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ミカエル晴雨堂の晴耕雨読な映画処方箋

晴雨堂ミカエルの飄々とした晴耕雨読な映画処方箋。 体調に見合った薬膳料理があるように、 料理に合う葡萄酒があるように、日常の節目に合った映画があります。映画の話題をきっかけに多彩な生活になれば幸いです。詳しいレビューは「続きを読む」をクリックしてください。

「ロビン・フッド」 ストレス解消活劇〔78〕

ロビン・フッド」 
歴史的背景に忠実な冒険活劇。

 
 
  
【原題】ROBIN HOOD
【公開年】2010年  【制作国】亜米利加 英吉利  【時間】140分  
【監督】リドリー・スコット
【原作】
【音楽】マルク・ストライテンフェルト
【脚本】ブライアン・ヘルゲランド
【言語】イングランド語 一部フランス語
【出演】ラッセル・クロウ(ロビン・ロングストライド)  ケイト・ブランシェット(マリアン)  マーク・ストロング(ゴドフリー)  ウィリアム・ハート(ウィリアム・マーシャル)  マーク・アディ(クック修道士)  オスカー・アイザック(ジョン王)  ダニー・ヒューストン(獅子心王リチャード1世)  アイリーン・アトキンス(アリエノール・ダキテーヌ)  ケヴィン・デュランド(リトル・ジョン)  スコット・グライムズ(ウィル・スカーレット)  アラン・ドイル(アラン・ア・デイル)  レア・セドゥー(イザベラ)  マックス・フォン・シドー(サー・ウォルター・ロクスリー)  マシュー・マクファディン(-)  ダグラス・ホッジ(-)  ロバート・パフ(-)  ジェラルド・マクソーリー(-)  サイモン・マクバーニー(-)
  
【成分】笑える 楽しい 悲しい スペクタクル ロマンチック 勇敢 かっこいい 13世紀前期 イングランド
                     
【特徴】いわゆる、ロビン・フッド誕生秘話というべき物語。子供向け時代劇に登場する軽快に弓矢を射る若き義賊ロビン・フッドの姿は無い。
 時代背景については史実に配慮した構成になっている。典型的な悪役で描かれがちのジョン王はけっこう現代人にも共感できる人間臭いキャラに描かれていて好感が持てる。
    
【効能】単なる下級弓兵が騎士に化ける、これから就職活動をする方々にはハッタリや売り込みの参考になる?
 
【副作用】溌剌として若々しいロビンが居ないので不満。
 
下の【続きを読む】をクリックするとネタバレありの詳しいレビューが現れます。記事に直接アクセスした場合は、この行より下がネタばれになりますので注意してください。  
マグナ・カルタ成立当時のイングランド。
 
 マグナ・カルタ(大憲章)は中学校の社会科で習うので憶えている方もいるだろう。私の場合、授業で民主的憲法の先駆けと簡単に紹介されただけ、試験には「イギリス」と「1215年」と「マグナ・カルタ」の3点だけを暗記すれば良かった。経緯は無視。
 私は歴史が好きだったので、背景や経緯を確認せずにおれなかった。さっそく学校の図書室で確認したら、民主主義云々より失政失地続きで評判の悪いジョン王の権限を削ぐのが主目的のようだった。(余談1)
 財政難を切り抜けるため諸侯らに重税を課し反発を招いた。そんな時代に活躍する義賊がロビン・フッドである。(余談2)
 
 「時代劇」のロビン・フッドは明るく自由な森の義賊として描かれるが、本作ではリアル歴史絵巻にしている。中世ヨーロッパの攻城シーンや、ロビンがマリアンに手伝ってもらいながら鎧や鎖帷子を脱ぐのに四苦八苦している場面、石版をこじ開け裏の文字を読むシーンで石版に泥や蟲が付いているなど、当時の体臭や生活感が漂って良い。
 また物語の構成も良い。ロビンが十字軍からの脱走兵で、王冠を護送するノッティンガムの騎士が襲われているところに出くわし、遺体から銭と鎧を剥ぎ取って騎士に成りすまし、次に成り行きでノッティンガムの領主に成りすまし、次に仏軍との決戦(なんだか逆ノルマンディ上陸のようだ)、ジョン王が英雄ロビンに嫉妬して裏切りマグナ・カルタ破棄を宣言し、ロビンをお尋ね者にするオチは上手くまとめたと思う。
 
