ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「エイリアン」 不安と恐怖を楽しむ時に〔24〕 

エイリアン」 
不朽のキャラクター「エイリアン」登場!

 
 
  
【原題】ALIEN
【公開年】1979年  【制作国】亜米利加  【時間】117分  
【監督】リドリー・スコット
【原作】
【音楽】ジェリー・ゴールドスミス
【脚本】ダン・オバノン
【言語】イングランド語
【出演】トム・スケリット(ダラス船長)  シガーニー・ウィーヴァーリプリー二等航海士)  ジョン・ハート(ケイン一等航海士)  ヤフェット・コットー(パーカー機関士)  ハリー・ディーン・スタントン(ブレット機関士)  ヴェロニカ・カートライト(ランバート三等航海士)  イアン・ホルム(アッシュ医療主任)  ヘレン・ホートン(“マザー”宇宙貨物船ノストロモ号メインコンピューター)
  
【成分】パニック 不気味 恐怖 勇敢 知的 絶望的 特撮 SFホラー
                
【特徴】不朽の悪玉キャラ・エイリアン登場。本作以降、続編が何作も制作され、気鋭伸び盛りの映画監督がメガホンを取る事が慣習化している。さらに別シリーズでもエイリアン・キャラは登場、SFホラーだけでなく特撮界や漫画・アニメ業界に与えた影響は計り知れなく、まさに金字塔作品である。
 巨大な、しかし閉鎖された宇宙船の中で、凶暴な侵入者に怯え、乗組員同士の疑心暗鬼に悩まされながら、活路を開いていく女性航海士の姿が逞しい。
    
【効能】スレンダー女性の逞しさに萌え。生きることに貪欲になれる。
 
【副作用】夜の暗い路地や消灯して暗くなった職場が怖くなる。タラバガニが怖くなる。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。  
闘う女性ヒーローを定着させた作品。
  
 私は闘う女性ヒーローの映画が好きである。映画のデキ・不デキは別にしてとりあえず観ておきたいたちだ。近年でもイマイチ評判が良くなかった全智賢氏(チョン・ジヒョン)主演「ラスト・ブラット」や柴咲コウ氏「少林少女」、乙黒えり氏主演のB級路線映画「お姉チャンバラ」などを嬉々として鑑賞した。もちろん、こないだ観たミラ・ジョヴォヴィッチ氏の「バイオハザード」シリーズも欠かさず観ている。
 
 私が記憶している中では、この「エイリアン」(余談1)は闘う女性ヒーローをハリウッドで定着させた作品である。
 もちろん、古くは手塚治虫氏「リボンの騎士」や、私の世代なら永井豪氏の「キューティー・ハニー」や「けっこう仮面」がある。だが、同時期のハリウッド映画ではまだ相変わらずか弱くて危険が迫るとパニックになって絶叫するキャラが主流だった。闘う女性が登場しても男性主人公の助演クラスがせいぜい。私が知らないだけで、闘うヒロインが主人公という映画も多少はあったかもしれないが、主流ではない。(余談2)
 
 本作の裏話やシリーズ各作品を担当した監督たちへの評価、特撮やエイリアンの「造形美」については既に多くのレビュアーたちが述べているので、私は闘うヒロインについて観方や考えなどを話す。
 当時、27・8歳くらいの若手女優シガーニー・ウィーヴァー氏が主演を務めた。公開時に観たとき私は中学生だったのでシガーニーは大人の女性というイメージだったが、今観るとシワが無くてツルツルのピチピチの美少年的少女に見える。

 で、何でこんな中年スケベ男まるだしの話をわざわざしたのかというと、公開時のポスター・チラシ・パンフレットなどには彼女の役名を「リプリー二等航宙士」となっていた。つまり、ノストロモ号のナンバー3なのである。
 船長や一等航宙士が不在であれば、船の指揮は若いリプリーが執る。作中でも船長の下で実務全般を仕切っている様が描写されていたし、船長と一等航宙士らが謎の遭難船を調査している時は留守を任されている。もっとも、彼女の上司や部下は彼女の権限をしばしば軽んじていたが。
 
 ところが、エイリアンが孵化して一等航宙士の胸を破る。狭い船内でエイリアンとのサバイバル対決が繰り広げられる訳だが、逞しくて頼りになりそうな男たちは次々と犠牲になったり、あるいは企業の回し者アンドロイドで獅子身中の虫だったり。
 今までどちらかといえば部下からも上司からもナメられていた感のあるリプリーがサバイバルの過程で頭角を現しリーダーシップをとるようになる。ところが、最後に生き残った同僚の女性航宙士と黒人機関士も餌食となり、有能な船長たちを失ったリプリーは本来持っていた行動力と機転を利かせ孤独な戦いを繰り広げた。
 
 本作の企画段階では最後に生き残るのは男性の予定だったようだが、女性リーダーのリプリーに変更された。スレンダーなリプリーが半ケツの下着姿でエイリアンと立ち向かう孤独な姿はその後の女性ヒーローの定着に強い影響を与えたと私は思っている。
 なりふり構わず、制約のある環境で活路を開き生き延びる逞しくてカッコ良い女性ヒーローの誕生だ。もはや、男性の興味を引くためのお色気役でもか弱いだけの絶叫ヒロインでもない。良妻賢母型でもなく、女の武器を使うスカーレット型でもない。頼りになる闘う女性美だ。

(余談1)私が初めて「エイリアン」という言葉を知ったのは、「エイリアン」封切から1・2年前、週刊少女コミック連載の萩尾望都氏の作品「スター・レッド」からだった。
 主人公の少女に近づく謎の男が火星人研究局に捕らわれ調査される場面で「地球人」でない事が判明、調査員たちが「エイリアン(異星人)です!」と叫ぶ。
 こんな話を連れ合いにすると顔を顰める。「いやらしい。男のくせして少女漫画・・」
 
(余談2)TVドラマではリンゼイ・ワグナー氏主演の「バイオニック・ジェミー」が70年代後半に放送された。またほぼ同時期に如何にもアメリカを背負っているかのようなコスチュームの「ワンダーウーマン」がある。いずれもウーマンリブ運動後の女性の地位向上がマスコミで注目されてきた時期と重なる。当時の闘うヒロインは流行の最先端だった。
 
 映画作品では、私が知る中でイングリット・バーグマン主演「ジャンヌ・ダーク」がある。1940年代の映画でかなり古い。題材そのものが実在した甲冑姿のヒロインだから、ハリウッド風の絶叫して思考停止になる女性にはできない。
 バーグマン自身がジャンヌ・ダルク役を渇望し射止めた。残念ながら大味な作りになってしまったが、ジャンヌがイングランド軍の捕虜となり裁判を受ける場面は堂々としていてカッコ良い。バーグマン自身がやりたかった場面だと思う。
 パブリックドメインになっているので、500円で売り出されている。
 
 他、70年代に流行った「アマゾネス」系のお色気アクション映画もあるが、あくまでお色気がメインで、闘う女性の美とは少し違う。

晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
  
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
【受賞】アカデミー賞(視覚効果賞)(1979年) 第11回星雲賞映画演劇部門賞受賞
  

 
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