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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「アンナと王様」 カップルで癒されたい時に〔5〕 

アンナと王様」 予想外の佳作



【原題】ANNA AND THE KING
【公開年】1999年  【制作国】亜米利加  【時間】147分  
【監督】アンディ・テナント
【原作】アンナ・レオノーウェンズ
【音楽】ジョージ・フェントン
【脚本】スティーヴ・ミーアソン ピーター・クリクス
【言語】イングランド語 一部タイ語
【出演】ジョディ・フォスター(アンナ)  周潤發(モンクット王)  白靈(タプティム)  トム・フェルトン(ルイ )  シード・アルウィ(The Kralahome)  ランダル・ダク・キム(アラク将軍)  リム・ケイ・シュウ(-)  メリッサ・キャンベル(-)  キース・チン(-)    

【成分】スペクタクル ゴージャス ロマンチック 勇敢 知的 切ない かっこいい タイ 19世紀中頃

【特徴】ユル・ブリンナー氏とデボラ・カー氏の名作「王様と私」のリメイク。ハリウッドの映画は伝統的にアジア蔑視が目立つ。「王様と私」もタイ国を知らなかったらラブコメの傑作なのだが、非常に残念である。
 本作はアジア諸国の経済発展と欧米人の民族差別が是正されてきたのか、時代考証・風俗考証の正確さに努めようと配慮したあとがある。また、女性解放の価値観も浸透してきたこともあって、デボラ・カー氏のアンナは良妻賢母型婦人だったが、今回のジョディ・フォスター氏のアンナはやや19世紀の女性らしからぬキャリアウーマン風に描かれている。

【効能】ゴージャスでプラトニックな大人の恋にウットリするだろう。

【副作用】アンナのアジア文化軽視による内政干渉に不快感をもよおす。

下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
王様と私」の適切なリメイク

 主演の周潤發氏(チョウ・ユンファ)は、私にはヤクザ映画のイメージが強かったので、タイ国王への化けぶりに興味があった。観てみるとさすが役者である。俳優として当たり前のことなのだが、日本のスター俳優はどの役やらしても同じという人が少なくない。中村獅童氏の芸達者が評判だが、海外ではそんなスター俳優はゴロゴロいるのである。(余談1)

 ユル・ブリンナー氏とデボラ・カー氏共演の名作「王様と私」の適切なリメイクである。「適切」と評価したのは、全く同じ色合いの作品にはできないからだ。「王様と私」は作品としてはデキは良いが、至るところにアジアへの蔑視や無知が散りばめられており、しかも明確にタイ国が舞台となっている。タイを知らない人間には面白くても、特にタイでは失笑と怒りをかう作品だ。(余談2)
 当時の欧米に比べて若干はアジアへの認識が深まっている現在では、この期に及んで同じ作品は創れない。だが、東洋系コーカソイドのユル・ブリンナー氏よりは適切な俳優とはいえ、王様役はタイの俳優ではなく中国人だ。

 元ネタが19世紀中ごろに英語教師として招かれた実在のイギリス女性の手記だが、当時のイギリス人は今以上に露骨なアジア蔑視があり、この人物も例外ではない。さらに20世紀中ごろに単なる英語教師でしかなかったアンナを脚色して面白おかしく「ラブコメディ」(余談3)ミュージカルにされた。
 だから今回のリメイクでは、アジア蔑視につながる描写は削除しなければならないし、19世紀のタイ国をできる限り忠実に再現しなければならない。前作と同じような単純な構成ではなく、当時のタイ社会を反映するリアルなストーリーでなくてはならない。台詞も英語よりもタイ語の配分を増やさねばならない。しかし国王とアンナとのラブロマンスと葛藤と価値観の対立は物語の根幹であるため省くのは不可能だ。
 そういう意味では、大変な努力の跡が見られる佳作だった。しかしタイは納得しないだろう。

(余談1)公開当時、ある情報蕃組で「周潤發ジョディ・フォスターと堂々とひけをとらない演技をした」という旨のコメントがあった。とんでもない文である。ジョディ・フォスター氏は確かに名優だが、だから何なんだ。周潤發氏も演技派の名優であり、「亜州影帝(アジア映画の帝王)」と呼ばれたほどの人物だ。
 アメリカの番組がそんな表現するのなら解るが、なんで日本の番組がハリウッド中心で評価するのか? 日本映画界はハリウッドの植民地か?!

 「王様と私」のデボラ・カー氏のアンナは、清楚で生真面目で可愛らしい役柄だった。ジョディ・フォスター氏のアンナは教師としての使命感に燃えるキャリアウーマン的役柄だ。

(余談2)たとえば極端な話、即位したばかりの明治天皇に白人美少女の英語教師がついて、「優れた」西洋文化を吹き込み朝廷改革をするよう唆し、2人揃って西洋の軍服を着て幕府に戦を仕掛ける内容だったら、宮内庁は正式に非難声明を出し、右翼はアメリカ大使館を襲撃するだろう。
 さらに、「パールハーバー」以上に日本人の所作が無茶苦茶で衣装設定もデタラメだったら、喧嘩をうっているとしか思えない。

(余談3)ファンには申し訳ないが、私にはよくできたラブコメにしか見えない。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作


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アンナと王様 (竹書房文庫) エリザベス・ハンド
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