 しかし、巨費を投じた映画で監督がリドリー・スコット氏ならば、平凡な作品に見えてしまう。闘う美女は好きだが、最後の決戦でマリアンが甲冑を着てロビンの軍に参戦するのは今では少しマンネリか。20年前なら新鮮なのだが。

(余談1)私はヒール好きなのでジョン王に同情する。本作も含めロビン・フッド物で悪役を担当するジョン王だが、派手に悪事をはたらいたのはむしろ中世騎士物の英雄リチャード1世である。ジョン王の実兄である彼は国の財政を無視し軍資金を掻き集めて十字軍に参戦、当然のことながらイスラム圏では捕虜虐殺を嬉々として行った卑怯卑劣な悪魔として認識されている。
 ジョン王が王権を引き継いだときはリチャード王のおかげで国庫は空っぽ不良債権だらけ、さらにフランスにあった広大な領地も失う。ジョン王が有能な君主でも国民の不興を買っただろう。諸侯らに重税を課して反発を招くのは物理的にやむを得ない。日本の民主党政権に少し似ているか。

 本作で好感もてるのはステレオタイプな暗愚に描かれず、未熟で少し屈折した若者としていた。童顔で健康的な裸体を披露したレア・セイドゥ氏がジョン王の妻イサベラ役をしたのも正解、ジョン王らしいと個人的に思う。ふと思ったが、イサベラの英語読みはエリザベスだったかな?
 
 因みに領地の問題は現代の国民国家の感覚で見ると誤解してしまう。ヨーロッパ全体が日本の戦国時代のような状態に近いと見るべきだ。
 本作に登場するイングランド王家はもともとフランス貴族でアンジュー伯と称していた。ややこしいがフランスの封建領主のままイングランド王となったのでフランスにも領地があるし血縁者も多い。本作でもその雰囲気を大事にしたのか、仏語台詞が多く用いられた。
 この関連で後の時代に登場するジャンヌ・ダルクを扱った映画を観れば面白いと思う。
 
 国王なのに貴族の資格を使っている例は現代でもある。たしかジャージー牛乳で有名なイギリスのジャージー島は一応「独立国」で、英議会の法的支配は受けない。元首である女王はエリザベス公の肩書きで君臨しているはず。通貨紙幣には王冠を被っていないエリザベス2世が描かれている。
 
(余談2)ロビン・フッドが現在の形になったのは16世紀ごろである。それ以前は時代設定が異なっており、ジョン王より昔の11世紀ノルマン人の襲来時に遡り、ノルマン人に抵抗するサクソン人という話になっている。
 
晴雨堂スタンダード評価
☆☆☆☆ 優
 
晴雨堂マニアック評価
☆☆☆ 佳作

 

 
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コメント

ラッセル・クロウは歴史ヒーローをやるにはもう
旬は過ぎてると思いますねえ。
リドリー・スコットと組んで「グラディエーター」
の夢よ再び、という企画なんでしょうが。

「グラディエーター」にしてもストーリーは単純
でした。売り出し中のラッセルの魅力と久しぶりの
ローマモノというんで売れたんだと思います。

歴史モノをしょってたつ、若手実力派がいないの
かなあと、ちょっとものたらない気がします。

オーランド・ブルームはどう思いますか?

A君へ

> ラッセル・クロウは歴史ヒーローをやるにはもう
> 旬は過ぎてると思いますねえ。
 
 たしかにアクション時代劇は苦しいですね。しかし、まだ文藝作の道は可能性として残されていると思いたいですな。

> 「グラディエーター」にしてもストーリーは単純
> でした。売り出し中のラッセルの魅力と久しぶりの
> ローマモノというんで売れたんだと思います。
 
 あれはスティーブン・ボイドの「ローマ帝国の滅亡」を簡略化したような感じですね。最初はリメイクかな、と思いましたが。
 日本で流行った背景には、塩野七生氏の功績もありますね。

> 歴史モノをしょってたつ、若手実力派がいないの
> かなあと、ちょっとものたらない気がします。
 
 指輪物語のオーランド・ブルームに期待していたのですが、どう思いますか? 最近、時代劇から遠ざかっていますね。

オーランド・ブルームはちょっと線は細いけれど、
「キング・ダム・オブ・ヘブン」もなかなか
良かったですよね。年も今34歳といい頃合です。

しかし、ご本人は歴史モノのイメージを払拭
したくて現代劇に出てるのかもしれませんね。
俳優のサガで、娯楽要素のある時代劇よりもシリ
アスな現代劇で名をあげたい、という気持ちもあ
るんでしょう。

なんとかまた歴史モノにでてもらいたいですね、
40歳を越える前に。

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