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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ウンタマギルー」 青春回帰〔13〕 

ウンタマギルー」 沖縄現代民話
 
ウンタマギルー
ウンタマギルー [VHS] 高嶺剛
 
【公開年】1989年  【制作国】日本国  【時間】120分  【監督】高嶺剛
【音楽】上野耕路
【脚本】高嶺剛
【言語】ウチナグチ(沖縄方言) 一部ヤマトグチ(標準的日本語)
【出演】小林薫(ギルー)  青山知可子(マレー)  平良進(西原親分)  戸川純(チルー)  ジョン・セイルズ(カマジサー高等弁務官)  照屋林助(テルリン)  エディ(アンダクェー)  間好子(ウトゥーバーサン)  宮里栄弘(キジムナー)  北村三郎(安里親方)  平良トミ(ギルーの母ソブシー)  大宜見小太郎(島袋警察長官)  
          
【成分】笑える 楽しい 悲しい ファンタジー ロマンチック 不思議 勇敢 切ない かっこいい コミカル 60年代末 沖縄 ウチナグチ
      
【特徴】本土復帰前の米軍統治下の沖縄が舞台。日本復帰派・米統治派・独立派と世論が分かれている中、平凡な若い労働者ギルーは超能力を会得し義賊ウンタマギルーとして活躍する。全編沖縄方言であるウチナグチ台詞、標準語字幕付。沖縄の風土人情が前面に出た現代の政治的ファンタジー。
 照屋林助氏は、りんけんバンドのお父さん。
 
【効能】絶望的で深刻な状況で楽天的。精神の鎮静作用がある。
 
【副作用】ヤマト(本土)を悪く描かれている点に保守は不快感。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
深刻で牧歌的な世界
 
 全編ウチナグチ(沖縄方言)台詞で「日本語字幕」付、サンシン(沖縄三味線)の調べ、白い砂浜や深い亜熱帯の森、「沖縄」に強くこだわった異色冒険活劇だ。監督の高嶺剛氏は沖縄出身である。公開当時、ちょっとした沖縄ブームが盛り上がった。(余談1)
  
 本土返還前の60年代末沖縄が舞台。元ネタは民話から。だから「日本昔話」風にタイトルを言い換えると「運玉森の義留」が適当か。森の妖怪や豚の化身が登場したり、水木しげる氏の漫画ほどあからさまではないが、現代沖縄に奇怪で飄々とした空間が広がる。(余談2)
 
 小林薫氏扮する主人公ギルーは、ある過ちをおかしてはみ出しものになる。妖怪の娘を救って超能力を得る。そして親米派や「親日派」の金持ちから金を奪う義賊になる。
 警官隊に追い詰められたとき、ギルーは叫ぶ。「俺たちはアメリカンでもヤマトでもない!」そこへ相棒がすかさず呑気な語調で「あ、政治的発言をした」と突っ込む。
 
 南の島の悲壮感が感じられないユッタリとした現代の御伽噺だが、その背景は重い。
 
(余談1)本土の言葉を「ヤマトグチ」
 全編「ウチナグチ」台詞だが、「ヤマトグチ」の怒鳴り声が響く場面がある。野外で豚肉を煮ながらサンシン弾き泡盛を呑んでささやかな宴会をしているときに、トラックに乗り付けてきたならず者風の男たちが「日本語」で「百姓どもが、昼間から肉鍋か!」と怒鳴りながら鍋を引っくり返すなど狼藉をはたらく。沖縄返還ムードに乗って土地買収にやってきたヤクザ者か。似たような場面は韓国や中国の映画にもある。
 
 日本一周して思ったのは、日本の風景は青森から鹿児島まで同じだが、北海道と沖縄は異なる。北海道の人達は私を「内地の人」と呼び、沖縄では「ヤマトの人」「ヤマトンチュ」と呼ぶ。北海道と沖縄は江戸時代から明治時代にかけて日本に併合されてきた歴史を持つ。
 
(余談2)沖縄の友人の話によると、沖縄民謡は伝統的なリズムにさえ乗せれば民謡になるそうだ。戦後作られた民謡が多く、大戦中の悲哀や反戦歌が殆どだ。
 喜納昌吉氏の「ハイサイおじさん」や「花~すべての人の心に花を~」やビギンの「涙そうそう」なども沖縄民謡に入れる場合もある。
 

 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆☆☆ 金字塔

 
【受賞】日本映画監督協会新人賞(1989) 報知映画賞最優秀作品賞(1989) ベルリン映画祭カリガリ賞(1990)
  
晴雨堂関連作品案内
パラダイスビュー [VHS] 高嶺剛
 
晴雨堂関連書籍案内
おきなわの夢―ウンタマギルー物語 高嶺剛
 

 
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[ 2008/02/06 12:33 ] 映画・・青春回帰 | TB(1) | CM(1)
TBありがとうございました。
北海道が舞台だと
どうしても暗い展開になりがちな
そんな気がしますが、
沖縄を舞台とした映画は
結構辛辣なテーマを扱いながらも
見ている人を暗い気持ちにさせない
そういった作り方をする監督さんが
多いような気がして好きです。
(^_^)
[ 2009/07/08 21:43 ] [ 編集 ]
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昨日(5/15)開催した映画サークル5月例会は、仁左衛門企画の『ウンタマギルー』(1989年/高嶺剛監督/パルコ)だった。 太平洋戦争後、そして日本返還前の沖縄がこの映画の舞台で、沖縄の独立を目指すゲリラ組織が登場したり、何回か日本政府(佐藤首相)の動向が示されたりする...
[2009/07/08 21:30] 仁左衛門日記
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