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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「裂けた鉤十字/ローマの最も長い一日」 自分に喝を入れたい時に〔6〕 

裂けた鉤十字/ローマの最も長い一日
コストマス監督のデビュー作

 

      
【原題】RAPPRESAGLIA
【英題】MASSACRE IN ROME
【公開年】1973年  【制作国】伊太利 仏蘭西  【時間】107分  
【監督】ジョルジ・パン・コスマトス
【原作】ロバート・カッツ
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【脚本】ロバート・カッツ ジョルジ・パン・コスマトス       
【出演】リチャード・バートン(カプラー大佐)  マルチェロ・マストロヤンニ(アントネリ神父)  レオ・マッカーン(-)  デリア・ボッカルド(-)  ジョン・スタイナー(-)  アンソニー・スティール(-)  ロバート・ハリス[俳優](-)  ピーター・ヴォーン(-)  レンツォ・モンタニャーニ(-)  ジャンカルロ・プレト(-)  レンツォ・パルメル(-)  デュリオ・デル・プレト(-)
   
【成分】悲しい パニック 不気味 恐怖 勇敢 絶望的 バチカン ナチスドイツ 第二次大戦 虐殺 1940年代 イタリア イタリア語(一部ドイツ語) 

【特徴】ムッソリーニが失脚し、ドイツ軍が大挙してイタリアを制圧、ローマが武装親衛隊の占領下になった頃の物語。
 ローマ市中を行進するSS小隊がレジスタンスの爆破テロを受ける。ヒトラーはその報復に戦死した兵士の十倍の数のイタリア人処刑を命令。頭を抱える現地責任者のカプラーと、それを阻止しようと奔走する神父の対立が基軸となっている。
 カプラーはヒトラーの命令に神経をすり減らし、神父はナチに迎合するバチカンに失望する。後に娯楽大作を量産するコストマス監督の社会派作品。 
    
【効能】組織や社会の不条理・矛盾を学べる。人間の英知は社会貢献よりも言い訳と正当化に使われる事を学べる。
 
【副作用】全体に陰鬱で重苦しい雰囲気に気分が悪くなる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。
色男のSS将校が 
突然の命令に苦悩するのが見もの

 
 「カサンドラ・クロス」で大ヒットを飛ばし、その後「コブラ」「ランボー・怒りの脱出」「リバイアサン」などの娯楽アクション大作を手がけた監督だが、デビュー作は社会派色の強い作品である。
 
 タイトルから連想されるように、第2次大戦後期のイタリアが舞台である。ムッソリーニが失脚した後、ナチスドイツ軍は南戦線を確保するため大挙してイタリアを占領する。ムッソリーニはドイツに「救出」されて、ヒットラーに謝辞を述べる。そんな時代のローマで起こったエピソードだ。
 
 この作品をみたとき、15・6歳だったと思う。子どもの頃は戦記モノが好きだったが、あれほど民衆から支持を得ていたムッソリーニが何故殺されて逆さ釣りにされたのか解らなかった。かたやヒットラーは最期まで権力を握り続けていたというのに。その意味が解る映画だった。
 
 ドイツの占領でムッソリーニは失脚政治家から一気に裏切り者・傀儡政治家に成り下がる。イタリアでもレジスタンスの活動が活発になる。ヒトラーは報復としてイタリア人数百名の虐殺を命令、たまたま赴任していたSS将校カプラーが、総統の命令に動揺する将軍に他人事のような意見を言ったために、将軍から虐殺の現場責任者にされる。(余談1)
 
 大量処刑の話を聞きつけ、それを止めようと奔走する神父(余談2)。カプラーは中間指揮者としての立場を哀れんでくれ、と懇願し処刑の準備を進める。神父はバチカンにも働きかける。しかし法王庁は静観の姿勢。枢機卿か司教らしき人物が法王庁の言い訳がましい長い声明文を読み上げる。失望した神父は途中で退出、しかし枢機卿は神父が出て行ったあとも読み上げ続ける。当時のバチカンの政治的立場がわかる場面だ。
 
 処刑場に到着した神父はある決意をする。カプラーたちSSは死刑囚や微罪で逮捕された者やユダヤ人などを掻き集めてテロ犯人として処刑場であるトンネルのような場所に入れ、しゃがませて順番に後頭部へ銃弾を打ち込み、腐りやすいように石灰をかけていく。
 
 ニヒルで平凡な「公務員」が突然虐殺の実行責任者にされたSS将校カプラーをリチャード・バートン氏が、正義感あふれる神父をマルチェロ・マストロヤンニ氏が扮する。
 バートン氏の格好良くて色男ぶりの将校が一転うろたえ苦悩する様、マストロヤンニ氏の理想に燃える熱血漢ぶりと、信じていた権威がナチに迎合した時の失意と愕然ぶりが見どころだろう。(つくづく私は悪趣味)
 
 この作品が意図するものはずっと重いものだろうが、当時の私はこれを観て、人間の英知は弁解と正当化に最も発揮されるものだ、と納得した。
  
(余談1)いつも思うのだが、映画のドイツ兵たちは髪が長い。ロバート・キャパの報道写真には多くの捕虜になったドイツ兵の写真があるが、みな短く髪を刈り込んでいる。揉み上げも短い。

 それから、リチャード・バートン氏扮するカプラー大佐、着ている軍服は武装親衛隊のもの。階級章は「上級大隊指導者」、国防軍に例えると「中佐」相当だと思う。
 
(余談2)中世ヨーロッパの神父は頭頂を大きく剃るのは知られているが、現代でも旋毛の辺りを500円玉程度の大きさで剃るのを、この映画で知った。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作



  

 
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