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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「誓いの休暇」 青春回帰〔12〕 

誓いの休暇」 切ない青春
 

 
【原題】БАЛЛАДА О СОЛДАТЕ
【公開年】1959年  【制作国】蘇連  【時間】88分  
【監督】グリゴーリ・チュフライ
【音楽】 ミハイル・ジーフ
【脚本】ワレンチン・エジョフ グリゴーリ・チュフライ
【言語】ロシア語
【出演】ウラジミール・イワショフ(少年兵アリョーシャ)  ジャンナ・プロホレンコ(シューラ)  アントニーナ・マクシーモア(アリョーシャの母)  ニコライ・クリューチコフ (将軍)
          
【成分】泣ける 悲しい ロマンチック 切ない かわいい 第二次大戦 ソ連 白黒映画 
      
【特徴】ソ連時代の映画。怪我の功名で手柄を立てた少年兵は6日間の休暇をもらって故郷へ帰るが。その道中で出会った人々との触れ合いの青臭さが切ない。何故なら、冒頭で戦争が終わった時に喪服姿の母親の姿が登場するからだ。この映画は、人の良い少年兵の最期の青春を描写したものである。
 列車の中で出会った同年齢の少女と心を通わす光景が美しい。
 
【効能】まだ性愛とまでいかないプラトニックな初恋を思い出す。
 
【副作用】少年の青臭さに少しイラっ。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
束の間の雪解けのラブロマンス
 
 最初に買ったLD(余談1)がこの作品である。最初に見たのは深夜のテレビ放送だったと思う。高校2年生だった。私がソビエト映画に興味を持つきっかけとなった美しく切ない恋愛物語である。
 
 これはスターリンの強権政治からフルシチョフの穏健開放政策へと移った時期に製作された。もっとも、この春のような時代はすぐに終わり、再び20年ほど窮屈な政治が続くのだが。
 共産圏の戦争映画を観た人なら判ると思うが、登場する主人公たちは全員「英雄」である。命惜しまず勇ましく侵略者と戦う人間離れしたスーパーマンたちだ。旧ソ連・東欧諸国・中国、国や民族は違えどみな同じ描き方になるのが面白い。しかし、この作品では完全に一線を引いている。
 まず、主人公の少年兵からして、戦車から逃げ惑い、たまたま怪我の功名で戦車を爆破してしまい、「英雄」として評価され久しぶりの休暇を許される。休暇の途中では賄賂をねだる兵士や、出征した上官の留守に男をつくる妻、せっかく頑張って人を助けたのに労いの言葉をかけないどころか「ボサっとするな」と非難する列車の乗客など。
 文章で状況だけを書くと、みんな悪人のように聞こえるかもしれないが、悪ではない。厳しい時代を精一杯生きている当たり前の人間臭さを描いた映画、つまり安直なスーパーマンが居ない鑑賞に堪える映画なのだ。
 
 第二次大戦が舞台だが、戦闘場面は殆ど出てこない。少年兵が休暇中に体験した青春らしい青春の日々が核となっている。他愛ないありきたりの青春ドラマだが、おそらく主人公にとっては最期の青春のときである。それが観客に切なさを与える。何故なら、冒頭で喪服?姿の母親が登場するから、主人公は既に死んでいる事が明らかなのである。
 
 恋愛ドラマといっても、フランス映画のように安易なセックス場面は無い。アメリカ映画のように感動の無いキスシーンも無い。正味のプラトニックな淡い恋で終わる。休暇をもらった生前の少年兵は、列車で訳ありの少女と出会う。(余談2)暫くして打ち解け、お互いの顔を見ながら笑顔で弁当を口いっぱいに頬張ったり、美しい車窓からの逆光でシルエットになる2人の横顔が映し出される。後半になると、擬似夫婦(余談3)として行動を共にするなど、中高生時代の我々も恋人と経験した事がありそうなエピソードではないかと思う。
 
 主人公は女性を家までおくろうとするが、ヒロインは「私のために休暇が無くなる。早くお母さんのところへ」と遠慮し別れる。別れてから主人公は彼女の姿が夢に出てくるようになる。
 列車が空襲にあって破壊され、少年兵は必死に頼み込んでトラックを乗り継いで故郷に帰る。トラックの運ちゃんは文句たらだら言うが、結局は根負けして「仕方ない、人助けだ」と渋々故郷の村へおくる。村では噂を聞きつけた村人たちが集まって総出で歓迎する。母親とも会える。が休暇の日数は残っていない。再び死地へ戻っていく少年兵の後姿。
 
 冒頭で主人公の少年兵が戦死することが明らかになっているだけに、物語の核となっている少女との出会いと心の交流、上官の妻の浮気とそれを黙認する家族への青臭い憤り、帰郷した少年兵を出迎える母親と満面に笑顔の村人たち、何もかもが切なく輝く。
 
(余談1)DVDが登場する以前の記憶媒体。昔のLPレコードと同じくらいの大きさ。どんどん映像ソフトが気楽なものになっていく。本棚を占拠していたビデオテープ・LPレコード、かさばるだけでなく耐震性も大きく損なう。
 
(余談2)主人公の若い兵士を演じたウラジミール・イワショフ氏は二十歳くらいだった。ヒロインのジャンナ・プロホレンコ氏はまだ十代だったと思う。2人とも演劇学校の学生。
 
(余談3)軍人とその家族は優先される。ヒロインも主人公の「妻」の資格で乗り込む。2人は方便を使ったわけだが、擬似夫婦を楽しんでいるふしもある。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆ 良
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆ 名作

 
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[ 2008/01/30 13:19 ] 映画・・青春回帰 | TB(0) | CM(2)
>擬似夫婦

私は、一緒にスーパーで買い物をしている光景に、
そんな感じを抱きます。
[ 2008/01/31 23:12 ] [ 編集 ]
 買い物といえば、アイルランド民謡「She moves through the fair」を連想します。
 リーアム=ニーソン氏主演の「マイケル・コリンズ」のラストで、ジュリア=ロバーツ氏が花嫁衣裳を選んでいるときにコリンズが待ち伏せにあって狙撃される場面に使われた物悲しい調べのアイルランド民謡です。
 歌詞の内容は、前半は彼氏が市場で買い物をする彼女の姿をみて惚れ惚れと頼もしく思う内容で、後半はその彼女が亡くなっている。これはどういう謂れの歌なのでしょうか? 御存知ですか?
[ 2008/02/04 17:21 ] [ 編集 ]
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