、1975年を境にワインの値段が変化している。もちろん以前のワインが高い。それと1986年も節目だ。この年はチェルノブイリ原発事故が起こっている。既に全地球で水が汚染されているので、もはや逃れられない。もちろん、少しでも汚染が少ないモノを選ぶ事はできるが。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
駄作以前の問題である。作品としての価値は認めない。 【受賞】アカデミー賞(ドキュメンタリー長編賞)(2009年) LA批評家協会賞(ドキュメンタリー賞)(2009年)
晴雨堂関連作品案内いのちの食べかた [DVD] ニコラウス・ゲイハルター
晴雨堂関連書籍案内鯨捕りよ、語れ! C.W. ニコル
シー・シェパードの正体 (扶桑社新書) 佐々木正明
エコ・テロリズム―過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ (新書y) 浜野喬士
ここまでわかったイルカとクジラ (ブルーバックス) 村山司
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これはドキュメントではない。騙されるな! 「映画作品」として見た場合、そこそこ面白い内容だった。構成力と尾鰭の付け方は巧い。だからアメリカ世論は騙されて支持してしまったのだろう。欧州のジャーナリストたちは首を傾げたらしいが。
今年、日本でも公開された「第9地区」のようにドキュメント形式を取り入れたフィクションならまだ許せるが、明確にドキュメントというジャンルとしてドキュメント部門で賞をとっている以上、構成と演出で主観を強調するところまではセーフだが「事実」から逸脱する事はアウトである。
たとえば「重大な秘密」などと、あからさまに
太地町が違法行為を秘密裏に行う犯罪者集団であると誤解されるような紹介は名誉毀損の疑いを持ってしまう。イルカ漁は秘密でも何でもない。
また、大半の日本人も知らないので鵜呑みにされる危険があるが、私は南紀に住んでいた事があるのでイルカ肉が普通の魚屋で素直に「イルカ肉」として売られているのを知っている。イルカ肉を鯨肉と偽る理由自体が無い。同級生たちはイルカ肉を食べて育った。
もちろん、水銀問題は日本側の調査でも確認されている。イルカ肉を子供に食べさせる事に反対している市民がいるのは事実だ。これはイルカ漁が野蛮であるか否かの問題とは全く別の次元で議論するべき問題だ。(余談1)それを水銀の問題と一緒くたにイルカ漁がまるで非人道的な行為であるかのように批難するので争点がぼやけるのだ。ゆえに水銀問題は「イルカ可哀相」でイルカ漁に反対する幼稚な姿勢を隠す狙いで持ち出しているように勘繰れる。
イルカ漁の現場で涙する撮影クルーの姿、私も鳥や豚の屠殺を見た事があるが惨いものだ。腹を裂いて内臓を引きずり出すなんて子供心に野蛮で残酷と思ったが、だからといってフライドチキンやソーセージを食べる事は止めない。その程度の問題を、さも大量虐殺をやっているかのように演出する姑息で卑怯卑劣な狡猾さは素晴らしい。
さて、本気で環境問題を考えたら、私は全ての肉食を止めるべきだと思っている。肉にする家畜を育てるのにどれだけ飼料コストがかかっているか。牧場が増えることによって酸素を供給する貴重な森林資源が消えているのも事実であるし深刻だ。それに比べれば、
太地町の
入り江の問題など瑣末である。
本来の環境保護運動は地味で地道、それでもって劇的な成果はなかなか得られない。その点、鯨イルカ問題なら漁に反対するだけで欧米世論に「我々は頑張っている」と華々しくアピールできる。
環境問題の本質は全く手付かずで成果無しでも、日本の捕鯨船にモノを投げただけで「英雄」になれ、出資者は増えるし米豪の国論も動かせる。運動の宣伝として考えたら実に美味しい。 太地町は、その宣伝のダシにされたのだ。
太地町民も、本作に異議があるのなら、名誉毀損で制作者を訴えるとか、あるいは反論の映画をつくるなり、本格的に動くべきだ。自治体をあげて動けば映画の一本くらいできるはず。ただの抗議では制作者の主張に説得力を持たせる事になる。
太地町よ! もっと怒れ! (余談1)ただ、日本子孫基金の資料を見れば、流通されている食品で汚染されていないモノを探すほうが至難の業だ。ある消費者団体に言わせれば、スーパーの安売り食材は全てレッドカード。
あるバーテンダーから聞いた話では、1975年を境にワインの値段が変化している。もちろん以前のワインが高い。それと1986年も節目だ。この年はチェルノブイリ原発事故が起こっている。既に全地球で水が汚染されているので、もはや逃れられない。もちろん、少しでも汚染が少ないモノを選ぶ事はできるが。
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
晴雨堂マニアック評価
駄作以前の問題である。作品としての価値は認めない。 【受賞】アカデミー賞(ドキュメンタリー長編賞)(2009年) LA批評家協会賞(ドキュメンタリー賞)(2009年)
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