ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

表現の自由とは(16) 近頃の現象[五百四十六] 

児童ポルノ所持を禁止 
京都府、廃棄命令条例化へ


 京都府が制定を目指す児童ポルノ規制条例で、学識者らでつくる府の検討会議(座長・土井真一京都大大学院教授)は31日、児童ポルノ禁止法では規制されていない写真や映像の単純所持や取得を禁止し、廃棄命令や罰則を盛り込むとの方向で意見をまとめた。府は意見に沿い廃棄命令を条例案に盛り込む方針で、成立すれば全国初となる。(京都新聞)
 
【雑感】子供を性犯罪から守るため、という目的や趣旨には賛同するし理解はしている。
 
 しかし何度もいうように、「児童」「ポルノ」というカテゴリーがあまりに曖昧だ。
 例えば、小学生の女の子をビンタして無理やり裸にし性交に及ぶ様を撮影して「作品」にしたら、これは誰が見ても「児童ポルノ」であり「児童虐待」であり「レイプ」である。右も左も判らない幼稚園児の女の子をなだめすかして笑わせながら裸になってもらい、御菓子と引き換えにセクシーポーズをとってもらって撮影した「作品」もまた「児童ポルノ」であり、暴力は振るってなくても「児童虐待」の可能性が大である。
 
 ところが、宮沢りえ氏が18の時に発表した「Santa Fe」、これが撮影時17歳ではないか、ということで「児童ポルノ」だと決め付ける動きが活発だが、どう観ても子供を産むことができる成長した女性の写真を「児童」と言われても違和感がある。また全裸といっても、男と絡んでいる訳ではないし、発情して恍惚の表情をしている訳でもないし、大股開いてバイブを持っている訳でもない。無表情で立っていたり、野原で座って伸びをしながら笑っていたり、性行為とは無縁の日常ありふれたポーズばかりだ。これを「ポルノ」と呼ぶのも違和感だ。
 
 これを児童ポルノと言うのなら、企画を積極的に推進した宮沢りえ氏の母親や篠山紀信氏は「児童虐待」をやったことになるのか? それ以前にこれをポルノにしてしまったら、アフリカやニューギニアや南米の裸族を取材したドキュメント映像もみなポルノになってしまう。彼ら彼女たちが「民族衣装」で現れたら、ポルノだ猥褻だと糾弾するのか? イスラム圏の人々にとっては日本の大相撲の扮装でも猥褻に感じるのだが、ではイスラム圏に気遣ってマワシを廃止してジャージ姿で相撲をとるか? 
 むかし、子供への性犯罪が問題になったからといって、紙オムツのCMで赤ちゃんの股間にモザイクをかけるようになった。ここまでくると情けない。モザイクをかけてしまうことで、逆に卑猥な感じに見えてしまう。後にモザイク無しの男の子の赤ん坊を使うようになったが、そうなると男女差別の問題が生じる。
  
 「Santa Fe」問題で児童ポルノ規制の危険性が露呈したと思う。これは皆が自覚しなければならない。「児童」という概念、「ポルノ」という概念は、実に主観的で如何様にも決め付けられる。
 それとともに、もっと根深い人間の暗部が隠されているように思う。前述のように児童を騙したり暴力でもってポルノに出演させるのは犯罪だ。そうやって出来た「作品」を所持するのはその犯罪を支援している事になるので一種の「共犯」であり規制しようというのは解る。しかし「Santa Fe」まで「児童ポルノ」に当てはめ規制しようとする感覚、私は児童への性犯罪と同じ性差別の臭いを感じてしまう。
  
 女性の裸がそんなに卑猥か? 綺麗とか素敵とは思わないのか? 卑猥・猥褻と思った段階で性差別を抱いてはいまいか? 「児童ポルノ」を規制する者、心の奥底には児童に性的虐待をする輩と同じ差別根性があるのではないか。

 それから1つの法律や条例をいじると、必ず他の法律との相関関係に矛盾が生じる可能性が出てくる。例えば女性は16から婚姻が認められているが、結婚には子作りがセットになっていることを忘れてはならない。「金八先生」で杉田かおる氏が演じたヒロインは14か15で妊娠・出産した訳だが、これ自体は犯罪ではないものの、法律の世界では想定外なので法の保護が受けられず、周囲の偏見以外に社会制度上の様々なリスクを背負う。しかし16からは少なくとも法律の保護がある。
 結婚・子作りとポルノは直接関係がある訳ではないが、子作りというのは性交渉であるので、女性は16からのセックスが法律で保護されている訳でもある。その一方、裸になっただけでポルノだとか猥褻だとか決め付けられ糾弾されたり法的に弾圧しようという空気が生じている。
 
 いや、そもそも思春期以上になれば性に興味を持つのは当たり前、昔ならば現代の中高生くらいから夜這いや夏祭後の営みに参加していたものだ。現代社会では様々なリスクや制約があるので抑制しているだけ。それなのに、思春期の性そのものを否定する空気すらある。それもまた差別ではないか。
 
 やはり、前後左右上下の相関関係をよく把握し法を整備する必要がある。でないと、悪名高き治安維持法と同じリスクがあるのだ。治安維持法とて、名前だけを見れば治安を守るだけの法律なのだが、この法律を根拠に多くの人々が拷問を受け虐殺されたではないか。

 
 最後にもう1つ。子供を「くそガキ」と蔑んだり、天使だと称揚しているうちは、児童差別だ。お前も邪な心を持った俺と同じ人間、と思えるようになって初めて対等である。
  

 
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[ 2011/02/01 16:54 ] 日誌・・近頃の現象 | TB(0) | CM(0)
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