晴雨堂の耕晴雨読な映画処方箋
 晴雨堂ミカエルの飄々とした耕晴雨読な映画処方箋。  体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。

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晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 映画好き・猫好き・ドイツビール好きです。よく晴れた爽やかな日はマウンテンバイクでサイクリングをしながら風景や野良猫を撮影します。
 リタイア後は田舎に帰り、晴天は畑仕事や庭いじり、雨天は読書や映画鑑賞の文字通り耕晴雨読の日々をおくるのが夢です。
 お金があれば郷里に「晴雨堂オタク記念館」を設立して地元の文化交流の発信基地にしたい、連れ合いは怒るだろうが。館長に任命してやるといったら言下に断られた。
 
 ブログを始めたのは2007年5月から、本格的に参考書に目を通しながら運営を始めたのは同年11月から、操作方法で度々ミスがあると思いますがご容赦のほど願います。
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2007年10月29日設置

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晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
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「アンナと王様」-カップルで観に行こう 13
【2008/01/28 18:40】 映画・・カップルで観に行こう
予想外の佳作だが・・。
 
 

 
 主演の周潤發氏(チョウ=ユンファ)は、私にはヤクザ映画のイメージが強かったので、タイ国王への化けぶりに興味があった。観てみるとさすが役者である。俳優として当たり前のことなのだが、日本のスター俳優はどの役やらしても同じという人が少なくない。中村獅童氏の芸達者が評判だが、海外ではそんなスター俳優はゴロゴロいるのである。(余談1)
 
 ユル=ブリンナー氏とデボラ=カー氏共演の名作「王様と私」の適切なリメイクである。「適切」と評価したのは、全く同じ色合いの作品にはできないからだ。「王様と私」は作品としてはデキは良いが、至るところにアジアへの蔑視や無知が散りばめられており、しかも明確にタイ国が舞台となっている。タイを知らない人間には面白くても、特にタイでは失笑と怒りをかう作品だ。(余談2)
 当時の欧米に比べて若干はアジアへの認識が深まっている現在では、この期に及んで同じ作品は創れない。だが、東洋系コーカソイドのユル=ブリンナー氏よりは適切な俳優とはいえ、王様役はタイの俳優ではなく中国人だ。
 
 元ネタが19世紀中ごろに英語教師として招かれた実在のイギリス女性の手記だが、当時のイギリス人は今以上に露骨なアジア蔑視があり、この人物も例外ではない。さらに20世紀中ごろに単なる英語教師でしかなかったアンナを脚色して面白おかしく「ラブコメディ」(余談3)ミュージカルにされた。
 だから今回のリメイクでは、アジア蔑視につながる描写は削除しなければならないし、19世紀のタイ国をできる限り忠実に再現しなければならない。前作と同じような単純な構成ではなく、当時のタイ社会を反映するリアルなストーリーでなくてはならない。台詞も英語よりもタイ語の配分を増やさねばならない。しかし国王とアンナとのラブロマンスと葛藤と価値観の対立は物語の根幹であるため省くのは不可能だ。
 そういう意味では、大変な努力の跡が見られる佳作だった。しかしタイは納得しないだろう。
  
(余談1)公開当時、映画雑誌などの評論では「周潤發はジョディ=フォスターと堂々とひけをとらない演技をした」という旨の文が載っていた。とんでもない文である。ジョディ=フォスター氏は確かに名優だが、だから何なんだ。周潤發氏も演技派の名優であり、「亜州影帝(アジア映画の帝王)」と呼ばれたほどの人物だ。
 アメリカの雑誌がそんな表現するのなら解るが、なんで日本の雑誌がハリウッド中心で評価するのか? 日本映画界はハリウッドの植民地か?!
 
 「王様と私」のデボラ=カー氏のアンナは、清楚で生真面目で可愛らしい役柄だった。ジョディ=フォスター氏のアンナは教師としての使命感に燃えるキャリアウーマン的役柄だ。
 
(余談2)たとえば極端な話、即位したばかりの明治天皇に白人美少女の英語教師がついて、「優れた」西洋文化を吹き込み朝廷改革をするよう唆し、2人揃って西洋の軍服を着て幕府に戦を仕掛ける内容だったら、宮内庁は正式に非難声明を出し、右翼はアメリカ大使館を襲撃するだろう。
 さらに、「パールハーバー」以上に日本人の所作が無茶苦茶で衣装設定もデタラメだったら、喧嘩をうっているとしか思えない。
 
(余談3)ファンには申し訳ないが、私にはよくできたラブコメにしか見えない。
 
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