ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ちょんまげぷりん」 家族と一緒に考えよう 

ちょんまげぷりん」 
今どきの家庭へ問題提起した佳作!?


 

【原題】
【公開年】2010年  【制作国】日本国  【時間】108分  【監督】中村義洋
【原作】荒木源
【音楽】安川午朗
【脚本】中村義洋
【言語】日本語
【出演】錦戸亮(木島安兵衛)  ともさかりえ(遊佐ひろ子)  今野浩喜(田中くん)  佐藤仁美(千石佳恵)  鈴木福(遊佐友也)  忽那汐里(時翔庵の娘)  堀部圭亮(上司・城崎)  中村有志(司会者)  井上順(殿間知治)

【成分】笑える 楽しい ファンタジー ロマンチック 不思議 勇敢 切ない かっこいい コミカル 侍 シングルマザー タイムスリップ 文政時代

【特徴】現代人が過去へタイムスリップする事が多いパターンで、本作は1820年代の若い侍が現代にタイムスリップをして騒動を起こす。
 錦戸亮氏の大人びた侍ぶり、ともさかりえ氏の今どきシングルマザーぶり、子役の鈴木福君の今どきの幼児ぷりは巧い。
 現代の家庭のあり方に一石を投ずる問題作?!。

【効能】観た後、清々しい気持ちにさせてくれる。生活習慣を改めるキッカケになる。家族の絆を考えるキッカケになる。プリンが食べたくなる。

【副作用】現実にありえず感情移入できない。登場人物をステレオタイプに描き過ぎるのが鼻につく。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
タイムスリップ物の佳作。

 大袈裟なレビュータイトルだが、本作を一言で評すれば、少女漫画にありそうな癒し系ラブコメディである。錦戸亮氏の実年齢より老成したサムライぶり、ともさかりえ氏の年齢にあった今どきのシングルマザーぶり、そして名演技を見せた幼い息子を演じる子役。
 映画館で観にいくほどの作品には思えなかったが、コメディと社会風刺がバランス良く構成された小品と思う。(余談1)

 タイムスリップをネタにした作品は無数にある。どちらかといえば現代人が過去へジャンプするパターンが多く、不慣れな過去の世界を現代科学の知識と装備で乗り越えるのが定番だ。ところが、今回は文政時代(主に1820年代)の生真面目な若い旗本が神隠しにあい、平成の世に迷い込む。
 進んだ文明の現代人が遅れた文明の過去へ移動するパターンと違い、江戸時代の人間が現代に紛れ込むことによって、現代社会の常識や常態への問題提起がテーマとなる。また、それが狙いだからこそ、文政の青年が平成にやってきたのだ。(余談2)

 途方にくれた旗本安兵衛は、たまたま出会ったシングルマザーの母子に助けを求めて居候することになり、生真面目に家事手伝いをやるうちに洋菓子作りが得意となり人気パテシエへとなっていく。(余談3)
 主人公は如何にも現代人が連想する典型的な侍、ヒロインは典型的な今どきのキャリアウーマンのシングルマザー、その息子も今どきの幼稚園児だ。侍とシングルマザーの文化対立が本作の機軸になる。

 最初こそ文政の若侍安兵衛は現代社会では異物のような浮いた存在でヒロインにとって厄介者だったのだが、やがて安兵衛の強い影響力で生活が一変する。
 育児と仕事で多忙ゆえ、部屋は散らかり、食事は冷凍食品やレトルトばかり。ところが安兵衛が家事全般を務めることを条件に居候してから、部屋は片付き、毎食正統な和食、泣き虫我がままな手のかかる息子はモロに安兵衛の影響を受け、家事の手伝いをやるようになる。

 生活にゆとりが生まれたおかげでヒロインの仕事は順調、上司から部署のリーダーを任され、扱いづらいオタクの後輩はヒロインの忠実なシンパとなる。
 ところがふとしたことで、安兵衛はケーキコンテストに優勝、審査員の著名なパテシエからスカウト、ヒロインは安兵衛の成功を心から喜び、「奥向き(家事)が疎かになる」といって断ろうとする安兵衛の背中を押す。
 安兵衛の仕事も順調、短期間に主任へ昇格。ところが家を空けることが多くなった安兵衛に、懐いている息子がぐずりだす。かつて、別れた夫は仕事に理解があったのに子供が生まれてから家事と育児をメインにするよう迫ったのと同じ事をヒロインは安兵衛に対して要求してしまう。

 物語の出だしは現代社会からズレた安兵衛の感覚が笑いを引き出していたが、佳境になるにしたがって安兵衛の感覚こそマトモで、心の余裕のない現代人の疲弊が強調されているように感じた。

 ラスト、定番のオチなら安兵衛との別れが突然おとずれ、後日にヒロイン母子がたまたま入った老舗の和菓子屋に安兵衛と瓜二つの安兵衛の子孫に出会い、新たなロマンスへ発展しそうなところで終わりとなるが、本作ではそんなバタ臭い終わり方ではなく爽やかな余韻を残してあっさりエンドとなった。
 感じの良い映画である。

(余談1)本作は連れ合いと一緒に観に行ったのだが、予定ではジブリの新作アニメを観に行くはずだった。ところが、連れ合いが突然「ちょんまげぷりん」などと言い出すので、高島屋あたりで変り種スイーツの販売でもあるのかな?と思っていた。錦戸亮氏にハマっていたとは。
 私も「ともさかりえ」目当てで、と言いたいところだが、彼女に興味はない。

(余談2)現代に出現したばかりの安兵衛が無表情で立ち尽くしている場面、変に大袈裟なリアクションをしないところがグッド。実際にパニックになって思考停止状態になれば、ただ呆気にとられて立ち尽くすしかない。
  街を彷徨う場面もグッド。髷がボサボサになっていくのはリアルだ。髷は手入れをしないとたちまち落武者の様になってしまう。

 安兵衛がヒロインに飯代として財布から一朱銀のような貨幣を渡そうとする場面がある。DVDが出たら確認してみたい。印象では文政より後の時代に流通した貨幣のように見える。時代考証はきっと正確にやっているはずだろうから、気のせいかもしれないが。

(余談3)江戸時代の侍が現代社会に順応するのが早過ぎる、と疑問を呈する人がいるが、私は不自然ではないと思っている。
 幕末明治維新に欧米へ留学した侍たちも主人公安兵衛に近いカルチャーショックを受けたはずだ。機関車が走っている欧州へ行くことは、一種のタイムスリップである。何しろ機関車のスピードなら江戸から大阪まで僅か1日で行ける、この1点だけでも50年くらいのタイムスリップだ。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良

晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作
 


 
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