FC2ブログ

ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

映画「アレクサンドリア」いよいよ上映!   

現在のシー・シェパードにも通じる 
キリスト教徒たちの蛮行

アレキサンドリア.jpg

 4世紀のエジプトを舞台に、ローマ帝国末期の混乱に翻弄(ほんろう)された女性天文学者ヒュパティアの数奇な運命を描く歴史ドラマ。『アザーズ』『海を飛ぶ夢』のアレハンドロ・アメナーバル監督がメガホンを取り、たぐいまれなる知性を持つヒロインとアレクサンドリア図書館で起こった悲劇をつづっていく。主演を務めるのは、『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズ。ヒロインの凛(りん)とした生きざまと、異文化間の壮絶な争いは必見に値する。(シネマトゥデイ)

【雑感】ヒュパティアというローマ時代の女性学者、この名を初めて聞いたのは高校生の頃、カール・セイガン氏の有名な著作「コスモス」からである。キリスト教徒の暴徒たちがアレクサンドリアの大図書館に乱入して貴重な蔵書を焼き払い、さらに学者ヒュパティアを改宗しない異教徒ということで馬車から引きずり降ろし、教会へ連れ込んで着衣を引き破り、全裸にして鋭利な牡蠣の貝殻で皮膚や肉を削ぎ落とす残酷な殺し方をした。セイガン氏はキリスト教徒が過去に犯してしまった汚点・蛮行と反省していた。
 
 その歴史事実が2009年にキリスト教国スペインで映画化され、ついに今年春に日本でも公開される。悲劇の科学者ヒュパティアを演じるのは記事にあるように「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズ氏。世間ではむしろ娯楽作「ハムナプトラ」のヒロインの方が通りが良いだろう。長い黒髪と太目の眉が素敵だ。
 実際のヒュパティアレイチェル・ワイズ氏の年齢はほぼ近い。ヒュパティアは40代前半でキリスト教徒たちの傲慢不遜無知残虐の暴力に晒されて命を落とす。首を斬られるとか、胸をめった刺しにされるという「通常の殺され方」ではない。死ぬまでに恐ろしく時間がかかる皮剥ぎの刑だ。
 彼女の最期があまりにも惨たらしいので、シネマトゥデイでは「数奇な運命」という綺麗な表現で紹介している。
 
 キリスト教などの一神教にはこんな残酷な側面があるという事を、この映画でぜひ認識してもらいたい。
 キリスト教などの一神教には、他宗教や他の神を認めない事を教義自体に盛り込まれているため、信徒たちは排他的になる危険がある。排他性自体は、群れを守るため、という類人猿以前からの本能なのでキリスト教だけの責任ではないが、一神教ゆえにひとたび人間の理性という安全装置がはずれると教義を根拠に暴走しやすい。
 過去の歴史で、「神」の名の下に信徒たちは、多くの民族や民族文化を弾圧蹂躙した。異教徒だけに限らず、本来は同門であったはずのイスラムの国々にも侵略を積極的に行い、宗派が違うだけで同じキリスト教徒にも「異端」や「魔女」の烙印を押して虐殺した。

 果たしてこれら歴史的責任をカトリックやプロテスタントなどの信徒たちは自覚しているのだろうか? たとえば、天皇の戦争責任を追及する日本市民の中にはキリスト教徒がしばしば見かけるが、糾弾は天皇より先にバチカンではないのか?
 
 シー・シェパードたちにもそんな悪い意味でのキリスト教的発想を感じる。団体名からしてキリスト教的だ。「シー・シェパード」って、自分たちを「海の羊飼い」と称して海賊まがいのやり方で日本の捕鯨船を襲う。そんな違法行為に屈して中止する日本政府。
 ヒュパティアが守ろうとした書物を読みもせずに焼き捨て狼藉をはたらく羊飼いたちと、日本の文化を理解せず鯨肉を口にしようとせず頭から野蛮呼ばわりして捕鯨船に狼藉はたらく海の羊飼いの区別が、私にはつかない。
 
 アレクサンドリア」は2011年3月5日から、大阪では「なんばパークスシネマ」から、東京では丸の内ピカデリーから順次全国ロードショー。

晴雨堂関連記事案内
「アレクサンドリア」 社会問題を考えたい時に〔25〕
  

 
 blogram投票ボタン にほんブログ村 映画ブログへ
ブログランキングに参加しています。
関連記事
スポンサーサイト



コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する
映画処方箋一覧
晴雨堂が独断と偏見で処方した映画作品。
下段「日誌」項目は晴雨堂の日常雑感です。
メールフォーム
晴雨堂ミカエルに直接ご意見を仰せになりたい方は、このメールフォームを利用してください。晴雨堂のメールアドレスに送信されます。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール
↓私の愛車と野営道具を入れたリュックです。

晴雨堂ミカエル

Author:晴雨堂ミカエル
 執筆者兼管理人の詳しいプロフィールは下記の「晴雨堂ミカエルのプロフ」をクリックしてください。

晴雨堂ミカエルのプロフ

FC2カウンター
2007年10月29日設置
当ブログ注目記事ランキング
当ブログで閲覧数の多い順ランキングです。
設置2013年6月13日
ブログランキング
下記のランキングにも参加しております。ご声援ありがとうございます。
  にほんブログ村 映画ブログへblogram投票ボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
映画
130位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
レビュー
66位
アクセスランキングを見る>>
タグランキング
晴雨堂の関心度が反映されています。当ブログ開設当初は「黒澤明」が一位だったのに、今は・・。
訪問者閲覧記事
最近のアクセス者が閲覧した記事を表示しています。
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム
リンク